2020/09/02 のログ
不凋花 ひぐれ > 確かな手ごたえ。巻き落としを絡められれば武器落下による確実性のある有効打になっただろうが、獲物の格差は返しようがない。
それが失敗の一つではあるのだが。

「ハ……っ」

宙に浮かせるべきではなかった。
目が見えないから彼が笑ったことには気づかない。それでも空気が変わった気がした。
殴打音、重低音、超接近――。

「くっ、デタラメな……!」

武器は道具であり攻撃の手段。なるほど彼はそのような戦い方をする者か。明らかに体積のある重たいものを蹴り上げるその脚力はなんだ。
蹴り上げられた棍棒は肩に当たった。痛いが、深い呼吸と共に片目が強く握られただけで痛みは瞬時に引いた。
一瞬、先ほどよりも動揺して声を荒げたのもつかの間。棍棒を回収する隙を狙って、構えを直して納刀する。

すぅ、と呼吸を深く、荒げた心を静かに。口から呼吸し鼻から息を通す。

「……私は打ち合う気は毛頭ございません」

長竹刀の利点は、奇襲性と威圧性だ。相手に得物の尺を見定められないように立ち振る舞うのだが、驚異的な長さは当然一番の武器である。

「オォオオオオオオオォオオオ!!!!!!」

猿叫と人は言う。裂帛した叫び声は相手を委縮させ、自分を鼓舞する。叫ぶままに、手の力を抜きながら剣を抜く。
竹刀を真っ直ぐ直下から降り上げる。面すら見せない細い線のようにして、彼が棍棒を振るう間合いに入る前に彼を居合術で斬り飛ばそうとする。

持流 童男 > 「・・・・・」

裂帛した叫び声おそらく自分を鼓舞する声だろう
それならばこちらも応えねばと思いつつ
回収した、棍棒をふるう前に居合術で切り飛ばされる
なかなかに痛い、いい一撃だ、思わず片膝をつきかけるが
足を踏ん張る。間合いを取りつつも。

「ぐっつ・・・!!綺麗な居合でござるな。それにいい裂帛でござる」

そういってから深呼吸する、そして思いきり
こちらも、自分を鼓舞する大声を放つ

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ォぉおおおおおおおおあああああああ!!!!!!!!!!!!」

空気が、変わる
そして真正面から、棍棒をひぐれさんに、横に薙ぐように振るおうとする。

不凋花 ひぐれ > 彼が踏ん張ったタイミングですかさず納刀して竹刀を構える。
努力呼吸を経て痛みを遅らせはいるものの、戦場においては短期間だけ無茶が利くようになるに過ぎない。
次が勝負の分かれ目。もう一度アレを打ち据えられたら立ち上がることは不可能だ。
――ああ、もう少し耐久力があれば良いのに。虚弱な身を恨む。

「……素晴らしい」

相手の声に、気迫に息を呑む。またさっきのように間合いに入る前に打ち込みをするのも良いが、二度同じ攻撃をするのは宜しくない。
技は一度で決められなければ見切られる。なおかつここで決めなければならない。
叫び声も鼓舞する声も、己にとっては耳慣れたもの。自分の流派はこんな音を学ばせるのだから。やるならやられる方も理解せねばならない。
気迫は十分、パワーも十分。裂帛を経たその一閃に、なおも己は臆さない。
剣道は気後れしたら負けるのだ。

「っ――!」

相手が振り下ろし切る前に彼の懐に入り込む。武器を振るう腕に向けて、彼の体に抱き込まれるように接近する。
これまで閉じていた眼を見開いて、赤色の濁った眼で彼を見据えるのは一瞬。
一度抜いたら戻す挙動には使えない、防御を捨てた捨て身の一撃。真剣であれば相手の半身を斬り殺す一手。抜きの挙動で相手の懐から居合を見舞おうとする。

持流 童男 > 刹那の一瞬その捨て身の一撃に、息をのんだ。体に力を入れる。
まともに食らえば意識が飛ぶからだ。次の瞬間、その時は来た

彼女の捨て身の一撃、受けなければ、不作法というもの

そして受ける。居合を見舞われて、思いきり後ろに吹き飛ばされて
片膝をつく前に踏みとどまる。

「捨て身の・・・・一撃か・・なかなかに、素晴らしい技でござった」

そう言ってから、なんとか息をつないで空気を吸い
受けた部位が、ひりひりする。その痛みを和らげるために

「こっ!!!!!!!」

大声で、自分を鼓舞した。
そして次に棍棒を掲げて振るおうとするが、先ほどの捨て身の一撃の効果か、棍棒を落としてしまう。

不凋花 ひぐれ > 一撃は与えた。もう退路はない。一間を割り、力を籠めずとも利のある棍棒が目の前にちらつく。
しかし彼の体が吹き飛んだことは僥倖とも言えた。正眼の構えを取り直した所で、彼が己を褒めた。

