2022/10/26 のログ
ご案内:「送電塔」に追影切人さんが現れました。
■追影切人 > その一報は、唐突に耳元に付けた小型のインカムに届いた。
鬱陶しそうにその報告を聞く男の姿は、島にある送電塔の一つだ。
「――あ?【神便鬼毒】が?……ふーーん、そりゃまた。
…【無間山脈】は……やっぱ動かすつもりねーのかよテメェらは。
流石にもうそろそろ動かせよ……他の連中は?…まだ何人か投入出来んだろ。」
【化外殺し】―――【死線】が相手中。
【電子殲戦】―――風紀の捜査網のバックアップ中
【夢幻創造】―――昏睡状態。次に目覚める日は未定
【天駆者】――――転移荒野上空を飛行中。補足困難。
【不朽祭器】―――【死線】のフォロー中。連絡困難。
あと、【叫喚者】及び【悪運】は関わらせない模様。
「……相変わらず何人かツッコミ所しかねーんだがよぉ。
つまり、”次”は俺ってか……で、やっか『雷切』は無しか?
……ナマクラでもいいから、何か寄越せよマジで…。」
舌打ちを隠さず、通信相手に愚痴を漏らすがそれで聞き入れられる筈も無い。
”二人しか居ない”一級の片割れだ。扱いは相応に慎重になざるを得ないだろう。
(――廬山の奴を動かした方が『確実』だろうに、何を考えてやがんだか…。)
■追影切人 > 「……いっそ、『虚空』と『雷切」の二刀流で俺が奴にカチコミすりゃ――あ?うっせーなわーってるよ。」
当然却下された。何せ自分が”第二の斬奪怪盗”になりかねないのだ。
それか、『新しい一級監視対象』でも確保してそいつらを出すか?まぁ、それは現実的ではない。
「取り合えず、武器が無理ならせめてバックアップ態勢整えるくらいはしろよ。
【不朽祭器】の堅物か、パシリで【死線】、あとは【電子殲戦】の引き篭もり辺りは欲しいわ。」
そのくらいの要望はしてもいいだろう。と、いうよりこの事態なら動ける『リスト』連中全員動かしてもいいだろうに。
送電塔の天辺にて、口元に煙草を咥えて紫煙を燻らせながらどうしたもんか、と。
フラストレーションがかなーーり溜まっているので、パラドックスの奴に投入されるのは丁度いい。
「――単純な話だ、奴が俺を破壊するか俺がヤツをぶった斬るか。」
ご案内:「送電塔」にエボルバーさんが現れました。
■エボルバー > 不意に吹く冬の到来を感じさせる冷たい風が電線を揺らす、
夜闇の中、聳え立つ鉄塔に不気味な影が現れる。
それは唐突に何の前触れもなく、まるでそこで出来上がったかのように。
革靴が地面を踏みしめる音。
間を置かずにして鳴り響く軽い金属音。
貴方が気づいて振り向いたらば
そこに佇むのは、夜に紛れるほどの黒いスーツを纏った一人の男。
人間と呼ぶには不気味さが残る男は
落第街の違反部活が良く使用している東側の拳銃を貴方へ向けている。
>対象を分析中...
>分析完了
>超自然反応を検出
>風紀委員会紋章を検出
「風紀委員会。」
男は感情の籠らない無機質な声でそう一言。
■追影切人 > 「――あン?」
唐突に現れた気配と影に、隻眼をそちらへと胡乱そうに向ける。
何時の間にか忽然と佇んでいたのは、漆黒の闇に紛れそうな黒スーツの男が一人。
何処か『無機質』さを感じさせるその容貌を、煙草を口の端に咥えたまま見据え。
「――何だ、物盗りとか恨みの類って訳でも無さそうだがよ?」
向けられた拳銃の銃口は真っ直ぐこちらに狙いが定められていて。
しかし、銃口を向けられていながら全く男は動じた様子も無い。
「―-風紀委員会…って気が未だにしねぇけどまぁ間違いはねぇな。んで?何か用かよ?」
今にも拳銃の弾丸が心臓か眉間にぶち込まれそうにも関わらず、何処か気だるそうな面持ちのままで。
■エボルバー > 「風紀委員会は、秩序を守る機構。
秩序を守る為の強力な力が、そこにある。」
拳銃を構えるその腕は一切のブレを見せることなく。
有機的な情を映すことのない虚ろな翡翠色の瞳が青年を見つめ続ける。
>照準補正実行
>命中時推定致死率:12%
「だからこそ、それは変化に必要なリソースとなり得る。
僕はそれが、欲しい。」
口から出たのは、人間が引き金を引くために持つ動機とは
どこかかけ離れているもの。
吐かれた抑揚のない口調と共に遠慮などある様子もなく
構えられた拳銃から乾いた火薬音が鳴り響く。
銃口から9mm口径の拳銃弾が回転しながら青年へと突っ込んでゆく。
