2021/01/09 のログ
ご案内:「産業区/農業区」にリタ・ラルケさんが現れました。
リタ・ラルケ >  
 農業区の一角、目立たない、隅っこの隅っこ。
 普通の生徒どころか、農業系の部活のひとたちだって、あまり使っていないような場所に、わたしは来ています。

「えへ……今日は晴れててよかった……」

 外は快晴、まだ少し肌寒いとはいえ、風がなければそれなりに暖かいような日です。
 今日はここで、あることに向けてちょっとした準備というか。とにかく、やることがあるのです。
 農業系の部活のひと、ごめんなさい。ちょっとだけ、土を借りちゃいます。終わったらちゃんと後始末しますから。

リタ・ラルケ >  
 必要なもの
・雲一つない青空
 → 絶好の天気です。
・活発な精霊たち
 → さすがに農業区というだけあって、活発です。
・ふかふかの土
 → ちょっとだけ借りちゃいます。終わったらちゃんと整えておくこと。
・大量の魔力
 → 十分ありますが、足りなくなる可能性あり。その時は都度補給。
・(あれば)苗木か種
 → 買っておきました。

 準備は整いました。お日さまのおかげで、魔力は万全。あらかじめ買っておいた木の苗を、3メートルほどの間隔を空けながら植えていきます。
 これが結構重労働なのです。普段は寮のお部屋でお花なんかを育てていますが、やっぱり木ともなると植えるための穴も大きく深く掘らなければいけません。
 植えるだけでも、なかなかの体力を使います。何せ道具は部屋にあった、小さなスコップ1本だけ。ちゃんとしたものを使えればいいのですが、このためだけに買うのもなんだか憚られるので。

リタ・ラルケ >  
「……よし、これでいい、かな……?」

 用意した3つの苗木を植え切って、一息。既にそれなりに疲れてしまいましたが、これからが本番。
 この苗木さんたちに、魔力を注ぎ込みます。

「……――」

 何をするかと言えば――早い話、魔力を用いてこの苗木さんたちを一気に成長させてしまうのです。
 自然の摂理に反した育て方なので、あまり好きな育て方ではないのですが――今回だけはちょっと、早く用意したいのです。

「――はぁっ……」

 木の高さがおおよそ1メートルとなったくらいで、一度中断。
 急速に育てるためには、やはりそれなりに魔力が必要。たった3本でも、わたしの魔力はあっという間に枯渇してしまいました。

「……休憩、しなきゃ……ふぁ……」

 小さくあくびをして、一度その場から離れます。それから、日当たりのいい場所を見つけて、ぱたりと寝転んで。
 それから数分もすれば、うとうととまどろみ始めます。

リタ・ラルケ >  
「……んっ……ふぁぅ……」

 それから少し経って、目が覚めます。
 体の疲れはすっかり良くなっていて、魔力も十分。"木"の精霊さんを纏繞している状態だと、光合成のようなことをして魔力を回復できるのです。
 ちなみに、身体的な疲れや外傷なんかも同じように回復できたりするので、結構便利なのです。

「……んっ。つづき、しなきゃ」

 さっきと同じように、苗木に魔力を注ぎ込みます。すくすくと、急速に成長していって――花が咲いたところで、またわたしの魔力が枯渇してしまいます。
 でも、結構育ちました。あと一回くらいでだいじょうぶ、かな?

「もう一度、休憩……」

 再び日当たりのいい場所でお昼寝タイム。あと少し、がんばらなきゃ。

リタ・ラルケ >  
「……んーっ……」

 また少し経って、回復したところで目を覚まします。
 木は、さっきのでかなり育ってくれました。あと一回。

「……がんばれ、わたし」

 自分を励まして、木に魔力を注ぎ込みます。
 育って、育って――木に、いくつも実がついて。それがどんどん、色づいていきます。

「……できた! あとちょっと……」

 ここまでくれば、終わりが見えてきます。
 あとちょっとだけ魔力を注いで、木になった実を熟していきます。

リタ・ラルケ >  
「……これだけ熟せば、だいじょうぶかな……?」

 木に成った実は、すっかり収穫に適したくらいに育ちました。本来なら、ここまで数年はかかるのですが、魔力を注いでそれを数時間に圧縮したのです。
 ごめんなさい、苗木さん。ゆっくり育ちたかったよね。

 今回育てた木は三つ。りんごと、みかんと、それからラ・フランス。どれも冬に育つ木です。
 一つ一つ、木に成った実を収穫していきます。時折背伸びしながら、成った実を取り残さないように。
 特殊な育て方でしたが――収穫できた数は結構多くて、用意していた袋に入りきらないくらい。
 ……頑張ってくれたんだね。ありがとう、苗木さん。
 りんごの木に背中を預けて、ぺたんと座り込み。袋に入りきらなかったりんごを、一つだけかじります。

「……えへへ、おいしい……」

 自分で育てた――何度もいいますが、かなり特殊なやり方で――りんごは、甘酸っぱくて、おいしいです。 

リタ・ラルケ >  
「……うん、これで大丈夫、かな?」

 あれから、役割を終えた苗木さんたちを処理して、魔力を注いで土に還して――これにも魔力をかなり使うので、一回また休憩しています――。わたしが使ったところの土壌の環境も、ちゃんと整えました。
 これで、全部おしまい。

「……ありがとうございます、苗木さん。それと、わたしのために頑張ってくれた精霊さんと、栄養をわけてくれた土さんも」

 頭を下げて、丁寧にお礼をします。
 五つ数えて――頭を上げて。それからまっさらになった土地をもう一度眺めて、帰り支度。

「……うん、あとは、お部屋で追熟させて……それで、大丈夫そうかな」

 収穫した実のことを考えながら、帰り支度は終わって。来た時よりも幾分か重くなった荷物を抱えて、わたしはその場を後にします。
 追熟が、だいたい一週間弱。そうしたら……えへへ、楽しみです……。

ご案内:「産業区/農業区」からリタ・ラルケさんが去りました。