「……私は本来こういうキャラじゃあないんです。
 でもいろいろ尽くさないと、負ける気がしまして。わたし、負けたくなかったので」

多様な技を見せる事、即ち是、相手への賛辞也。
歩法も足運びも、脱力に構え方、打ち方も、彼女が使う道場剣法の様々な術理をこの模擬戦で仕込んだ。

「……武器を持つ力はありますか?」

棍棒が落ちた刹那、長竹刀を振るい、武器を捌けさせて遠くへとやる。

持流 童男 > 「・・・いいや、先ほどの一撃が効いたのでござろうな暫く手が震えて持てねぇでござるよ」

そう笑っていった、遠くへ飛んで行った模擬棍棒を見つつも
しっかりと言いながらも

「今回は、某の負けでござるよ、ひぐれ殿。素晴らしい技の数々でござった」

そう、負けを認めて、相手へ、ひぐれさんに向けて賞賛をした。
例え模擬戦でも、相手が本気で来るならばそれに応える。
そして答えた結果、負けた悔いはない

不凋花 ひぐれ > 「さようですか。私も多少騙し騙しですが、明日は確実に筋肉痛です。打撲もあります」

打って変わってやはり涼し気な顔を浮かべる。目を閉じて納刀し、一礼をする。

「また仕合ましょう。次の手管が見れるのを楽しみにしています」

口元に僅かに笑みを浮かべる。晴れ晴れとした相手の声は浮足立つように軽やかだから、伝染したのかもしれない。

持流 童男 > 「いい笑顔でござるな、ひぐれ殿。・・・ってまじでござるか!?大丈夫でござる!?」

いい笑顔だから、思わずこちらも笑ってしまう。そう笑った後に
そう慌ててひぐれさんに驚くように心配するように言い

「うむ、また仕合するでござるよ。ひぐれ殿がまた一段と強くなった時に、後れを取らないように某もまたつよくなるでござる。楽しみにしてるでござるよひぐれ殿。」

上機嫌に笑い、しっかりと言いながらも、棍棒を回収してから
こちらも一礼をしてから、演習施設から出ていこうとするだろう

不凋花 ひぐれ > 「……私のキャラではありませんでした」

今のは忘れて下さい。そう口添えしてから咳払いをする。
痛みは残っているが、これも仕合の賜物だ。悪いものではない。だから気にしないでほしいと続けた。

「はい、こちらこそ。強くなって見せてください」

彼が演習施設から去るのを見送ってから自分も帰る準備をする。
白杖を手に、片づけをしてからこの場を去るのだった。

ご案内:「演習施設」から不凋花 ひぐれさんが去りました。
ご案内:「演習施設」から持流 童男さんが去りました。
ご案内:「演習施設」にリタ・ラルケさんが現れました。
リタ・ラルケ >  
「……ふふ、一時の休息……」

 そう呟き、【纏繞】をゆっくりと解く。自分の黒い髪から、みるみるうちに色が抜けていく。
 白色が毛先にまで及んだ時には、視界には黒い精霊――”闇”の精霊が散っていくのが見えるのみ。

「……あー、結構疲れたなあ」

 今日の異能実習は、あまり納得のいくものではなかった。精霊を体に取り込むのが、どうも上手くいっていなかった。やっとのことで纏繞しても、普段通りの力が出せなかった。挙句の果てに、実習の途中、一度纏繞も解けてしまった。
 理由は明白。このところ、異能を使っていなかったから。

 夏休み中、異能を使った記憶はせいぜい片手で数えるくらい。
 実際疲れる異能ではあるし、使わないに越したことはないのだが、それでも今までできていたことができないというのはなんだか悔しい。
 普段はこういうことなどしないのだが、今日はなんだかもやもやしたので、演習施設で特訓をしていたのだった。

リタ・ラルケ > 「……まあ、でも。感覚は取り戻せたかな」

 一通り、纏繞はした。異能を使う感覚も、後半のころには思い出せてきていた。いわゆるランナーズ・ハイというやつなのか、久しぶりの感覚に、楽しくなってきたところではあった。
 が、こうしていざ休憩に入ると、なかなか疲労も溜まっていたようだった。

