2020/11/29 のログ
ご案内:「落第街・スラム廃施設前」に武楽夢 十架さんが現れました。
■武楽夢 十架 >
日毎に日照時間は短くなり、秋の紅葉もいつの間にか残るは僅かと足元に残る木の葉のみとなった。
時の歩みを止める術はヒトとして生きる限り存在しない――と断言していたのは現代魔術学の先生だったか。
落ちた砂をひっくり返す術は、我々にはない。
神ですら恐らく盤面をひっくり返し似たようなものを再配置する事しか出来ない――同じあの日は幾ら再び手に入れようとしても不可能だと諭されたのだと気づいたのは講義がすべて終わってしばらく経ってからだった。
ここは、落第街。
正しくない手段により生まれてしまったはみ出し者たちの最後の砦にして、
この学園が抱える未だ何が起こすかも知れない爆弾――黄泉の穴――のある場所。
転移荒野と対をなすように存在する特異点とも言える場所。
公式には歓楽街とされるが最早地下鉄も路面バスも正式には通っていない地域で、
この街の上を走る高速道路の道ですら旧道として使用されていない。
そんな場所でしか生きていけない者たちもいる。
そんな場所に通うのは、この二年ほどで慣れたものだ。
荷車を押して、異邦人街から凡そ一時間の移動。
「今日は、焼き芋もする」
橙色の作業着を来た目立つ青年が、教会だったと思われる廃施設前にたどり着くと既にその場に集っていたこの周辺に住む者たちにそう告げる。
この辺りに住む者には馴染みある週に二度か三度ある、この青年個人による炊き出しの日であった。
■武楽夢 十架 >
いつの間にか、瓦礫なんか組合せて簡易的にカマドが構築されて、鍋セットで用意されたのはここ二ヶ月ほどの事で気がつけば用意され、
薪や炭なんかは何処から用意したのか、分からないし、たまに出土先不明な火の魔石を使って炊き出しもしたが……
深くは考えないほうが、状況を楽しめると現実逃避を始めたのはここひと月のこと。
色々な収穫期であったのもあって、この時期持ってこれる廃棄予定となった野菜は山ほどある。
形が悪いだとか一部痛みがあるだとか、品種改良した種のものが想定と違う形状であったから市場に出さず廃棄など。
その他、個人的に融通してもらって安く買ったものなんかである。
「最近はちょっと芋ばっかりだけど……」
ジャガイモ、里芋、山芋、さつまいも。
図らずして余るものが芋ばかりだった。
それでも、無いよりは良しである。
■武楽夢 十架 >
さつまいもは、持ってきたアルミホイルに包む。
周りのヒトたちも見様見真似で手伝ってくれるし、小さい子なんかは何が起きるのかワクワクしながら真似している。
一通り芋を包んだら、集めた枯れ葉の中に入れる。
流石に大人数になるので幾つか枯れ葉の山を作る事になった。
枯れ葉に枯れ木、普段使ってる薪なんかを少し組み合わせて火を付ける。
寒いのもあって、それぞれの場所で暖を取るように円陣になっているのが少し面白い。
「……街中で焼き芋って背徳感があるな」
農業区とかだと緩く焼き芋やるんでーと生活委員会とかに一声かけるだけで特に申請書なんかなくなっていた。
ま、夜に街中でドラム缶に適当な燃料打ち込んで暖取ろうっていう連中と比べたら可愛いものだと思う。
■武楽夢 十架 >
時間が経つにつれて焼き芋の甘い香りが辺りに広がり、
誰の腹の音か分からないほどにあちらこちらで音が鳴り、その状況に誰もが笑った。
さつまいもは、当然美味しかったがそれ以上のものが今回もあった。
落第街において、人の目は様々なところにあり、
気が緩むような空間での食事に置いては口が軽くもなる――。
この場で得られる情報は、ちょっとした噂から情報屋も知らないような個人の話までこの街であった事をちょっとした食事の際の肴として落としてくれる。
「――ああ、それは大変だ。 よく無事でしたね」
表で得た情報だけでも裏であった情報だけでもそれを真とするには難しいものを補える量を得れる。
また、得た話の真偽を確かめる作業が始まっていく――、
ご案内:「落第街・スラム廃施設前」から武楽夢 十架さんが去りました。