勘が鋭いならばその銃弾に明確な殺意が込められていないことも
分かるかもしれない。
■追影切人 > 「――そもそも、秩序とか俺は”どうでもいい”んだがよ…ま、そう言ってもしょうがねーんだが。」
一切のブレが無い無駄のない所作で拳銃を構える様子で、無機質な表情と視線がこちらを見ている。
(――人間ぽくねぇな。)
それが率直な感想と直感だ。そして、リソースやら欲しいやら、コイツは何を言ってるんだ?という怪訝な表情を浮かべて。
「わりぃが、いきなり銃を突きつけてきて欲しいも何もねーだろ。くれてやるもんはねぇな。」
直後、いきなり火薬音と共に発砲される。男へと放たれたそれは、何の前触れも無く”切断される”。
真っ二つに両断された拳銃の破片が男を避けて左右に飛び散っていくのを一瞥もしない。
「……んで?まだやるのか?何発撃っても構わねーが、それじゃ結果は変わらないぞ。」
つーか、と呟きながら右手を軽くパチン、と鳴らしていく。
もし、彼が拳銃を手放さなければ――いきなり、その拳銃が破裂するようにバラバラに切り裂かれる事になろう。
■エボルバー > 「欲しいのは、力そのものではなく、
得られる経験だ。」
...放った銃弾は青年に命中しなかった。
おかしい、照準に狂いはない。確実な命中コースだ。
青年も回避行動を取った訳ではない。
奇妙な男は少し首を傾ける。
>銃弾軌道分析...
鉛弾は青年に命中する直前に未知の力によって綺麗に縦断され
別れた2つのコースを描いて外れていたのだ。
そして、奇妙な男...ソレが次の銃弾を放とうとした時には
今度は拳銃そのものがいきなり無数の破片と化し、硬い地面へ落ちてゆく。
それは分解されたというよりも幾つにも切断された様子で。
青年は攻撃動作を取っていない。だが確かに不可視の力が働いていた。
「興味深い結果だ。」
武器がみじん切りにされた男は、臆するどころか
青年の方向へ狭い足場を踏み鳴らしながら歩みを進めてゆく。
瞳を無機質な翡翠色に灯らせ、貴方を見つめる。
■追影切人 > 「―あぁ?経験が欲しいだぁ?」
男が銃弾を切断したのは、単純明快にこの男の異能――その片割れの力の一端だ。
一言で言うならば、それは【斬る】という意志の具現。斬撃現象の具象化と多様化。
男が認識していれば、銃弾だろうが今のように拳銃そのものすらピンポイントでバラバラに出来る。
切れ味、射程、その他諸々に”今は”上限が設定されてしまっているが、凶悪な力ではある。
「――何だ、テメェ自身がぶった斬られてぇのか?」
その一言が一応の”警告”代わりでもあり。もし、彼がそのまま接近してくるならば。
男の指先が軽く縦に振られると同時に、その頭頂部から股間部までをバッサリ両断せんとする。
それは、矢張り刃物の類も何も持っておらず、魔術とも違う…不可思議な切断現象じみていて。
■エボルバー > 「そうだ、経験だ。
経験は、変化を生む。」
強力な力に晒されると、その力に対抗するために
新たな力が生まれる。それが万物に通ずる基本原理。
生命でいえば進化の法則。それを機械にも適応する。
「良い機会だ、斬ってみてほしい。」
歩みを止めることなく、薄気味悪いほど一定の歩幅で歩き続ける男が
そう呟いたと同時だった。先程の青年が見せた不可視の力によって
男が二つに切断される。それは、体の中心から縦に両断すべく。
神速の如きその現象は即座に影響は現れず、男が次の一歩を踏み出そうとした時、
まるで男の身体が二つに”ズレて”いくように分かれていく。
だが、そこから広がるのは異様な光景。
奇妙なソレの切断面は光を吸い込んでしまうかのような真っ黒なもので。
血肉の代わりに黒い粉末のようなものを散らしながら二つに分かれた男が
地面へと転がる。
■追影切人 > 「――ハッ!俺にゃ小難しい事はよくわかんねーが…つまり、場数を踏んで”進化する“って事だろーよ?」
耳元のインカムから既に通信は聞こえない。今回の”作戦は終了”という事だろう。
ならば、ここに長居する必要も無い。そもそも、何でこんな場所に居たのかは幾つか理由はあるが。
「――おぅ、斬ってやったぜ。……つーか。」
僅かに不審そうな顔をする。おかしい、”手応えがあっさり過ぎる”。
確かに、時間差を於いて男の体が両断されるが、その切断面が”黒い”。
