2019/05/13 のログ
ご案内:「落第街近くの高台」にアリスさんが現れました。
アリス >  
落第街の近くにある高台に来ている。
パンデミック騒動も耳に新しいここは人気が少ない。

ここなら。そう、ここなら。
あの巨大蜂のパンデミックが来てもおかしくはない。

自分の右腕を見る。
そこに以前、巨大蜂と戦った時に針を撃ち込まれた。
あいつはこの傷跡も残っていない場所に付着した魔力の残り香を辿って、私に襲い掛かってくる可能性があるらしい。

夕暮れの高台に座って足をぶらつかせている。
ここなら。
あいつが襲ってきても戦える。
パパやママ、アガサやアイノを巻き込まない。

あいつがいつか襲ってくるのなら。その時に周りの誰かを巻き込みたくない。

アリス >  
近くにあったタンポポの綿毛を手に持ち、息を吹きかけた。
夕焼けに綿毛が舞い上がる。

私の異能は戦闘にも使えるけど、私自身の戦闘能力はそれほどでもない。
戦って勝てるかは微妙なライン。
でも、一人なら負けても私一人の犠牲で済む。

間違ってもアガサやアイノを巻き込んだりしない。
そう誓ってここにやってきたけれど。

私がゾンビになっても、二人は私を友達だと言ってくれるかしら?

アリス >  
私の異能は攻撃力だけなら発想次第でいくらでも高められる。
しかし、防御となるとあまり上手い使い方ができない。

異能がなかった時代、銃の貫通力が人間用のアーマーの装甲を長い間上回っていたのに似ている。

戦って勝つだけじゃ駄目。
あの蜂に戦って、勝って、ゾンビにならずに生還しないといけない。
そう考えると、気が重い。

私が戦闘に慣れた、異能バトルもの漫画の主人公ならよかったのに。

アリス >  
何を夢想したって現実は変わらない。
私はちょっと異能が派手な15歳の女の子で。
主人公になんかなれっこない。

それでも。
私に襲い掛かってきた蜂に友達が傷つけられるくらいなら。
私は何度だって勇気を振り絞る。誰とだって戦う。

高台のフェンスの向こう側で足をぶらつかせる。
早く来ないかな、怨敵。
とても楽しい歌は思いつかないけど、口笛を吹いた。

ご案内:「落第街近くの高台」にギルゲイオスさんが現れました。
ギルゲイオス > 「少女が一人――……」

(唐突と聞こえてくる声は、少なくとも正面を見ていてはその出所を見つけることはできないだろう。
或いは後ろや左右でもなく」

「黄昏るには、余り向いた場所とは思えぬのであるがな」

(しかして、別段と隠れる心算もなく、たどり着くのは容易だ。ぶっちゃけた話、上。
上下逆に浮かんだ人型は、しかしながら髪型や服装が逆立つ訳ではなく。
その人物全体が、天地逆さまになってそこに浮かんでいるようで。飛行の原理が、重力制御の類なのだろう。
ややと首をかしげた姿で、相手の姿を見おろしていた。少なくとも、敵意のある雰囲気ではない)

アリス >  
……?
声が聞こえてきて、周囲を見渡した。
でも、誰もいない。

「……え?」

続いての声の方向を探ると、そこには。
逆さまの、人。黒いジャケットを着た、背の高い男性。

「ぬほっふぅ!?」

驚きのあまりカワイくない声が出た。
高台から滑り落ちそうになって慌てて錆びたフェンスを掴んだ。
登って、登って……

「……ええと、どなたかしら?」

ギルゲイオス > 「ぬほっふぅ」

(小さく喉をならせば、口の端を僅かに上げ。
わざとらしくもマネをして、相手のとんちきなセリフを繰り返し)

「いや、少し違うな。
ぬほっふぅ!? であるかな」

(別段大事なことでも何でもないのに、イントネーションまで無駄に再現して二度言う。
相変わらず逆さまの体勢のままに、登る相手とは逆に、降りてゆけば視線の高さは大体同じ位であろうか。
一拍と間を置けば、大げさに片腕を横へと伸ばし、そして肘を曲げて掌を胸の辺りまでもってくれば、これまた大げさに一礼をして)

「これは自己紹介が遅れたのである。
我が名はギルゲイオス、異世界の魔王である。コンゴトモヨロシク」

(マルカジリはされないので、ご安心頂きたい。
ゆっくりと顔を上げてゆけば、表情にはゆるく笑みが残っていて)

「して、ぬほっふぅのお嬢さんは何者であるかな?
いや、話したくなければ深入りする心算はないのであるがな。
空中散歩していたところ、たまたま物憂げな様子を見つけたのであるよ」

(追い打ちの三度目。
それこそ、たまたま見つけて、なんとなく声を掛けた魔王様だった)

アリス >  
「いや真似しないでね!? イントネーションまでリアリティ追求しないでね!?」

こんな悲鳴を上げることが世に知られたら女子力皆無罪で抹殺されてしまう!!