ご案内:「裏切りの黒 地下拠点内 打ち捨てられたバー『ラビッシュ・ヒープ』」に『拷悶の霧姫』さんが現れました。
■『拷悶の霧姫』 >
白い肌に、白い髪。
紫色の瞳は、ガラスのように輝いて見える。
そんな幻想を切り取った人形のようなエルフは、打ち捨てられたバーのカウンター席で、
静かに酒を飲んでいた。
酒の味はしない。故に、酒の種類などどうでも良かった。
こだわりもない。
味覚が喪われて久しい彼女にとって、それは当然のことだった。
酔う感覚は少しばかり味わうことができる。
今宵は集まれそうなメンバーに声をかけておいた。
振り返れば、最近は各自で散発的に仕事をこなすばかりで、
話し合う場もなかった。
かつての組織の長、裏切りの律者《トラディメント・ロワ》は、
交流の場こそ大切にせよ、とよく口にしていた。
エルヴェーラにはそれがよく理解できなかったが、それでも今回は。
あの男の遺志をなぞって、
『強制力を伴わないゆるやかな招集』をかけることにしたのである。
落第街で大きな流れもあった。
今宵は会議を行うつもりはないが、
顔を合わせておくことは必要だろう。
ご案内:「裏切りの黒 地下拠点内 打ち捨てられたバー『ラビッシュ・ヒープ』」に虚無さんが現れました。
■虚無 >
ドアの開く音がする。そして緩やかに流れる足音。顔をのぞかせるのは幹部ではない一隊員。しかしはぁと溜息を吐き出した。
「声をかけるのなら時間は教えてほしい物だな」
いつに来ればいいか迷ったぞと言いながら適当に奥へと進む。適当な席についてから彼女を見る。
「とりあえず、声掛け感謝する……と言っておこうか。幹部でもない一兵卒の俺にまでな」
幹部組で声を掛け合う可能性は考えていたが、まさかこっちにまで声をかけに来てもらえるとは思っていなかった。
それから顔の下半分を覆っているマスクをトントンと叩いた。
「今日は外しても大丈夫なのか。仲間内しかいないといえばそうだが」
実際前にいる女性は外しているし、別に仲間内で顔を隠す必要もないということだろうか。
だが一応答えを聞くまではつけておこうという一兵卒である。
ご案内:「裏切りの黒 地下拠点内 打ち捨てられたバー『ラビッシュ・ヒープ』」に『篝火』さんが現れました。
■『拷悶の霧姫』 >
「……こんばんは」
音のした方――ドアの方を見やれば、少女は口元に笑みを浮かべる。
静かな笑みを、なぞる。未だ、不器用ではあったが。
「交流の場には『ゆるやかな招集』を――」
再び、カウンターに目を戻す。透明なグラスの縁に指を添わせ、
男の嘆息を横目にしつつ、淡々と言葉を紡いでいく。
「――そう、裏切りの律者《トラディメント・ロワ》が、
よく言っていました。
参加するも参加しないも自由、
いつ来るかいつ去るか、それもまた自由。
そして、幹部だろうが、隊員だろうが、参加は自由。
これは、そういった集いなのですよ」
そしてマスクを外す彼を見れば、この場であればどうぞ、と。
仮面を外している自分の顔を向けて、小首を傾げて見せた。
ご案内:「裏切りの黒 地下拠点内 打ち捨てられたバー『ラビッシュ・ヒープ』」に『無形の暴君』さんが現れました。
■『篝火』 >
「つーかお前ッて酒飲めたの?」
バーカウンターの奥。調理室からぬるりと現れるは迷彩柄のだいだら法師。
……ではなく、裏切りの黒が一人、篝火の獅子。
場所が場所である以上、"見た目"には気を遣う。
静かに酒を嗜む姿は、生憎酒が飲める見た目には見えない。
少しばかりは絵になるとは思うが、それはそれとして酒が趣味だっただろうか。
「酒の味が分かるようにはみえねェけど……ア?」
エルの方を見下ろしていたら、新たな来訪者。
新顔ならぬ、新仮面。知らない顔だ。
『篝火』も大概、新顔ではあるが、組織への思い入れはさほど高くない。
メンバーの名前は、交流が無ければ覚えていることも無い。
「よォ、なンか飲むか?ワン公。つーか、犬ッて他にいなかッたか?」
狼と犬は『篝火』にとってさして変わらないらしい。
気兼ねない一方で馬鹿丸出しである。
