2021/10/29 のログ
幣美奈穂 >  
あると便利、卓上塩。
茹で卵が美味しく頂けます。まる。

「これ、どうやればいいでしょう・・自動販売機ごと閉じたら、自動販売機に幽霊さんが溜まっちゃうかも・・」

買えばペットボトルと一緒に幽霊が一体、当たればもう一体憑いてくるかもしれません。
出来れば直接穴を閉じたいのですけど、と。
美奈穂の手でも中に入りそうにない、微妙に狭い壁との隙間です。

「だって、忙しくお仕事してるのですもの・・」

むぅっ、とちょっと唇がとがります。
ほら、ここ。

「ちょうど、幽霊さんがこっちをじーっと見るのに、微妙に狭い隙間でしょう?
 ほら、こんなにしっかりと・・。
 え~・・?、ここですわっ」

懸命にアピールです。
美奈穂の目にだと、縦に50cmほど空いており、微妙に現世と隠世の狭間の気が漏れているのです。
菖蒲様に説明でよそ見をしている間に、何かがにょろり。霊的にですが。

『あっ、ちょっと通りますよ』

と、その隙間から体の前に片手を立てて、ごめんねごめんねと出ようとする柔和な眼鏡幽霊さんです。

「あっ、だめだめです!。
 この《穴》、今、通行止めにするのですから!」

手に持っている三番叟鈴付き懐刀、その鈴をしゃんしゃんしゃらりと鳴らしながら、
その出て来る幽霊さんに戻るように慌てて伝えます。
聞こえない人・見えない人からすると、宙か自動販売機に話しかけている美奈穂です。

芥子風 菖蒲 >  
「なんだかよく分からないけど、困りごとって言うのはわかった」

とりあえず、彼女にとっては深刻な事らしい。
その自販機裏の"何か"が彼女的によくないらしい。
とはいうものの、今一少年にはしっくりこない。
美奈穂の目に映る狭い隙間は、少年にとっては唯の隙間だ。
100円すら落ちてないよ。

「…………」

それどころかなんか自販機とやんややんやし始めた。
いや、多分相手は自販機じゃない。
そこに"何か"いるんだろう。本当に、ぼんやりとした感覚。
とは言え、困ったものだ。んー、と少し悩んだ声を上げた後。

「ねぇ」

担いでいた日本刀を自販機へと向ける。
漆塗りの鞘を向ける姿も傍から見ると中々に中々。

「とりあえず、そこに誰かいるんだよね?美奈穂……姉様。
 どうすれば手伝える?どうやったらいい?教えてよ」

とにかく、彼女の力に成りたいのが少年だ。
少なくとも霊感諸々の素養は感じる分多少あるっぽい。
尚、姉様呼びは最初の姉さんより大分ぎこちない。

幣美奈穂 >  
「ほら、はろうぃんでしょう?
 幽霊さんが沢山くるようにしたって予告の話。
 そんなたくさんですから、境に緩みありそうなところに《穴》が開いたのじゃないかって、
 探してみたのです」

商店街でも、生気があるゾンビさんとか吸血鬼さんとか、
もうすぐ週末な成果、一段と増えているようです。
具体的には仮装した人たちですが、彼らがはろうぃん妖怪だと言えば信じるのが美奈穂です。

「これぐらいの穴だと、結構大き目なのも通り抜けちゃいそうです。
 ほら、黒い悪魔と幽霊さんって、こういうくらい目の届かないところからが多いですから――」

と、そこひいる幽霊さん。
いやちょっと、そこの立ち飲み屋で友人と待ち合わせだから。
飲んだら還るから、となんか言っているのです。
「規則です!。きちんと祭祀局とかで登録してから・・!」

なんとか穴に戻そうとする美奈穂と、ちょっとだけで今日だけはとぺこぺこする幽霊の構図。
幽霊が見える人にとっては、ですけど。

「あっ、はい。
 こちらの幽霊さんが、竹内さんが商店街のお店でお友達と飲む約束しているそうですの。
 でも、この穴は使っちゃだめで閉じちゃいますから、帰ってくださいって言ってるのですけど・・」

一般人にとって、何もない空間。
そこを掌で示してご紹介。幽霊さん、固まを押さえてぺこぺこお願いしますとやっている姿――見えませんね。

「お手伝い・・」

菖蒲様を見上げ、幽霊さんを見上げ。そしてまた菖蒲様を見上げます。
むむっ、ここはお姉様力を見せるところでしょうか?
こう、包容力的な?

