2020/11/01 のログ
■芥子風 菖蒲 >
もごもご。まるでシュレッダーのように徐々に口へと消えていくフィッシュバーガー。
気づけば、最初の一つがなくなり、二つ目もパクリ。
食べる速度こそ早くないが、苦も無く一定のペースで消えていく。
実際、その胃袋は底無しであった。気づけば三つめもパクリ。
あな不思議。ハンバーガーは全て失くなってしまった。
「……美味しかったけど、食べ足りないなぁ。」
軽食って言ったろ。
軽食でも腹を満たしたい、そんな年頃。
「ふぅん。よくわかんないけど、どんな姿でも、星は星でしょ?なら、それでいいかな。」
何かに化けるとかどうとか、自分にはよくわからない。
けど、彼女が彼女であることに変わりないなら、其れで良い。
「そういうもんかな。……そういうもんか。」
人から撫でられると恥ずかしいらしい。
けど、自分を撫でていた"あの手"は……今となっては、煩わしいとしか思えなかった。
少なくとも、普通の人にとってはそういうものなようだ。
今一つ、その"普通"との差異に、歯噛みする気持ちはあった。
「ウナベロスかぁ……その辺に住んでるかな。」
今日の夕食が決まりました。
異邦人街でウナベロスを求める少年の噂はそう遠くないかもしれない…(?)
「ふれあい?触ってもいいって事?いいよ。」
今日は彼女ための時間だ。
それじゃぁ、行ってみようかと言った矢先浮いていたのは、黒い塊。
黒光りする謎の浮遊体。何だこれは。なんだかぶよぶよしてそうだ。
じー、と浮遊体を見上げる青空。不意に……。
ガシィッ!!
な、なんと!ナマコを鷲掴みにしてしまった!
無抵抗を良い事に、がっちりホールドしてる。
じー、と掴まえたナマコを見下ろし、ほんの数秒。
今度は口元へと運び始めた。ふれあいってそうじゃない。狩りじゃないから!
■貴家 星 > 海の鼠と書いてナマコ。
通常、海にいるぐんにょりとした良く判らない生物である。
詳しい方ならば色々説明出来ようものだが、生憎それくらいの知識しかない。
「……芥子風殿は気風が善いのう」
良くは解らないけれど、と云う。
それはつまるところ、訓練施設での邂逅の折に言われた"どうでもいいけど"に近い。
どうでもいいから、どうでもいい。良くも悪くも気にしない。
ともすれば誤解をされよう言葉も、何処となく耳に良く当り、応じるように丸い耳が揺れた。
ダブルフィッシュバーガーは芥子風殿に遅れるようにして胃袋に収まる。
「しかし、本当に良く食べるのう……」
ウナベロスの行方に言及する様子に流石に言葉が呆れを含む。
実際水辺に野生で居るのかもしれいし、居ないのかもしれない。
芥子風殿が如何様になさり、そしてどうなったのかはまた別の話。
「そしてそう、ふれあい。ふれあ──いやいやいやいや!!?」
今
このコーナーには赤青黄に紫や黒。白灰色のものもおり、
様々な看板が出ていることからして様々な種類がいると思われる。
それらがふわふわと漂っていたり、普通のナマコのように床に転がっていたりしている。
恐らく水族館の職員だろう男性が両手にナマコを持ち、どういった生物であるかを説明してくれている。
恐らく芥子風殿もそうした言葉を受けてナマコを掴み──掴み?
おやあ?と思うも次の瞬間、口元に運ばんとするのだからたまらない。
此方は慌てて彼を後ろから羽交い絞めにし制止する。
「あいや暫く!それは罷り通りませぬ!」
どうどう、どうどう!
がっしり締め上げ言葉をかけるが、身体能力では此方が劣るのは自明である。
果たして浮遊ナマコの命運や如何に!