(異能や魔術…じゃねぇか。なんかの種族って考えるのが妥当か。)
特殊な肉体を持つ能力者、という線もあるがそれは無いなと直感して。
何気なく、左手――ある特殊な種子を埋め込んでもらい、腕の形に擬態した植物の腕。
その左手を軽く振る。両断した彼のごく一部を切り裂いて、その飛び散る粉末を確保しようとする。
(……取り合えず、これは回収して引き上げだな。ボサボサしてっと連中がうるせぇし。)
正体が何か分からないが、どうやら(本当に一部だが)彼を構成する”何か”を回収するつもりのようで。
■エボルバー > <奇妙だ、君の武器が見当たらない。>
その無機質な声は青年の頭の中へ響くように聞こえただろう。
地面に転がる男の残骸が急激に黒ずみ朽ちるように崩れていけば
黒い砂の群となって地面へと広がってゆく。
それは確保しようとしたこれまた青年の奇妙な左腕に反応し、
広がった漆黒の砂漠は硝子質の金属音を奏でながら
青年から急激に距離を取った後に、堆積し始め形を成してゆく。
「君の左腕も、人間のものとは違うようだ。」
やがて出来上がったのは、先ほどまで相対していたスーツ姿の男。
変わりなく動かない表情を貴方に見せる。
ただし、違うのは奇妙な男の右腕にあった。
さっきは人間のものであった腕が、
鋭利な漆黒のブレード状に変化していたのだ。
「実に、興味深い。」
奇妙なソレは少しの助走とともに地面を蹴る。
打って変わってみせる急激な挙動、
人間の形から想像出来ない不可解な脚力。
空中に弧を描きながら、黒い刃を青年へ振り下ろす。
■追影切人 > 「そりゃ、そういう能力だからな…ま、今は”中途半端”だけどよ。…つーか、本当はこちとら刃物が欲しい所なんだわ。」
無機質な声が頭から響けば、「やっぱあの程度であっさりくたばる訳ねーか」と呟く。
そもそも、こっちの斬撃があまり効いている様には見えない。切断した際の”手応えの無さ”からして。
男の残骸が黒ずみ砂の群れとなって地面へと広がり、更にガラス質の金属音を立てて距離を取った位置に再構成。
「――群生の生物か何かか?テメェは。…いや――」
生物とは少々違う気もする。左腕については、「知り合いに頼んでちょっとな。」と、軽く革手袋で包んだ左手をひらひら振ってみせる。
肘から先が緑色をした、植物の蔓などが束ねられてそのまま人の手の形を作ったような、そんな感じの”義手”だ。
男が、こちらへと今度はその右腕を鋭利な黒いブレード状にして向かってくれば。
「――悪いが、こっちはこの後もやる事があるんだわ。
テメェをじっくりぶった斬るのはまた今度にしてやる。」
そのブレードに、左手ではなく生身の右手を翳すようにし手刀で”迎撃”。
黒いブレードと男の手刀の間に、見えない壁のような斬撃のエネルギーが発生し、彼の一撃を受け止めており。
――バキンッ!!と、金属の硬質な音を立ててブレードを破損させんとしながら、後ろに軽く飛んで距離を取る。
「つーー訳で、斬り合いしたいなら次を楽しみに待っとけ。
こちとら、苛々溜まってんてテメェで憂さ晴らししてぇ所だが――…。」
そうも行かない、とばかりに舌打ちを零しながら男を一瞥してから低い姿勢で飛び退いて。
まるで、獣じみた俊敏さと無駄の無さで口惜しいが一先ずは”お預け”という形でその場を後にしよう。
(あ、そういやあの野郎の名前を聞きそびれたな)
と、気付いたのは少々後の事だったとか。
ご案内:「送電塔」から追影切人さんが去りました。
■エボルバー > 飛び掛かり、青年へブレードをぶつけるその直前
またもや不可視の斬撃と思しき力が男と青年との間に発生する。
空中で甲高い音と共に火花を散らし、
男は反作用で飛ばされるが、脚で地面を引きずりながら着地する。
そのエネルギーを間近で受けたブレードは
多少の損傷が見られるものの折れてはいない。
それは青年の未知の力を受け着実に変化していた。
強力な力を受け、より最適な組成を見つけ出す。
青年の方は、後方へ距離を取ったかと思えば
そのまま塔から飛び退いてゆく。
夜の闇へと消える青年をソレはただ見下ろしていた。
「面白い人間だ。」
更なる変化の余地を感じさせるあの対象を記憶し
そして深い夜に突如として現れた不気味な影もやがて姿を消す。
そう、まるで最初から誰も居なかったかのように。
ご案内:「送電塔」からエボルバーさんが去りました。