「仕方がありませんわ・・じゃあ、菖蒲様に憑いて頂いて。
 時間になったら、きちんと祭祀局に行って手続きしてから。
 別の穴から還ってもらいますとか・・・」

やれやれ、という態度です。
ダメな男の子に甘いお姉様な気分になっている美奈穂です。

芥子風 菖蒲 >  
「……よくわかんないけど、そういうのってお盆だけじゃないんだね」

要するに、幽霊の通り道と言うか。
あの世とこの世の境目みたいなものだと解釈する。
門外漢ではあるが、知識として聞いたことがある。
それが誰だったかは、余り思い出したくは無いが、そう言う雰囲気と言う事は分かった。
幽霊や怪異だって、騒ぎたいと言う事らしい。

「ここにあるその……"穴"っていうのは、そんなに大きいの?」

正直、今一そこまでしっくりこないというか。
そんなに大きいのなら百鬼夜行、跳梁跋扈でも起きるんじゃないかと思わなくはない。
意外と幽霊や怪異は礼儀正しいんだろうか。
……そんなまさか。頭に過るのは、朧車の一件。

「此方の幽霊さん……幽霊?……んー……」

じー。語り掛ける方向を凝視する。
……確かに何かいるような、いないような……。
ぼんやりと"感じる"事は出来る。これが幽霊らしい。
思ったよりも、ハッキリわかるものじゃないみたいだ。

「幽霊でも飲み食いって出来るの?
 よくわかんないけど、俺に出来る事なら姉様の手伝いはするよ」

それが自分の意義だから。
誰かの為に何かが出来なければ、生きている意味は無い。
例えそれが、どんなに細かい事でも。

「……えっ」

例えそれが、どんなに細かい事でも。
でも、幽霊に取りつかれるのはちょっと聞いてない。
流石の少年もちょっと目を丸くしたが……。

「えーっと、宜しくお願いします?」

ぺこり。暫定幽霊…が、いそうな位置に一礼した。

幣美奈穂 >  
「神無月で、この前、神様たちがえんかi・・出雲へやんごとなき神事でお出かけでしたから。
 ちょっとこの時期、緩みやすいのですわ。
 ほら、窓とかって、気を抜くとすぐ汚れちゃうみたいに。
 来月もまた宴会に行かれますし・・」

人差し指を立てた片手を顔の横でぴんっとして、神の意が届きにくい時期なのだというのです。
そして、グレープフルーツぐらいの大きさを示す大きさを両手で。

「これぐらいでも大きめですの。
 ここにありますの、縦に50cmぐらい長くなってますから・・結構大き目です」

こくりっ、頷きます。
横幅は3cmぐらいですが。
ここ、閉じとかないと。常世島の繁華街の近道だと、本来は荒野や、別の所に出るモノが
次第に通り抜けてくるかもしれません。
今はまだ幽霊さんとお地蔵様ぐらいしか見ていませんけど。

眼鏡をして癖毛な、20代ぐらいのちょっと頼り無さそうな幽霊さん、
いや、ほんと。ちょっとだけだから。
拝んでます。
幽霊でも拝めるのです。
視線の方向、ちょっとずれていたので、位置を合わせて動く人?幽霊の良さ。

「ん~・・飲める方とかおりますし、その霊気分だけのんじゃうとかいう方もおられます。
 炭酸が抜けたり、ちょっと味が薄くなったりするのです」

本当は心がこもったお供え物がいいのですけど。
「わぁ、よかったです!」と喜ぶ美奈穂、「え?、いいの?」と驚く幽霊さん。

「じゃあ、しちゃいますわねっ!
 菖蒲様は初めてかしら? 初めてだと慣れてないかもしれませんから、
 初めはちょっと慣れませんからぬりゅっとかきゅぽっとかいう感じになるかもしれませんし、
 なじむまでぞくぞくするかもしれませんけど。
 慣れたら、それが好きって方もいると聞きます!」

いそいそ。
荷物から短冊を取り出せば、さらりさらりと筆で書きます。
それを渡せば、なんかにゅるりんにゅるりんきゅぽんっと入ってくる感覚や、
中から変な声が、感受性が高ければ聞こえて来るかもしてません。

芥子風 菖蒲 >  
「あれかぁ。ああ言うのって関係あるんだなぁ」

そう言うのを管理するのが神様ならそうか。
刑務所で刑務官が全員一斉に休むようなものなのかな。
神様も頑張ってるし、休み位必要だろう。
青空の両目が、美奈穂の身振り手振りをじ、と凝視している。
何というか、可愛げの塊だなぁ、とは思った。あやを。

