2019/03/03 のログ
ご案内:「電脳空間「Apocalypse Island」」に桜庭 美月さんが現れました。
桜庭 美月 > 「………ふー、この辺りは何とかなったかな。」

ゾンビの眉間に鉛玉をぶちこんで、ふいー、っと汗を拭う女。
軍用のベストと普通のジーンズ、ハンドガンという出で立ちの彼女は、倒れ伏すところまで再現されて消えていくゾンビを見下ろしながら、周囲を警戒する。

最近こっそりと流行っているゲーム。
ゾンビのみならず、他の参加者まで撃ち殺せるゲームは、R-18の制限こそ僅かにかかっているものの、最初の設定であっさりと誰でも参加できてしまう。

そんなゲーム空間で生徒を探すパトロール。
まあ、然程生徒とぶつかることはないし、実際隠している生徒も多いし。
本当に極まれに生徒と出会い、あんまりこういうのやるなよー、って言う程度の教師である。

「しかし、………よくできてるゲームだな、全く。」

ゾンビの爪で腕を傷つけられたところが、じんじんと痛む。
ちぇ、っとその腕をぺろりと舐めて。

桜庭 美月 > 「おら……よっ、と!」

小さな建物を制圧した彼女は、ロッカーを蹴り倒して入り口を塞ぐ。
どん、どん、とあまり強くもない扉をたたく音がそのあとに響いて、なんとか籠城が成功したことがわかる。

「………残弾18で、日も落ちてきた。
 これはちょっとよろしくないかな。」

ちぇ、と舌打ちをしながら窓の外。
他のプレイヤーの姿は………今のところ見えない。
日が落ちるまでの時間ももう少ない。流石に電脳空間だ、ゲーム内で一晩が過ぎる時間は然程長くもない。

「……明るくなるまで、ここで息をひそめるかなー。」

ベストを少しだけ緩めて、ふー、っと手で仰ぎ。

桜庭 美月 > あんまりよろしくないことは分かっているけれど。
ひりつくような空気は彼女は好きだった。

「………ちぇー、こいつは。」

扉をたたく音が、どん、どん、どんどん、どん、と、だんだん強く、多くなる。
ぎしぎしと横に置いたロッカーが揺れて、わずかな隙間が生まれ。

「…やるしかないって奴?」

ここで迎え撃つか、窓から飛び出してただ逃げるか。
どちらにしろ、今回の生存戦略は細い細い糸のよう。

唇にうっすらと笑みを浮かべながら、女はゆらりと立ち上がってホルスターから拳銃を引き抜いて。
残り18発。

「逃げ切るまで持ってくれよー、っと!」

ジャンプ一番、窓ガラスをぶち抜いて。
暗闇になりかけた道を、ただひたすらにまっすぐに、駆け始める。

ご案内:「電脳空間「Apocalypse Island」」から桜庭 美月さんが去りました。