2020/09/09 のログ
ご案内:「訓練施設」に白い少女さんが現れました。
ご案内:「訓練施設」から白い少女さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に白い少女さんが現れました。
■白い少女 > 訓練施設に、小さな少女がいつの間にか立っている。
生徒のようには見えない、10歳ほどの少女。
周りで訓練を行っている生徒はおらず、ぽつん、と裸足で立っている。
訓練をする事はなく、てこてこ、と広い武道場のような空間を歩いては、そこにある機材を眺めていく。
■白い少女 > 「―――」
訓練施設にある練習用の武器たちを、ちょこんとしゃがみこんで、覗き込む少女。
ちょんちょん、とそれを指でつついたり、不思議そうに眺めている。
それが何なのか、あまりわかっていない、というように、眺めている。
ご案内:「訓練施設」に神名火 明さんが現れました。
■白い少女 > ただ、一つ。使い古された一本の剣に
指をつぅー…っと、なぞらせる。
練習用のもので、刃がついている訳ではないので、指先が切れる事はないだろう。
でも、本物の剣だったら指が切れてしまっているだろう。
少し危うくも見える。
「―――、――――――
―――――ね。わ―――――――から―――、―――」
ぷつぷつと、まるで針がすぐに外れるレコードのように途切れ途切れの声がこだまする。
まるで世界とのチューニングが上手くいっていないかのように、その声は、不自然に途切れていく。
■神名火 明 >
実習区。あまり手がかりある気はしないけど修道女の行方を追って、島を逆時計回りに回っていたそんなとある日のことだ。訓練施設の聞き込み中、ふいに足をとめた。
「…ん?」
耳にはいってきたひとりごとに聞こえる言葉を、どうにか聞き取ろうとする。うまく聞こえない。お父様が聞いてたむかーしの音楽再生機器をいじくったらこんな音がしていたような。そちらを見てみる。女の子の後ろ姿。ばっと駆け出した。
「だめだめ!あぶないからっ…!」
施設に入るなり声を上げちゃったのは職業病…もう無職だけど…だったかもしれない。見覚えのない女の子、いや見覚えある女の子のほうが圧倒的に少ない多忙族だったんだけど、興味本位で探っている様子に慌てたように駆け寄っていって…
■白い少女 > 「―――?」
声の方に、女の子は振り向く。
きょとん、とした、青白く少し光る瞳が、あなたの方を見た。
真っ白の髪と、白い肌、白いワンピースで、青白い瞳。
ひどく、透明な印象を抱かせる少女。
まるでそこに存在しないかのように、とうめいな少女。
「――d―ぁ、れ?」
ぷつぷつ、と、やはり声は途切れる。
でも、その声がなんと言おうとしたのかは、なんとなくわかるだろう。
だれ?と、聞いたのだ。
■神名火 明 >
…あっ。
足を停めそうになっちゃったのは病院づとめだとよく聞くアレに見えたからだった。じっと見つめていると…そのむこうが透けてみえてしまいそう。でも不思議と恐さがなかった。
(さわったら、きえちゃいそう…)
末期の患者さんとはまた違ったあえかな存在感にちょっと眉根を顰めちゃいながらも、不思議がいくらでも起こるこの島だ。近くまで行くとしゃがみこんで、くまの浮いた不健康そうな顔だが、人を安心させる仕事をしてきた浮かべ慣れた笑顔をみせた。
「あかるお姉さん、だよ。あなたは?だれか、いっしょにきてなあい?」
お医者さんとは言わなかった。でも、言ったほうが良かった気がする。
「それ。あぶないから、さわっちゃだめ…ね?」
■白い少女 > しゃがみ込んで笑顔を見せられれば、同じように笑顔を見せた。
にこり、と笑う顔は、朗らか。
やわらかく幻想的に見えて、その透明さを強調していく。
さわっちゃだめ、と言えば、言われたとおりに手をひっこめる。
声は聞こえるし、言ってる事もわかるみたいだ。
「――かる、――えさ――ん。
―――たし?
