2020/07/25 のログ
ご案内:「演習施設」に雪城 氷架さんが現れました。
■雪城 氷架 >
訓練施設に少女が一人、足を踏み入れる
やや陰りのある顔、どこか浮かない表情
異能関係の試験は、自分が思っていたほど良い成績は出なかった
そして、先日の研究区での実験でも
気落ちは隠せない…なんとなく寮を出て、気がつたら此処へ足が向いていた
■雪城 氷架 >
ポケットに手を突っ込む
ペットの蛇の姿はそこにない
どこか、遊びに行っているのか、先生としての用事か
代わりに指先に触るのは小さな、透明なビニールの袋
それを取り出す
中には乳白色のタブレット型の錠剤が2つ
「──…異能制御薬…か……」
まだ未完成だけど一応効果はあると言われ
まだまだ改良の余地はあるものん、効果を抑え、副作用は出ないようにしてあるらしい
自習で訓練をする時なんかには、使ってみると良い──と父親から渡されたものだ
■雪城 氷架 >
しばらくそれを眺めて…乱暴にポケットへと突っ込んだ
最初から頼るかよ、と言わんばかりに
すぐ近くに人がいないことを確認する
そのシステムはよくわからないが、結界なんかも張られているらしい
──多少、無茶をしても問題ないということだろう
■雪城 氷架 >
──結果を出したい
そう、思うようになっていた
炎の巨人の時もそう
自分はただ拐われて利用されただけ
自分をじゃない、持ってる異能の力だけを、だ
あの時に必要とされたのは、自身の保つ異能の力であって、自分ではなかった
ぐ、と握り込んだ手に力が入る
あれくらい、自分の力だけで出来るようになってやる
■雪城 氷架 >
見据えるのは、天井
結界がはってあるなら、遠慮なんていらないよな。と鋭い視線を向ける
両手を掲げる
掌は、上を向かせて
意識を、力を集中させる位置と範囲を確認するためのルーティン
続くのは、言葉
今から自分はこういう形で、力を開放すると、自分の脳に認識させるためのもの
言葉をキーとして、脳の働きを切り替えるためのもの
「───große Flamme…」
これらは、異能の力を勉強する上で身につけたものだった
「Riese!!」
喉から振り絞るような声
瞬間──爆音と共に、巨大な業火の柱が施設の天井を突き焦がすようにして発生した
■雪城 氷架 >
灼熱の柱は上部の結界に阻まれ消える
しかし地面から轟音を立てながら立ち昇る業火は勢いを衰えさせることなく、灼熱の揺らぎをその周辺に与えながら、
その姿は、不完全ながらもまるで天使のような、人らしき姿を形作る
それは意識して作り出された形状ではない
あの事件の時にも、この形でそれは現れたという
つまり、これは雪城氷架という人間の深層心理の中にあるモノ
そのカタチだ
ぶるぶると、手が震える
まだ、もう少し
まだ、維持できる──
頬を伝う汗は目の前の灼熱の巨人に熱によるものではなく、
その身体の代謝能力が急激に上がっていることを意味している
■雪城 氷架 >
なんだ、こんなの、全然大したことないじゃないか
薬なんかに頼らなくたって、誰かの異能に頼らなくたって
これくらい、自分の力でできるんだ───
どくん
「───っ!?」
心臓が跳ねる
一時的に昂ぶった精神による、脳内麻薬の分泌
それが身体の変調に気付くのを、やや遅らせていただけ、だった
「ごッ……──」
こみあげるものを感じて、慌てて自分の口を手で覆う
その手に生暖かいものを感じた次の瞬間には、ぱたぱたと紅い雫が手を、顎を伝い地面へと落ちてゆく
灼熱の巨人の姿が揺らめく
まるで陽炎のように、像が波打ち、
膝から崩折れる氷架の前で、豪炎を撒き散らしながら、消えていった
■雪城 氷架 >
視界が赤く、ぐわんぐわんと揺れている
多大な負荷が心臓へとかかり、増大した血流があちこちの毛細血管を破裂させた
「あ………」
とぷ、という音と共に音が塞がれる
耳からも、生暖かなものが垂れ落ちる感覚を覚えた
…じっと、手を見る
赤いものでべったりと濡れて、まるで誰かを殺した人間の手のようだった
ちょっと背伸びをして、無茶をしてみればこの始末
じゃあ、なんで自分なんかにこんな不相応なものがあるのだろう
もっと身体が頑丈で、精神力も強くて…そんな人間が持つ力じゃないのか
■雪城 氷架 >
震える手でバッグからタオルを探り、顔と手を拭う
保健課に来られると、あとあと括流から説教をされそうなので、急ぐ
赤く染まったタオルを手に、ふらふらとベンチへ戻ると、倒れ込むようにして、身体を横たえた
──まだ、呼吸は荒い。心臓の跳ねる音も、耳の奥で聞こえる
父親は、こんな自分や母のために、研究を続けてくれている
ごそり、と身体を横たえたままポケットを探り、薬を取り出す
乳白色の錠剤…自分がもってしまった力で、苦しい思いをする人がいなくなるなら
自分のように、異能の力に振り回される人間が少しでも減るなら…自分は、父の研究に協力しよう──
薄靄がかかったような思考、その中で、そんなことを考えていた
ご案内:「演習施設」に烏丸 九郎さんが現れました。
■烏丸 九郎 > 横になって霞がかった意識の中。
遠くからドアを勢いよく開ける音が聞こえる。
ばぁん、ばぁん、ばぁん。何度も。
それが少しずつ近づいてくるのがわかるだろう。
どんどんちかづいてきて、足音もそろそろ聞こえてくるかもしれない。
大股でズカズカ取ろうかを歩く音。
そして
ばぁん!!