虚無へと一つ質問を投げかける。
「てかよォ、エ……姫公よォ。お前どンだけ招集かけたンだ?」
一方で、其の頭には尊大な態度。
尚、此の獅子は幹部でも何でもない。
新顔である。
■虚無 >
「なるほど、そういう意図があったのならこちらこそすまなかった」
と霧姫には告げる。それから出てきた人物に対して目線を向ける。
「犬じゃないが、まぁどちらでもいい。さほど違いはない……虚無だ、主に実働をしてる。頭を使うのは苦手でな」
そういう意味でも猟犬的な狼は遠くないのかもしれない。篝火に声をかけるとこちらもマスクを外す。
「俺も適当に何か飲み物をくれ……酒でも水でも余ってるやつでいい」
別に酒程度で酔うような体はしていない。
そして再び霧姫の方に目線を。
「たしかに、何人呼んでいるかは少し気になるな」
■『無形の暴君』 >
「……やれやれ」
闇の中から滲み出るように現れたのは、闇と似た黒い服の何者か
いま来たのか、それとも元々居たのか
それも判然としない
長身のその姿は、見ようによって男にも女にも見える
仮面をつけている今は、尚更その正体がつかめない
「口を慎め……といって聞くような手合ではなかったな、『篝火』。
しかし最近、どうも似た手合と会うことが増えた気がする……」
後半は誰に聴かせるでもなく独り言のようにつぶやく
「そちらは、『虚無』か。
こうして会うのは初めてだったか……
私は『無形の暴君』だ。よろしく」
■『篝火』 >
「ア?犬じゃねェの?じゃァ……ハイエナ?」
狼から離れていく。ニアピンも遠い、バッテン賞。
顎に指を添えてシンキングフェイス。果たして、答えにはたどり着くのか。
「『虚無』?随分と寂しい名前してンじゃねェか。
オレ様は裏切りの黒"最強"の男、ク……じゃねェ。『篝火』だ。宜しくな。」
自己紹介ついでに豪語してみせた。
勿論自称である。カウンターから適当なボトルを見繕えば
グラスに注いで、虚無の前へと置いた。
余り丁寧さは無い。なんちゃってバーテンダー。
「アー?謹ンでなンかなンのか?ソレ……タイ公。」
ゆるりと暗闇から現れた『暴君』にさえ、態度は崩さない。
どっちが暴君かわかったものではない。
「まァいいじゃねェかよ。"ブレイコー"ッてンだろ?こーゆー集まりは。お前もなンか飲む?タイ公。」
カカ、と気さくに笑って見せた。
■『拷悶の霧姫』 >
「……ええ。口にするのは何年かぶりですが。
たまには良いものかと思いましてね。
じっと、虚ろな瞳を『篝火』へと向ける『霧姫』。
そこに酔っているような雰囲気は、あまりなかった。
「いえ、特殊な慣習だということは認識しておりますので。
貴方が謝ることはありません」
そう口にして、『虚無』の方を見上げて、小さく頷いた。
「声は結構な人間にかけたと思いますが、偵察で忙しい方々も
多いですからね」
両者の質問には、静かにそう答えた。
と同時に、ドアを開く音がする。
見やれば、他にも数人、隊員やら幹部やらが集まって来ているようだ。
何分、このバーは広い。かなりの人数が入りそうなものである。
「『無形の暴君』……こんばんは」
以前二人で話した時には名を呼びあったが、
今宵は組織としての集まり。ヴィランネームでそう呼びながら、
不器用な笑みをなぞって見せた。
■虚無 >
「狼だ……名前が寂しいか。敵対者をことごとく無にする故に”虚無”……なんてな、能力との関係だ。やろうと思えば無を作れるからな。最強というのならぜひ今度練習で試合をお願いしたい物だな篝火」
篝火にそう冗談を返すと注がれた酒を軽く一口飲む。味などわからない、のどの渇きをいやすだけである。
そして現れた人物に目線を挨拶を受ければ軽く頭を下ろす。
「こちらこそよろしく頼む『無形の暴君』。すでに聞こえていたみたいだが『虚無』だ」
改めて名乗り返す。聞こえているが一応はマナーと言うものだろうか。
「それにしても、随分と集まったものだなこれだけいたというのも驚きだ」
■『無形の暴君』 >
「……こんばんは。今宵はまあ、悪くない夜だな『拷悶の霧姫』」