■芥子風 菖蒲 >
「そう?そう言うものじゃない。
姿が変わっても、その人が変わるワケじゃないんでしょ?なら、そう言うモンだよ。」
何も考えていないと言う訳でも無い。
ただ、人よりも難しく考えてない、気楽と言われてしまえばそれまでだが
その本質まで見失っては、可哀想だ。
それをおかしいとは思わない、当然だと言う。
瞬きをさせて、さぞ不思議そうに小首をかしげ……。
羽交い絞めにされた。
がっちり捕まった。ナマコ君は動く事なく、鷲掴みにされたまま。
何とも、あきらめの雰囲気が漂っている……!諸行無常!
「まだまだ食い足りなくて、ふれあいってそう言うのじゃないの?」
そう、未だに水族館を食事処だと思っている。
ふれあいとは即ち、踊り食いである。
つまり、此処にいる浮遊魚は食せると言う事…!
そんなわけあるか。ナマコの事なんだと思ってるんだ。
とりあえず、ナマコが食べられるのは何とか免れた。セーフ!
「……あ、もしかしてコイツ、食えない奴?」
違う、そうじゃない。
■貴家 星 > 羽交い絞めである。
100人が見たら100人は羽交い絞めと断じよう姿である。
ナマコの説明をする係員も鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしている。
「ふれあいはもっとこう…生物と触れ合おうとか、そういったものである……!」
鬼気迫る小声。
ふれあいとは踊り食いに非ず。
水族館とは食事処に非ず。
「いや、ナマコは食べれる……ものもおるが、それは多分駄目である……!」
背後からしがみ付いたまま芥子風殿の腕をはたく。ナマコをはなしなさいと示すかのようであり
真実その通り。
■芥子風 菖蒲 >
要するに、此処にいる生物は食べれないものらしい。
「そっか、ダメかぁ。」
ダメならしょうがない。
ぽい、とナマコを手放した。
ふわふわと、風船のように消えていくナマコ。
触れ合うどころかいきなり狩りごっこ(ガチ)から始めるフレンズなんだね。
どったんばったん大騒ぎ。係員も、何事も無く終わったようでほっとしている。
「じゃぁ、食べれないならどうすればいいの?」
ふれあいコーナー、真っ向から否定。
ものを知らないから仕方ないとはいえ、ある意味冒涜的な発言が飛んできた。
そんなものはつゆ知らず、ふわふわと二人の間を漂う浮遊魚。
まん丸ぶくぶく、白いけだまに間の抜けた顔がついた魚だ。
題して、トビケフグと言うらしい。毒の無い浮遊魚のフグだ。
「何だコイツ……マヌケな顔してるな。星に興味あるみたいだよ?」
実際、トビケフグは星の目の前をふよふよしている。
触り心地は良さそうだ。
■貴家 星 > 一先ずナマコは解放された。
何処となく宙を漂う黒ナマコも安堵したように漂っていく。
……しかし如何にして推進しておるのだろうか?
「うむ……つかみ取りコーナーであるとか、踊り食いコーナーであるならば或いは……」
ある?と言わんばかりに係員の男性を視る。
係員の男性は緩やかに首を振り、成程と私は頷いた。言葉を介さぬコミュニケートが成立していた。
「食べれない場合は食べられる場所に向かうのが筋であろう。
つまりはお食事処であるな。今日のお目当ては中々趣深い感じの和食処で、
空中生簀から直に魚を獲り、それを捌いているくれるとかなんとか──」
ふれあいコーナーの一角でふれあいが否定されている。
何処となく周囲の客の視線を感じる中で、私は一応の説明をし、
その最中、ふれあいコーナーに混じる奇妙な魚が面前に漂流(?)して参る。
「……浮遊する毛玉?ほおほお……これは中々愛らしゅう様子で……」
このコーナーにいるからには触っても良いものであると判断し、目の前に漂う毛玉に手を伸ばす。
叶うなら撫でるようにしてみよう。
■芥子風 菖蒲 >
水族館にそんなものはない。
在ったら最早、其処は踊り食い会場だろう。
危なかった、少年の蛮行が通っていたら、そこの幼子が真似していたのかもしれない…。
「じゃぁ、後で行こうか。」
ものが食えるなら問題ない。
それじゃあ此処はふれあいコーナーと言う事で、ちゃんとそこで遊ぶ事にしよう。
きょろきょろと辺りを見ていると、確かにいろんな魚が浮いているようだ。
実際、トビケフグは大変穏やかな気性のようだ。
逃げる気配も無く、撫でられればもふもふと実に手触りがいい。
手触りは良いが……─────ファサァ……。
毛が抜けてしまった…!何とも毛根が緩い魚らしい。
さながら、夜の世知辛さを感じさせる。
その間の抜けた顔も、世間という荒波に呑まれた結果かもしれない……。
※数分後には生えてくるので安心。
「星、コイツデカいよ。」
一方の菖蒲はと言えば、なんかデカ…デカァァァァァァァイッ!!説明不要ッ!!
