2021/03/02 のログ
ご案内:「青垣山 廃神社」に黛 薫さんが現れました。
黛 薫 >  
見下ろせば、居住区の明かりがよく見える。
闇があるなら光も有る。賑やかな街並みの光は
この島で生きる学生たちの輝きそのものだ。

そんな光から、遠く離れた廃神社。
寂れた境内の更に奥まった暗く湿った場所で、
パーカーにすっぽり包まって座る少女の姿。

「……寒……」

遠く輝かしい世界を見下ろして独りごちる。
動く気力が湧いてこない。

黛 薫 >  
鬱々とした気持ちで安っぽい水筒の中身を啜る。
公園の水飲み場で汲んだ水に大量の砂糖と少量の
塩を溶かした、贔屓目に言っても美味しくない
生きるためだけの飲料だ。

人間、水とカロリーさえあれば意外と死なない。
しかしそれだけで生きられるかどうかは別問題。
身体の栄養はもちろん心の栄養、平たく言えば
楽しみが無ければ人は生きられない。

──タバコが吸いたい。

都市の喧騒から離れた清涼な空気の中にいると、
馴染み深い濁った煙が恋しくなる。どう考えても
葉っぱを燃やした煙よりは山の空気の方が美味しい
はずなのだが……これが中毒というやつか。

黛 薫 >  
『楽しみ』という表現は些か似合わないものの、
彼女にだって生きる糧となる心の栄養はある。
だが今日に限っては……どれも手元にないのだ。

分かりやすく手に入りやすいのは、酒や煙草。
別に美味しいとは思わないけれど、あれば嬉しいし、
いつの間にか無ければ苦しいと感じるようになった。

買おうと思えば買えるだけのお金は手元にある。
しかしこのお金は風紀委員から恵んで貰った物。
果たして風紀から貰った金で風紀に反する物を
買っても良いのか、と思うと手が伸びない。

そんな下らないことで悩むなら最初から校則に
反することなんてしなければ良いのに、という
声がどこからか聞こえた気がして余計に気分が
落ち込んでいく。

ご案内:「青垣山 廃神社」に芥子風 菖蒲さんが現れました。
ご案内:「青垣山 廃神社」にシャンティさんが現れました。
黛 薫 >  
即物的な楽しみが絶たれると心は簡単に腐って、
何もかも投げ出して終わりにしてしまいたいような、
破滅願望と呼ぶには小さすぎる、でも自分の世界を
簡単に終わらせられそうな悪魔の囁きがやってくる。

そういうときに辛うじて自分がまだ生きていると
思い出させてくれるのは、痛みであり、血だ。
自分を傷付けると、少しだけ頭がはっきりする。
自我さえ取り戻せば、悪魔の囁きに耳を貸さずには
済むのだ……少しの間ではあるけども。

1番手っ取り早いのは、手持ちの刃物で腕を切ること。
それなのに今の自分は手当を受けて、新しい包帯が
腕全体に巻かれている。

人の親切を無碍にする行為は心が落ち込むばかり。
自傷の後に訪れるであろう自己嫌悪を思うと……
どうしても手が動かない。

黛 薫 >  
そして何より目下の問題。
何かしらの栄養を心に与えなければならない、と
切羽詰まっている理由は……薬物の離脱症状だ。

常習していれば当然、快楽を得られる時間よりも
薬が切れて苦しむ時間の方が圧倒的に長くなる。
最後に服用したのは3日か、4日前だったろうか?
珍しく『波』が来ないから、今回は軽かったなと
油断していたら、この始末。

苦しくて、頭がどうにかなりそうで、それなのに
何も打てる手が残っていないのが現状だ。

「……頭痛ぃ……」

神頼み、なんて殊勝なことを言うつもりはないが、
こんな場所で1人になっているのもそれが理由。
騒ぎを起こしたばかりで、落第街で寝るのはやや
気が進まなかったのもあるが。

シャンティ > かつ かつ かつ かつ
小さな足音を立てて女は歩く


『寂れた境内の奥。少女はパーカーに包まって座っている。思いに悩み、沈み込み……今また、呟く。「――」』

女は静かに謳うように語る。そして――

「あ、らぁ……? こぉ、んな……ところ、にぃ……どう、した……の、かし、らぁ……?」


今度は気怠げな声で女は続けた。不思議と、彼女には視線がない。

芥子風 菖蒲 >  
青垣山。未開拓地区に連なる山々を進みぬく少年が一人。
何時ぞやの大規模戦闘に参加した結果、手痛い傷を受けて病室で安静の診察を受けた次第だ。
とは言え、何時までもじっとしていられるほど自らの"未熟"を受けいられる程大人しくは無い。
異能のおかげで、治りは早い方だが、如何にも医者と言うのは許してくれない。
なので、"抜け出してきた"。

