2022/10/08 のログ
ご案内:「黄泉の穴」に『鎖蛇』さんが現れました。
『鎖蛇』 > 黄泉の穴――島でも有数の危険地帯と名高い、かつてのとある組織が招いた災厄――の、失敗の痕跡。
その組織がかつて手中に収めていたアーティファクトや魔導書持やら、穴の内部には数多く眠ったまま。
それを求める者は後を断たないが、首尾よくお宝を手に入れて…否、五体満足で帰還出来る者は稀少か。

――そんな穴の中から、不意に天を突き破るような勢いで銀に煌く鎖が5本。
真っ直ぐ上に伸びるソレは不意に弧を描くような軌道で今度は地面へと落下。
先端が鋭いフックのようになったそれが、思い切り地面に獣の爪の如く突き立てられて。

「――――っ…!!!」

声にならぬ声を何やら仮面の奥で漏らしつつ、空に放たれる勢いで飛び出して来る黒ずくめ。

「『…何とか戻ってこれた…!!ほんっとうに”相変わらず”洒落にならんな此処は…!!』」

仮面の奥から漏れる声は、何処か不自然だ…合成音、ボイスチェンジャーの類。
そのまま、器用に鎖を操って地面へと転がるように着地する。
左手には魔術的防護も施された小型のリュック。中身はついさっき手に入れたお宝が幾つか。

『鎖蛇』 > 穴に潜ったのはいいが、結局表層から少し潜った辺りが今の自分の限界らしい。
お宝を幾つか手に入れたといっても、他のここに侵入できる手練れのお零れか取り残し。
ハイエナじみてるよなぁ、と自嘲気味に仮面の奥でくぐもった笑みを零しつつ一息ついて起き上がる。

「『さて、撤収――…って訳にはいかないよなぁ、すんなりとは』」

鎖を手元に引き戻しながら歩き出そうとした矢先、周囲を囲む赤黒い影に気付いて仮面から覗く片目を細めた。

(『死の気配』はそこまで濃くは無いけど、怪異の類だから油断は出来んし…)

心中で呟けば、右目を見開く、アース・アイと呼ばれる類の色彩の瞳。
海と大地を瞳の中に閉じ込めたようなソレが、更に幾何学的な模様を生み出す。

「『…いや、怪異の類って殺意とか死の気配が複雑なんだよな本当に…何だこの”景色”は。』」

新手の前衛芸術の絵画じみた、言葉で表すのが困難な光景が視界に映っている。
こういうのが煩わしいから、普段は極力目をはっきり開かないようにしているのだが。

『鎖蛇』 > ところで、如何にも怪しいけどちょっと没個性なこの格好は何だと思う?
…そう、自分の”黒歴史”だ。若気の至りというやつである。
こういう活動には丁度良いので、活用しているが冷静に考えると昔の自分のコスプレしてるみたいだこれ。

「『…取り合えず見逃しては…くれないよなぁ、やっぱ。
こっちも弱いなりに必死こいてやっとお宝幾つかゲットしたんだけど。』」

よっこらせ、と左肩に引っ掛けるようにお宝を詰めたリュックを背負って。
右手は袖口から先程の銀色の鎖が5本、まるで蛇が鎌首を擡げるような動きをしていて。

(『ま、逃げるの最優先でお宝は出来るだけ死守と。怪異は雑魚クラスでもどう化けるか分からんし』)

そもそも、まともに相対しても勝てる自信は無い。欠片も無い!
昔のちょっとイキってた頃の自分なら殲滅くらいは出来たかもしれないが、昔は昔、今は今だ。

ご案内:「黄泉の穴」にエボルバーさんが現れました。
エボルバー > >怪異を検知


誘われる、ソレは異形が闊歩する黄泉の穴へ。
誘われる、ソレは未知の存在へ。

この黄泉の穴周辺に砂粒を転がすようなざわめく音が唐突に鳴り始める。
それは、耳を澄ませてようやく聞こえる程の大きさから
やがて人間の不安を煽るのに十分な程へ。

間もなく塗り潰した様に真っ黒な砂状の物体がけたたましい勢いで
広がってくる。
それは、一人の人間と赤黒い影を取り囲むように広がり、
まずは、黄泉から這い出た赤黒い影を上書きするように覆いつくしてゆく。
まるでその怪異を喰い尽くすように。

『鎖蛇』 > 「『……!!あ、何かやべぇ予感がそれとなくするな…。』」

これ以上、異能の解像度を上げると自分の目が流血沙汰になりかねないので、現状維持。
自分やそれを取り囲む赤黒い無数の影を含めた、黄泉の穴を覆うようなざわめきが耳に響く。

(『もしかしなくても、ヤバいのとバッティングしちまった可能性はあるよなぁ、これ…。』)

経験上、多分だがロクな事にならない。あと、確実に俺は巻き添えを食らうだろう。
半ばそれが読める辺りが悲しい…右目の視界に映る真っ黒な砂じみた物体を眺める。

「『…って、おいおい…マジですか…?』)

赤黒い異形の影共が、その砂上の物体に触れた瞬間、何かに上書きされるように食い尽くされていく。
それは瞬く間に周囲の影を跡形も無く捕食していくだろう。

さて、この隙に逃げられるかどうか…いや、周囲を取り囲まれているので自分からアレに突っ込む勇気は無い。
最悪、穴の中にまた飛び込んだ方が逆にマシだったりしないだろうか?

(『…そもそも、あんなのに勝てる気も逃げ切れる自信もねーけどな。何だアレ』)

”無機質な”死の気配とか初めて見た。まるで機械みたいだ。