と、彼女が横になっているベンチのそば
彼女のブースのドアが勢いよく開いた。
「なぁんだてめぇこんなとこに居たのか、探したぞ。
何寝てんだよ」
少女の姿を見つけた男は少し呆れたような声を投げる。
■雪城 氷架 >
「………あ?」
思わずそんな声が出てしまった
視線を向けた先にはよく見知った顔…
なんでこいつがこんなところにいるのか
…探した?なんでまた
正直まだしんどい身体をぐぐっと起こして、はーっと大きく息を吐いた
「うるさい疲れてんだよ…
…え、で?何…?さがした…?なんで……?」
状況が飲み込めない
あとまだ顔色も悪い
■烏丸 九郎 > 「なんだ?貧血か?
朝飯食ったのかよ。朝飯食わねぇといい声出ねぇぞ」
不機嫌そうな声、そして悪い顔色。
彼女の横たわるベンチに歩み寄れば、少し顔をしかめ
氷架のバッグに視線を送り
「おまえ、のみもんとかもってんのか?」
彼女の質問に答えないまま
更に問を重ねて。
■雪城 氷架 >
…と、バッグに視線がいったのに気づいて手にもっていた錠剤をポケットへとねじ込む
「…まぁ、そんなとこ。貧血みたいなもん…朝は、食ったよ。余計なお世話。お前はお母さんかよ」
はぁ、と再び溜息をついて、バッグからスポドリのペットボトルを取り出す
この通り水分補給ぐらいはできるようにして来ている
一応訓練するために来たのだし
そして、結局なんでこいつはここにきたのか…
■烏丸 九郎 > 「母さんじゃねぇよ、音界の覇者となる男だ。
おまえ、なんか血生臭かったぞ、この辺。
なんか怪我でも………ぁー……」
そこまでいいかけたところで何かを察したように
それ以上は言及しなくなる。
女子にはそういう日があるという知識程度は
この歌バカにも存在した。勘違いだが。
「それよかおまえ、あれだ。探したってのはほかでもねェ
合宿どうするよ。夏休みだしよ」
大真面目に突然妙なことをいい出した。
■雪城 氷架 >
「?」
なんか唐突に黙った
いや別に追求されてもめんどくさいからいいんだけど…
せっかく取り出したのでペットボトルの蓋をあけて、口につっこむ
喉を潤す冷たい感覚が心地よい
「……はあ?合宿…?
何の話だよ一体……」
心から怪訝そうな顔をする
当然である、寝耳に水すぎる
■烏丸 九郎 > 「合宿だよ合宿。
おまえ歌はオレに迫る物があるけどよ
ギターはまだあめぇ。
ここんところ試験だなんだで時間もなかったしな。
んで、夏休みだろ?
