2023/07/10 のログ
ご案内:「常世島上空」にエボルバーさんが現れました。
エボルバー > 広がる夜空と少しばかりの雲。
星々を従えた月は人々が住まう街を照らし続け
夏をかんじさせる暖かい風が時折吹き付ける。

そんな夜空にソレはあった。

鳥にしては大きい。だが飛行機にしては小さい。
月光を吸い込むかの如く漆黒色の飛翔体が空を駆ける。
その姿は直上から見るとV字型の翼、所謂前進翼を持つ
小型無人機のようなもの。
歪むような機械音を奏でながら奇妙なソレは亜音速で飛翔する。

ピジョン1 > 「こちら、ピジョン隊どうぞ。」

紅い制服を靡かせ夜空を駆けている魔術師は
風紀委員会特別攻撃課ーーマルトクが誇る対空迎撃チーム「ピジョン隊」。
片目に魔法陣状のHUDを展開させ、所属不明の飛翔体を追う。

『こちら管制室、常世島上空に未知の飛翔体が出現した。
呼びかけには応じず、目的も不明。
万が一の被害を出さない為、これを迎撃せよ。』

魔術師の男は耳元のインカムを押さえる。

「こちらピジョン隊、了解。」

飛翔体に追いつくため加速する。

ピジョン2 > 「ピジョン2、目標を射程に捉えた。」

2人目、バディの魔術師が飛行しつつ巨大な魔方陣を展開する。

「マジックミサイル発射。」

魔法陣から4本、魔法の矢が射出される。
高度な術式で構成され、ジグザグと鋭利な軌道を描きながら
未知の飛翔体へと突っ込んでゆく。

エボルバー > >魔素反応検知

>指向性魔波検出


放たれた魔法の矢がソレに襲い掛からんとした正にその時だった。
今まで直線的に穏やかに飛んでいた飛翔体の様子が豹変する。
それはまるで捻りこむように。
抉るような角度で旋回し文字通り一瞬で飛行方向を真反対へ変え
魔術師と相対するような形になる。

魔法の矢は飛翔体の旋回に対し、角度が足りず夜空を彩る流れ星と化す。

ピジョン1 > 「...!今のを避けるのか!」

航空機の形からは予想だにしない軌道を見せつけられ
精鋭の魔術師達も流石に驚きを隠せない。

「ピジョン2へ、恐らく機動戦は無理だ。
挟み込むぞ。」

しかしそこは精鋭たる者たち。
即座に別プランを用意し迎撃を試みる。

エボルバー > >目標ロック
>分析開始...


>分析完了
>結果:魔術師


飛翔体は相対した魔術師の軌道をなぞっていくように追いかけていく。
攻撃される可能性を考慮した魔術師は逃げるために鋭い軌道を描きながら逃げる形を取る。

しかし飛翔体は魔術師を攻撃することは無かった。
ただただ後をついていく。
魔術師を注意深く観察するように。

ピジョン2 > 「何なんだ?あの動き。」

奇妙な挙動に魔術師は困惑を隠さない、
しかし、バディがアレを引き付けている今は絶好のチャンスといえる。

「ピジョン1、そのまま引き付けてくれ。
攻撃する。」

魔術師の手元が再び陣を描く。
陣からは魔法の光弾が散弾のように発射され
軌道がクロスする飛翔体の正に横腹に撃ち込まれる形になる。

エボルバー > 横からトラップの如くばら撒かれた魔光散弾に飛翔体は突っ込んでしまう。
高い魔力で作り出されたそれは、鉄筋をも吹き飛ばす高性能爆薬に引けを取らない威力。

>速度低下
>現速度:216.52kt

夜空に次々と爆発が鳴り響き、光弾の雨に晒された飛翔体は各所に穴を開けながら
クルクルと回転しその高度を徐々に低下させてゆく。

ピジョン1 > 「まずいぞ。この下は学生街だ。」

落ちてゆく飛翔体を横目に魔術師は表情に焦りを浮かべる。
片目に浮かべる魔法陣スクリーンを遠隔で操作し
飛翔体の墜落コースをシミュレートする。

「被害は許されない。空中で完全に破砕する。」

魔術師は急加速し、落ちる飛翔体へと迫ってゆく。
右手の拳を握りしめ眩い光が集ってゆく。

「破壊術式、始動!」

次の瞬間、握られた拳から凄まじい魔力波が放たれる。
大気組成すら歪ませ乱すおぞましい火力。
それは島の安全を守るために振るわれる力。

エボルバー > >高魔導エネルギー検出


魔術師が使用した最高位術式による破壊魔法は
墜ちゆく飛翔体を飲み込み、空間を縮ませた後に大爆発を発生させる。
その爆発たるや夜空を一瞬の間、昼のように照らし
衝撃波は地上の学生街へ振動となって伝わっていく。

飛翔体の形などもはや見る影もなく
只の真っ黒い粉末となって空中へ霧散し降下していった...

ピジョン2 > 「目標の撃破を確認。」

飛翔体を追いかけていた魔術師のバディが
爆発を確認し報告を入れる。
任務は完了とみなし高速飛行からホバリングへと移行する。

「...しかし、何だったんだろうなアレ。
人が乗るスペースは無さそうだし...、
違反部活のドローンか何かかね?」

バディ、ピジョン1へ通信する。