軽く会釈を返す。
今宵この場はあくまで組織の集まり
他人行儀、とまではいかないがやや事務的な挨拶に留める
「やれやれ……君は相変わらずだな、『篝火』。
まあ、君はそれでいいのだろうけれど……」
そういいながら、やはり同じく勝手にカウンターを漁る
目的は……ペルツォフカ
「ふむ、あったか。」
グラスを取り出し、無造作にウォッカを注いだ
■『篝火』 >
「その割には大してウマそうに飲みもしねェし、お前が酔うとか想像出来ンがな。姫公。」
そもそも、まともに飲み食いする事あるのだろうか。
栄養食ばかり食べている気もする。
訝し気に『姫君』を見ていた矢先、『虚無』の言葉に首を傾げる。
「何だそりゃ。対戦拒否されてンの?」
違う、そうじゃない。
「無とかどーとか知らンがな、狼公。だが、喧嘩すンならいつでも歓迎だ。ま、オレ様の圧勝だがな。」
カカ、誰に態度を変える事は無い。
礼儀知らず、よく言えば分け隔てなくだ。
「そーゆーお前は、物忘れは少しマシになッたかよ。タイ公。
オレ様は、道すがらさえ忘れてンじゃねェかと心配だッたぜ。」
なんて冗談一つ。
そろそろ奥の調理室からは、香ばしい匂いが漂ってきた。
「お前も酒飲むンか。ソ……タイ公。」
■『拷悶の霧姫』 >
「……『篝火』、私にも葡萄酒を。この場で多少崩れるのは構いませんが、
名を外部で漏らすことのないよう、お願いします」
何度か名を漏らしかけている『篝火』を見て、ぱちぱちと瞬きを
して見せる。少しばかり『篝火』と口にする時の声量を上げている。
「『虚無』。貴方は冗談を言う性格だったのですね」
顔も知っている。名も知っている。
しかしながら、深く付き合ったことはなかった。
『篝火』へと返されたその言葉を聞いて、エルはぽつりと漏らした。
相手のことを知っていく。
これこそが、交流。
ロワの言っていたことを、『霧姫』は少し思い出していた。
「しかし、練習試合……模擬戦ですか。
最近はなかなか行えていませんが、久しぶりに行うのも良いのかもしれません。
いつでも戦えるように備えることは、必要ですからね」
無造作にウォッカを注ぐ『暴君』をちらりと見やりながら、
『篝火』と『虚無』の話を受けたエルフはそう口にした。
「身体を動かすのはストレス発散にもなる……のでしょう?」
『霧姫』は首を傾げる。
■虚無 >
「……その酒は旨いのか? 正直酒をあまり飲まないから味というのがわからないが。なんとなく……今飲んでいるのが強いというのはわかる」
酔うという事はないだろうが。あまりガバガバと飲める物でもなさそう。手元のグラスを揺らしながら暴君に酒の味を訪ねる。
篝火の拒否されてるのには思わず少しフフッと笑ってしまって。
「いいや、そういう意味じゃない……ああ、じゃあ今度機会があればお願いしようか」
全力で力を使える模擬戦というのはかなり貴重な機会だ。だから篝火の言葉にはそう頷いた。
そうしてグラスを傾けようとして。話しかけられたのでそれを止めると霧姫に目線を向ける。
「……冗談や笑える話はふつうに好きだぞ俺は。まぁ話だけ聞けばそうは思えないだろうが」
やれ組織を攻撃しただのやれ風紀2人相手にやりあっただの。情報だけを聞けば間違いなく戦闘重視の武闘派に聞こえていたかもしれない。
「……幹部様も乗り気らしい。場所は転移荒野などにしないと周辺破壊が酷いことになりそうだ」
幹部級の戦闘力はしらないが、低いということはないだろう。
■『篝火』 >
「ウス。」
秘匿性、と言うよりもどんな形であれ所属する以上
そのルールには従う。"スジ"は通す。
とはいえ、基本が馬鹿で堅苦しいのが苦手なタイプだ。
とりあえず言われたら気を付ける程度のガキ大将。
「葡萄酒な。お前、葡萄酒が好きなンか?つか、この集会考えた奴誰だ?」
彼女の性格を考えると、少なくとも『霧姫』考案では無い事は分かる。
グラスに注いだ葡萄色の液体をカツン、と『霧姫』の前にも置いた。
「何だ違ェのか。よかッたな『虚無』。とりあえず、オレ様たちがいるからボッチ回避だな!」
違うって言ったろ馬鹿!
