2019/03/30 のログ
ギルゲイオス > 「どちらかと言えば、久しぶりに暴れたいだけであるがな。そういう事にしておこう。
――ではゆくぞ、代理詠唱起動」

(口端を上げて宣言すれば、本の周囲、その空間が微かに揺らめいて。
『アイロ・セインヴァー』『イン・ヴェン』『アノレージア』『レイヴン』 肉体防御力上昇。魔力障壁展開。物理障壁展開。戦闘飛翔。
ゴリゴリに強化を魔王様へと積み重ねてゆく。本来は魔術を研究する魔術書なのだが、自身の術を記入する事により代理で術式を構成させている。流石に魔力消費は魔王様持ちだが)

「ほほぅ、魔王ですら下僕がまだ一冊しかいないと言うのに、小癪な。
しかし、個人でこれだけ火力を実現するというのは、中々に侮れぬ」

(相手の周囲で砲撃のきらめきが見えると同時、一気に高度を上げる。
照準を逸らすように高速の螺旋機動を描きながら、頂点で一気に反転。
砲弾の一つ一つ、障壁に触れて爆炎を散らし、空を彩って。
ただ、呟く声にはまだそれほど緊迫した様子はない。どちらかと言えば、感心したような声音だろうか
所々煙で煤けてはいるもの、貫通してはいないようだ)

「負けてられぬなぁ。
喰らい尽くせ、暗黒の御子。ベーヘーリッド」

(対して此方の攻撃は、静かな立ち上がりだった。
飛翔の軌跡にそって無数と生み出されてゆくのは、こぶし大程の黒い球体。照りも返しもなく、光を丸々と吸い取っているよう。
滞空していた黒丸が、相手のいる場所だけを除いて降り注ぐ。動体視力がよければ、目で追える程度の速度で。
触れた先は建物だろうと、兵器だろうと、接触した場所から球体の形にえぐり取られてゆく。流石に、施設の壁へと到達する前に消滅はさせているようだが。凶暴な虫食いにでも襲われたかのような景色が広がってゆく。
物理防御力貫通、相当な硬度をもった物質でも完全に防ぐのは難しい。遮るには、魔力や魔術の類に対しての耐久性や障壁の類が必要に、なるようだ。
そして、それが殺到するのは相手が呼び出した『ナニカ』に対しても、同じだった)

神代理央 > 「…そんな理由で挑まれる此方の立場にもなって欲しいんだが…。戦闘は苦手なんだ。この通り、フィジカルも貧弱でね」

小さく肩を竦めて彼の言葉に答えながら、異形達は次々と砲弾を吐き出し続ける。
――が、当たらない。正確には、当たっていても何かしらの障壁で防がれているのだろうか。先程魔術を展開するときに障壁云々と言っていたので、防御系の魔術を発動したのだろう。
そもそも、高速で飛び回る相手に対しては、弾幕を張る程度のものでしか無いのだろうが。

「…消滅系の魔術か。全く、此の島の連中はやたらと戦闘能力が高い事が羨ましい限りだよ。
まあ、愚痴を言っても始まらない、か。魔術展開、肉体強化。………人間の戦争は、常に投射する物量の多い方が勝利していた。一人の勇者では無く、万の軍勢が魔王に挑むというのも乙なモノだろう?」

防御力と運動能力を強化する魔術を――貰い物だが――を雑に発動しつつ、初めてクスリと僅かに笑みを浮かべるだろう。

それは、彼の魔術によってあっさりと消滅していく異形を前にしても同様。元より、金属としての硬度以外に防御耐性等持たない多脚の異形は次々と抉られ、削られ、倒れ伏していく。
空中に静止したまま微動だにしない巨大な球体の異形も同様だが、此方は抉られる度に再生している。それだけで特に彼に害を加える事は無いが。

だが、倒れ伏す異形と同数。いや、それ以上の数が、新たに発動された異能によって召喚される。ただ只管に火力を投射する異形は、その物量で押し潰すモノ。被害を問わず、犠牲を問わず、消滅を恐れず。足を削られ、頭を穿たれ、砲身が消し飛んで尚、彼に放たれる砲弾の勢いは止まらない。
――寧ろ、消滅するよりも増加する速度が増え始め、その火力は増していくだろう。尤も、狙って撃っているという訳ではなく、面で制圧する様な砲撃である為、彼ほどの使い手を仕留められるとは微塵も思ってはいないのだが。