「寒いなぁ……」

今日はやたらと空気が冷える。
肌寒さにぼやきながら、とんとん拍子と山道を進む。
あの時錆びた武具の修繕も終わっている。山籠もりなんて、今時では在るが、効果はある。
とりあえずと言わんばかりに歩いていれば開けた場所に出た。
神社だ。人がいる気配は無いが、代わりに人影が二人分。

「……あれ?」

なんだか、何方も見たような姿だ。
一人は直接、もう一人は資料で見たような姿。
少年は躊躇なく二つの影に歩みを進める。

「ねぇ、何してるの?そっちの人、苦しそうだけど」

黛 薫 >  
……声が聞こえた。この時間、こんな寂れた場所に
人が来る道理はないはすだ。何より人がいるなら
感じるはずの『視線』の感触がない。

(……幻聴、かぁ……)

今回の症状はきついな、と思ってはいたけれど。
こんなに早く幻聴が聞こえるとは思わなかった。
幻聴に耳を貸すと精神状態は余計に悪化すると
聞くし、無視を決め込むつもり……だったのだが。

「……ぁ?……ぇ、は……?」

再び声が聞こえた。しかも今度ははっきりと。
ただし、次は別の方角から男性の声が。
朦朧とした意識の中、思わず動揺が口から溢れる。

(……どっちが幻聴……いや、どっちも……?)

シャンティ > 『痛手を引きずる少年が、一人。「――」』

わずか、女は謳い


「あら、ぁ……お客、さん……が、もう、一人ぃ……ね、ぇ……ふふ。」

くすくす、と笑う


「ふふ、こわ、がら……なく、て……いい、わ……よ、ぉ……? 別、にぃ……私、は……ただ、の……散歩、で……きた、だけ、の……人ーーだ、ものぉ……」


笑いながら少女に向かって続ける

芥子風 菖蒲 >  
「……ああ、思い出した」

片方はあの時の大規模作戦で妨害をしてきた女性。
もう一人は風紀委員の監査報告に乗っていた要注意人物。
少年は"職務に真面目"な方だった。
目を見開き、瞳孔が細くなれば獣のように僅かな敵意が寒風に乗る。
だが、ほんの少しだ。刀を抜く事は無く、頭を振れば青空はいつものように穏やかさを取り戻した。

「ねぇ、大丈夫?なんだか全然大丈夫そうに見えないけど」

遠慮なく近づいてしまえば、少年は薫を見下ろす。
フードで顔色は伺えないが、余り芳しい状態ではない。
素人目でもそれはわかる。青空の視線は、すぐにシャンティへと移った。

「ソッチのアンタは何とか出来る?俺、こういうのよくわかんないんだよね。
 なんか色々出来るっぽいし、治したりできない?頼むよ」

昨日の敵は、等と言う概念は無い。
少年はただ、自分の力を弁えている。出来ない事は出来ない。
だから、どんな形であれ出来そうな人間に頼ろうとしたのだ。

黛 薫 >  
「い゛……ぁ、ぅ……」

ほんの一瞬、明確に突き刺さった『敵意』の視線。
それが現実か幻覚かの区別はつかなかったが……
脆くなった精神は不安定で、咄嗟に身を守るため
刃こぼれしたナイフを取り出して構えた。

しかし。

「……違……ぅ、いない……?」

混乱した彼女が切先を向けたのは近くにいた方の
女性で……『視線』を感じないために幻覚と判断。
幸運にも、錯乱に任せて刃物を振るいはしなかった。

シャンティ > 「ん……あ、らぁ……?」

人差し指を唇に当て、考える。まるで、自分が認識されていないようだ。別に隠形を掛けているわけでもない。どころか、声まで掛けている。それでも、存在を認識しない……もしくは、認識しようとしない、ということだ。

「そう、ねぇ……君、の……質問、にぃ……答え、る……な、らぁ……多分、この、子……気持ち、が……参って、いる……方、だと……思う、わ、よぉ……? だ、か、らぁ……」