 ペットボトルの水を一口飲み、溜め息を吐く。

 ……少し休憩したら、今度は疑似エネミーでも用意してみようか。

リタ・ラルケ >  
「……ん、そろそろいいか」

 体の疲労は、少し楽になった。これくらいならまあ動けるだろう。

「……疑似エネミー。動きは……無しでいいや」

 本格的に戦いを練習しに来たわけじゃない。ハリボテを思い切り叩ければ十分だろう。

「さて……集中、と」

 先ほどまで異能の練習をしていたおかげで、辺りにはたくさんの精霊がいる。纏繞に困ることは、もうない。
 "火"の精霊を、体に取り込む。少しずつ、感覚が希薄になっていく。

 ――五つ数えるときには、"私"の感覚は、もうない。

リタ・ラルケ > 「――よし! 準備完了!」

 目の前には、さっき生成した疑似エネミー。人型のそれは、動かずにただこちらに体の正面を向けるだけ。

「さっきの感覚も思い出して、思いっきり行こう!」

 ああ、しっかり体を動かすのなんて、いつぶりだろう。少しの喜びを感じながら、両手に熱気を集める。
 すぐに私の両手は、真っ赤な炎に包まれた。

リタ・ラルケ >  
「久しぶりだけど、全開で!」

 棒立ちの敵に向けて、一歩、踏み込む。態勢を低くして、懐に潜り込むように、体に勢いを乗せる。
 
「ひっさぁーつ……」

 二歩。両目で敵をしっかり捉える。拳を思いっ切り握り込む。

「フレイムー……」

 三歩。体の熱気と体重を全部、右手に込めて。

「…………フィストォォォォォォォォォォ!」

 えぐり込むように、全力で――灰の中の空気を、すべて吐き出すように叫んで、私は敵に右手を叩き込む。
 手応え。爆音。敵が爆ぜる感覚。熱気。

リタ・ラルケ >  
 『爆炎』と表現しても差し支えないほどの炎が、敵を飲み込んでいた。
 自身の魔力を右手に込めた一撃。なかなかいい威力が出たと、自分でも思う。

「あー……さいっこう!」

 人に向けるのは気が引けるけど、これは用意された的。
 相手を気にする必要なく、思いっ切り魔力を叩き込むのは――やっぱり、気持ちいい。
 まあ、何回もやったら疲れるんだけどね。

リタ・ラルケ >  
「さて、もう一度――」

 そこまで言ったところで、つとその場に頽れる。

「あ、あれ?」

 急に言うことを聞かなくなった体に、思わず戸惑いの声を上げてしまった。
 どうやら思ったより、体に疲れが出ていたらしい。ここに来てから、数時間。数時間分の疲労と、久しぶりに放った全力の一撃。それらにいよいよ体が悲鳴を上げたということか。

「あー、そっかー……」

 もうちょっとやっていきたいとは思っていたが、流石にこうなっては無理もできない。

「しょうがないか……纏繞解除!」

 そのまま、体の奥から精霊を追い出すように、力を抜く。

 ――力が抜けていく感覚と一緒に、"私"の意識も薄れていった。

ご案内:「演習施設」に霧島 孝介さんが現れました。
霧島 孝介 > 今日も今日とて、異能のトレーニングのために演習施設へとやってきた少年が1人。
以前、ここでの模擬戦で頭を負傷し、しばらくは包帯をしていたものの。
傷は深くなかったため、すっかりと完治し、保健の先生からも体を動かす許可が下りた。

「自分の異能とは何か…か」

この前の講義で先生から教わったことを反復する。
自分の異能とは『何』か。起源は?本当の力は?何のために自分に?
そんなことを考えながら施設のグラウンドへやってくれば先客が居て、叫び声と爆音に少しばかりビックリする

(誰だ…?)

ちらりと壁の陰から中の様子を確認して

リタ・ラルケ >  深紅の髪が、純白に戻っていく。赤い瞳から、色が失われていく。
 
「……うぁ」

 感覚が戻ってくると同時に、眩暈を起こして自分はよろめいた。

「……あー、思ったよりつらい」

 どっと来る疲労。さっきまでは大丈夫だったはずなんだけど。
 まあ、久しぶりの異能だし、こうもなるか。

「んー……もうそろそろいいかなー……」

 体に残った疲労も、なかなかいい感じだ。軽くストレッチでもして、そろそろいいだろうか、なんてぼんやりと考える。

 ……壁から誰かがこちらを見ていることには、気づかないでいた。

霧島 孝介 > 「むむ…?」

髪色が変わって、その後に腑抜けた声になる彼女に目を細める。
さっきは元気な「フィストォオオオ!」って声が聞こえたけど…
もしかして髪色で性格が変わるタイプの奴?バイクのハンドル握るとオラオラになるみたいな。