な巨大魚と戯れ…いや、戯れているのだろうか。
ひれを掴んで、一方的に関節技(?)を掛けているように見える……。
トコヨリキシコブトビダイ、という怪魚らしい。
大きさの割に大人しく、耐久性も高い。わんぱくボーイに大人気だ!
実際、この様にわんぱくされても何一つ歯牙にもかけてない……!
■貴家 星 > 「うむ。……そもそもの主目的はそれである」
花より団子なお話であったが此度の水族館、花をも喰らう御仁が居たというオチである。
ともあれ平穏が戻るならば穏やかな心持ちであり、和やかな心地で面前の面妖な毛玉魚を愛で──
「うお"っ!?」
愛でていたら毛が抜けた。宛ら団子のようである。
よもやこれは、宜しくないことをしてしまったのでは?
周囲を窺うが他の童などが触れる毛玉も同じようであり、また係員も何も言わぬことからして
正しい生態であろうと思われる。……その割には魚の顔は悲哀に満ちているような気がする。
「……」
もう一度と撫でるも逃げる気はない。
つまりはそういう顔なだけであり、此方についても一安心──
「──おや芥子風殿は何をォ"!?」
一難去ってまた一難。
視線の先では芥子風殿がはっけよいのこったしておる。
よもや魚と相撲かプロレスも斯くやの有様があろうとは恐るべし空中水族館。
「え、いや。それ中に人が居るとかではなく?そういう異邦人の方とか仮装ではなく?」
背景に宇宙が広がり行く中で担当係員らしい女性に問う。
『はい、あのトコヨリキシコブトビダイはふれあいコーナーでも人気のコなんですよ』
「まことか…」
紛うことなく魚であった。
思わず崩れ落ちそうになるその頭に、毛の抜けた毛玉魚が座り込んでいた。
■芥子風 菖蒲 >
実際トビダイは悠然と浮遊している。
芥子風一同わんぱくボーイをたくさん体に引っ付ける様は
さながらコバンザメをくっつけているようにも見える。
ついに、ヒレに引っ付いたまま、足で挟んで宙ぶらりん。
少年はそのまま軽く状態を上げたり、よもやトレーニング迄始めた……!