「何時でも呼べば行ッてやるよ、狼公。……エッ。」
ニヤリと笑った矢先、『霧姫』にぎょっと視線を向ける。
「……お前ストレス溜めンの???キレたらヤベータイプ???」
『篝火』知ってる。物静かな奴がキレたら一番ヤバいって。
■『無形の暴君』 >
「『虚無』は飲まないのか? なるほど、まあ趣味趣向はそれぞれだからな。
私に関して言えば……まあ、飲むは飲むが嗜好して飲む、ということはあまりないな。
そういう意味では『虚無』。君と大して変わらないかも知れない。」
ちらりと『篝火』の方にも視線をやって、問に答えた意思表示だけする
もっとも、仮面の下の視線などどれくらい伝わるものか
「で、それを踏まえて。この酒は……そう、だな……
君がもし、辛い味を好むのであればまあ、悪くないだろう。
少し特殊な酒だ。」
なにしろ、赤唐辛子、黒コショウといった類のものを漬け込んだウォッカだ
それなりのパンチはある
それを割るでもなくストレートにいけば、まあ推して知るべし、である
「そうだな……もし、うまい酒、というものを望むなら……
まずは、好きな味の傾向などを添えるといいな。
アルコールが平気であればだいたいなんとでもなる、という酒もないではないが……」
ふむ、と考え込む
別に好きではないが、諜報をする関係上、そういう知識はある
……いや、無数の記憶の中に存在している、ともいえる
そういうどうでもいい知識だけは消えてなくならないのはいいのか悪いのか
「模擬戦……か。まあ、ほどほどにな」
■『篝火』 >
「まァオレ様酒飲めンがな。飲んだら爆発するし。」
炎にアルコールを注いではダメ、絶対。
そうこう言ってる内に調理室へと一旦リターン。
程なくして戻ってくると、皿へと盛り付けられたのはいい色合いのジャーキー。
「招集ッて急いで仕込みして作ッたンだぜ?まァ、オレ様の魔術にかかれば、仕込み位ソッコーだがな。」
料理に魔術を用いる効率主義。
魔術師らしい考えだ。
皿をカウンターへとおき、得意げに腕を組んだ。
「まァ、とりあえず食えよ。食えるモンだと思うぜ?酒のツマミにゃ、ちょうどいいだろ?」
味はお酒に合わせてちょっと辛口。
渇きものにしてはかみ切りやすいジャーキーだ。
お子様舌ならちょっと合わないかもしれない。
■『拷悶の霧姫』 >
「『虚無』の懸念は最もですね。
戦闘に耐えられ、かつ秘匿性も高い……
場所は考えねばならないでしょう。
以前は、空間を作成する魔術を行使できる者が居たのですが。
それから、幹部様、などと呼ぶ必要はありません。
拷問の霧姫《ミストメイデン》と、呼んでくだされば。
私は、ただの備品ですから」
虚無の方を見やって、そう口にする。
幹部の名を背負ってはいるが、組織の備品を自称している。
また、隊員だからといって見下すこともない。
それが『霧姫』のスタンスであり、後者は裏切りの黒としての
基本的なスタンスでもある。
「基本的に、私にストレスはありません。
怒りや、憎しみの感情もありませんから。
模擬戦を行う場の話ですが……
『篝火』は、空間を作成するような魔術を行使できますか?」
以前見た限りでは、珍しい魔術を行使していた。
彼のレパートリーの中に、そういった魔術が存在する可能性はある。
「まぁ……『暴君』の言う通り、
ほどほどにすべきではありますがね」
『篝火』と『虚無』だけを取り上げても、かなりの戦闘力であると
『霧姫』は見ている。あまり激しくなりすぎれば、互いに怪我をする
可能性もあるだろう。
そう口にしながら、はむ、と。ジャーキーをつまむ。
味は分からないが、噛み切りやすく、悪くないと思えた。
「悪くないです」
■虚無 >
「別にボッチではないと……まぁ、能力を全力で使って戦える相手がいないのは事実だが」
篝火の発言に少し言い返そうとして。実際奏詩としてはともかく虚無としてはボッチであると気が付いた。否定できない。
暴君のお酒理論には少しだけ顔をしかめた。
「辛いか……それならやめておこう。どちらかと言うと俺は甘い方が好きでな、辛いのは苦手だ。それこそ今の時期なら温かいココアとかそういったものの方が好きだな。酒は酒でもカクテルだとかな」
おいしいのなら一口飲んでみようと思ったが。辛いと聞いて首を横に振った。
そして希望として出てきたのはココア。見た目と行動に反して少し子供っぽい思考であった。
霧姫の言葉にうなずいた。
「流石に全員で学校の訓練室をつかうわけにもいかないからな。転移荒野が妥当だろう……それに、幹部様の弱点を見抜いた。皮肉がわからないタイプか」
そう少し笑う。
「わかっているさ『拷問の霧姫』。言葉遊びの一環として幹部様呼びしていただけだ」
つまり言葉の語呂として幹部様と呼んでいただけだと笑う。
そうして今度こそグラスを傾けた。
だが出てきた物を見て。
「……篝火、何か甘い物はないのか。辛い物ばかりというのもな」
お子様舌であった。
■『篝火』 >
「カカッ。オレ様にかかりゃなンでもできらァ。」
知識欲が高いという事は凝り性である。
ともあれ、手応えとしては悪くない。
今後、おつまみレパートリーをどんどん増やしていくのも悪くない。
「ア?そう言うモンかァ?お前がそう言うンなら、そーだろーがー……、……。」
ただ、やはり"備品"の自称には顔をしかめた。
それだけは看過しがたいものがある。
「空間なァ……。」
言われると腕を組んで思い出し中。
ほわんほわんほわん……。
「…………」
玉虫千と一<オッスオッス
ベール<よろしくニキーwwww
「まァ、無くは無いけど……"飛ぶ"かなァ~~~~~!」
主に正気度的な何かが。
■『無形の暴君』 >
「甘い方、か。それに、ココア、か。ふむ……では、この辺りでどうだ。
こっちはマスカットのリキュール。こっちはチョコレートのリキュール。」
瓶を2つ、目の前においてみせる。
マスカットの方は、爽やかな色合いの瓶。チョコレートはソレらしく茶色の瓶。
「つまみ、か……ふむ、なるほど?
