2020/09/10 のログ
白い少女 > 「――ん」

これ?といわれれば頷く。
剣は片手で振るえるもので、両刃の、訓練用のもの。
使い古されてるのか、ボロボロで、沢山の人が使ったのだろうとすぐにわかる。

「―――き、じゃな――です。
 ―――も、おとうと――、―――――――ら。
 がん―――てる―――を、―――るのは、s―き、―――す」

また、はにかむ。
弟の話は、嬉しそうに話す。
きっと、弟の事が大好きなのだろう。
とてもとても、大好きなのだろう。


「おいしゃさんのお―――さん。
 おとうとを―――たら、―――くs――て―――れたら―――しい、です。

 ――と、――――は、む――をs――から、―――ちゃを――――――ら、―――い――――ます。」

ぺこり、と、お願いするように少女は言う。
弟が誰かは分からないけれども、弟の事を見かけたら、仲良くしてほしい、と
そんな風に、言いたいのだろう。

神名火 明 >  
「じゃあもしかしたら、弟くんもこれをつかってるのかもしれないのかな~、剣がサマになってる感じ、かっこいい子。え~、気になる~!」

へえ~、って剣を翳す。剣をがんばってる、男の子。なんとなく、彼女の教えてくれた「おとうと」は、そういうイメージだった。おとなしいこの少女はきっと、そんな弟くんをみているのがすき。おとなしくて透明なこの子とはすこし違った、元気か真面目か、剣の似合う子なのだろう、と。

「きっと、がんばりすぎちゃう男の子なんだね」

ふかく頷いた。無鉄砲な男の子、という印象が上書きされた。無鉄砲で無茶をする人。そういう人にこそ、優しく厳しくしなきゃいけない。今自分が探している人もそうだ。

「クロエちゃんの弟くん。じゃあ、みつけたら。あなたに会ったって、いってもいいのかな?」

なにかこう、一緒にいられないみたいな…そういう込み入った事情を感じちゃうのはフカヨミしすぎなんだろうか。でも、としっかり受けあっておく。「おいしゃさん」って言われたからには、期待されてるのはそういうことだ。

「怪我してたら、ぜーんぶ私が治してあげるから。安心してね。それで、えっと…えっとね、その弟くんの、なまえ。もういっかい、教えてもらっていい?」

たぶん、聞き取れないかもしれない…けど、それがクロエとの縁になれるならと思った。

白い少女 > 「―――い、します」

あらためて、ぺこりと頭をさげて。

意を、決するようにもう一度言おうとする。

「おとうとのな―――は

 ”―――――”」


その声は、やっぱり、聞こえない。
言えないのが、伝わらないのが分かって、少しだけ、残念そうな顔を女の子はする。

でも、直ぐに笑顔に戻って

「あり―――う――z―――した。
 ―――と―――すの、ほん――――――
 ひs――し―――り、で―――た」

そう、お礼を言った直後。
瞬きをした瞬間に、白い少女は、いなくなっていた。
まるで、何処にも最初から、いなかったかのように。

ご案内:「訓練施設」から白い少女さんが去りました。
神名火 明 >  
「あ……………」

ちゃんと聞いてあげられなかったというのは傲慢かもしれないけど。瞬きの間に消えてしまった少女に…あまり驚きはしなかった。やっぱりそうなんだ、って妙に腑に落ちることがあったのだ。

「………クロエちゃんかあ」

よくあるといえば、よくある名前。日本人だと、どちらかといえば名字のイメージが強いけど、普通にある名前。剣を戻すと立ち上がり、周囲を見渡す。ばあ、ってクロエちゃんが脅かしてくれる、ということはない。

「人とあんまり話せないと、そうだよね、寂しいよね。もっと構ってあげたくなっちゃう。またあえたらいいけど。弟くんのことの約束も、果たさなきゃだな」

もうおいしゃさんじゃないけど、おいしゃさんとして期待されてしまった。まあ、お仕事でないにせよできることはするつもりだし、それはいい。でも。

「弟くんとおはなししたかったのかな」

そんなことをぼんやり考えて、記憶の棚のなかにそっと仕舞い込んでおく。いますぐにというわけにはいかない。自分は探し人をしていた。少しクロエの行方を探してから、踵を返して調査へ戻った。

ご案内:「訓練施設」から神名火 明さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に干田恭支さんが現れました。
干田恭支 >  
「うんうん、これでオッケーかな。」

