2019/05/13 のログ
■アガサ > 「わあ、ありがとうございます!薬じゃあないのは、ええ、はい。勿論」
小鳥遊先生の注意喚起も何のその。
彼が二つ返事でお茶を用意してくれることに、私は手をぱしんと合わせて歓声を上げる。
これがもし、私の成績が宜しく無かったりしたら、こうはならなかったかもしれないのだから、
疎かにしなかった自分に拍手を送りたい気分になった。
「紅茶と一緒なんですね。じゃあミルクとか入れてもよさそう……いえ、優しいとかそんな。
ただ……ちょっと、私の所為でその子を困らせてしまったりしたから」
凡そ男性の手とは思えない、こういうのを白魚のような手と言うのかな?と思わせる手に包まれて私は少し、言葉に困る。
小鳥遊先生が残念そうな顔をするなら猶更。
「困らせて、それでその子に助けられたから、今度は私が助けになれたらいいなって思うんです。
このお茶、美味しかったですし、きっと十分に助けになってくれますよう。ですから、そんな顔をなさらないでください。
個人的には、ひより先生の綺麗な恰好も見れましたし?」
だから私はわざと、他の生徒が彼を呼ぶ時のような呼び方をして唇を愉快そうに歪ませもして席を立って頭を垂れる。
するとやっぱり、何某かの花のような良い香りがして──何処からかカップ焼きそばのソースの香りもした。
「……あと、やきそば、大丈夫です?」
かたり、と首が電池切れの人形にように傾いだ。
■小鳥遊 日和 > うん、きっと君なら大丈夫。先生に相談ができるような生徒は、
間違えた使い方をしないって思います。
(力強くうなずく。 だって、こうして自分の意見をもって相談しに来る生徒だもの。
なにか悪い使い方をしたら…きちんと諭すだけだ。
彼女を信じる瞳に、一片の疑いもなかった。)
ええ、紅茶と同じでよいです! 香りを活かすならそのままだけど、
やはり飲みやすさや心地よさがあるし…。
(彼女の提案に明るい表情で何度もうなずく。
励ますように、ほんの少しだけ手に力を込めた。)
うん…。その気持があれば、絶対喜んでもらえると思います。
先生が保証しますよ! 大船に乗った気持ちでその子に会って、
一緒にお茶を飲んで…いっぱい話をしてあげてください。
…もう、すぐそういうことする…。
(彼女を応援したところで、照れ隠しなのだろう、自分の名前をわざと誤読する彼女。
頬を膨らませてぷい、とそっぽを向いてあげるのが、彼女の照れ隠しに対する礼儀だ。
きっと彼女も友達のことが心配なのだろうし、不安もあるのだろう。)
ひよりだと完全に女の子の…。 あっ、はい? 焼きそば…。
(彼女の視線を追う。 お湯切りが終わった焼きそばが、もはや己の役目は終わったとばかりに
冷たく固くなっていた。 穏やかな表情になると、そっとうなずく。)
大丈夫、あれはフライパンで炒めれば食べられます! 先生、そういう食べ物の有効利用はプロですよ!
(誇らしげな表情で宣言した。 実際、独身力ゆえに一人でご飯を作って食べているのである。
カレーとか、シチューとか、煮込みとか。 その過程で生まれた食材再利用術には自信があった。)
■アガサ > 「ありがとうございます。期待に添えるように努めないと怒られてしまいますね」
薬茶の使い方も、親友との関係も。
私は両方に頷いて、次にはそっぽを向く小鳥遊先生の、その判り易い様子に吹き出しそうになってしまう。
でも吹き出さず、代わりに指を伸ばして、その風船のように膨らんだ彼の頬をつつき、
ぶしゅーっと排気して差し上げようと思ったからそうするんです。ぶしゅー。
「わあ、ひより君は料理も上手なんだねえ!。……なんて、言うとちょっと気易すぎますね。
今日はありがとうございました。こうしてお話した事でなんだか少し、色々な事が上手く行くような気がしてきました」
それからのこと。
やきそばの末路?未来?はきっと安泰で、それに自分を重ねる、なんてことは流石にしないけれど、
小鳥遊先生のコミカルな所作であるとか言葉には不思議と前向きになれる気がした。
根拠や憑拠は何処にも無く、恰も真正の魔法のようで私の鼻が愉快げに鳴りもする。
「それじゃあ先生、また明日学校で。……衣装も楽しみにしてますね!」
瓶を落とさないように抱えて研究室を後にして。
けれども去り際に余計な一言を置き去りにして。
私は鼻歌交じりに帰路へ着くのでした。
■小鳥遊 日和 > んおお……。
(ほっぺたを突かれると、ぷすー、と空気が漏れた。
これで手打ちということだと思う。多分。)
…生徒さんは概ね年下のはずなんですけど、こう…。
ひよりくんって呼ばれると、おじさんとしてはものすごい複雑な感情に囚われますね。
(同級生なのか、年下なのか。 子供のような扱いは、いろんな意味で
おじさんのアイデンティティが揺らぐのだ。 人として!)
間違えたからといって怒ったりなんてしません。
大事なのは何を成し遂げたか、です。
それまでに間違えることも、道を見失うこともあるでしょうけれどもね。
(彼女が少し明るくなったのを見て、力強くうなずいてみせる。)
ええ、それじゃあ、また明日学校でお会いしましょう。
衣装も…ええ、ちゃんと考えておきます…。
(再びエプロンドレスの裾を摘んで、恭しく頭を垂れるカーテシーのかまえ。
彼女が元気よく去っていったのを見届けてから、冷えたカップ焼きそばに
手をつけるのでした。まだたべられる。)
ご案内:「研究施設群:異界蘚苔学研究室」からアガサさんが去りました。
ご案内:「研究施設群:異界蘚苔学研究室」から小鳥遊 日和さんが去りました。