2019/02/09 のログ
ご案内:「美術準備室」にアガサさんが現れました。
ご案内:「美術準備室」におこんさんが現れました。
■アガサ > 切っ掛けは、常世島に幾つか存在するSNSの書き込みだった。
『疲れたら息抜きにいらっしゃい』と、簡素ながらも試験期間の生徒を慮るモノ。
私は──その書き込んだ主、美術教諭のヨキ先生を良くは知らないけれど
良く知らないからこそ、ちょっと顔を出してみようかな?なんて、思った。
「お邪魔しまー……あれ、誰もいない?」
時刻は放課後
顔を出したら偶々なのか先生は不在で、けれども引き返すには持ち込んだ御菓子に悪い気がして。
そんな建前を心に立て掛け、その実興味本位で無人の美術準備室の彼方此方を見てみたりする。
奥の机は多分きっと、触れない方が良いだろうから、壁際に整然と並んだ作品群を眺めてみたりだとか、
キャビネットに置かれた、分厚かったりいやに薄かったりする色々な書物を手に取ってみたりだとか。
生憎と審美眼は無いから、綺麗だなあって感想くらいしか抱えられないのだけど。
■おこん > (ヨッキの所に遊びにいくことにした。 いつも通ってはいるのだが、
SNSで「疲れたからいつでも遊びにきてね」と書いてあったからである。
おかしも食べたいしお茶も飲みたいし、何ならヨッキにじゃれついたりしたいのだ。)
ヨッキ、ワシじゃよー。 なんか食べさせてー。あと尻尾櫛ったりしてー。
(遠慮なく美術準備室のドアを開けて挨拶しながら踏み込む。
先客がいるのを見て、おや、と尻尾を揺らした。)
おお、ヨッキの生徒かのう。 どうやら誰もおらんようじゃな…。
これは困ったのう。 客人もおるのに何も出さないわけにもいくまいて。
仕方ない仕方ない。 菓子の一つもなければ失礼というものじゃよな。
(つらつらと言葉を告げながら近くにあった棚の扉を開け、
「おこん用」と書かれたクッキーの入っている缶を取り出して蓋を開け、彼女に差し出した。)
まあヨッキが来るまでじゃ。しばらく待つがよかろう。
(クッキーを自分の口に放り込みながら彼女にうなずきかける。)
■アガサ > 鼻に届く不可思議な匂いは画材だろうか。
それとも歪に整えられた不可思議な彫塑の素材だろうか。
判らない事しか解らない。そんな昔の哲学者のような思考を抱えた挙動不審な所作の折に──
「おや。生憎とヨキ先生は留守みたい──」
──何か来た。
いやいや何かじゃなくて小さな子。
でもなくて、おこん先生が来た。
振り向いた時に目に付いた小ささに何時のも調子で声が出かかって
「──っておこん先生じゃないですか。あれ?先生って美術系も受け持っていた……訳じゃなさそうですね」
慌てて畏まって、次にはちょっぴり言葉が訝しむ。
おこん先生は異文化コミニュケーション的な学問を教えている先生で、私も授業を取っているから知らない人じゃあない。
先生からすれば、私は大勢の生徒の一人だろうから、面識具合に差があるのも当然ってものだろう。
「どちらかっていうとおこん先生の生徒ですよう私。と、それはともかく……おこん先生、お腹減ってるんです?」
勝手知ったる我が家のように戸棚を漁り、クッキー缶を取り出す先生に訝し気な様子はもう無い。
だって行動があまりにも子供っぽすぎるんだもの。差し出された缶からクッキーを受け取り、
入れ替わるように持ってきたお菓子の袋を差してみた。中身は、色々なドライフルーツやヌガーの類。
■おこん > そうじゃぞー、ワシじゃぞー。 おお…おお、そうじゃったのう、生徒じゃったな。
いやー、ワシったらお年寄りじゃから、生徒の顔を時々忘れてしまうんじゃよね。
(クッキーをもりもり食べながらも、欠片をこぼさないよう細心の注意は怠らない。
美術準備室は色々貴重な物があり、欠片をこぼしたらヨッキに怒られてしまうのだ。)
お腹すいとるかすいとらんかでいったら、すいとる。
あのなあー、ワシの授業はなあ~~~~テストが大変なんじゃよー。
実際に生徒が他の世界のやつにどう振る舞うかを観察せねばならんでな。
それをつぶさに観察しなければならんで、ワシの体力も精神力もすり減るわけじゃな。
ほう、ほほーう! なんじゃー? おぬし持っとるなあ~~~~~! ちょっとわけて!