今日も今日とて委員会のお仕事。訓練施設にある訓練器材の点検作業。
本当にいろんな仕事があるんだな、と感心しながらチェックリスト表の綴じられたバインダーを眺める恭支。
ついでに照明点検も終えて、今回のお仕事はこれで完了。……のはず。

「見落としが無いようにって渡されたけど、細かい項目までしっかり書いてあるなあ。」

このチェックリスト表を作った人は生粋の点検マニアだなあ、と間の抜けた感心をしながら施設内の廊下を歩いていく。
入学してもうすぐ半年。それでも学園の施設を把握しキレた気がしない。

干田恭支 >  
「あとはパイセンに報告入れて……と。
 ついでに少し体動かして行こうかな……」

先日、女子寮から学校まで全力疾走したら、思ってたよりもしんどく感じた恭支。
中学の頃は毎日10kmの距離を走ったものだったなあ、と思い返して遠い目をしてみたり。
中学の同級生たち、元気にしてるかなあ。

「……おっとと、黄昏てる場合じゃなかった。連絡連絡。」

慌ててジャージのポケットから取り出したのは、スマホによく似た、しかし別の物体。

ご案内:「訓練施設」に誉凧さんが現れました。
干田恭支 >  
「これも……結局何なんだろう、これ。」

初めて裏常世渋谷に迷い込んだ際に手に入れた謎の端末。
意識を失う直前に手元にあったのをそのまま持ち帰ってしまったのだが、いずれ元あった場所に戻さなければいけない気がしている。

「……でも、これで変身しないと戦えないしなぁ。」

初めてこの謎の端末が起動したのは、二度目の裏常世渋谷にて。
行方不明となった幼馴染を探しに今度は意識的に裏常世渋谷に潜ったが、小型の怪異と遭遇。
手も足も出ずにあわやというタイミングで端末が発光。
その際に『変身』のしかたが脳内へと流れ込んで来て、恭支は変身を経て怪異を撃退したのだった。

誉凧 > 訓練施設内にある柱の陰がすぅっと延びた。
…と共に影なのに波面が広がる様な感じがして小さな波が音もなく広がったと同時に、
影の中心からざばぁと浮上してきた人影が一人分発生。

その人影はきょろりと視線を泳がせる感じに意識をあちらこちらと向けたかと思うと、
訓練施設内を徘徊という名の一人見学会を続行し始めた。

「久方ぶりの訓練施設という名の実戦型訓練場です、学べるといいですね。」

干田恭支 >  
しかも『こちら側』ではうんともすんとも言わない代物。
しばらく端末の画面を指でタップしてみたり、意味も無く円を描いてみたりしたが真っ黒な液晶は恭支の顔を反射するのみ。

「は~、壊れてる訳じゃないってのは分かってるんだけど……あれ?」

諦めて視線を端末から前へと向けると、見覚えのある姿を見つける。

「おーい、イー先輩ー!」

見知った相手と確信するや、少し離れてるにも関わらず声をかけて近づいていく。

誉凧 > 異能を使わなくても布擦れの音、生物が発するとされる息遣いの音、
動く時に発せられる振動等を見える人より遥かに鋭く捕えられるすべを持つ誉は、
干田クンの声よりも気配に気づいたようで、彼がこちらに来てくれるのであれば大した近寄りもせずに待つ。

「はい 干田クン。こんにちはこんばんは、昼なのか夜なのかわかりませんが、お元気そうですね?」

一度遭遇しているけど、前は女子の様な外見だった様な…
男子制服に腕章といういで立ちを覚えている、記憶が間違っていなければ、

(前は彼女…今対峙している相手は彼?あれ、どういうことですか????)

相手は一体何方の性別ですか?という謎に満ちて不思議そうに干田クンを見ながら会釈と挨拶をかけたい。

干田恭支 >  
「えっと、まだ夜じゃないっすね。夕方でもないっす。だからこんにちはっすね!
 はい!元気っすよ。元気だけが取り柄みたいなもんなんで!」

成績もあまりよろしくないし、運動神経がずば抜けてるわけでもない。
ただ、小学校中学校と風邪知らずで皆勤賞を貰った事はある。
笑顔で挨拶してから不思議そうな顔でこちらを見ている誉凧を見つめ、小さく首を傾けた。

