2020/11/26 のログ
ご案内:「黄泉の穴」にF.U.R.Yさんが現れました。
■F.U.R.Y >
「ココか……」
黄泉の穴。
4年ほど前にどこぞのバカ共がバカをやり、バカなモンを遺した名残。
落第街にあるごみ溜めの底の底、近づく者すらほぼおらぬ魔境。
ある事は知っていたが別に用もないので近寄る事もなかった、使い道のねェ穴ぼこだ。
『なにか、しりたければ、落第街の闇に問いかけるといい。
応える者がいることもあるだろう。』
そんな事を言ったタフな女を探し、しかし会う手立てもなく。
仕方なしに落第街の闇と言われ心当たりのある場所を虱潰しに見に行き、アテが外れるを繰り返す日々。
全く面倒くせェ。
だが”アテ”はアイツしかいねェ。
スラムから逃げた奴らのウシロダテが出来るような奴が必要だから、仕方ねェ。
「スゥ……」
ひと呼吸、息を吸い込む。
周りに人影はねェ、ブッ壊れて困るモンもねェ。
なら、呼んで出てくるんなら一番”単純”な方法で呼びゃいィ。
つまるところ…
■F.U.R.Y >
「ゴラァアア!!!!!キンパツオンナァア!!!
要件があらァ!!
いんなら出てこいやァ!!!!」
■F.U.R.Y >
おおよそ人間が出せる声量ではない、一種の音波攻撃かと錯覚するほどの轟音。
衝撃で周囲が揺れる程の、爆音。
やもすれば人が住んでいる地域にまで聞こえるのではないかと思うほどの声量で、呼びだす。
単純かつ、原始的。
しかし通信端末もなく、手掛かりもない以上この方法しか手の取りようがなかった。
■F.U.R.Y >
声がこだまし、何度も跳ね返る。
あのタフなキンパツオンナには聞こえたか?
落第街の闇に問いかけろって言ったからやってみたが、なんか違う気がする。
「……ま、でもそこそこデカめに声出したから気づくだろ」
男の全力の叫びは至近距離で聞いた人間の鼓膜を潰し脳を破壊しかねない。
一種の兵器とすら呼称できる声量を、発する事ができる。
それが出来ると知ったのは、何時も使う異形の左腕の形が少し変わってから、であるが。
■F.U.R.Y >
「にしても‥」
左腕を見る。
今は何の変哲もない…いや、刃物で刻みつけられた文字が痛々しく残っているが、それを抜きにすれば人間の形を保っている左腕。
だがこれが”ハリボテの腕”だという事は、なんとなくだが理解している。
この腕は、いうなれば俺が呑み込んだバケモンの力で出来たモンだ。
本来の腕は、もう、ない。
ニンゲンっぽく擬態しただけの、ツクリモン。
それが、何時頃からかまた、変化するようになりやがった。
足まで変わるようになって、背中あたりから尻尾みてェのが生えてきやがって。
そうなると多少制御が効かなくなりやがる。
何時も出してるカタチなら、もう少しはコントロールできるモンだが。
「……ッ!!」
腕を、変化させてみる。
ムカつく事を思い出し、それを腕に溜め込む。
腕の皮膚を突き破り、硬質な黒い魔獣のような腕へと変わってゆく。
だが、そこまで。
足は変わらねェ、尻尾も生えねェ。
気持ちが高ぶりはするが、まだ冷静でいられる。
「……やっぱフツウにやるとこれが限界みてェだな」
つまるところ、怒りだ。
怒りが上がるほど、力が増す。
ある一定を超えると、今の腕じゃ収まりつかなくなってもっと変わる。
だいたいそんなカラクリみてェだ。
■音 >
――――――ガシャッ
そうしていると、後ろから音が聞こえる。
複数……重量のありそうな、金属が擦れながら歩く音。
後ろを見れば、複数人の鎧を着こんだ騎士のような者共が、男へと迫っていた。
しかしそれが人間ではないという事は、直ぐに分かる。
首が、ないからだ。
首無しの騎士たち。
鎧の隙間からは汚泥のようなものが溢れており、そこから異様な臭気を放っている。
おそらくは、ここで蠢く力が生み出した、怪異――――
■F.U.R.Y >
「―――――オンナ呼ぶつもりが、別のモン呼んだみてェだな」
やってきた怪異たちを見て、はぁ、とため息を吐く。
荒事は嫌いじゃねェが、別に好き勝手振るいたい訳じゃねェ。
「一応聞くが、さっさと退散したら見逃す気っつゥのは……」
異形共に、声をかける。
万が一すんなり帰してくれるというなら、帰るだけだ。
ハナシ通じる奴にケンカを売る気もねェ。
だが……異形はそんな言葉に反応すら見せず。
ただ歩を進め、男に迫るばかり。
剣を、槍を、槌を構え…迫るのみ。
「ねェ……だろォな。
なら仕方ねェな………」