しばらく、陰から覗いていたものの、彼女が眩暈を起こしてよろめく様子を見れば
咄嗟に、勢いよく物影から出てくる。
能力を使った反動で意識が持ってかれるタイプなのだろうかそう予想しつつ
もしかして倒れるのでは?と危惧したが、そんなことは無かった様子で少しホッとする。

しかし、勢いよく物影から出てきたものだから、ある程度の足音や物音が発生する。
そのせいで彼女に自身の存在がバレるだろうか。

リタ・ラルケ >  
「……ん?」

 何か、物音が聞こえた。
 疲れすぎて幻聴でも聞こえたのかなー、なんて冗談めかして思うけれども、その可能性はすぐに否定された。

 物音のしたほうを見ると、ちょうどたまたま来たのか、それともずっとそこにいたのか、眼鏡をかけた青年と目が合った。しかもどうやら、よろめいた自分を心配したのか、今にもこちらに駆け寄ろうと――そんな様子にも見えた。

 ……変なところ、見られた気がする。心配かけちゃったかな。なんだか申し訳ない。

霧島 孝介 > 「あ、えっと…その」

彼女の視線がこちらに向く。
自分の心配が杞憂に終わったことに安心しつつも、少しだけ恥ずかしそうにして
顔を少し赤くして頬をかく。

「あ、あの、覗き見してたわけじゃなくて…その…」

苦笑いして、彼女と視線を合わせないようにしつつ、歯切れが悪く告げる。
その視線は彼女ではなく虚空を見ている様子。
そう、陰キャには初対面の相手と目を合わせて会話することなど無理なのだ。

視線を逸らしつつ、モゴモゴとしつつも彼女の一つだけ問いかける。

「あの、大丈夫でした、か?」

その答えさえ、聞ければとりあえずは安心できる。

リタ・ラルケ >  
 あーやっぱり心配かけちゃってたかなー、なんて思った。やっぱ申し訳ない。
 まあでも、大丈夫か、と問われれば。

「んー……まあ、大丈夫かな。ちょっとふらついちゃったけど、休めば治るよ」

 結局、これくらいに落ち着く。実際、傷も何も負っているわけじゃないので、少し休めば平気なはずだ。
 それより。

「というか、君も大丈夫? なんか変な方見てるけど。なんかまずいもんでも見ちゃった? それともそっちになんか見えたりする?」

 なーんか、彼の様子が変なんだよねえ。
 自分みたいに、自分自身にしか見えないものがある可能性もあるから、何とも言えないけど。

霧島 孝介 > 「そ、そうですか…ならよかった」

彼女の言葉を聞けば安堵の表情を示し、胸をなでおろす。
こう、目の前で怪我をしたり倒れられたらどう対応すればいいか正直迷う。
その手のシチュエーションは片手で数えるほどしか経験してないからである。

まぁ…正直そんな頻繁に経験したくはないのだが

「あ、はは、これはその~…あれですよ。あれ、緊張、みたいな。…です、はい」

なおも彼女の方は見ず。
視線と体の向きを明後日の方向に向けながらも、コミュ障なりに努力して説明をする。
勿論、どもりながら、はっきりしないしゃべり方で。

リタ・ラルケ >  
「ん、そっか」

 やはり歯切れの悪さは戻らないけど、まあ深く詮索しすぎることもないか。
 少しだけ沈黙。それからふと思い出したように。

「……そういえば、君がここに来たのはなんで? もしかして、ここ使う?」

 ちょうどさっきまで自分がいた――煙がまだ残る場所を指さして、言う。

霧島 孝介 > 「はい」

少しの沈黙が痛く、何か話題は無いかと思考を巡らせる。
『どんな異能を持ってるんですか?』…いや、それは流石に踏み込みすぎか!?
異能を隠したい人も居るしな、コンプレックスだったらどうしよう!?
他には、名前を聞くとか?え、いきなり名前聞いてきて何コイツきもってなるよな!絶対!