なるほど……?」
ジャーキーをかじる
口内に刺激……つまりは辛味を感じる
唯一、自分に許された味覚
悪くない
■『篝火』 >
「オレ様達は戦闘集団……でもあるけど、オレ様達が戦う相手がいねェッてのは、ソレだけでいい事だろうがよ。」
何であれ、それは裏の秩序が保たれていることだ。
『虚無』の言葉にくつくつと喉を鳴らして笑いながら、奥の蓄音機を回す。
今日のレコード盤はしっとりゆったり、ジャズ盤だ。
「甘いものもあるぞ。」
そう、凝り性。用意がいい。
調理室に再びリターンし、ほどなくして戻ってきた。
串が刺された四角形のチョコ…ではなく、それぞれのフルーツにコーティングされている。
フルーツはバナナにリンゴ、さくらんぼにイチゴと、小さめの実で構成されているようだ。
「なンか、こーゆーのも酒に合う……らしいぜ?オレ様飲めンからわからンが、全員で食えよ。」
ことり、と置かれた皿。
チョコフルーツたちの甘みは、夜にはちょっとした背徳感だ。
「つーか、お前ケッコーまだまだガキなンだなー。『虚無』」
ついでに余計な一言もついてきた。
■『篝火』 >
「後なンか面白そうだから、異邦人街に売ッてた辛いフルーツも入れた。"ハズレ"だな。」
さらに余計な事までしやがった!
一瞬で(お子様舌にとっての)ロシアンルーレットフルーツだ!
■虚無 >
「なるほど、チョコレートの……少し興味がある。ありがたく貰うぞ『無形の暴君』」
あまり飲んだことのない味だった。酒と言う物自体あまり飲まないわけだが。
それを一口飲んでみると少しうなずいて。
「この方が俺好みかもしれない。せっかくだからこれを飲ませてもらう」
それなりに気に入ったのかそれを飲んでいた。
「ああ、その通りだ……平和ならそれが1番だっておい」
一瞬素が出て篝火にツッコミを入れる。
俺への狙い撃ちじゃないかと言わんばかりにジト目をして。
「まぁいいさ……ガキで結構。苦いコーヒーを飲めるといって無理するような年齢は卒業したからな」
それに比べれば余程大人だと言い切った。好きな物を堂々と好きだと言えるのはある意味で大人といえるのか言えないのか。
そしてフルーツを一つ食べて。 [1d6→6=6]
■虚無 >
「ゲホッゲホッ!!」
見事にヒットしていた。
「これ、冗談にならな……ゴホッ!!」
■『拷悶の霧姫』 >
「皮肉ですか……成程。
そのような上下関係がないことを
理解していただけているのなら、私は構いません」
目をぱちぱちとさせて、細顎に手をやる。
淡々と、色のない声色で『虚無』へとそう返す。
「……『飛ぶ』? まぁ、通常の空間作成は行使できない、と。
であればやはり転移荒野になりますか。
広い場所さえ確保できれば……一時的な秘匿のみであれば、
私の作る魔石でも可能です」
痛覚も味覚もないとはいえ、温覚ならば辛うじて残っている。
故に食べれば辛いかどうかくらいは、わかる。
蓄音機から出るジャズに耳を傾けながら、チョコフルーツを
口にする。特に、異変はない。
「しかし、そうですね。皆の言う通り……
私達が組織として動くような事態にならないのが最良です。
私達が今、主にすべきは落第街の情報収集と調査です。
近頃は、特務広報部のこともあります。
彼ら自身もですが……それよりも、
落第街の様子を注視しておく必要があるでしょうね」
落第街中の情報収集を行い、
事を起こす気配があれば事前に対処できる範囲で対処する。
それが不可能であれば、風紀委員の内通者へ情報を流すことも
視野に入ってくる。
「……『虚無』。大丈夫ですか?」
何の感情も浮かばない声だが、『虚無』の方を見て
そう零す。
■虚無 > 「も、問題ない『拷問の霧姫』。今度の模擬戦が少し楽しみになっただけだ」
またの名を絶対に倒す宣言であった。
チョコリキュールとふつうのフルーツで口を治し。一息吐く。
だがその目は真面目な表情。組織として動かないのが最良と言う言葉に対してだった。