肩を回し、準備運動しながらこちらからも距離を縮めてゆく。
そして、武器の間合いに入った、と相手が認識し……
リーチのある槍を持つ騎士が、まず最初に男へとそれを突き刺さんと放ってくるだろう。
■F.U.R.Y >
それを、脇腹にかすめながら―――――――
男が、獣が、駆ける。
距離を潰し、体をぶつけるように……左拳を握りしめ、溜め……
そして、殴りぬける。
深いボディブロー。
拳が鎧へとめり込み、大きく吹き飛び後方の岩盤まで吹き飛ばす。
吹き飛んだ鎧は岩盤に亀裂を与えながら、大きくめり込む。
■首無し鎧 >
「―――――――」
が……それで完全に沈黙、とはならなかった。
ただの鋼の鎧ならば貫き砕く左拳の一撃を喰らいながらも、鎧は大きく凹みながらも原形を保ち、立ち上がる。
そして他の鎧たちは、拳を振り終えた男に隙を与える気などさらさらないと言うかのように、男へと武器を、振るう―――――――
それは、人が振るうよりも遥かに疾く、重いもの。
■F.U.R.Y >
「ッ……!!」
砕けねェ。
黄泉の穴にいやがる怪異共はそこそこ強ェとは聞いていたが、噂通りかそれ以上か。
少なくとも”今の腕”の一撃じゃ潰れねェ程度には骨があるみてェだ。
「―――――――上等ォ…!!」
続く斬撃。
それも四方八方から、別々の鎧による同時攻撃。
致命傷は避けつつも、肩と足に軽傷ではない傷をつけられ、血が噴き出す。
しかしそれに怯む事もなく、男もまた、反撃へと移る。
左での二撃目……
その素振りをしながら、跳躍しての、鎧二つを纏めて薙ぎ払う、回し蹴り。
単純且つ、視覚的に分かりやすい怪物の腕だからこそ、相手の注意を引かせるのは、効く。
腕への警戒から一瞬対処に回ろうとした鎧共を、回転しながら蹴り飛ばす―――
■首無し鎧 >
「――――――」
異形の体は、重量にして100kgほどはある。
それが一瞬浮き、後退する程の威力の蹴り。
十分に強烈な一撃。
しかし左拳ほどではなく、凹んだ装甲も、先ほど吹き飛ばされた鎧にくらべれば随分と軽傷。
とはいえ、距離は出来る。
■F.U.R.Y >
「―――ハッ!」
蹴った足の方が痺れる。
尚且つ、パワーもスピードもある。
特殊な力は見せないが、十分に脅威な敵。
それが10……いや、どんどんと増えてゆく。
「……いィぜ」
ニヤリ、と口を歪に歪ませ、凶悪な笑みを浮かべる。
獣が、獲物に舌なめずりするように、それはむき出しの、野生。
雑魚ばかり相手にしても、つまらねェ。
こういう相手とやり合うのも……悪くねェ。
「何匹だろォとかかってきな……
俺をもっと”怒らせ”てみろや……鉄屑共がよォ……ッ!!!」
拳を、握りしめる。
獣が、駆ける。
異形の鎧共の群れへ。
悪鬼溢れる死の穴へ。
ご案内:「黄泉の穴」に『マーレ』さんが現れました。
■F.U.R.Y >
――――獣と異形が、血肉を削りながら争う。
それは尋常ならざる戦い。
人のそれではない、荒ぶる鬼共の大戦。
それに理由はなく、故に何方かが滅びぬまで終わらず。
収まらぬ怒りを爆発させるかのように、獣は一昼夜、鎧を”狩り”つづける……
■『マーレ』 >
「……ふむ、此処が例の穴、か……」
基本的に自分たちには関わりがないといえばない、そういった場所であった。
しかし、自分のような存在には実際に目にしておく価値はあろう、そう感じてもいた。
そのようなわけで、来てみたわけだが……
「怪異のたぐいが居る、とは聞いたが……」
転がる残骸を見回していた
同士討ち、というやつだろうか
弱肉強食、といったところか
「にしても、似たようなものばかりだが……」
辺りを警戒しつつ、奥へ足をすすめる
■F.U.R.Y >
奥へと進めば、そこに在るのは百鬼夜行の残骸。
無数の鎧、大半は潰れ、砕け……沈黙したそれと、その鎧の山の上に立つ、獣のような姿の、血まみれの男。
体中に矢や槍、剣が突き刺さり、所々は抉れ、腹部からは内蔵が零れている。
右目は潰れているのか開いてはおらず、左目だけを強く光らせ続ける。
満身創痍という言葉すら物足りぬような惨状の男は、その姿でなお、鎧を薙ぎ払い、そして、食らっている。
鋼のようなそれを、かみ砕き、食っている。
それはおおよそ人と呼称してよいのか判断しかねるほど、異様な光景。
ついにその鎧共がほぼほぼ動きを止めた頃、男は入ってきた者に、気づくだろう。
「――――何だ。
こんな所に人たァ……物好きがいやがるなァ?
