2020/06/14 のログ
ご案内:「訓練施設」に水瀬 葵さんが現れました。
ご案内:「訓練施設」から水瀬 葵さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」にエリク・スタンさんが現れました。
エリク・スタン > 訓練施設の中で一人、シャドウボクシングをしているエリク。
頭の上の獣耳はピンと真っすぐに伸びており、周囲の音を拾っている。

先日、ある人からこっちの世界の一般的な人間とは異なると告げられ。
自分が何者なのかはっきりと見直すようになった。

獣の耳を持ち、聴力、嗅覚に優れ、その気になれば握力も増加する。

「じゃあ、俺って結局なんなんだろうな。」

スラム街での知り合いに問いかけても誰もわからないと言う。
そもそもあそこはそんなことよりも今日の飯と言った空気だ。

学内に居る誰かなら疑問に答えてくれそうな気もするが。

(…そもそも、俺って碌に友達いねえんだよな。)

エリク・スタン > 「はぁ、はぁ、はぁ…。」

全身が汗だくになり、訓練を一時終える。

「確か、自販機あったよな…。」

あれ? あったと思うけど見当たらない。

エリク・スタン > 暫く自販機を探し回り、うろうろする姿が続いただろうか。
ご案内:「訓練施設」からエリク・スタンさんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に金剛 経太郎さんが現れました。
金剛 経太郎 > 「ちわーす。誰も居ない……よな。」

訓練施設内の一室。その出入り口からひょっこりと顔を中へと覗き入れたのは、ジャージの上に学生服の上着を羽織った金剛経太郎である。
時刻は昼過ぎ。今日は休日。授業も補講も無いので訓練施設へと足を運んでみたというわけだった。

「異能の訓練っていうと、俺の場合何すりゃ良いのかわかんねえけど……ま、思いつき次第やりゃいいか。」

利用者が居ないのを確認して、室内へと入ってくれば、上着を脱ぎ捨てた。

金剛 経太郎 > 先日の公園での邂逅から、少し戦闘意欲が向上し始めたと自覚した経太郎。
勉強の気分転換がてらに少し自分を鍛えてみるのも良いかもしれないと少し気合を入れて来たのであった。

「とはいえ、まずは今何が出来るかを把握しとく必要があんな。
ろくなことしてねえから、てっきりゲームの中と全く同じかと思えば割とそうでもねえし。」

いっち、に、さん、し、と準備運動をしながらぶつぶつとひとりごちる。

金剛 経太郎 > 「えと……誰にすっかな。」

準備運動を終え、静かに目をつむる。
昏い視界にぼんやりとゲームのログイン画面が浮かび上がり、幾つか選択できる職が現れる。
騎士、戦士、弓兵、盗賊、剣豪 今表示されるのはその5種。

「まず5種からしておかしいもんな。
俺、たしかに18くらい育てきったもの。」

瞑想するかのように目を閉じたまま、ぶつぶつ。
ちなみに目を開けていても同様の事は出来るが、目を閉じて居る方がやりやすいのだそう。

金剛 経太郎 > 「んと、えっと……ま、騎士でいっか。」

選択画面で騎士を選び目を開けば選択画面が視界から消える
すると傍らにはよく見慣れた黒い鎧姿の騎士が恭しく大剣を掲げて立っている。
いつも通りの、異能を起動させた時の情景だ。

「これも、本来なら俺自身がなるんだけどな……。」

こつんこつん、と鎧の胴部分を拳で小突く。
金属の様で金属でない、奇妙な手応えがあるだけで騎士は微動だにしない。

金剛 経太郎 > 「これはやっぱり現実世界におけるズレなんだろうか……
それとも俺が思い込んでただけでこいつはゲーム内の騎士とは別物……?」

うーむ、と腕組みしたまま黒騎士を見上げる。
2mほどはありそうな騎士はまるでそういう建造物であるかの様に動かない。

「スキル、確認してみっかー」

ふぅ、と息をついて再び目を閉じる。
今度表示されるのはステータス画面。騎士のレベルや攻撃力、防御力など概念的なものがざっと簡易に数値化されている。
その画面からスキル画面を呼び出し、ずらりと並んだアイコンを眺めだす経太郎。