「そう言うのでも大きいんだ。繋ぎ目と考えると確かに大変だな……」

本来、交わるべきではない場所だ。
死者は死者、生者は生者の住むべき場所がある。
それは、共存すべきものじゃない。
今やそれが通じるような世界じゃないと言えど
それは、生きるものに対して毒になるかもしれないからだ。
だからこそ、それを制御する側や美奈穂の様に奔走する人がいるのだろう。

「……なんか、適当に殴ったら閉じたりしないかなぁ」

多少感受性ありとはいえ、基本は脳筋。
ごんごん、鞘で自販機軽く小突いてるよ。

「幽霊もそう言うの食べて体維持するんだなぁ……なんだか、死んでからも大変そう」

そう考えるとおいそれと死にたくはないな。
死んでも飯を食ったり何かしたりしなきゃいけないなんて
死人に口なしとは存外、忙しくて答える暇がないだけじゃないんだろうか。

「まぁ、それしかないなら俺はいいよ。
 どういう感じかわからないけ、ど……!?」

瞬間、体に感じる違和感。
ぞわり、と背筋をなぞる悪寒。
聞こえてくる妙な声。それは、反射的な行動だった。
少年が青空を見開き、美奈穂へと素早く手を突き出した。
…が、それは首元の寸前で止まる。反射的防衛本能。
は、とすればその首を狙おうとした手を素早くひっこめれば目じりが下がる。

「ご、ごめん……なんか気持ち悪くて急に……」

敵意とかを向けるつもりはなかった。
感情の起伏の薄い少年も、今回ばかりはおろおろと慌てている。

幣美奈穂 >  
こくりっ、ありありです。ありあり側のありです。と頷きます。
お盆は迎えの精霊馬(きゅうり)を出したりしますが、この時期だとパリピーな、
来てはいけないのに『ちょっと行ってみようかな?』と軽い気持ちで来る幽霊さんも少なくないのです。

「この前、新暦での神無月だったのですけど・・もう少しで旧暦の神無月になりますし。
 だから、この時期って《黄泉の穴》もお腹みたいに緩くなちゃったりしますの』

ちょっとため息。
心配なため息ではなくて、また腰の重い神様なんかをせかしたり、
付喪神様を宅急便で送ったりとしないといけません。

「あっ、でも。
 その時に常世祭もありますから、楽しいお祭りもあります!」

ついさっき、その交わるべきない場所、現世と隠世の境の場に、普通に入っていった美奈穂です。
あっちの世界もいい方も多いのです。
自動販売機、小突かれますと。
既に霊障があるのか、ぐららっとちょっと揺れまして電光掲示の数字が動き出します。
777と並んで、がたがた、ごとん。
霊入りお汁粉缶。

「後ろの方ですから、ちょっと動かせましたら。
 お塩が届きそうなのですけど・・」

家庭に普通にある卓上塩、振りかけるのも便利です。
仮で現世にとどまれる霊符です。
素早く手を突き出されても、反応は出来ておらず。
ふと、何か気付きまして、お顔をあげましてお目めをぱちぱち。
そしてにっこり、伸びてきていたお手てを、軽く包むのです。

「大丈夫ですか?
 慣れるまで、深呼吸です!
 ひっひっふぅ~、ひっひっふぅ~です」

深呼吸を、自分もする美奈穂です。
中では幽霊さん、なんか謝りながら憑き心地を整えようと、なんか判らない霊的なのがむずむず動く感じに。

芥子風 菖蒲 >  
「…………」

包まれた手と、美奈穂の顔を交互に見やった。
彼女は笑顔で、慣れてないからと心配してくれる。
けど、違う。そう言うのじゃない。体に霊が入ってくる違和感。
体が危険だと判断して、"勝手に動いた"。
彼女を危険と判断して、その首を狙った。
知らない感覚、知らない感情だ。
誰かに引っ張られたような……そんな事はどうでもいい。
彼女を傷つけようとした、というのが何よりも引っ掛かる。

「俺は、大丈夫。だけど、姉様を俺……」

その先の言葉は飲み込んで置いた。
ばつが悪そうに視線を右往左往。
悪い事をした子どもが、目上の人に悪事を隠している後ろめたさだ。

「…………」

彼女が大丈夫、と言うならそれでいいかもしれないけど、引っ掛かる。
心のもやもや。むずむず動く幽霊さんも、多感な少年の中の居心地は果たして。

「……よくわかんないけど、黄泉の穴が緩く、って、あんまり良い事じゃないと思うけど……」

用がないから近寄った事は無いが、大層な場所とは聞いている。
そんな所まで仕事をしに行く彼女もまた、凄いなと少し思った。

幣美奈穂 >  
自分に何か暴力的なことをされようとした・・なんて、まるで気が付いてないのです。
ふと気づけば、目の少し下あたりに手があったので、握手握手としただけなのです。