唇から人差し指を離し、少年の方に向けて小さく振る

「敵、意……なん、て……だ、め……よぉ……? よけ、い……悪く、し、ちゃ、う……からぁ……?」

くすくすと笑う。笑いながら少女の方へ歩みをすすめる

「いな、い……扱、い……な、らぁ……こわ、く……な、い……の、かし、ら……ね、ぇ?」

芥子風 菖蒲 >  
「おーい、生きてるー?寝ると風邪引くぞー」

とりあえずこういうのは意識を語り掛けるのが大事らしい。
意識を途切れさせないように云々かんぬん。よくわからないけど。
それにしても、ちょっと声掛けが雑なのはどうなのか。
悪意は無いので、単純に教養が出てる。

「困ったなぁ……」

このまましょっ引いてもいいのだが、行き倒れられては後味も悪い。
うーん、と困り顔を傾けて、シャンティの言葉にさらに眉間に皺を寄せる。

「……要するに、落ち込んでるって事?病気とかじゃなくて?」

それにしてはその凹み具合は深々としていそうだけど。
続く言葉には、む、と目を細めた。

「俺はアンタがしたことを忘れた訳じゃない。
 けど、この子を怖がらせたのは謝るよ。ごめん」

色々と納得はしないが、それよりも今はフードの彼女のが心配らしい。

「それで、どうにか出来るの?いない扱いっていうけど、コイツそもそも俺達の事見えてるの?」

シャンティを横目で見やり矢継ぎ早に問いかけた。

黛 薫 >  
「あ、ぇ……?」

足音も、特徴的な喋り口もはっきり聞こえる。
幻聴というにはあまりにクリアで、近づくにつれ
そこに『人がいる』という感覚が明確になる。

それなのに、相変わらず『視線』だけが別の方向から
感じられる。何かがおかしい、とようやく気付いた。
幻覚なら『おかしい』とすら思えないはずなのに。

女性の姿、幻覚でない彼女は確かに目の前にいて。
『視線』は別の方角から来て、聞こえた声は女性と
男性の2人分だった。

ここまで情報が出揃えば、平時なら現状を把握するに
何の苦労もなかったところだが……今はどうしても
頭が働いてくれない。

それでも『幻聴でも幻覚でもなく、自分以外の誰か
がいる』点についてはようやく思い至ったようで。

「おはようござ……いぁ、違う、違うから……
こ、こんばんは……?ごめ、あーし、ちょっと、
今……頭が、痛……ぁ、それも、いや、違わな、
でも……そう、あーし……ぼんやり、して……」

呂律が回らないながら、相手を認識できたことを
どうにか伝えようと試みる。

シャンティ > 「あ、ら、あらぁ……こ、わぁ、い……私ぃ――あな、た、に……なに、か……した、かし、らぁ……? あなた、に……なに、か……した、覚え……なん、て……ない、の……だけ、れ、どぉ……」

少年の言葉に女はくすくすと笑う。其処には何の証拠もないのだから

「ん……あ、ら……す、こぉ……し、落ち、ついた……みた、い……ね、ぇ……?」

呂律の回らない調子、ぼやける思考、伝わる挙動不審。しゃがみ込み、耳元に口を近づける


「だい、じょう、ぶ……よ、ぉ……わか、って……る、から、ぁ……貴女、の……不安、も……困惑、も……苦しみ、もぉ……」

小さく囁く


「そう、ねぇ……特効、薬……と、は……いか、ない……わ、ねぇ……? ま、ず……"安心"、して……休め、る……場所、が……大事、だ、しぃ……?」

少年に向き直って悪戯っぽく笑っていう

芥子風 菖蒲 >  
「俺の事はいいよ。俺の仲間が結果的に傷ついた。それが許せない」

白を切ろうともこつ然として言及する。
自らの命は誰かを守るため。その為に邪魔する相手は誰であろうと倒す。
"躊躇の無さ"。それが少年の危うさと強さだ。
自制の鎖を今か今かと理性の獣が噛み千切ろうとしている。
シャンティに投げかける低い声音は、必死に抑えている敵意の表れだ。

「──────……」

何処まで胡散臭い言葉だが、これを解くのは今じゃない。
刀を握り締める手に力が籠るも、深呼吸。
此方も気を落ち着かせる。

「……あ、落ち着いたんだ。そっちも」

その頃には、フードの少女の気も幾許か落ち着いたらしい。
ぱちくりと瞬きすれば、薫の方へと視線を移した。

「まぁ、多分こんばんはかな。頭痛がするの?
 風邪薬とかもってないなぁ……とりあえず、その辺で横になったら?
 ボロボロだけど、屋根がある場所あるし。話し相手には困らないんじゃないかな」