ギルゲイオス > 「ひょっとしてそれはギャグで言っているのであるかな?
あぁなるほど、戦闘ではなく殲滅が得意なのだな」

(真顔にて突っ込みを入れる魔王様。まず、戦闘が苦手なヤツがあんな練習しない。次に、これだけの火力を投射しない。
まともに戦うのが戦闘であれば、とりあえず叩き潰すのが殲滅と解釈して。
そう言う意味では、魔王様も『そちら側』ではあるのだけれど。
数発追加で着弾した辺りで、バリーン、とガラスか何かが割れる音。流石に、代理では耐久性にも限界があるようだ。
再展開の準備を端でしながら、頬をかすめる風圧に牙をむいて見せた)

「魔王が弱くては話にならぬであろう?
しかしなかなか、キリが無さそうであるな。どれだけ潰せばよいのか……一軍位であるかな?」

(地面ギリギリまで到達すれば、片手で撫でて姿勢を制御し。
つま先を使ってターンする間に、張り直した障壁が砲弾を外側へと逸らす)

「くっくっく、確かに此方の世界の技術であれば、数が王を倒す事も、あり得るかもしれぬな。
だがしかし、早々簡単に負けてやることも出来ぬぞ。
代理詠唱!
加えてコチラは、アブトレージッ! オラオラオラオラ、である!!」

(『サルゴファーゴ』 まずは一歩先に、本が構成した魔術が発動する。地面全体が身ぶるいすると、強烈な破砕音と共に鋭利な隆起が視界いっぱいに姿を現し。周囲一帯地表に立つものをかち上げ、貫きに掛かり。
そこへと襲い掛かるは、地表すれすれを滑走する魔王様。前方へは蹴りよりも少し長い位のリーチで、連続的にとめどなく、それこそ巨人か何かが拳を突き出し続けるが如く。
その正体は、圧縮した魔力そのもので。兵器もひしゃげさせ吹き飛ばすような暴威を振りまきながら、隆起した地面さえも撃ち砕いて。噴煙砂塵鉄クズ残骸、まき散らしながら相手の方へと突っ込んでゆく)

神代理央 > 「…結構真面目な悩みなんだがな…。私は、貴様の様に軽やかに空を飛ぶことも出来なければ、多種多様な魔術も行使出来ん。脆弱な人間に過ぎぬよ」

真顔で返される言葉には小さな溜息で応えるのだろう。
縦横無尽に飛び回り、次々と高度な魔術を行使する彼の様な個人での戦闘能力など己は有しない。
極端な話、異能が無ければ肉体強化と自分でも今一理解しきれていない魔術しか行使出来ないのだ。
故に、己の実力を過信しない。眼前の相手は常に強敵であると認識し、あらゆる火力を投射する。

「確かに、魔王が弱くては子供たちの夢が壊れる。魔王が強大でなければ、勇者を目指す意味もないからな。
……流石に、そこまでは展開出来ぬよ。試したことは無いが、こう見えて異能というのも結構疲れるんだ」

砲弾の雨が有効打にならないと判断すれば、その性質は障壁にダメージを与えようとするものに変化する。
彼自身にではなく、纏う障壁に金属の濁流が押し寄せるだろう。しかし――

「…出鱈目な魔力だな。羨ましい限りだ。となれば、此方も駒を温存している余裕は無い、か」

多脚の異形達は、圧縮した魔力に。押し寄せる大地の破片によって次々と無力化されていく。全滅こそしていないものの、少なくとも己の周囲の異形は完全に沈黙しているだろう。
僅かに瞳を細めて戦況を理解すれば、異能を発動して新たな異形を召喚。両腕が巨大な盾に変形した二足歩行の異形が数体現れれば、立ち塞がる壁の様に陣形を組んで、押し寄せる奔流から主を守る。

同時に、上空で沈黙していた球体が煌めく。
僅かな輝きと共に大地に降り注ぐのは、正しく光の雨と形容出来る様なレーザーの照射。
巨大な球体と、それを囲む様に出現した無数の小型の球体から、彼諸共地表を焼き尽くそうとする光線の雨が大地に降り注いだ。