「どうしましたの?。
 何か困ったことがあるなら、お姉様にお任せなのですわ」

えっへん、胸を張れば意外と豊かな大きさです。
それが軽く揺れまして。
そして、じーっとまっすぐに見上げて菖蒲様の目を見ています。
迷いがない、まっすぐな澄んだ目で。

「――!」

もしかして、思春期!
菖蒲様に思春期が!、むぅ、先を越されたのでしょうか?
有ってます?、違ってます?
と首を小さく傾げさせるのです。

「あっ、はい。
 ですから、今月も何度か、《黄泉の穴》の封とか結界の点検とか。
 してますから、大丈夫ですわ」

今月は、大事な所を点検し、少し危ないところは応急処置。
来月から本格的に整備する予定なのです。風紀委員会や祭祀局の方々と一緒に。
くすくすっと小さく笑い、笑顔です。

「――あっ、お店行く前に。
 自動販売機・・ちょっと前に出せますかしら・・」

後ろを振り向く美奈穂、警戒心とかまるでない無防備です。
あっ、と何かに気付いて、また自動販売機の後ろに、迫力のない鞘の突き。
ちりんっ、と鈴がなります。
今のは、ちょっと無し寄りな邪な感じのモノでした。
あぶないあぶない、やっぱりこの穴はよくない穴のようです。

芥子風 菖蒲 >  
「……姉様が平気なら、いい……」

自分が危険な目に合いそうに成った事すら認識していない。
確かに実際、未遂に終わったわけだし、そうなんだけど……。
ばつの悪いまま、眉は下がったままだ。

「幾ら何でも能天気すぎる気も……」

少しは危機感を持っても良いと思う。
仕事上の綱渡りとか、そう言う事は考えないんだろうか。
何とも言えない気持ちで首を振った。
思春期は因みにまだ来ていない。
自分の考えすぎなんだろうか。

「……ん、大丈夫。多少の力仕事なら出来るから」

とにかく、今は彼女の言う事に従おう。
言われるままに自販機を押したり引いたり、素直に美奈穂の言う事に後は従うだけだ。

ご案内:「はろうぃん幽霊とりしまり隊」から芥子風 菖蒲さんが去りました。
幣美奈穂 >  
「??
 わたくしはいつも元気ですわ?」

なにがなのでしょうか?、と、首の角度が深くなるだけです。
ちょこんと握った両手、胸の横にあげて元気ポーズ。
掌側が前を向いているので、まるで肉球にゃんこポーズが如くの迫力。
こう、ぽわぽわっとしたのを迫力と言えたらですが。

自分に対する害意には鈍いのに、霊的というか穢れや邪なのには反応しています。
えいえいっ、と鞘の先で穴のほうをつつき、ちょっとよろしくないモノを、
つつき返します。
速度や力強さ、物理的な威力という面では、素人でもよけれて、当たっても痛くなさそうなその突き。
穢れに対しては効果抜群な突きです。

ふぅっ、無事に向こうに逃げてくれましたので安心です。
やった気配な美奈穂、お姉様力があがったでしょうか?
――傍から見れば、自販機の後ろをつついてた子でしかありません。

晴れやかな顔で振り返り、自動販売機を動かしてくれるというのにぱぁっと陽の気が広がります。
動かしてくださるのを、美奈穂御一生懸命応援!

がんばってくださいませがんばってくださいませ菖蒲様!
まけるなまけるな菖蒲様!
もうちょっともうちょっと菖蒲様!

声もあげて一生懸命です。
で、5cmほども動けば十分。
念入りに卓上塩を壁に向かって振りまして、短冊で作った霊符を幣としてペタリ。
そこから、鈴を鳴らした神楽舞でその《穴》を綺麗にふさいでおきます。
陰陽太極だと霊道と読んだり、魔術だとゲート、精霊術であれば妖精の穴とも呼ばれるそれを。
綺麗に直してしまうのです。

戻して貰っている頃、菖蒲様の中で安定してきた幽霊。『おっ、これ。閻浮之塵か。なつかしいなぁ・・』とか。
なんかぽつりと中でつぶやいた声が響いたかもしれません。

菖蒲様(幽霊憑き)をお送りしましてから、次の《穴》を探す。
はろうぃん、美奈穂は負けないのです!

「あっ、そこの狼男さん!。ここで悪戯しようとしたらいけませんっ!」

――いつも通りの美奈穂です。
気を付けるねと、お菓子をくださいました。
今日も背負ったリュックの中、お菓子でいっぱいになりそうです。

ご案内:「はろうぃん幽霊とりしまり隊」から幣美奈穂さんが去りました。