二人いるし、とシャンティを一瞥し。

「でも、ソッチの女の方は話半分に聞いた方がいいよ。
 きっと、今のアンタに役に立つかもしれないけど、信用できるような人じゃなさそうだし」

黛 薫 >  
自分以外の誰か……恐らく2人?に囲まれていると
気付いてからの行動は素早かった。酷い倦怠感に
襲われて重い身体を無理やり動かし、背もたれの
代わりにしていた鳥居の残骸に後頭部を叩きつける。

「痛っつ……いや、でも、いいぞ、そう……。
よし、よし……あー、ぅー……痛いな、うん」

知らない相手の前で無防備を晒すことへの危機感も、
人前でみっともない姿を見せてしまうことへの羞恥も
辛うじて失っていない。己を強いて束の間の正気を
取り戻した。

ショックによる覚醒はどうせ長く続かない。
しかし離脱症状だっていつまでも続きはしない。

「分かってるとか、初対面の相手にそーゆーの、
よく軽々しく言えたもんですね、はぁ……もぅ。
いや、あーしが分かりやすかっただけか……。

で、ぁー……もう1人、そう、もう1人っすね……。
あーしからしたら、どっちも一緒っすよ。
初対面でどっちが信用できるとか出来なぃとか、
まぁ?話し相手には?困らねーっすけどさ……
どっちかってーと、あーしの方が話し相手として
不適切じゃねーの?みたぃな、ぁー……」

未だ敵意の『視線』を拭いされていないのもあり、
必要以上に剣呑な言葉ばかり口にしてしまう自分に
また自己嫌悪。浅い呼吸を繰り返しつつ、冷や汗で
張り付いた前髪を押さえる。

「……いぁ、ごめんなさい……あーし、やっぱ、
今ちょっと、ァレなんで。お二人とも、その。
心配?みたぃな……してくれた、すよね、多分」

シャンティ > 「そ、う? 信用、でき、なぃ? あら、あら、ぁ……意地、の……わるぅ、い……子、ねぇ……ふふ。私、はぁ……よわ、って、いる……もの、の……味方、よぉ……?」

少年の言葉などどこ吹く風と、くすくすと笑う

「そう、ねぇ……ふふ。ちょぉ……っと、言い、すぎ、かし、ら……ね、ぇ?」

少女に向けて、笑みを向ける。そうやって対してみてもやはり視線が存在しない

「そう、ね……そう。私、は……心配……彼、はぁ……そう、真面目、だか、ら……かし、ら……ね、ぇ?」

少年の方に顔を向け、また笑う

「ま、ず……は、ぁ……深、呼吸、でも……し、てぇ……息――とと、のえ……ま、しょう……?あ、と……汗。ほ、ら……これ、使って……いい、わ、よぉ……?」

清潔なハンカチを少女の前に差し出す

芥子風 菖蒲 >  
「俺も本調子じゃないんだけど。その場合、アンタは俺の味方でもあるってこと?」

なんだかんだ結構突っかかる。
それ位、シャンティの事が気に入らない様子だ。
む、と横目で見ていると……。

「あ」

ごちーん!
良い感じに良いのが入った。
あれは結構痛い。わかる。だって。

「やるよね、ソレ。良い感じに気が逸れるし」

自分も"よくやる"。
新しい痛みで何かを上書きする。
その方が意識もはっきりするし、いい気付け方法だ。

「?まぁ、一応心配はしたかな。目の前で野垂れ死なれても面倒くさいし」

淡々とそっけなく、ハッキリと答えた。
実際それ以上でもそれ以下でもない。
"職務に真面目"なのは間違いない。

「謝られるようなことはしてないよ。んー……」

隣でハンカチを差し出すシャンティをみて自分もコートを弄ってみる。
何かないか、と思ったらポケットにあった。
クッキー型の携帯食料だ。味は……パサパサの無味なのは覚えてる。

「食べる?」

なんて、薫の方に一緒に差し出してみよう。

黛 薫 >  
「はー……ぁー、ありがと、ございます、はい。
えと……あーたは……いや、うん……うぅん……?」

ハンカチを受け取り、呼吸を整えつつ銀髪の女性を
観察する。褐色の肌に陰のある雰囲気。浮世離れした
雰囲気こそあるものの……間違いなく幻覚ではない。
言葉も通じるし、確かに自分含む2人を認識している
……それなのに『視線』だけがないのだ。