「何すか?俺の顔に何かついてます?」

自分の頬を手で撫でながら訊ねてみる。

誉凧 > 「ごめんなさい 全く見えないので時間の感覚が勘なの。
 時計は持っておいた方がよいのだと思うけど。その元気少しでいいから分けてほしい…わ」

全盲なので光すら見る事が叶わない。音声を発する時計や
受信機を携帯すればよいだけなのに前者が今不携帯。後者は普段から携帯しているのに時計はない。
時々暗号文を受信するからそこで時間の感覚を合わせているつもりらしいけどズレは生じる。

「ごめんなさい、前に会った時女子の外見していなかったかしら?
 今は男子よね??性別自由に変えられるのかしら???」

どうなっているのこれ、と言いそうな顔で疑問を直接聞き返してしまう。
あくまでも申し訳なさそうにじりじりと彼へと近づく―直に触って感触を確かめたいと無意識に。

干田恭支 > 「ああ、やっぱり見えてないんすね。
 楽譜落した事なんてそうそう気付かないわけ無いと思ったけど、納得っす。
 大変そっすね……一応時計台で時報の鐘とか鳴るんで、それを判断材料にすると良いっすよ。」

18時までっすけど、と笑いながら添える。
生徒の数がべらぼうに多い学園なのだから、五感が不自由な生徒もそりゃあ居るだろうと
誉凧が全盲である事については特に驚きもしなかった。

「ああ、そういうことっすか。
 異能の所為で男だったり女だったりするんすよ、俺。
 朝起きた時だけ発動するんで、男子だったりする日と女子だったりする日があるんす。」

自由には変えられない。変えられるようになりたいと思った事も無い。
自分の意思とは無関係、そして生活に少しばかり不具合が生じる為、恭支の異能には『疾患』の二文字が加えられている。

「それより、先輩の方こそどうしたんすか?
 こないだはもうちょっとカタい喋り方だった気がするんすけど。」

近付いてくる先輩にも怯んだりもせず、見えてないのだから視覚以外の手段で確認するのだろうと理解を示して。

誉凧 > 「異能や特殊技能など使ったら即気づくのだけど、
 あまり乱発していたら妙な指摘をされそうで使わないの。
 色々と落としたりしてすぐに気づけないのは仕方ないとして。
 大時計塔の音は賑やか過ぎて、ね…夕方6時以降が不明でダメでは。」

夕方6時以降から朝方何時だったかまでの時報の鐘が鳴らない。
そんな不都合極まりない不自由な制限ある時報の鐘は不要。
やはり音声で動く小型端末を手に入れて仕込むしかなさそうな気がしてきた。

「……え。男だったり女だったり?
 男女の違いとか変化はあります?背丈とか体の具合とか忠実に違う?…一寸失礼致しますね」

違いは果たしてあるのか、なければ女子の日とかあったのならば
あれは過去の記憶が正しければだるい事この上ないと。
果たしてそんなことが日によって生じるのかはたまた近づいて一言詫びてから、
少し背伸びをしてさわさわと優しく触ったのは彼の頭でした。触るのが一番絶対。
触りながら かたい喋り云々と聞こえて

「あ、若干今日はメイドじゃないのでメイド成分を抜いたらこんな具合に」

今日は第一艤装、和風ゴシック衣装とかいう聊か変わった格好。

干田恭支 >  
「そうなんすね。じゃあ、しょうがないっか。
 だって夜中にゴンゴン鳴られちゃ寝られないっすよ。
 だから18時までなんじゃないっすかね。あ、夏場は19時も鳴るらしいっす。」

少なくとも昼間の時間が分かれば生活には支障ないのでは。
夜になれば家に帰れば良いだけの話……だと恭支は思う。

「んーと、体型ががらっと変わるっすけど、それくらいっすね。
 身長が14センチくらいだったかな、低くなるっす。後は胸とか腰回りとか。」

幸か不幸かまだ女子の日に当たった事は無い。
そもそも見かけの変化はあれど、内臓までちゃんと変わっているのか精密な検査を受けた訳でもないので分からない。
見た目が変わるだけで思春期の男子的には大問題な気もするのだが、干田恭支は自分の変化をわりとすんなり受け入れた。

「確かにメイド服じゃないっすけど……服装で話し方変えてるんすか?
 それと……頭撫でて何か分かるんすか?」

わしゃわしゃ撫でられながら誉凧の出で立ちを改めて見やる。
どういう取り合わせなのか、恭支には少し理解が及ばなかった。似合うか似合わないかで言えば、似合うとは思うものの。