ならここは強化合宿でいっぱつ超パワーアップをねらうってやつだ。
どうだ?完璧だろ?」
怪訝そうな表情の氷架に対しては自信たっぷりのドヤ顔。
「といっても、オレたち部室ねーしな。
どうするかっておもってよ」
そう、彼ら《音界覇道爆進部》総勢2名には部室がない。
■雪城 氷架 >
「いやまぁ、行ってることはわかるんだけどさ…」
そう、言ってることはもっともだ
成り行きとはいえ、ちょっと頭の悪そうな部活を一緒ににやっているのだから
ていうか、そもそも
「私とお前の二人だけでやんの?」
という疑問がある
男女2人で泊りがけでどこかにいく、ということに何も感じないのだろうか…
■烏丸 九郎 > 「?」
少女の質問に
何言ってんのかよくわかんねぇなという表情を浮かべる。
「他にメンバー居たっけか。
オレ聞いてねぇんだけど。なんだよ、勧誘してたなら教えろよ」
何も感じていない様子。
だって合宿なんだから泊りがけなのは当たり前だ。
そして、自分はまだ氷架しか誘っていない。
「まぁ、そんで…どこに泊まるって話だけどなぁ
おまえなんかいいとこ知らね?」
■雪城 氷架 >
「いや…まずメンバー他にいらねえの?増やさないの?って話…」
だめだ、言葉足らずではバカは汲み取ってくれない
しかたないのでちゃんと説明する
「私が勧誘するわけないじゃん。部長はお前だろー?するにしても話は通すよ」
まったく、それはそれとして泊まることに何も感じていないのかこいつ
…まぁ、異性として見られていないなら、それこそなんの心配もないんだろうけど
「知らないかって言われても…
この季節だと海なんかでキャンプ用のバンガローとか貸し出してるんじゃないか…?」
■烏丸 九郎 > 「確かにその問題はあるけどな。
できそうなやつってのがどうも思い当たらねえ。
かと言って今から探してたら夏休み終わっちまうだろ」
実際氷架の歌声に惚れて自分と音楽をやれと誘ったのだから
自分と氷架がいれば最低限のメンバーは揃ってると解釈しても良かった。
とはいえでかい箱で歌うとなればバックバンドに頼るってのも
それはそれでしまらない。連携とかも甘くなりそうだし。
だが、時間は有限。
ここで手をこまねいていてはチャンスを失うことになる。
「変なとこで律儀だなおまえ」
話を通すと聞いて、真顔で言う。
部長ではあるが、そのへんの権限にはどうも無頓着であった。
「んじゃそのへん見繕っとくか。
あーなんだ、一応親には話し通しとけよ?
男と泊まりに行くってんだから、どこにいるかもわかんねーんじゃ気が気じゃねぇだろうしな」
一応女性としては見ている。
が、それはそれだ。だからといって自分がなにかするってわけでもないんだから
気にする必要はないだろう。
■雪城 氷架 >
「はーん……じゃあお前のお眼鏡にとまった私ってなかなかのモンなわけだ」
なんだかちょっとだけ得意げになってしまう、にやにや
「そりゃあ、お前が欲しくない人間が増えたって意味ないしな…。
"できそうなやつがいない"ってことは、お友達ごっこがやりたいわけでもないんだろうし」
少なくとも自分の音に関しては妥協しないやつ
そんなイメージは、少しずつだが強くなっている
だからこそ、ちょっとうれしかったのもあるのだ
「うーん、わかった。
うちはちょっと過保護だからな。ダメだったら諦めろよ?」
父親は、まあ大丈夫だろうけど…
■烏丸 九郎 > 「なかなかぁ?バカ言うんじゃねぇ。
音界の覇者に並び立てる才能を持ってんだ。てめーは
すげーんだよ。マジでな」
得意げな氷架に向かってこちらも口角を上げて。
にやにやというか、当然という笑みだ。
「オレたちの部は音界覇道爆進部だぜ?
そりゃ音楽性の違いとか余計ないさかいがねーことにこしたことはねーが…
まぁ、そのへんはおいおいだ。それを言うのは今じゃねぇ」
妥協はしない。当然。
自分の音楽に彼女は必要だし
彼女は自分と並び立つ歌声を持つもの。
それだけの魅力を持つものはそうそこらに落ちてるものではないのだ。
「なんならサポーター同伴でもいいけどな。
まー、ダメだったらあれだ。毎日どっかで練習挟むか」
■雪城 氷架 >
「それだけ自信に溢れた言い方されると逆に心配だけどな」
どうせ主観以外の根拠がないのは目に見えてる
けどそれはそれとして、実際にコイツの歌は凄いと思うし、そう言われて悪い気は当然しない
実力を認めている相手から認められる、というのはきっと、嬉しいことなのだ
「(相変わらずだっせえ名前…)
まぁ、それはそうだ。…まぁ、お母さんがなんていうか、だな…」
括流はもしかしたら勝手についてくるかもしれないし…と思いながら
「わかったよ。どうせ夏休みの予定なんて真っ白だし。付き合ってやるから感謝しろよな。
……ところでお前、走り回って私のこと探してたの…?」
立ち上がって、連絡しろよ連絡、と胸ポケットからスマホを出して見せてひらひら
■烏丸 九郎 > 「ばぁか、心配すんなよ。
おまえが心配になってもオレがフォローする
おまえの才能はオレの才能が保証するぜ」
まさにそのとおりだ。
むしろ根拠と言えるものは無いとすら言える。
だが、彼女を認めている…いや、彼女の才能に惚れ込んでいるのは事実だ。
だからこその氷架とのこの部だ。
「まぁ、かーちゃん心配させるのは良くねぇからな。
いざとなったらオレも説得に行くからよ」
逆効果かもしれないがそんな事は考えもしていないと言った様子。
むしろ二人で頼めばなんとかなるだろと言った感じだ。
「おう、オレもコレ以外の予定は特にねぇ。突き合わせてやるからついてこいよ
…ぁー、そういやそうだったな。忘れてた。
なんかおまえのいるとこなんとなくわかる気がしてたんでな」
それは氷架の声を聞き漏らすことはないという謎の自信。
■雪城 氷架 >
そういうトコが心配なんだけどなあ、という言葉は飲み込んでおこう
多分言ったところ何がだ?って感じだろうし
「いざとなったらって何だよ!」
やめろ、母親の性格的に絶対誤解されるから!