「……残念ながらそれは難しいと思うぞ。特務広報部が作り出した空白地帯。そこを見逃すほど違反組織は甘くない……今は小競り合いで済んでいるが。おそらく近いうちに大きな戦争が起こる。丁度いい落としどころをつけさせるには俺達の活動も必要だろうし、場合によっては風紀委員や公安委員会の協力も必要だと俺は思っている」
カランとリキュールの氷がなる。
真面目モードになればしっかりと意見は出る。辛さにのたうっていた虚無はいない。
■『無形の暴君』 >
「なるほど、そういう嗜好か…」
チョコレートリキュールを飲む相手を眺めてメモをとる
情報は大事だ
「落第街の様子、か……
最近の風紀委員の動きで、運悪く焼け出された人々がスラムや、違反部活のたむろす一角にひ避難していたりはするな」
ちょうど仕入れたての情報だ
報告を兼ねて話す
重要度としては高くない気もするが、まあいいだろう
「それと、その関係で風紀委員に対して憎悪を抱く連中が増えている感じもあるな。
まあ、例の大将が捕縛、入院となった以上、活動はおとなしくなるだろうが……
引き続き、様子見は必要かもしれない」
■『篝火』 >
「アーアー、言ッた傍から入ッたな。次は甘いのを引けるといいな?」
割とまばらにいれたらしい。
なんて奴だ。余計な遊び心である。
とりあえず『虚無』の傍らに冷えたミルクを置いておいた。
子ども扱い半分、辛いものは乳製品で中和できるって聞いた。多分あってる。
「つーか、特務広報部ッてなンかあのチンピラ連中か?
風紀委員ッつーのも、なンつーかそう言うのと変わらンねェンだな。」
例のがさ入れ連中、覚えがある。
何人か裏でしばき倒したし、頭の顔もよく覚えている。
風紀委員とは名ばかりの、あれこそマフィア連中、即ち違反部活と変わらないように見えた。
「まァ、オレ様はあのパツキンのガキは倒したし、問題ねェ。」
またの名を、相手の自爆とも言う。
「つーか、ンなビビる事でもねーだろ。全員が全員バカやッてるワケでもねェ。
……まァ、『虚無』ガキの言うように、見逃すようなバカはもッといねェだろうが、それこそそう言うのはゴマンといるンだ。」
「案外、いつも通りじゃね?そう言う光景。」
違反部活の勢力拡大、懸念事項としてはよくわかる。
『篝火』にとっては"スジ"さえ通せば"その程度"の事はどうでもよかった。
ある意味、大きく構えてると言えばそうだ。
「ま、オレ様たちが睨みきかせときゃ、ヘンに出るこたァねーだろよ。
それよりも、オレ様的には"特務広報部"……だッたか?」
「あのパツキンのガキが入院してンならよォ、アイツ等また落第街に"お礼参り"とかこねェのか?」
「オレ様的にゃ、そのヘン気になッてンだけど。」
■虚無 > 「甘いのも良いが……その前に篝火に一発食らわせたい気分だよ」
この野郎といわんばかりの目線でジトっと目線を向けるが。まぁいいさと溜息を吐き出す。
それからリキュールを少し傾けた。
「街の勢力図が大きく変わるというのは組織としては問題点だとは思っているがな」
篝火の意見に対しては意見を出した。しかしこればかりは個人の意見の相違になるだろう。だから大きな問題が起こったならばという形にしておかざる負えない。
篝火のお礼参りと言う言葉には少し考えるそぶりを。
「……広報部としてという形ではないだろう。そんなことをすれば今度こそ公安に処罰をされることになる。だが一部の暴走の可能性はある……鉄火の支配者。奴を崇拝している奴は少なからずいる」
あの手のタイプはえてしてどのような形であれ人を引き付けるもの。
ある種のカリスマと言える物を有しているのは間違いないのだ。
「事実俺は奴とそれに心酔している槍使いの2人を相手にした。彼の武器になれればそれでいい……そんな風に自身を言っている女だった」
■『無形の暴君』 >
「……お礼参り……ああ、復讐、仇討ち……そういう類のことか。