わた―――は、―ロエ―――――って、――いま―――」
ふわりと笑って、こんにちは、というようにおじぎをして。
でも声は、何度もぷつぷつとして、はっきりと聞こえない。
名前も途切れ途切れで、しっかりとは聞こえない。
「d―れか。
いっしょ―――ない――k―ど、―――ます。
――t―うとが、いっ―――に、k―――てます」
■神名火 明 >
表情がある。きちんと生きてるのに、この世のものじゃないくらい。邪気のない笑顔。さっき浮かんじゃった幽霊…ってよりは、精霊、みたいなニュアンス。ちゃんということをきいてくれる。 ちゃんと、いうことをきいてくれる。 いい子だな、ってこっちの笑顔も深まった。
「ん、んーっと」
でも、はっきりしゃべってる気がするのに、聞き取れない。自分の耳たぶをトントンって叩いてみる。走りすぎて耳がおかしくなったわけじゃなさそう。言語が違えばあっさり受け止められたのだけど、明らかにこれ、伝わる言語だ…。そっかそっか~、ってうなずきながらも。
「ごめんね、ちょっとお姉さんよくわかんなくて。聞き取りづらい、かな。くろえ…ちゃん?しろえ…?かな。 よろしくね。お怪我を直すのがちょっと得意な、あかるお姉さんだよ」
脳内で補完しようとする…けどちょっと不安だな。
「と………うと。 ……えーっと。 ……あ。 弟くんが、いるのかな? じゃあ、弟くんのおなまえはー?」
はぐれちゃった。というわけでもなさそう。お散歩中の学生さんなのかな。随分小さい子も通ってる場所だし。疲れ果てた心身が、小さい女の子に癒やしを求める…なんてあれだけど、もともとこういう人間だ。通報されないように物理的には甘えないようにしよう。
■白い少女 > 「―――」
くろえ、と言われると、わかるように頷いた。
おそらく、クロエというのが、少女の名前なのだろう。
声じゃない分、わかりやすい。
「k―がを―――す……
―――いしゃ――s―ん?」
お医者さん、と言いたいのだろう。医者、というのはわかるらしい。
そして弟がいるのか、と聞かれれば、こくこく、と頷いて、嬉しそうに、笑う。
「おとうと…
―――――って、い―――ます。
――t―しの、ふt―――の、―――おとうとで
と―――も、か―――いい、おと―――のこです」
弟、という言葉は、はっきりと聞こえるようになった気がする。
まるでピントが合い始めたように。
でも、弟の名前は、聞き取れない。
「わt――は、おとうとが――る―――――に、い―――んです。
――――――が、―――――んと、――――――――か、――――――ら」
■神名火 明 >
「よろしくね、クロエちゃん。…ん?うっ、うーん。そ、そーだね。お医者さん!と、いえなくもない?…ちょっと前までお医者さんで…ああうん、お医者さんです!まかせて!」
無職ですとか疲れて辞めましたとか、子供にしていい話じゃないよね。だから、胸を張ってみた。お姉さんなんだから、難しい話をしちゃいけない。お姉さん、といえば目の前の子もそうなんだ。
「ふたごの…おとうと。 そっか、かわいいんだ。私もね~、きょうだいおおくてね。でも妹も弟も、クロエちゃんみたいな年頃はすっごい生意気だったなあ~、…………、……………………」
首を傾げた。弟さんが、どこかに、いる、のかな?「る」のつく場所が、思いつかない。しかしどんどん遠くなっていく少女の声。透明なのに、聞き取れない。ここで。手を伸ばす…壊れちゃうかもしれない。でも、うん、と頷いて。
ちがう。
"いっしょじゃない"から
おとうさんと、おかあさんと、なかがわるいから、おとうとといっしょにいられない、とか?…さすがにちょっと込み入りすぎか。
「そっか、そっか~。…そっか、じゃあ、えっと、お散歩、してたの、かな?なにか探しもの?」
■白い少女 > かわいい、と弟の事を言われると、少しうーんという顔をしてから
ふるふる、と首を振った。
「かっ―――いい、おとうと――d―す。」
ちょっと顔を赤くして、そう言った。
恥ずかしそうに、はにかんだ顔は、ちょっとだけ儚さから遠ざかった気がして
でもすぐ、また透明になった。
「さ―――もの…
――――れ、みて――した」
これ、と、指を差すのは、訓練に使う剣だった。
■神名火 明 >
「……へ~、いいね! ごめんね、ちょっと聞き取れてなくて」
すこしだけ。生命のいきづきを、クロエから感じた気がして、嬉しそうになった。いきている、ということに安心してしまう。
「かっこいい、かあ。きっと、頼りになる男の子なんだろね」
おとこのこ。恋人のことを思い出すけど、頼りになる、という感じはしない。やさしいひとだ。
「これ?」
そっと、刃引きされた剣を両手で取った。彼女が手をつけてしまわないように、しかし見せるようにして自分の膝のうえに置いてみる。刃物の扱いには慣れていた。
「けん、だね こういうの、クロエちゃんはかっこいい、て思う? 弟くんがこういうのすきだったとか」