「ギル、ゲイオス……異世界の魔王?」

きょとんとした様子で錆びたフェンスに掴まっていたけど、すぐにフェンスから手を離して。

「ぬほっふぅのお嬢さんって言わないでよね!?」
「私にはアリス・アンダーソンって名前があるから!」

赤くなって叫ぶ。逆さまの彼の目と視線が合う。
ルビーのような赤い瞳。確かに、魔王っぽい。

「私は………その、パンデミックハンターみたいな?」
「赤いゾンビを生み出す巨大生物と日夜戦ってるのよ」

嘘八百。
でも、ウェットな感情をいきなり会った人にぶつけるのは憚られた。

ギルゲイオス > 「いやぁ、初めて聞いた部類の悲鳴であったのでな。忘れぬようにしっかりと、刻み付けておこうと思ったのであるよ。
ぬほっふぅ、うむ。何処か気の抜けたような響きでありながら、不意打ちに驚かされた感がにじみ出ておって非常に良いのであるよ」

(更に解説まで挟んで、うんうんと何度も頷く魔王様)

「左様。といってもコチラの世界ではただの一市民であり、一学生であるがな。
ほほう、アリス・ぬほっふぅ・アンダーソンであるか。ヨロシク頼むである……いや、冗談であるよ?」

(遂にミドルネームと化してしまった。略すならNなのだろうか。
とはいえ、悪乗りを引っ張り過ぎた感も自覚していたのか、すぐさまに冗談であると訂正をいれ。
やがて逆さまだった人影は、足を下に頭を上に、つまり通常の位置へと音も無く変化してゆく)

「赤いゾンビを生み出す巨大生物? 赤いゾンビというのも中々に個性的であるがな……ふむ、噂は聞いた事もないが、まぁこの世界なら他所からやって来ていてもおかしくはないか。
つまりここで宿敵を待ち構えていた、という事であるか?」

(相手の様子をまじまじと眺める。
パッと見、強そうな要素はあまり見つけられないが。とはいえ、異能やら魔術は見かけによらぬモノだ)

アリス >  
「いやそのよさを褒められても全く嬉しくないから!」

自分でも何で言ったかわからないよ、ぬほっふぅ!!
だって悲鳴だし!!

「冗談~~~~~~~~!!」

頭を抱えてその場に蹲る。
ツッコミ回路が全く休まらない。
すると、ギルゲイオスは重力を操作しているのか、空中に立つかのように逆さまからひっくり返る。

「……そういうこと。私の異能ならワンパンで終わりだから待ち構えてただけなの」

ワンパンで? 誰を倒すって?
その時、僅かにフラッシュバックしたPTSDの残り香で精神に変調をきたす。
震える手を後ろ手に隠した。

「ギルゲイオスは魔王なんでしょ? 強いの?」

ギルゲイオス > 「芸術とは、理論ばかりから生まれるモノではない。むしろ、不意に零れ落ちたモノ程予想もしない驚きを秘めているのである」

(謎のサムズアップ。遂に芸術まで昇華されてしまった、ぬほっふぅ)

「イッツア魔王ジョーーーーク、HAHAHAHAHAHAHA」

(そして次はエセ外国人と化してしまう異邦人。まぁ、異邦人というのがそもそも外国人の意味らしいのだが。
どうやら、突っ込み回路を酷使しまくってやる腹積もりのようだ)

「ワンパン、一撃で倒す、という意味であるかな。ハンターを名乗るだけあって、余程相性が良いのか。それとも、威力に自信があるのか。
ふむ……ふむ?」

(つまるところ、超らくしょー、という事なのだろう。
の割に、なんだか言葉の終わりに不安か、揺らぎか、余裕とは逆の感情が滲んだようにも見えて。
片目を僅かに細めると、不思議そうな表情を向けた)

「ん~、そうであるな。元々いた世界では上の方だったのは間違いないのである。
此方の世界は異世界より猛者が集まっておるのでな、自信を持っては言えぬが。ま、少なくとも弱くはないのであるよ」

(ややと考えるような声を漏らすと、顎筋を指先で数度と撫でて。
視線を空へと泳がせれば、そんなセリフを口にする。
戦乱の時期なら兎も角。平穏な世界からやってきた魔王である。戦闘ばかりに特化、という訳でもないらしい)

アリス >  
「いや芸術じゃないから! よしんば芸術であったとしても歴史から抹消してほしいから!!」
「なんでエセ外人風なのよ!? 今まで普通に話してたでしょ!!」