(彼女が提示したお菓子の袋を見てぱあっと表情を明るくした。
フルーツもヌガーバーも大好きなのだ。 9本の尻尾がゆらゆらと揺れた。)
■アガサ > 九本の尻尾を緩やかに揺らす先生を真近に見ると、やっぱりどうにも不思議だなと思う。
九尾の狐。妖怪の中でも大層なビッグネームなことくらいは、私でも知っている。
おどろおどろしい逸話も幾つかは当然。でも面前の先生はとてもそうは見えないから、不思議だなと思う。
「何言ってるんですか。つぶさに観察しないといけないのに、生徒を忘れてどうするんです?」
まるでそれじゃあ君は狸じゃないか。と、出かかった言葉を飲み込む。
「わ……どうぞどうぞ。あ、こっちの緑の包装が珈琲風味で、赤いのがチョコレート、黄色いのはアーモンド入りですよ」
稚気を隠しもしない先生にお菓子の類を差し出して、そのままついついと頭にある人ならざる狐の耳に手が滑る。
「……やっぱり良く聞こえたりするんですか?」
ふにふにと、柔らかい。当たり前だけど本物の耳だ。
■おこん > わっはっは、一本取られたのう! 流石ワシの生徒じゃな、つぶさな観察による適切なツッコミ!
うむ、えらいぞえらいぞ! おぬしの成績ちょっと足しとくでのう!
(からからと笑いながら彼女のツッコミに何度もうなずいた。彼女はできる生徒だ。
間違いない。お菓子もくれるし。)
ウム、なるほどなるほど…。 ワシねえ、まず赤いのがいいな、赤いの。
何しろ赤というのは魔を打ち払う色じゃからのう。縁起がよいからのう。
まあ、チョコレート好きなだけじゃけど。 そんじゃあいただきます!
(彼女に手を合わせてから、遠慮なくヌガーバーの赤いやつを抜き取る。
べりべりと包装を破いている所で、彼女の視線に答えるように顔を上げた。)
そりゃあワシの耳とあらば、千里離れた針が落ちる音も聞いてのけるくらいじゃからな。
都合によって悪くなったりすることもあるがのう。 なんじゃー、気になるのかー?
それなら、ほれ。 お菓子くれたお礼に存分に触って良いぞ。尻尾もじゃぞ。
(軽い調子で相手に答える。 興味があるなら、やはり何事も体験するのは大事なのだ。
ヌガーバーをもちもちかじりながら、彼女に頭を差し出した。)
■アガサ > 「え、ホントに?やった!」
思わぬところで思わぬ加点。良かった狸と言わなくて。
そう心裡で安堵の溜息を吐く傍らで身体の方は首を傾げる。
「チョコレート嫌いな人って早々いませんしー? 丁度時節的も色々なチョコレート、お店に並ぶし丁度いいかなって
……ただおこん先生って異邦人ではなくて妖怪……なんですよね?魔、祓っちゃうなら赤色って不味くないんですか?」
べりべりとチョコバーを剥いて被りつく先生に気になる所を訊ねもし、許可が出たなら曰く地獄耳という耳を触り続けたり、ちょっと引っ張ってみたり。
「尻尾も良いんですか?……あ、そういえば来た時に櫛けずったりと言ってましたね。……ちょっとやってみてもいいです?」
百聞は一見に如かず。なんて言葉があるなら百見は一動にだって如からなくていいはず。
私は好奇心を刺激されるままにソファに移動し座り込み、手には自分の櫛をちゃっかりと構えて隣を叩いて先生を招く。
■おこん > おう、ホントじゃぞー。 冗談をいうのも観察眼あってのことじゃからな。
正しき目があるものならば、適切なタイミングで冗談を言うことができるんじゃよー。
(喜ぶ彼女に、ヌガーバーをかじりながらウムとうなずき返す。
続けての彼女の問いかけには、ヌガーバーかじるのをやめて小さく唸った。)
そうじゃなあ。 魔であることと、妖怪であることは同じではない、ということじゃな。
例えば、そうじゃなー。 悪い妖怪をやっつける正義の妖怪とかよくおるじゃろ。
もっとも、悪しきものと善きものの区別は曖昧なんじゃが…。
少なくても人間に危害を及ぼすものは、昔から悪とされておるでな。
まあその点ワシはじゃなあ、善悪に収まらぬ純粋な力みたいなところあるし?