「わけわかないけど、実際にこうやって見つけられてるしな…こわ…」
なんだその謎の自信と直感
常世の島は結構広いぞ
「──まぁいいや。じゃあまぁお母さんに聞いてみて…連絡するよ。どうせお前いつでも暇だろ」
やや失礼な言葉を投げかける
■烏丸 九郎 > 「いざとなったらって、そりゃダメって言われそうになったらだって。
誰だかわかんねーやつと泊まりに行くってのが不安なんだろ?そういうの」
誤解されるとはまったく思っていない。
むしろ一緒に頼み込めば不安を解消できると思っている。
実際には逆効果というか、誤解を深める結果になるだろう。
「オレにもよくわかんねーが、音界の覇者となるオレは
オレの認めたおまえの声を聞き逃さねぇってことだな。
喋ってることは流石によくわかんねぇけど」
自慢げにいいつつも即矛盾したことを言う。
自分でも理屈はよくわかっていないのだ。
「そうだな、いつでも暇だぜ。
歌ってるかもしれねぇが、歌がオレだしな。問題はねぇ」
失礼とは受け取らなかった模様。
むしろもっとバカっぽい返事だ。
■雪城 氷架 >
「(こりゃーうまいこと言ってお母さんを心配させないようにするしかないな)」
女の子同士で行く、とか言えば大丈夫だろうか
あまり、嘘はつきたくないけど
なんかこじれてコイツが母親に直談版に来るよりはマシな気がする
「じゃ…そうするか。
合宿自体には別に断る理由もないし…」
でも、二人で泊まりこみってどうなんだろう
大勢で遊ぶでもなく、二人きり……少し考えてしまう
そして、よくわからない自信に満ちあふれているこいつを見ていて思う
先程心配だと言ったのは、その自信が、もし揺らいだり、砕けたりした時のこと……
「………」
──まぁ、大丈夫か。バカだし…と、シリアスな思考は投げ捨てた
「まあとにかく連絡とれよな。
私がシャワー中になんかに飛び込んでこられても困る」
■烏丸 九郎 > 「よっし、きまりだな。
んじゃバンガロー…海のやつだっけ?
予約しとくんでおまえどこがいいかとかあったら先に言っとけよな」
氷架が承諾すれば
ぱしりと手を打ち合わせて嬉しそうに笑顔を見せる。
そこには少女の思うような心配の影は今のところみられないだろう。
いや、この男にも挫折はあった。
炎の巨人…その事件の際に。これは帰ってきたときにも言ったこと。
だからこそ、その心は今は更に強靭に鍛え上げられていると言ってもいい。
「おう、まかせろ。
シャワー中だったらシャワールームの前で待っとくからよ」
バカだけど。
■雪城 氷架 >
「そうじゃなくて話があるなら直接来るより連絡しろって…ああもう、いいやそれで…」
バカに説明するのは難しい
自分も頭が聡いほうでないから余計にである
「んじゃ、まぁそれでアテしとくよ。…訓練で疲れたし、帰る」
ベンチから立ち上がって、スクールバッグを抱えあげる
真面目に異能のことで悩んでいた心が、やや晴れやか
これはおそらく、バカの相手をしたからに違いない
そういう意味では、来てくれて本当に助かったかもしれない
「じゃあ…また、な」
特に予定もなにもなかった夏休み
これで少しは学生らしく過ごせる…かな?───
■烏丸 九郎 > 「おう、ちゃんと寝とけよ」
疲れた様子の氷架だが、表情を見れば心配はいらなそう。
つかれた背中を見送るようにひらりと手をふって。
「またな、氷架。
準備は早く終わらせとけよ」
彼女の悩みは知らない。
何をしていたかも、何を使ったかも
どんな無理をしていたかも知らない。
ただ、彼女との部活。
学生の夏だ。
互いにその夏を満喫できればそれがいいに決まっている。
彼女がさろうとする背中…そういえば自分もこの場所自体にはようは無い。
少し小走りに彼女の背中に追いつけば、そのまま並んで帰路につく。
ご案内:「演習施設」から雪城 氷架さんが去りました。
ご案内:「演習施設」から烏丸 九郎さんが去りました。