ツッコミ疲れでぜぇ、ぜぇ、と肩で息をする。
こんなに騒いでいては来るものも来ない。
今日は怨敵との対決は諦めたほうがよさそう。

「私の異能、攻撃力は無闇矢鱈に高いから」

後ろに震える手を隠して、フェンスに寄りかかった。

「そう…………」

視線を下げる。私も、自分は弱くないと言い切りたかった。
でも、今の私には強がることしかできない。
私が本当に強かったら、アガサを……親友を二度と泣かせたりしないのに。

「……それにしても、便利そうね、空が飛べるのは」
「遅刻しそうになった時によく考えるわ、空が飛べたらってね」

ギルゲイオス > 「知っておるぞ、黒歴史という奴であるな。しかして、そういうモノに限って鍋の底にこびりついた焦げのようにしつこく残るモノである」

(魔王のくせに妙な生活感の滲みだす例えを使って、無慈悲な宣告を行い)

「ワターシ、コノ世界ノ言葉ワカリマセーン」

(などと供述しており。此方の世界の言葉で謎のすっとぼけをぶちかました。
この状況でやって来てくれる怨敵は、きっと心臓に毛でも生えているのだろう)

「空を自由に飛びたいな、という奴であるな。実際便利であるよ、行きたい場所に一直線で向かえるのでな。
もっとも、むやみやたらに使うと注意されたり、面倒事になるそうなのでな。街中では自重気味である」

(今のところ、そういう状況に遭遇した事はないのだが。何人かに、気を付けるようにと言われてしまっている。
別段、事故を起こすようなモノでもないのだが。小さなため息交じりに、肩を竦めた)

「なるほど、攻めに特化しておるのだな。たしかに、そういうタイプは決まれば一瞬、問答無用で勝てる。のであるが。
相性や状況次第では空振りして不利に陥ることもあるのでな……不安のタネはその辺であるか?」

(相変わらずと片目を細くしたまま相手を見やれば、うむ、と一つ頷いて。
地面から幾分浮かび上がった状態のまま、すすーっと、何故か相手より距離をとる)

「よーし、ではこの魔王に一発ぶちかましてみるがよい。
遠慮せずにどーんと来るがよいぞ、どーんと」

(自分の胸元をポンポンと叩いた後に、掌を相手へと向けた)

アリス >  
「ギルゲイオスが黙っててくれれば歴史の闇に葬り去られるからね?」

黙っててくれそうにないけど。

「私以上にこの国の言葉が達者でしょ!!」

いやさっきから達者とかよしんばとか使ってるイギリス人ですが。

注意されたりする、か。
私も無意識につい異能を使うけど、普通異能を街中で使うのは公共のモラルに反するのよね。
守ってる人あんまりいないけど。

「ふーん? 魔王様は防御力にも自信があるのね?」
「でも自分で言ったからには……後悔しても知らないわよ!!」

フェンスの内側に入り、地面を強く蹴ると足元から接地機関銃が錬成される。
銃本体で280kg! システム重量1,830kg!!
30mm弾を毎分3900発撃つこの銃ならッ!!

「どっかーん!!」

と、ギルゲイオスを指差して手元のスイッチを押す。

すると、ぺほ、と音を立ててガトリングの銃口から万国旗が一本飛び出した。

「……というものを実戦では鉛弾で撃つつもりよ?」

ギルゲイオス > 「明日から口に出して使いたい単語、ぬほっふぅ」

(なお、使いどころは不明な模様)

「Amoeame eemoenawete wavbaetbe ds dagaeyrasb soeoge Gede ?」

(語尾の状況と傾けた頭で疑問形というのは感じ取れるだろうが、唐突に謎の言語を口走り始める魔王様。
どうやら元の世界の言葉をそのまま口にしているようだが。此方の世界のどの言語にも属さず。発音さえもはっきりとは聞き取りづらい)

「魔王とは、そうそう簡単にはやられぬのも役目の内なのであるよ。
安心するが良い、大火球の一つや二つ、簡単に防いでうわなんか凄いのが出てきたのであるな正直ちょっと前言撤回したい気分になったので考える時間を――」

(余裕ぶってふふんと鼻を鳴らしていた、のだけれど。
なにやらものごっつい何かが唐突に現れれば急に早口なワンブレスになり、浮遊をとりやめ両足につけると、しっかりと防御態勢を取り始め)

「魔王シーーーーーールド!」

(雑なネーミングと突貫工事ながら、空間の揺らぎにより攻撃を逸らし身を護る、結構本格的な防御魔術を眼前に限定展開する、のだけれど)

「………………」

(妙に気の抜けた効果音に、真顔になったまま静寂が続き)

「なるほど。創造系、あるいは何処からか引っ張り出しているのか。
武装を自在に用意できる能力、といた感じであるかな?」

(真顔かつ、防御姿勢のまま。
真面目な分析を口走り、必死の防御に対してお茶を濁しにかかる)

アリス >  
「広めないでね!?」

広めないで。お願い。女子力絶無罪で死刑にされてしまう。

「………うん?」

どうしよう、ガチで聴きなれない言葉が出てきた。
異世界語だろうか。疑問系だろうけど。わからない。

「!!」

魔王シールド、彼がそう叫ぶと空間に歪が発生した。
なるほど、その名前の通り魔王のシールドなのね!