ない……とは、言えないが……どうも、広報部の辺りの動きがだいぶ騒がしいようでね。
派手な動きはできなさそう、ではあるな。」
『篝火』の心配も最もではある
けれど、今の所の情報を総合するとそういうことになる
「懸念があるとすれば、正常な取締をしている風紀委員と落第街の人間の間で騒動が起きる可能性がある、という方だな。」
そこまでいってから
「なるほど、『虚無』のいうことも最もではあるな。
確か、もともと落第街で活動していた人斬りの娘も広報部に入っていた記憶がある。
その辺りは注視していてもいいか……」
ふむ、と考える
■『拷悶の霧姫』 >
「『虚無』の言うことは、理解できます。
空白地帯に入り込もうとする違反部活は増えてくる。
これは間違いありません。
私も既に小競り合いをしている違反部活があることを、
確認しています。『虚無』、貴方もそうなのでしょう」
真面目な口調になった『虚無』を見て、『霧姫』は
目を細めてみせる。相手の表情をしっかりと見定めようと
いうように。
「状況次第で風紀や公安と連携することは勿論、
私としても視野に入れています。
戦争は起こさぬよう、起きたとしても被害を食い止める
ことができるよう、網を走らせておきましょう。
私も情報収集に努めます」
そう口にしつつ、『暴君』の報告に耳を向ける。
「風紀へ反感を抱く者達。
それこそが『虚無』の言う、
戦争の火種と成り得る者たちでしょう。
鉄火の支配者……彼は、ピースとなるにはあまりにも歪に
なり過ぎた」
石を投げた少年を撃ち殺そうとしていたあの姿。
ロワが見たら何と言うだろうか。
ロワなら、きっと止めた筈だ。そう、止めた筈。
だからこそ、あの時は『なぞった』のだ。
少年を救ったのだ。
「お礼参り……になるかは分かりませんが、
彼や、『周りの者達』が動き始めるのであれば、
その時こそ、改めて事が動くことになるでしょう。
であれば、今の違反部活の動きを詳細に調査しつつ――」
静かに、ただ静かに『霧姫』は口にする。
グラスの中の酒を全て飲み干した後に。
「――今は、備えましょう。
『篝火』は彼自身と。
『虚無』は彼に心酔した者達と。
既に交戦をしたようですが……。
今後も、様々な状況が各所で起きることが予想されます。
ですが現状、基本は観測と情報収集です。
状況次第で、交戦することは仕方ないこともあると思います。
ですが、皆さん自身の身を必要以上に危険に晒さぬこと、
そして組織の不利益になるようなことは行わぬこと――」
その言葉は、自戒を含んでいた。
必要とあらば、火の粉を払う必要はある。
故に、個々人が交戦をすることは否定しない。
しかし。
刃を交える以外にも、できることはある。
「――私達は幻想の悪なのですから」
そう口にして、『霧姫』は椅子から立ち上がったのだった。
■『篝火』 >
「……ま、そーだな。とりあえずそろそろお開きか。」
楽しい時間は、本当にあっという間らしい。
何気なしに、己の獅子を指先でなぞる。
無機質で冷たい、誓いの面。
幻想の悪。抑止力。一夜の幻に矜持あり。
「それでもまァ……」
席を立った『霧姫』に背を向ければ、ふ、と鼻で笑った。
「オレ様達は、"確かに"いたンだぜ?なァに、誰かが覚えてれば上等だろ。
幻だろうとなンだろーと、そこに確かにいたンだよ。」
幻想であっても、幻影ではない。
確かにそこに、存在した。
ニヤリと笑みを浮かべれば、顔だけ軽く振り返り。
「楽しかッたな、お前等。またやろうぜ?
オレ様達でも、これ位の事は許されンだ。悪の矜持とかもそーだけどよォ……。」
「こーゆー"絆"とか、オレ様達に必要なモンじゃねェの?」
どういう意図の招集かはわからないが
どんな集まりであれ、同じ思想の元に集った同志。
有体に言えば仲間、或いは家族なのかもしれない。
ひらり、ひらり、と軽く右手を靡かせた。
「じゃあな、オレ様は片付けてから帰るから、夜道には気をつけろよ?」