(お耳をいじられるのは少しくすぐったいが、ヌガーバーももらったしおとなしく答える。
若干イキリが入った所で、尻尾に触りたいという彼女の言葉にも鷹揚にうなずいた。)
おお、よいぞよいぞ。 ワシもヨッキに尻尾を櫛ってもらおうと思っていたのじゃ。
存分に丁寧にするんじゃぞー。
(ソファに座る彼女に招かれておとなしく従う。
隣にちょこんと腰掛けて、9本の尻尾を彼女に差し出した。)
■アガサ > 「んー……と、つまり人間にも悪い人がいれば良い人もいる。みたいな感じ……です?
確かに先生の尾はなんだかこう、もふもふ的な純粋な力を感じますけれど!」
力の善悪の行方の会話中、触れると櫛削る必要も無いくらいにふんわりとした毛並みに小さな感嘆の声。
軽く手で握るようにすると、するすると動いて擽ったいのが心地良い。
試しに尻尾に頬を寄せると、まるで人をダメにするクッションを想起させるものだから
ついついそうしてしまうのも無理からぬ事だと主張したい。
ベッドのそばにあったらいいなとも思うけれど、それはそれでベッドの周りに尻尾だけ九つ置いてある図がなんともシュールで吹き出しそうにもなって、
そこで漸く目的を思い出して尾に櫛を通し始めるスロースターター。
「そういえば最初に言ってましたね。ヨッキってヨキ先生ですか?……んーヨキ先生と仲良しっていうのはちょっと意外だったかも。
ほら、妖怪仲間が一杯いるのかなあとか、やっぱり油揚げとか好きなのかなあとか、たぬきそばは嫌いなのかなあとか。
そーゆー、物語によくあるのは想像したりもしたんですけど」
脳内で二人を並べる。物語で言うならSF小説と伝奇物くらいのミスマッチに思えて、ついつい笑い声だって零れちゃう。
■おこん > そうじゃな、おおむねそういったものだと考えてもらってよいじゃろう。
まあ、あの赤…正しくは朱色じゃが、人間が作り出した色じゃからな。
人間に対して害をなさぬものは受け入れるし、なすものはあの色で弾くということじゃのう。
(真面目部って話をしていたけれど、尻尾をなでてもらうとあっという間に表情が崩れる。
とろんと目尻をさげ、うっとりと目を細めながら相手を見やって。)
ほうほう…、うむ、うむうむ。 中々触り方が上手じゃのう。 犬か猫でも飼っておったか?
(なんだか考え事をしている彼女が思い出したかのように手を動かし始める。
尻尾から伝わる心地よさに満足げな表情を浮かべながら、彼女の手に撫でられるに任せて。)
おお、ヨッキはワシの仲間なんじゃよー。 あ、妖怪とかそういうことではなくてな。
そうじゃなー。ヨッキは色々と選り好みがあるんじゃが、ワシはぜんぜん別に好き嫌いないでのう。
狐はネズミの天ぷらを好んだり、油揚げを混んだりするとはいうが…。
まあ身も蓋もない話なんじゃが、皆うまいものの方が好き、ということじゃな。
(なんだか楽しげにしてる彼女にのんびりと答えながら、すっかりリラックスした風に体の力を抜いて。)
■アガサ > 「なーるほど。つまり魔術的な面が出ていたんですね。魔術科目も取ってはいるんですけど、色と魔術は初耳でした。」
人が作ったものだから、人に仇為す魔的を弾く。
判り易い説明に納得いって手を打つと、間に先生の尻尾があるものだから音はならずに柔らかい。
「ペットは……飼ったことは無いんです。興味はあるんですけどー私、寮住まいですし。
……ってヨキ先生、仲間なんですか!?あ、そういうのじゃない。となると同じ趣味があるとかですか?