「……コイツ、結構いいな。」
気に入った。主にトレーニング器具として気に入った。
おまけに空まで受けて一石二鳥だ。何がだ。
トレーニングしながら、涼しい顔で星の方の様子もばっちり見れる。
完璧だ。何がだ。(TAKE2)
「でも、星のも柔らかいし、大きかったよ。」
何を口走ったのかコイツ。
お口が非常に正直である。
よもや、羽交い絞めにされた時、背中の感触を忘れるはずも無い。
ぐいぐいトレーニングしつつ、フグは気づいたらまたもふもふになっていた…。
■貴家 星 > 係員の女性曰く、トビダイに装具を付け騎乗する文化も異世界では合ったのだそうだ。
恐らく戦にも使われたりした時代があり、そしてこの世界では童らと触れ合っている。
その中に、芥子風殿までもが混ざっているのは些かおかしく、口元が緩むものだ。
「いやいや芥子風殿!斯様な真似をして落っこちても知らぬぞ!」
童らを案じる親御の声に混ざって案じる声が飛ぶ。が──
「なっ」
次の言葉に言葉が消える。大変正直な言葉に動きも止まり──かかって深呼吸。
吸って、吐いて、吸って、頭上の毛玉魚が転がり落ちて何処へと漂い消える。
「魚と比べるのはあんまりじゃろがい!」
そして落ち着き払って諫めよう。そう思ったがダメだった。
何がどうとは言及せぬが、腕を振り上げ大音声。
触れ合いコーナーに痴話喧嘩宛らの声。
■芥子風 菖蒲 >
「……?」
魚と比べるのはダメらしい。
彼女にしては珍しく、怒鳴り声。
よ、とヒレから飛び降りれてくるんと胴体一回転着地。
黒衣も翻し、しっかりと星の下へと戻ってきた。
「そんなにかな。……んー……。」
確かに。そもそも魚では比較対象にならないかもしれない。
何なら、トビダイはうろこが固かった。
訝しげに眉を顰めながら、思案を重ねる。
ならば、"同じならいいのではないか"。
「でも、オレが見た中じゃ結構大きいんじゃないかな?
エルザと同じ……エルザのが大きい?触れたのは、星が初めてだけど。」
馬鹿正直、ここに極まれり。
それがいけない事だと分からないからこそ、言ってしまうわけよ。
そう、本人一切の悪意はない。その証拠に……。
「じゃぁ、次行こうよ。そろそろ何か、ちゃんとしたものを食べない?」
と、宣ってみせた。
■貴家 星 > 「そんなにである。……いや自慢するものでもないが、少なからず魚と比べるのは
凡その女性の反感を買うものと思われ──」
比較対象として凡そ間違っているのだから、降り立つ芥子風殿に対する態度は呆れを過分に含むもの。
そして大声を出した所為か顔に熱が上がっている。
騒いだものだから自然と周囲の視線を集めもする訳で、誤魔化すように空咳をし取り繕おう。
如何にオフの日とはいえ風紀委員であるのだから、騒擾の源になって良い筈も無し。
「…………其方は本当に……率直だなあ。
そのエルザ殿を私は知らぬゆえ疑問には答えられぬぞ……」
疚しさも無ければ稚気も無い。ただただ素直な言葉に眉根を寄せる。
「ともあれ……人前でそういうことを言うてはならぬぞ。
要らぬ誤解を招くこともあるやもしれぬ。特に芥子風殿は率直に言うものだから……」
が、一応言わねばならぬ。と思ったことは云うのである。
右手の人差し指を己の唇にあて、内緒である。と所作でも示してみせもする。
ともすれば、親が子に言い聞かせるようでもあったかもしれない。
「……うむ、そうさな。次に参ろう。天丼も良いがウナ重なども良いな。
ウナベロスであれば安価であろうし……おお、そうだ帰りには刑事部の皆に土産も購わねばなるまいよ。
芥子風殿も懇意の方に渡したりなどするが宜しかろう」
それが済んだらあとは何時もの私である。顔が赤い?それは気のせいである。
ともあれ、下手にまたナマコを口にしたりなどされてはかなわぬゆえ、
芥子風殿の袖を掴んで離さずと参ろうか。
かくして休日が終わりゆく。まったく世にも奇妙な一日であった。
そもそもが馴染みの無い浮遊種なる生物群との触れ合いなのだから是非も無いのだが。
それはそれとし、芥子風殿の面妖な一面も視れ、奇妙ではあるが充実した休日になったのだと思う。
多分。
ご案内:「空中水族館「星々の庭」 昼の部」から芥子風 菖蒲さんが去りました。
ご案内:「空中水族館「星々の庭」 昼の部」から貴家 星さんが去りました。