金剛 経太郎 > 経太郎の視界の中でだけ、ずらりと並んだアイコン。
その大多数は暗く表示されたものであり、使用不可能なスキルだ。
使用不可能なスキルの大半は特定の相手にのみ使用が可能なスキルで、
その相手とは大抵ゲーム内に存在するのだから、今ここで使えないのは当然と言えた。

「……の他にも、使えないのがあるな」

ゲーム内の相手にしか通用しないタイプ以外にも幾つか使用不可能なスキルがある。
そちらは主に相手の注意を引くためのスキル。いわゆるヘイト管理用のスキルだ。

「んー、現実じゃそう簡単に人目を引くのは難しいってことかね。
あるいはこんなデカブツ、いやでも人目を集めるから不要ってことか」

こてんこてん、とときどき首を傾げながら、経太郎は目を閉じたままスキルを眺めていく。

金剛 経太郎 > 「うーん、よく分からんね!」

ぱちっと目を開けて一言。
とりあえず使えるスキルを試してみよう、ということで黒騎士を一瞥する。
これまでしてきたのは簡単な動作のみで、スキルを使うのは初めてだ。

「……うまく使えりゃ良いんだけど。」

選んだのは防御力上昇。
傍目には変化が分からないが、経太郎はステータス画面を意識する事で確認が出来る。
万一予期しない事態が起こっても、大事には至らないだろうというのも理由の一つ。

金剛 経太郎 > 「よーし、物は試しで、えーい!」

スキル発動!
黒騎士は兜の奥の目と思われる箇所を青白く発光させた直後、全身に朱いオーラの様な物が立ち始める。
すぐさまステータス画面を、今度は目を開いたまま、実際に見えている風景に重ねるように表示させる経太郎。

「うーん、防御値……30%上昇。期待通りの効果は出てる。
まあ実際に硬くなってるのかどうかは……試しようがないな。」

他の利用者が居れば頼めたかな、と首をかたむけて。
生憎今日は休日、そう都合よく誰か来るだろうか。

金剛 経太郎 > 「やっぱそう都合よく行かないわな……」

誰か通らないかなー、とそわそわしていたがそのうちスキルの効果時間が切れる。
朱いオーラを纏ってちょっとだけ硬そうだった黒騎士は、普通に硬そうな黒騎士に戻ってしまった

「強力な攻撃を放つような機構は部屋に備わってるのかなあ……今度聞いてみよっと。」

黒騎士のスキルの効果時間が切れると同時に経太郎の集中力も切れる。
大きく溜息をつきながら、その場にごろんと仰向けに転がった。

金剛 経太郎 > 「──…やっぱ、もう一回行かなきゃ駄目かなあ。」

ゲームの世界。経太郎の精神が10年の間囚われ続けていた場所。
きっとあの事件さえ無ければ、普通に成長し、普通に進級して、常世学園とは関わらずに生きていけていた筈である。
現状の全ての元凶とも言えるその世界に再び赴き、ゲーム内での仕様を確認する。

「そしたら、……もう少しまともに異能使える気がするんだけど……

でも、………怖いな。」

もしまたゲームの中に囚われてしまったら?
今度は10年ではきかないかもしれない。20年か、30年か、それとも──
そう考えると、どうしてもあの世界に戻るのは気が引けた。
バーチャルな世界には極力関わりたくなくなっている自分が居た。

金剛 経太郎 > 「……うん、うん、やっぱり。
あそこに戻るのは、最後の手段って事で。」

身体を起こし、立ち上がりながらひとりごちる。
そして分身であり、自分自身である黒騎士を見上げた。
黒騎士は微動だにしない。動くように指示を出していないから当然だ。

「……とりあえず、落第街の哨戒のバイト、再開すっか。」

ごつん、と騎士の胴に拳をぶつけながら経太郎は小さく笑みを浮かべた。