誉凧 > 「夜中に鳴り響く鐘の音…慣れたら寝られますよ。
 ようは慣れるか否かです。夏場はもうすぐ終わるからもうすぐ18時までね」

夏場が果たして9月末日まで指しているかは分からなかったという。
四季の概念をきちんと覚えているかが明確ではなく
最近季節の気候がズレにずれているので分からないわ、
と言うことで。

「体型がかわ…変わらないと大変よ。メインは男子なの?女子なの?
 まぁ胸と腰回り…そうなると脂肪分から骨格大元から変わってるわ…怖」

内臓…女の子専用の内臓とか男の子専用内臓とかあるけれど
腰回りが変わっているということを聞けばそれは骨が変わってるわ、とぞっとしたとかなんとか。
見えない代わりに視覚以外の情報を視力以外で判断する方にとっては性別が変わると判断に数秒間が開く。

「そう、敢えて変えているようにしてるかな。
 分かるのは背丈とスタイルとか体つきとか顔つき?
 頭をなでているのは何となく。」

わしゃわしゃさわさわなでなでと思春期の男子の頭のてっぺんから顔、顎下、首を触ってる。
ここが顎下、鼻、眉間…触り方は怪しくもなくきちんとした無駄のない触り方だった。
一しきり触り終えると 堪能した顔となり艶っとした顔色でゆっくりと離れようと

干田恭支 >  
「そう簡単に慣れらんないんだと思うっすよ。
 人それぞれって奴っす。それに、寝られる寝られないは学生には死活問題っすから。
 そっすね、9月いっぱいじゃないっすかね。空が明るいかどうか、がラインだと思いますし。」

睡眠不足は大敵だ。そういう意味でも夜間の時報は自粛されているのだろう。
学園設立当初はどうだったのかは、恭支には与り知らぬところだが。

「一応メインは男子っす。少なくとも、異能が顕れるまでは。
 俺からしてみれば、起きたら女子になってるってだけでそこまで怖いもんでもないっすけどね。」

寝てる間に切り替わっているのか、起きた瞬間に切り替わるのかまでは分からない。
だが、感覚から多分後者だろうと本人は予想している。
厄介な異能を授かったものだが、やっぱり恭支本人はさほど気にしていない。

「ふーん、気分で変えてるんすか?
 俺なんて性別変わっても話し方変えようとは思わないのに、何かスゴイっすね。」

そっか、何となくかー、とすんなり受け入れて触られている。
特に不快感は覚えなかったから、大人しくされるがままだ。
こういったコミュニケーションも視覚が機能していないが故なのだろう、と納得して。

「あ、もう充分っすか?
 そういや、前に言ってたっすけど。確かに先輩大きいっすね、胸。」

満足げに離れる誉凧を見て、爽やかな笑みを向ける。
そして続く発言はデリカシーの欠片も無いものだが、まるで世間話のようにいやらしさなどは微塵も感じさせない。
そう思ったから言ったまで、と言わんばかりで。

誉凧 > 「小さいころから大きい音に慣れて過ごしてしまうと
 …よく寝られる方法は慣れるまで時間はかかるけど、
 四肢の力を一つずつ抜いていき目を瞑って練る事ね。
 数秒で寝られるからお勧めしておきます。

 太陽は眩しいとは思うの、久が肌を照らし焼き尽くし…」

睡眠不足は後々の睡眠負債となって襲い掛かってくる。
学園設立の事はおろかつい数か月前にこの島に来たので分からないことだらけ。

「男子。厄介な異能ですね。性別反転がそもそも想像ができないわ…。
 まぁ、この体を手に入れるまでは私も無性だったけど。
 服装とTPOで変えてる。今のところ4つの服装があるから
 その内 その時の喋りは分かるのかも。」

人ですらなかったのでこの体を手に入れて
いざ起動したら女子型高機動端末だったというオチがついた。
電脳化する前は人外種だったことをうっすら思い出して
やはり性別があるっていいわと誉は思ったという。

ついこないだ知り合ったばかりの男子の顔や体を触って堪能したが、
一歩間違えれば完全なセクシャルハラスメントそのものであって。

「これだけ触ればよいのでは。
 これ以上触るとセクシャルハラスメント直行よ、
 通報されたら軽く始末書になってしまうから程々がいいのよ。
 胸、まぁ 元が大きいから仕方ないのよ、ずっしりとね。」

デリカシーなくても気にしていなかったのか、これ三桁あるのよ、と
世間話のようなやり取りになってしまう、胸部装甲と一部の界隈では言うらしいけれど、
とある事情で大きいのは仕方ないのよ、て溜息を吐いて。