野次馬なら帰りな。
見ての通り……人が来る場所じゃねェぞ」
■『マーレ』 >
「……おや」
怪物の群れの中に、一際目立つ怪異が一体。
全身を数多の傷に苛まれながらもなお、暴れ狂う一匹の獣。
「大物が居たものだ。これがこの辺の連中を殺したやつか」
なるほど、それくらいの性能はありそうだ。
さしずめこの辺のヌシ、といったところか。
少しは本気で対処しないといけないだろうか、と思った矢先――
「おや、喋れるのか。
まあ物好きなのは認めよう。」
なるほど、対話可能な怪異か。
後学のためにも少し情報収集してもいいだろう。
「そういう君は……此処のヌシか何かかな?
尋常な存在には見えないが」
場に似合わない、冷静な……見方を変えればのんびりとした調子で問いかけた。
■F.U.R.Y >
「ペッ」
鎧の腕を食いながら、中で溜まった血を吐き出す。
真っ赤にそまった痰。
口の中までズタボロにされたらしい。
「ンなモンじゃねェ。
人探ししてたら襲い掛かってきた。だからブッ潰しただけだ。
ま……多少は雑魚じゃなかったんで……ちィとばかしやられたが、な」
腹から出た臓物を無理矢理腹に詰め直しながら、ふゥ、と座り込む。
刺さった剣や槍を、出血すらいとわず抜き取り、そしてそこらへ放り投げる。
血が、どばどばと溢れる。
まともな状態では、ない。
「チッ………あのキンパツオンナ、全くきやしねェで。
ここも無駄骨じゃねェか」
男はイライラとした様子で、あれだけ暴れて、傷だらけにも関わらず未だ収まりつかぬといった様子。
下手に刺激すれば襲われかねない。
そう思うかもしれないだろう。
■『マーレ』 >
「あー……なるほど、なるほど。
ところで、聞きたいのだが……君の探し人、とやらはこんなところに来るような輩、なのかな?」
だとすればだいぶ尋常ではない探し人である
いや、人間であるかすら疑わしい
この怪物に似合いの探し人、ともいえるが……
「それにしても、だいぶひどい怪我のようだが、大丈夫なのか?」
怪我しても治る、みたいな連中は掃いて捨てるほどいる
彼もその類の人物であるなら問題ないのだが……
「うん? キンパツオンナ?」
はて、それが探している人物なのか
■F.U.R.Y >
「メシ食って寝りゃ大体は…治らァ。
ま、ハラワタは詰め直さねェとだが……どうにかなんだろ」
元より人間とはかなりかけ離れてきたからだ。
常識など殆ど通用もしなくなっているのだろう。
人にとって致命傷であれど、男にとってはそうではないらしい。
それでも、それなりにダメージはあるようだが。
「さァな。
生憎名前も、何処にいんのかも知りャしねェ。
『落第街の闇に問いかけてみろ』っつわれたんでな……思いつくトコ虱潰しにしてただけだ。
‥‥ンだよ、テメェ心当たりでもあんのか?」
■『マーレ』 >
「……」
一瞬考える
手元の手帳を眺める
……ああ
「少し訪ねたい。
此処は、すでに落第街ではないのだが……それは理解しているか?」
とりあえず、根本的なことは確認しておこう
「……まあ、とはいえ。
正解したのは、確かか……」
ぽそり、とつぶやく
「……問おう、F.U.R.Y。
君は、常世の……落第街の闇に、何を望む?」
■F.U.R.Y >
「ァ? 似たようなモンだろ……」
街、という訳ではないが、常世島が匙を投げた場所に変わりはない。
なら、落第街のようなものというのが、男の認識だった。
勿論、人が住んでいないのだから落第”街”では確実に、ないのだが。
「ァ……?」
そして相手の女の言葉に、少し小首をかしげる。
何で俺の通り名を…というのは、まぁ置いておく。
多少暴れた。名前を知っている奴がいてもおかしくはねェ。
それより、正解って何だ…?
