2021/01/30 のログ
ご案内:「拘留所」に焔さんが現れました。
■焔 > 「――――――――――――――……」
目隠しをされているから当然だが、前は見えない。
病院着のような服装にベルトがぐるぐると巻かれて椅子に括りつけられている状態。
幸いにして、『盃』が繋がっているから時間の感覚などを見失わないのが幸いか。
耳は塞がれていないが…やはり、目が異能のトリガーだと知られたから、視線については酷く制限されている。
食事の時も、目隠しは外されず…病人への介護のように食物が運ばれる。
尋問の時も、それらは外されることはない。
いくらかは情報を話したが…未だ情報があることを匂わせてはいる。
私の役目は、生き残ること。
ボスが動くその時まで体力を温存し、いざという時に迅速に動く様にすること。
攫われた直後は軽い尋問で終了したが。
今日のところはどうなるか。
私にできるのは、ただ息をして。
食事が運ばれてくるならそれを大人しく食べ。
尋問されるなら、危害が及ばないよう答えるだけだ。
ご案内:「拘留所」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 >
拘束された少女の耳に、足音が響く。
かつん、カツン、と。硬質な床を叩く革靴の音。
それは規則正しいリズムと一緒に、少しずつ少女の元へ近付いて――少女の拘束された部屋の前で、止まる。
次いで、かしゃり、と鍵が外される音。
そして、僅かに金属が軋み、扉が開く音。
目隠しをされた少女ならば、寧ろ鋭敏に感じ取るかもしれない。
少女が拘束された部屋に、何者かが入ってきた、気配を。
「……御機嫌よう、というべきかね。それとも、久し振りだと言うべきかね。まあ、私は貴様を"視た"事はないがね」
室内に響く、カウンターテナーの音域を持つ少年の声。
変声期を辛うじて迎えたかな、くらいの少年の声が、少女の耳に届くだろうか。
その声色は、至って穏やかなもの。街中で出会った知人に声をかける様な雰囲気が、少女にも感じ取れるだろうか。
■焔 > また、扉が開く。
どうやら食事ではないようだ。
食事の時はかちゃかちゃと食器の音がするから。
聞いたことの無い、女の子のような声。
けれど、その言い分から『誰』であるかは察することができた。
「ごきげんよう。今日はあなたが尋問官?」
あてずっぽうで声の方に顔を向けて、端的に問いかける。
どうせ抵抗などできるはずもない。
両手両足は縛られ、目隠しまでされていて…かろうじて使えるのは耳と口だけの状態だ。
ここでもし、鉄火が自分を始末しに来たのなら、ボスに伝えなければならないが
(ボス。鉄火が来ましたよ。大人気ですね、私)
ボスからは、緊張感無い奴だな、と言葉を貰うが。
一先ずそれよりも…相手に、言葉の先を促そう。
■神代理央 >
「尋問?」
少女の問い掛けに、笑みを含ませた言葉が投げ返される。
少女の視界が通っていれば、其処には愉快そうに笑いながら首を傾げる少年の姿を見る事が出来ただろう。
「尋問して、何か意味があるのかな」
その声色の儘、言葉を続ける。
機嫌は良さそう…と、少女には判断出来るだろうか。
少なくとも、明確な敵意や悪意は一切感じられない。
「尋問して、貴様は情報を吐くのかね?此方の質問に、懇切丁寧に答えてくれるのかね?」
僅かな物音。
衣服が擦れる様な音――ポケットから何かを取り出す様な音が、少年から聞こえる。
「であれば、私も楽なんだがね。そうでなければ、尋問など時間の無駄ではないかな?」
キン、という甲高い音と、金属が触れ合う音。何かが燃える音。
そして、少女の鼻先に届く甘ったるい紫煙の香り。
室内に、ふわふわと上品な煙草の香りが充満していく。
■焔 > 視界が閉ざされているため、少年が何をしようと反応がワンテンポ遅れてしまう。
何となく気配で追うことはできるも、やはり目が使えないというのは大きい。
「…?、前の尋問から、引き継いでない?
…尋問でないなら、何をしに来たの」
既に少年の元にはある程度の…『蛇』と呼ばれる組織の情報が入ってきているだろう。
ある程度言い渋りはするものの、情報は出す、ということも伝わっているか。
そして、それ以外にも生きていた鼻に甘ったるい香り。
恐らく、煙草か何かだろうと予想するけれど。
もしかすると自白剤の類かもしれない。出来るだけ吸い込まないようにしつつ
「鉄火の支配者。意外に、暇?」
単純に疑問だという風に声を出す。
尋問を時間の無駄だというのなら、この相手はここに何をしに来たのか、と。
■神代理央 >
「『蛇』だったかな?聞いているさ。まあ、私の部下は尋問の類が上手な方ではない。刑事部の連中なら、もっと上手くやってくれるかも知れんが……」
少女の言葉に、あっさりと肯定の返事。
そして、何をしに来たのかとの質問には言葉を返さぬ儘。
「しかしそれは"話しても良い"情報だろう?
我々は別に違反部活ではない。少なくとも、貴様に拷問紛いの危害を加えた事は無い。食事も、きちんと与えている。
その状態で、そうして受ける尋問で"話せる"事なのだろう?まあ、得難い情報である事は否定しないがね」
愉快そうに笑いながら、こつり、と足音が一歩分。
紫煙の香りが強くなる事。或いは、少年の声が近づいた事によって。
少女と少年の距離が一歩分縮まった事が、知覚出来るだろうか。
「私とて、落第街とは長い付き合いだ。こんな尋問など、違反部活が行うものと比べれば児戯の様なもの。
だからそうさな。何をしに来たのか、と問われれば…そうだな」
再び、物音がした。
今度の物音は、少女にも聞き馴染みのある音だろう。
カチャリ、と金属同士が重く響く音。カチリ、と何かが引き上がる音。
「………部下の敵討ちだ、と言えば、貴様は笑うかね?」
紫煙に混じって、ほんの僅かにではあるが。
使い古された拳銃から漂う硝煙の香りが、果たして少女には届くだろうか。
■焔 > 近づいてきているという程度は理解できる。
それと、嗅ぎ慣れた匂いも。
不安を煽るような音の連続。
恐らく今、簡単に命を散らされる状況に、私はなっているのだろう
「ううん。笑わない。敵討ちというなら、『私たち』の中にもその理由で参加している人は居る。
巻き込まれて死んだから、とか。…自業自得の人もいるけど。
ん。…だから、それを笑うことは私たちを笑うこと」
別に拷問、尋問に対して耐性があるわけではない。
痛みを与えられれば声をあげ、鞭で叩かれれば発狂するかもしれない。
だから、何事かを詰問されるなら応える気でいたのだが…
乾いた部屋だからか、煙に少し咳き込んでから、言葉を続ける。
(…意外に、鉄火もこども。
ボス、もし私との接続が切れたら、死んだと思ってね)
逐一、頭の中で会話を続けつつ、目の前の相手とも会話を交わす。
「私も、捕まったけど痛いのは嫌。
だから、聞かれたら話すよ。拷問の手間なんていらない。
『話してもいい』情報でも、得難いものといった。それに…重要じゃない情報である裏付けも取れない。違う?」
眼を塞がれ、『何か』を突きつけられているであろう状態で、淡淡と。
恐怖はある。頭を撃たれたら痛いのかな、とか。撃たれたとしたらすぐ死ぬ方がいいな、とか。
普通ならここで、泣き叫んだり粗相などをするのだろうけれど。
昔、散々殴られて涙が枯れてしまった私には、どうにも今は感情が追い付いていない。