2019/02/11 のログ
■伊従のどか > 深夜の訓練所に木霊する破裂音。
その破裂音も撃ち出されているモノも、魔術で再現されたもので実際に聞きなれている人が聞けば違いは判るだろうが。
そんな情報は、のどかには現状必要は無く。
ただ向かってくる銃弾を防ぐために体を低くして走り、障害物の影へ転がり込む。
「あいたっ、背中ぶつけた……。
もー、実弾じゃなくてもこわいっつーの!
アンサラー、システム状況!」
『戦闘モード起動済み。
状況インストール済み』
「よっし、アシストよろ!」
『10m以内に2人。
20m以内に5人』
■伊従のどか > 「右10m以内!」
『1人』
「了解!
おりゃりゃりゃ!!」
障害物から頭を出し、容赦なく引き金を引いていく。
撃ち出される銃弾は何発か外れつつも、影の首へと吸い込まれていく。
「データ更新!
右10mクリア!」
『データ更新。
右10mクリア。
2mまで近づいた際に再度警告』
「次、左10m以内!」
■伊従のどか > そんな、システムと一人のやりとりが深夜に木霊する。
そして30分後。
外界と隔たりを作っていた魔術の空間から、ドアを開けてのどかが出てくる。
その姿は汗でぐっしょりと濡れており、ブレザーも腰に巻いて、リボンも取って胸元も全開にした状態で。
「はー……っ、はー……っ。
ア、アンサラー。
戦闘クリア。
システム、シャットダウン……」
『戦闘モード解除
システムシャットダウン。
のどか、生き残ったようで何よりです』
その声を最後に、デバイスからは明かりが消える。
それを見届けると、のどかは床に倒れこむ。
■伊従のどか > うつ伏せのまま、火照っている体を冷まそうと全身を地面にぴったりくっつける。
だらだらと流れ出る汗は手でぬぐいつつ、先ほどの戦闘を振り返る。
(最初はよかった。
相手も拳銃だからなんとかできた。
最後の方は弾がないのと、アサルトライフルの制圧力でどうにもならなくなった……)
結局狭い部屋を逃げ回り、敵を肉壁にしつつ全速力で脱出を試みた。
が、ものの見事にハチの巣にされ、模擬戦闘は終了した。
ドアから出てきた際にAIが「生き残った」といったが、実際のところは死んでいたのだ。
「せ、背中いたぁい……」
■伊従のどか > ぐるり、とうつ伏せから仰向けへとなおる。
そろそろ汗も引いてきたころか。
むしろ、寒くなってきたとさえいえる。
「うっ、さぶ……。
ひと汗かいたし、シャワーでも……いや、お家でお風呂、かなぁ」
ボタンを閉じ、腰に巻いたブレザーを着込む。
■伊従のどか > 「よしっ」
汗も引いた。
体も冷え切った。
体は汗でべとべと。
ではやることは一つ。
「おっふろ、おっふろ!」
その場を飛び跳ねるように立ち上がり、訓練場を出ていく。
ご案内:「訓練施設」から伊従のどかさんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に天導 シオンさんが現れました。
■天導 シオン > 「うん、準備よし。便利だなぁ、こんな施設があるなんて」
訓練所で暫くガサガサと施設の用具を弄り回す。
説明書の内容をそれなりに記憶して、最初はぎこちながったが、同じ用具を設置するだけなので、次第に鼻唄を交えるくらいには順調に作業を進めていた。
手を止めて、自身で出来を眺めれば、無造作に置かれているのはバルーンボール。これに細工を施し、試しに一つ作動すれば、ふわりと浮き、変則的に動き出す的が出来上がる。
■天導 シオン > 試しにそれを視線だけで追って、自身に迫るタイミングでしゅるりと拳が伸びる。それはまるで鞭の如くしなやかで、直撃時に鋭い打撃を生み出す。
しかし、それだけではこのボールはびくともしない。ずぶっと深くまで食い込んではいるが、減速することもなくこちらへ進み、その弾力で拳を跳ね飛ばし、身体ごと押し飛ばした。
「材質もベスト。これは面白くなってきたぞ!」