「…………………」

両者真顔。あと静寂。

「ええと……なんか、ごめんなさいね…?」

掌の上で腕時計を作り出し、それを湯気の立つお茶漬けの入ったお茶碗に変え、
お茶碗が木彫りの熊に変わると、それを地面に放り捨てる。
木彫りの熊(土産物屋で売ってる鮭をくわえてるやつ)は地面に落ちる前に分解されて消えてしまう。

「空論の獣(ジャバウォック)。見ての通りの面白手品よ」

ギルゲイオス > 「誠心誠意意向に沿えるよう努力するのであるが、万が一の場合はご期待に添えられない可能性もあるのである」

(やたらもったいぶった言い方であるも、9割方相手の意向従う心算がないやーつ。
そもそも、魔王が言わなければいいだけなので、努力もなにもあったもんじゃない)

「今のは我の世界の言葉で、茶わん蒸し、である――勿論、嘘である」

(言葉の長さ釣り合わないとか、異世界で茶わん蒸しとか。とりあえず突っ込みどころしか存在しないウソだった)

「…………コホン」

(咳払いを一つ。
手首を振ると、揺らめいた空間の境が元に戻る。
とりあえず、無かった事にしておく構えが前面に出ている)

「その自在の変化っぷりを見るに、創造系の類か。
しかも随分と複雑な機構も作れる。なるほど、使い様によっては相当な威力が出せそうであるが……強靭な物体を目の前にポンと出すだけで、防御面は相当になるのではないか?」

(移り変わる形を眺めた後に、認識を改め。そして新たな疑問が思い浮かぶ。
あれだけの、恐らくは武器なのだろうが、作れるというのであれば防御に使える物質も生み出せるのではないか?
機構に拘らず防ぐだけを考えればむしろさっきのより手間は少ないのでは?と)

アリス >  
「出た…大人の汚さを煮凝りにしたような発言……」

もう女子力がどうとか心配している場合じゃない。
変なあだ名がつかないことを祈るばかり。

「短ッ!?」

しかも嘘だった。どこからどうツッコミを入れればいいのか。

「一応、防御にも使えるんだけど」

地面を踏んでシェルターに使われる材質の壁を創り出す。

「目の前に作るのにワンアクション、視界が塞がるから消すのにもうワンアクション」
「仮に強化ガラスを使って視界を確保できたとしても……あの巨大蜂の機動力には無力でしょうね」

夕暮れを睨む。あいつが来る。あいつを倒さなきゃ、私に日常は戻らない。

「……っと、あんなの楽勝だし? 防御なんて考えなくても私は無敵だし?」

言い訳をしていると気付いた。
もう夕日も大分、落ちている。
私の今の精神状態だと、真っ暗な夜道は耐えられないかも知れない。

「と、とにかく! 私は怪物なんか怖くないから!」

と、付け加えて慌てて鞄を手に取り、高台から降りて家に戻ろう。

ご案内:「落第街近くの高台」からアリスさんが去りました。
ギルゲイオス > 「ふーむ、となると耐久性より相性の問題であるか。
なら、受けに回らず自分も機動性の勝負に回ってみてはどうかな?
なんかこう、人の技術で個人が空を飛ぶ道具とかなんぞあるだろう」

(ものすごくアバウトな希望を当てにしたアドバイスであった。
とはいえ、実際に存在しても不思議ではない、とは思えるのだが。と)

「まぁ一番良いのは、一人でやり合うのに拘らぬことであるが……随分と急ぎ足であるな。
途中でこけぬように、気を付けて帰るのであるぞ」

(と、相手がどういう状況でどういう相手に戦う心算なのかはっきりはしないものの。
大体、で想像をめぐらし。結論としては、独力に拘らなければ最も確かなのではないか、という事に至った辺りだった。
足早にその場を後にしようとする後姿へと視線を向ければ、なんとも言えない、心配が一番近いような、また少し違うような。
そんな表情と共に片手を振って。

――独りとなった魔王様、しばし空を見上げ。やがてその姿も、場から消えてゆく)

ご案内:「落第街近くの高台」からギルゲイオスさんが去りました。