「……ま、いィか。
何もクソもねェよ。
クソ面倒くせェモンやらる羽目になって、ツテで使えそうなキンパツオンナに話があるだけだ。
だから強いて言ャ……俺が望んでんのはキンパツオンナだ」
■『マーレ』 >
さて、どう説明したものか。
彼を信用しないわけでもないが、出来れば能力については伏せておきたい。
となれば……
「私は、君の言うキンパツオンナの代理人だ。
たまたまではあるが、こうして君に会うことができた。
正しく、闇は君に応えるだろう。
ただ……なんでも、というわけにはいかない。」
裏切りの黒では関わりきれない案件であれば、あくまでソレイユ個人の裁量の範囲にしかならない。
できることとできないこと、其処ははっきりさせておく必要がある。
「クソめんどくさい、と君は言うが。
ツテであるキンパツオンナに、君は何を頼むつもりだ?
彼女の代わりに、私が聞こう」
■F.U.R.Y >
「代理人だァ…?」
てことは、最初の声が聞こえたのか?
まァ、デカい声で呼んだからな。
しかしなんでも、か……
ま、そりゃそうだ。
俺だって二つ返事で頼まれてくれるなんざ思っちゃいねェ。
キンパツオンナ以外にツテがねェから、仕方なしだ。
「…まァいいか、なら伝えとけや。
……違法部活のたまり場だった場所の一つに、スラムからの難民が今避難してやがる。
が……行き場を喪った雑魚共だ。
訳あって面倒見てるが自分の身ィ護る力もねェ。
俺も俺で、そんな雑魚共に構ってる暇はねェ上……さんざ暴れて色んなトコに目ェつけられてる。
長居しても面倒事引き寄せるだけだ。
…だから”替わり”を探してんだよ。
そこそこ強くてマシな奴のな。
俺にゃキンパツオンナ位しかそんなアテがねェ。だからまずソイツに声かけててみるかってな」
風紀委員のクソ共が散々暴れたせいで、スラムを生き延びた人間も場所を追いやられている。
暴れた張本人…カミシロリオはコーアンだかなんだかにぶちのめされたらしィが、まだ戻れねェ奴らは大勢いやがる。
そいつらを守る義理なんざねェが……偶然助けた形になっちまったせいでそのままほっとく訳にもいかねェ。
せめてものケジメだけはつけときてェ。
そんだけの事だった。
■『マーレ』 >
男の語る一部始終を黙って聞く
「……なるほど」
怒りに任せて暴れているようで、どこか冷静さもある
馬鹿ではあるが、真に馬鹿ではない
「面倒だ、といいながらその実、彼らにできるだけ害のないように。
そして、できるだけ良いように……
そう、考えているのだな。
優しいことだ」
そう、評価する
「つまり、君の望みは……難民を守ること、といった辺りでいいかな。
彼らがひとまず自力でどうにかできるまでの間の」
確認をする
そうであれば、『組織』としては動けない
■F.U.R.Y >
「優しかねェ。
単純に首突っ込んだケジメはつけてェってだけだ。
そこんところ間違えんじゃねェよバカが」
成り行きであれ、自分が命を救った奴ら。
その責任程度は背負うというだけの話。
バケモノになっていようと、人間であった時の道理は通す。
それは決めているというだけの事。
「だがま……だいたいそんなモンだ。
キンパツオンナじゃなくてもいい。ツテがあんならソイツを紹介するだけでもいい。
オレがアイツに話あんのはそんだけだ。
他はねェし……対価が必要だっつゥならハナシは聞くつもりだぜ」
■『マーレ』 >
「首を突っ込んだ時点ですでに優しさなのだがな……まあ、其処は論じても意味はないだろう。
些事だ。」
薄く笑う。
今は其処は問題ではない
むしろ、頼みの内容。
『組織』は慈善事業ではない
まして、不特定多数の人間をわざわざ拾い上げるような余裕があるわけもない
故に、受けられるはずのない話
だから
「…ふむ、いいだろう。その話、請け負った。」
自分の裁量で可能な範囲で、の話ではあるが
しかし
「と、言いたいところだが。そうだな。
対価、というわけでもないが一つ聞かせてもらおう。