それともぉ……実はお付き合いしていらっしゃるとか!」
食べ物話題が右から左に抜けがちなのはおこん先生の仲間発言が衝撃的だったから。
最初に予想した事は先生の言から否定されるも、次に浮かぶはコイバナ的な浮かれた話。
試験期間の学生にあるまじき事だー。なんてお堅い先生なら言うのかもだけど、私だって女の子。
そういう事は気になったりもするもので、力を抜いて私に凭れる先生を身体で支えるようにし、
他に部屋に誰が居るわけでもないのに言葉は絞られ囁く様子。
■おこん > そうなんじゃよじゃよー。 色相は魔術に大事な要素なんじゃよ。
魔を祓う色、失敗を意味する色、鼓舞する色…。 最近はあまり使われんが、
色々とあるのであとで勉強してみるとよいかもしれぬのう。 おおー、そこじゃそこ、うむ…!
(尻尾をなでてもらうたびに、満足げに声を上げる。 彼女の驚いた様子の問いかけに
狐耳をぴくぴくと動かした。)
そうか…それにしては上手じゃな。 今度またワシの尻尾を櫛っておくれ。
ヨッキは、そうじゃな…。 仲間というと意味が異なるし、付き合うておるわけでもない。
いうなれば、こう…弟子というか、ワシが子のように思っておるというか…。
ヨッキのやつは、そも存在した直後には人ではなかったわけでのう。
そうなるとワシみたいなのが、ヨッキと人間の世界を結びつけるわけじゃな。
そうやってここに住まうようになった連中はヨッキ以外にも何人もおるが、
皆こう、なんというか…子のように思えてしまうわけじゃな。
ほら、ワシってば結構母性あるじゃろー? そう言うやつなんじゃよなあー。
(ささやくような調子での問いかけに、考えながら言葉を返す。
ただ体を重ねているわけでもなく、かといって恋人というほど密接な結びつきでもない。
いうなれば親子、あるいは師弟、先輩と後輩…そういうつながりな気がする。
体を相手に預けながら、時折首を傾げつつ返事して。)
■アガサ > 「折角ですし、試験期間が終わったら図書館にでも行ってみようかなあ……古書店街もそういうの多そうだし楽しそうかも。
……なーんて、余裕みせてるとテストの点が真っ赤になっちゃいますから。気を付けないといけませんね、うん」
赤色に纏わる話をテストに絡めてオチにして、さりとて手元はオチずに尾を梳いて行く。
合間合間に、櫛ではなくて指で梳いてみたりもするのは指通りの心地よさが癖になってしまったのかも。
「私で良ければいつでも大丈夫ですよ。あ、でもお風呂上りとかは流石に無理ですけど。」
乾かすのに何時間かかるんだろう。なんて考えるのは所謂閑話休題される事柄。
おこん先生の続く言葉に、私の手はぴたりと止まって、目をぱちぱちと瞬いてしまうのでした。
だって、あんまり衝撃的だったんだもの。
「……あーっと、もしかして、あんまり気安く聞いたらいけないこと、でした?」
多分にプライベートな回答は色にするなら虹色で、情報量の多さが私を混乱させる。
ただ、この先生は授業中の飄々とした様子であるとか、今まで見せていた様子とは別にきちんとした輪郭を持っているんだなって、
良い先生なのだと思った。
「ただ……おこん先生。そのですね、少なくとも見た目からは母性、ぜんっぜん無いと思うんですけど──ですけど。
……そういうの、それこそ『先生』って言うんじゃないかなって、私は思ったり考えたりします」
だからきちんと伝えて、立派ですね?と先生の頭を撫でて差し上げるんです。