ごろごろと後ろに二転三転。しかし後転の反動に合わせて態勢を立て直せば、満足そうに頷いて一旦作動を停止させた。
■天導 シオン > 「では、動かしますか…。全部纏めてね!」
張り切った声色でそう宣言すれば、無造作に置かれたボールが纏めて動き出し、四方八方を飛び回る。互いに接触すればお互い反発し合って、また不定期に別の方向で移動を始める。
早速その一つが自身の方へと迫りくれば
「さて、破裂するかな?」
と先ほどと同じく突きを見舞うが、先程と違ってボールに異変が生じる。
衝撃を吸収したかと思いきや、激しく揺れて形状を維持が出来ていない。まるで攻撃を通して何かを送り込まれたかの様に…。
球は内側から激しく蠢くような変化を見せた後、ばちんとゴムの破裂に酷似した音と共に弾けてしまった。
■天導 シオン > これこそ彼女の唯一得意としている魔術の一つ。自身では気功術とでも呼んで、武術の技法のひとつだと捉えているが、先程のボールに叩き込んだ物は間違いなく魔力である。
「スピードアップ!まどろっこしいからどんと来い」
そう言えば気が乗ってきた。
自らまた一つの球体に距離を詰めれば、どしりと腰から下は体重を落とし、コンパクトながら体重を乗せたストレートをボールに叩き込む。
先程は容易に弾き返されたが、今回は踏ん張りが利くように体重を乗せている為にびくともしない。押し負けたボールはその質量を十分に含んで弾丸の如く飛翔し、他のボールとぶつかり合えば、それはまるでビリヤード球のようにお互いが打ち付けられ、加速を始めた。
■天導 シオン > そして、受け身の態勢を崩してボールの軌道を確認すれば、軽いフットワークで自ら仕掛けるように構えを切り替える。
後ろ足を蹴ってスライドするかの如く接近する縮地の技法。突進するように前方へと詰めて、前に突き出しただけの掌底に乗せられた気功。先程のボールと同じように追い詰められた対象は儚く散った。
反射を続けて自身の左側頭から迫る三つ目のボールが出てくれば、再び腰を落として柔から豪へと切り替わる構え。
押し込むような左腕からの裏拳で衝撃を相殺して速度を失った一瞬を突いて、右の拳による迎撃。三つ目もたちまち消滅した。
■天導 シオン > 不意な挟撃など対応しきれぬ物は、身体を捻って全体で流す体捌きで機会を伺い、好機が訪れれば逃すことなく攻め手へと移る。
量が量で、長期戦を想定した訓練の為、シンプルながら尋常じゃない集中力と判断力が試される。持久力は、…自慢だから特に苦ではないのだが。
判断を誤りボールの体当たりを受ければ、そのダメージを最小限にする事だけを考え、身体をスリップさせて直撃を避ける。そして受け身から迅速に構えに移り、いつでも攻撃に派生出来るように備えている。
「さて、仕上げっと!」
動き続けてどれほどの時間が経ったのだろうか、気付けばボールは最後の一つだけとなり、加速も落ち着いてふよふよと緩やかに動いているだけだった。
鈍い動きにこちらから歩み寄れば、高く振り上げた拳を地に叩き付ける勢いで豪快に振り下ろした。
能力無し、純粋な力業である。拳と地面に挟まれたボールは押し上げようにも、体重を十分に乗せた一撃から二分割なりそうな程に湾曲しており、最後の一息でぐっと拳を押し込めば空気が漏れ始め、小さく萎んでしまった。
■天導 シオン > 取り残しがないか十分に確認した後、ふうっと構えを解いて
集中の糸が切れたか、ぐぐっと天高く腕を上げて伸ばした。
今日の訓練はこれで終了とする。
「うわ。えぇー…めんどくさ…」
出ようと出口に手を添えて再度訓練場を見渡せば、割れて木っ端微塵になったバルーンボールの残骸が。
散らかした物は片づける。当然のルールだが、やる気を全て割いた彼女にはこれが普段の数十倍しんどく感じた。
機敏な訓練中の動きとは一変し、残骸を広い集めて処理をする彼女の姿は怠惰そのものだった。
ご案内:「訓練施設」から天導 シオンさんが去りました。