沈黙が辛い。陰キャコミュ障は沈黙が何よりも嫌なのだ。
そう自分の発言で終わった後の沈黙なら尚更。
『もしかして発言の選択肢間違えた………???』そう思ってしまうのである。

「そ、そうっすね…ま、まぁ、まだ使うなら俺はちょっと、遠慮しておきますけど…」

心臓の鼓動が緊張で早まってきたところで彼女の言葉が飛んでくる。
少し救われた様子でそちらを見ると、また歯切れ悪くそう告げて。

リタ・ラルケ >  
「いやまあ、もう帰ろうかなとは思ってたけど……」

 彼の言葉に返事をしながら、ちらと見ると――どうも落ち着かないというか、気まずい様子。
 初対面だと緊張しちゃうタイプなのかなあ、なんて思ったりした。

 ――ちなみにこの少女、他人と接する機会がすこぶる少なかったために、他人がどんな心中でいるのかを察するのが苦手だったりする――

 さて、このまま帰ってもいいといえばいいのだが。

「……異能の練習相手が欲しかったら、付き合ってもいいよ?」

 口をついて出たのは、そんな言葉だった。

霧島 孝介 > 「あ、そうすか…」

若干気まずい空気が流れ始めたところでの彼女の言葉が飛んでくる。
これで帰ってくれるなら1人の空間でリラックスして練習に向き合える。
…が、次の彼女の言葉に少しびっくりしたようにそちらに向き直って。

(あ、そういうパターンある!?)

まさか練習に付き合って貰えるなんて。
いや、付き合ってくれるならそれはそれで嬉しいけども
目の前のこの少女、さっきちょっと疲れてなかったかな!?

流石に疲れてるなら申し訳ないし、1人の方が気が楽でいいんだけど…
…うーん、でも、やっぱり…

「…まだ体力があればお願いしたいです」

振り絞って出た言葉は、それだった。

リタ・ラルケ >  
 どうしてこの言葉が出たのだろうか。自分の中の高揚感が、まだ残っているからなのだろうか――自問しても、答えは出ない。
 ……違うか。そういうときは大体こうだ。

 そういう気分だったから。
 やる理由は、それでいい。

「よーし。じゃあ、やろっか。私も結構、話してて疲れは取れてきたし」

 ベストコンディションとは言えないが、まあ動くには十分だろう。
 あとのことはもう、精霊に任せきりにしてしまえ。

霧島 孝介 > 明確な理由は自分でもわからない。
恐らく1人の練習じゃ息詰まるのが目に見えてたから、そう発言したのかもしれない。
或いは1人の練習じゃ寂しかったのかもしれない。

何でこんな言葉を出したのか、わからないが…なぜだか彼女と練習がしたかった。

「はい、えっと、模擬戦、みたいな形でいいんですかね…?勝敗の条件とかどうします?」

彼女の言葉に頷きながらそのように問いかける。
模擬戦という流れになるとは思わなかったためその部分から決めていこうとする。
大体の場合はダウンさせるか、降参と言わせるかだが、彼女はこういう模擬戦はどういう風にやっているのだろうか。

「…でも体力満タンの俺と異能を使いまくった貴女じゃ流石に差があるので…」

彼女の言葉にそう口をつぐんで、手元に蒼い光を発生させる。
その光が形を作れば、掌に収まるサイズの機械の『バッヂ』が生成される。
近未来の機械のようなデザインのそれは精密機械を頑丈な金属で包んでいることが分かるほどの重量があり
金属と金属の隙間の溝からはエネルギーが循環しているように発光しているのが見て取れる。

「これ、身体のどこにでもいいから付けてください」

それを彼女にそっと渡すように手を伸ばして。

リタ・ラルケ >  
 勝敗の条件。ああなるほど、確かに失念していた。

「まあ、特にこだわりがなければ……降参したら負け、でいいんじゃないかな」

 模擬戦の実践経験は少ないけど、大体こんな感じだったことを思い出す。
 ……まあ、"他の自分"がどんなタイミングで降参するかなんて、わからないんだけど。

 あれこれ模擬戦について考えていると、目の前の青年から何やら蒼い光が見えた。
 その光が集まって――青年から、光の集まった何かが差し出された。
 見たところ、バッヂだろうか。それにしては機械的で、なにより光ってるけど。
 さすがに何かわからないので、聞いてみることにした。

「……これ、なに?」

 口ぶりからすると、体力か、それとも魔力にあたるものを回復させる代物だろうか。

霧島 孝介 > 「こ、降参ですね。わかりました」

何しろこちらも経験は浅い。そのため慣れない様子でそのように会話を進める。
今回は少しばかり勝ちに行きたいが、相手に致命傷を負わせないようにするにはどうするべきか。
ちょっとばかり工夫をしつつ、戦っていきたいところではある。

「えっと、疲労とあと傷が徐々に回復していくのと、軽くダメージを減らすシールドを身体に纏わせる…道具です」

正式名称は無い。そのため少し間をおいて、効果とそういう道具であることだけを伝える。
初めて生成した道具であり、自分でも本当にそういう効果があるかわからないが
『そう想像したのだから、そう機能する』と確信しつつ、彼女へと渡そうとして

「なんというか、まぁ、要らなかったら、その、大丈夫ですけど…」