「……そっちの?お兄ぃさんのお知り合い、すか?
ぃあ、何か剣呑つーか……アレですけど、その。
あ、クッキーは頂きます」

違和感を直接問うのも躊躇われて、男性の方から
探りを入れようと試みる。恐らくは知り合い……
しかしどちらかと言うと喧嘩相手、敵対者のような
雰囲気だから、あまり期待はできないか。

と、いう打算は即座に食欲で上書きされた。
まともな食料というだけでもありがたいのに、
携帯食料というものは大体栄養が詰まっている。
落第街の住民には垂涎ものだ。口の中渇くけど。

「やってから言うのもアレっすけど、あーしだって
痛いのは嫌すよ、ょくやるのはおかしいと思ぃます」

シャンティ > 「ん……そう、ねぇ……つい、さっき……会った、のが……知り、合い……って、いう、ならぁ……知り合い、よぉ……?」

少女の質問に悪戯っぽく笑って答える

「そう、よねぇ……? ふふ。あぁ――勿論……君、の……味方、でも……ある、わ……よぉ……愛し、て……あ、げ、るぅ……」

相変わらずの笑みを含んだ顔。しかし、其処には一切の飾りも悪戯っ気もなく、純粋な表情で少年に向かって言葉をかける


「そう、ねぇ……自傷、行為、はぁ……感心、しない……わ、よ、ねぇ……? あなた、おか、しい……わ、よぉ?」

少女の言葉に乗って、くすくすと笑う。そして

「あら……おな、か……すい、て……る、のぉ……? じゃ、あ……チョコ、たべ……るぅ? 紅茶、で……よけ、れば……ボトル、のも……ある、けれ、どぉ……」

最近、"物資"は何かと必要なので用意はある。その一つを取り出してみせた

「ん……それ、に……して、もぉ……風邪、薬……よ、り……痛み、どめ……とか、かし……ら、ねぇ……?……お家、とか……かえ、れる……のぉ?」

ぽつり、と小さく呟く

芥子風 菖蒲 >  
「知り合い……と言うか敵?多分ね」

意地の悪い返答とは対照的に素気ない返事だ。
嘘も悪意も無く、言われたままに答えている。
機械的とは違うが、少年が思うままの事実を答えてるに過ぎない。

「ソレ、あんまり美味しくないけどね。
 ……別に、俺だって痛いのは嫌だけど、それが手っ取り早いならしないかな?」

結果的に今がマイナスでも後にプラスならそれでいい。
その"過程"が如何なる物でも一切の"躊躇が無い"。
異常性を感知できない少年は、不思議そうに眉を顰めた。

「俺の味方って言うなら、今度は邪魔しないで欲しいけどね。
 ……愛してあげるって言うのは、よくわかんないけど」

更にシャンティの言葉に首を傾げた。
"愛"と言う言葉自体に余り感受性が働かない。
とは言え、警戒心は未だ緩めない。
……まぁ、それはそれとして不思議な事には目を丸くする。
紅茶もチョコも、持っているなんて、なんて用意が良い。

「……随分と用意が良いんだな、アンタは。
 もしかして、お茶を飲んだりするのが趣味なの?」

思ったよりもセレブリティなのかもしれない。

「あ、一人で帰れないって言うなら担いで帰れるけど。家何処?」

女性の扱い×

黛 薫 >  
『自傷行為は感心しない』という言葉は男性を
揶揄うためのものだと理解してはいるものの……
2人が来る前、離脱症状から逃れるために自傷を
考えていた少女にもクリーンヒットし、渋い顔。

「えぁー、良いんすか、やったチョコだ。
惜しぃな、あーしが何か出せるモノ持ってたら
ちょっとしたパーティっしたねー、これは。
……砂糖水とか……飲みます……?」

しかし飲食物をチラつかせられると途端にご機嫌。
クッキー(味無し)とチョコレート、紅茶でここまで
はしゃげる少女のお財布事情は、まあお察しである。
というかまともな生活をしている人物ならわざわざ
水筒に砂糖水(塩分含む)を入れて持ち歩かない。

「ぁー……あーし知ってる、こーゆー関係。
アレっすよね、ケンカップル?ってーの?

あーしは帰れないつか、今日帰りたくなぃから
ココにいるんすよね。あと女の子相手に担ぃで
帰るってのはダメっしょ、減点っす」

そして『愛してあげる』とか言うから少女の脳内では
随分関係が拗れてしまったようだ。愛の言葉ひとつで
勘違いできる少女に批判される謂れは多分ない。

因みに美味しくもない携帯食料は不満も漏らさず
美味しそうに食べていた。普段の食生活が偲ばれる。