君は、ソレを預けて……その後、どうするつもりだ?」
■F.U.R.Y >
「…なんでお前が了解してんだ?」
小首をかしげた。
「ま、いィや……
別に、何もしねェよ。
元に戻るだけだ。
気に入らねェヤツをぶちのめす。
ま……時たま様子見に行くかもしれねェがな。
だがいねェ方がマシな人間に変わりやしねェ。
下手に近づく気もねェ」
俺はただの厄介者だ。
近づいて得する奴なんて、いねェ。
だから、元に戻る。
バカみてェにハバ効かせる風紀のクソ共も、ムカつく真似するバカみてェな違法部活のクソ共も。
気に入らねェ真似をするなら、ブッ潰す。
それだけ。
「必要だっつゥなら手貸すがな。
あのキンパツオンナにゃ借りが二つ出来る事になりやがる。
業腹だがな」
ケッと舌打ちをする。
借りを作るのは好きじゃねェ。
何より、借りを遺すのは気に入らねェ。
他人がどうだろうと、自分は借りっぱなしはガマンならねェ。
■『マーレ』 >
「言っただろう?私は彼女の代理人だ。
私の判断は彼女の判断であり、彼女の決定は私の決定といえる。」
実際のところ、同一人物であるから当然ではあるのだが
其処は別に説明する必要もなかろう。
「元に、ね……なるほど。
しかし、F.U.R.Y。
君は、今もそうだが……どうにも無茶をする癖があるようだ。」
今後のこと
落第街のこと
それらを考えれば、この人物が無茶に暴れまわるのはあまり良くない
「時として、羽を休めるといい。
彼女は話し相手くらいにはなるし、多少の面倒は見れるだろう。」
楔くらいは打ち込んでおくことにする
本当に刺さるかは、また別の話だろうが
「ああ、そうだ。彼女の名前は……ソレイユ。
覚えておくかどうかは、まあ君に任せよう」
■F.U.R.Y >
「そういうモンか? ま…いいか。
……羽を、ね」
怒りで動く自分が、人並みに休む?
笑いが出るような話だ。
気にいらねェもんは、気に入らねェ。
例え無茶で死のうと、俺が俺で或る限り……それは変わる事はないだろう。
……とはいえ。
「片隅にゃ置いてやる」
外道に堕ちる気は、ない。
クソ野郎どもなら兎も角、キンパツオンナの代理っつゥこの女の言葉を無視する気も、ない。
しかし、ソレイユか……
最初に名前聞いておきゃ、こんな面倒くさい真似しねェで済んだかもしんなかったが。
ま……んなたられば、何の意味もねェ。
「ハナシは仕舞いだ。
襲われねェうちにさっさと帰りやがれ。
テメェが死なれたら”ソレイユ”への伝言もパァだからな。
……俺ァ、少し……寝る」
鎧共の骸の上に、倒れ込み。
流石に話し込みすぎた。
血も減ったし…何より怒りが随分と収まっちまった。
力が弱くなりゃ回復力も落ちやがる。
全く……めんどくせェ体だ。
■『マーレ』 >
「そうだ。少なくとも、今のままでは何処かで野垂れ死ぬか。
さもなくば、何もかも巻き込んでの自爆か。
どちらにしてもろくなことにはならないだろう。覚えておいてくれれば十分だ」
簡単に済むような人物でもないのはわかっている。
認識させておくだけで十分だ
それはそれとして
「……いくら治るからと言って、こんな怪物跋扈する洞穴で寝てたら
君も引っ張られるだろうに……やれやれ」
早速やらかそうとしている
まったく、困ったものだ
「仕方ない。
せめて、もう少しマシなところに連れて行くくらいはしてやろう」
寝落ちるのであれば、彼を抱えようとするだろう
■F.U.R.Y >
起きる気配はない。
平然としていたが、それだけの重傷だった事に変わりはないのだ。
普通の人間であれば死んでいてもおかしくもなんともない傷。
それでも死ぬような様子が微塵もなく、出血も既に止まっている。
異常なまでの生命力だ。
結局男は、何時間も目覚める事はない。
彼女に運ばれた事も知らず、そのまま…眠りこけるだろう。
ご案内:「黄泉の穴」からF.U.R.Yさんが去りました。
ご案内:「黄泉の穴」から『マーレ』さんが去りました。