ギルゲイオス > 「まぁ、本気で殺しあうならお主自身を周囲一帯ごと吹き飛ばして終わらせにゆくがな。
魔王も勇者も言ってみれば、個として究極を目指すモノであるからな。隣の芝という言葉もあるだろう、そういう比較だと思っておくのである」

(思いっきり本体狙いにいけば、少なくとも今のように攻撃しまくる、というのは制限も可能だろう。
上手い事届けば、それで勝負を決めることができるかもしれない。無論、人間一人なら軽く仕留めることが出来る威力で魔術を行使している分、そいういう事をする心算はないのだが。
押し寄せる異形にむかって片手を振るい、くるりとターンすれば全方位へと暴力を振りまいて。
とりあえずもう、かたっぱしから叩き潰すとか、そういう意図が見て取れる)

「魔力量も唯人に比べれば多いがな、秘訣はそれだけではないのであるよ」

(鉄クズと化した異形の一つを手で押しのけながら、口元が大きくと弧を描く。
魔力を魔術に変化させ攻撃したとしても、全てが消費される訳ではない。効率100%なんてそう達成できるモノではないのだ。
それを再利用し、自身の魔力として支配下に置く魔族としての力、魔力流転。
此方の世界であれば異能の類も効率が悪いが利用できるらしく、つまり彼が使役した後の残骸も、魔王の力の一部として利用されているようだ)

「さぁて、中々お互い手詰まりであるな。此方は倒し続けるしかなさそうであるが。ふむ、防御?
あんなものを浮かべて喜――……」

(別に彼は技術者ではないとは思うが、余裕があるんだか無いんだか分からない捨て台詞を残して、カッ、と迸った光線の雨に魔王様の姿が掻き消える。
レーザーだから、熱線の部類か。悲鳴や叫び声が聞こえる訳でもなく。とりあえず、照射されている辺りには存在しているようだが。
やがて擬音で表すならポンッという感じで。先ほどより幾分黒く焦げた人型がはじき出される)

「うーむ、物理的な飛翔物ならいくらでも逸らしようがあるのだが。そういうのは、少し、厳しいのであるな……ダーゲイン」

(立て続けのレーザーに障壁を割られまくられ、衣服も一部焼け落ちて。それでも、戦闘続行の余力はありそうだ。
ランダムな回避軌道を描きつつ、全力後退。両手を打ちあわせて広げると、発生し始めるのは真っ黒な霧。
最初は掌サイズだったものが、人よりも大きく、更に更に。二人を巻き込み、施設内を埋めるように広がってゆく。
毒などは含まれていない為、吸っても別に害はない。
しかし、光を由来とするレーザーであれば霧が威力を吸収し減衰させるか……それよりも何よりも、視界や熱源、探知の類が攪乱されて発見し辛くなるほうが、大きな問題だろうか。術者には、関係のない話だが)

神代理央 > 「本気で殺し合うなら、そもそも私は前線には出ぬよ。……と、贅沢を言っていられないのが辛いところだが…」

後半は完全に愚痴である。風紀委員の戦力不足が叫ばれている昨今。本来は後方で異形の指揮に専念する筈の己が、バリバリ前線に赴いている悲哀。

「…ふむ、興味深い。しかし、魔術での戦いは不得手故な。高度な行使者と手合わせするのも良いが…」

と悩んでいる内に、光線の雨から現れた彼の姿。
ダメージを負っているという様には見えないが、多少は警戒してくれた様子。

「……行使できる魔術が多い、というのは本当に羨ましいよ。では、根競べといこうか、魔王サマ?」

施設内に充満する黒霧に警戒する様に瞳を細めつつ、愉し気にゆるりと笑みを描く。少女然とした己の風貌では、状況が違えば様になったかも知れないが、魔術と砲弾、光線の雨霰の此の場所では、戦闘狂にしか見えないかも知れない。

――そうして、互いに持てる力を技を披露しあった一時。
結局彼に有効打を与える事は出来なかったが、強者との戦いそのものが大きな経験となった。
次は、落ち着いて話をしてみたいなと思った矢先。委員会からの出動命令を受けて彼に碌な挨拶を返す間もなく急ぎ立ち去る事になってしまった。
せめて自己紹介くらいはしよう、と再会時の目標を心に決めながら――

ご案内:「訓練施設」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」からギルゲイオスさんが去りました。