2021/11/06 のログ
■エボルバー > 打ち上げられた物体は空高くで急速に軌道を変える。
枝分かれするように別れたそれらは地上へと、猟犬たちへと、
意思を持つように軌道を修正しつつ落下してゆく。
それは正に漆黒の生きたミサイルとも形容できよう。
時を経たずしてそれらは着弾する。
空中の攻撃ヘリに、地上を支配する歩兵戦闘車に
獲物を追い詰めんとする猟犬たちに。
黒いミサイルのような物体は着弾したものを”喰った”。
攻撃ヘリはテイルローターに被弾し、その部分がぽっかりと侵食され無くなっていた。
安定のための翼を失ったヘリはきりもみ回転を起こして
地面へと勢いよく激突し爆炎をあげる。
歩兵戦闘車は一度に数十の侵食を受け
虫に喰われたように穴だらけになったそれは間もなく
その形が完全に崩れ去る。
猟犬が隠れる瓦礫に着弾し、黒い霧状の爆発に巻き込まれた部分が
侵食されて穴が開く。初めから何もなかったように。
■エボルバー > <それが、キミ達の力か。>
佇む漆黒の異形が猟犬たちをただ見つめる。
ソレの声は、頭の中へ直接響き渡るように。
目の前の人間達に対して見下すわけでもなく
ただ学ぼうとするために。
そして攻撃ヘリとIFV数両をものの一瞬で失った猟犬共は
極めて冷静だった。混乱して浮足立つわけでもなく。
体勢を立て直すべく一時撤退の準備を進める。
生き残った歩兵たちは輸送車両に乗り込み一時的にポイントから離脱する。
戦力の損耗を最小限に抑えるために。
<ボクは全てに期待する。>
撤退してゆく猟犬達に追撃を加えることは無かった。
ただ彼らを見つめるだけ。
瓦礫のみが残るポイントA-02。
そこには進化を求める黒い怪物が佇む。
ご案内:「荒れ狂う戦場」からエボルバーさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」に霧島 孝介さんが現れました。
■霧島 孝介 > 先日の抗争より一夜明けた落第街の路地裏。
未だに戦火は止まぬが比較的安全な地域まで撤退ができたようで
壁に手を突きながら、ふらふらと突き進む。
「ハァ…ハァ……」
正体を隠すためのガスマスクの奥では、疲弊しきった表情をしており、
息も絶え絶えになりながら、足をゆっくりと前に出す。
途中でついに体力が尽きたのか、膝をついて、その場で止まる。
壁を背にして地べたに座れば、呼吸を整えながら考えを整理する。
「ちょっと…無茶しすぎたか…な…」
自嘲するように笑いながら、そのような独り言をつぶやいて
■霧島 孝介 > 「…ハァ…ふぅ~…」
ガスマスクを付けて息苦しい中、何とか深呼吸をして呼吸を整える。
ここまでくれば誰も来ない、とは思うが
万が一、誰かが来た際に顔を隠すものは必要だろう。
「まだ終わっちゃいない…が、あんなもの…」
拳を握り、再度、戦場へ赴こうと思案するが
自身の上から落下してきた巨大な剣を思い出して震える。
あんなものを出せる人物が風紀委員会に居たなんて。
自分の異能に自信がないわけではないが
いざ相対した場合、バレずに、不殺を心掛けて戦うことは不可能に近い。
その上―――
「は…怖がってるじゃん…俺」
手を見れば震えが止まらず、もう片方の手でそれを止める様に掴んで。
■霧島 孝介 > 最初は『いけるかも』だとか『俺ならやれる』なんて考えていたが
そんな甘ったれた考えと自分の意気込み、決意をいとも容易く否定する一撃。
しかもその後の追撃がなかったという事は…『これで十分』と相手にされなかったということ
「くっ…ふふ…」
肩を震わせながら笑い声をあげる。
自分の愚かさ、弱さ、甘さに悔しさを通り越して笑いがこみあげてきて
拳を目いっぱい握り、肩を震わせて、涙をこぼさないようにじっと堪える。
(泣くな、泣いたら終わりだ…)
例え仮初めでも、見てくれだけでも、強さを保つ。
誰も見てない場所だからこそ、弱さを吐き出してしまったら
心も折れてしまいそうで
■霧島 孝介 > 少し昔の言葉を思い出す。
『お前の異能は人を助ける優しい力』。
ある人が言ってくれた言葉で心の奥底で消えかかってた火が、炎へと変わる。
「うぉっし…!」
涙を堪えきって、気合を入れる様に声を上げる。
呼吸も回復して、体力も少し戻れば手に込めた力を緩める。
「大丈夫だ。俺なら大丈夫…」
ダメな方向ばかりに考えてしまっては、全部がダメになる。
自分を鼓舞するように言葉を紡げば、立ち上がって大きく伸びをする。
頭部の出血は既に収まっており、ぼんやりとしていた意識もシャキッと覚めて。
「しかし、次はどうするか…いざ、剣の主に相対したら、生き残れるだろうか…」
次の一手を考える。
ネガティブではなく、現実的に、あの巨大な剣を生み出すほどのパワーを持った異能に
どう対処するか。顎に手を添えて考える。
ご案内:「落第街 路地裏」にフィーナさんが現れました。
■フィーナ > 「えっほ、えっほ…」
リスティとの会話を済ませ、路地裏を走る少女。
その先に、見知った顔を一つ、捉える。
「あれ、孝介さん?」
足を止め、声を掛ける。
■霧島 孝介 > 「ん…」
ドタドタと路地の向こう側から足音が聞こえる。
落第街の人か?風紀委員か?
何はともあれ、襲うのなら…
と考えていれば、先日であった例のエルフさん
「え、何でバレんの!?
…ど、どうも…」
ガスマスクにウェットスーツのような服装
見た目だけで言えば変態のそれなのに一発で看破されて驚愕しつつ
後頭部に手を添えてペコっと会釈する。
多分、目の前の彼女は人を見分ける才能があるのだろう。
それとも、以前であった時の俺の印象=変態=ウェットスーツガスマスクっていう
三段論法が成立していて、自然と俺の名前が出たとか…
いや、後者はないよね、うん。
■フィーナ > 「あぁ、私魔力で大体の人物は特定出来るから。あとは…雰囲気?」
実際、身体から発する魔力である程度の個人特定は可能だ。あとは、ガスマスクのガラスから見える顔つき、そして髪型が、そう見えた。
「でも丁度良かった。まさか、こんなに早く事が起こるとは思ってなくて…」
人が一人入ったバックパックを、降ろす。
「これ、運んで欲しい。安全なところまで」
自分の服に手を掛けながら、お願いする。止めなければ、脱ぎ始めるだろう。
■霧島 孝介 > 「魔力。雰囲気」
魔力は納得できたが、雰囲気…?
変態の雰囲気が以前したのだろうか?と考えつつも
それを聞く前に彼女がバックパックを下ろし始めて
「それは俺も…まさか翌日にドンパチが始まるなんて…」
彼女の頼みを聞き、バックパックを背負う。
生きててよかったなどと、声を掛けようとすると、なんと服に手を掛けてるではないか
「いや、ちょちょちょちょっと、何やってんですか!!?」
服を脱ごうとしている彼女に、焦ったような声で制止をする。
ガスマスクで分かりづらいがガラスの奥では赤面しているだろう
■フィーナ > 「これ、『彼女』のものだから。返してあげないと、と思ってね」
服を脱いで、出てきたのは…裸ではなく、更に服であった。
とはいってもスライムが型どった偽物だが。
「あと、これと…これも」
バックパックに、冊子と、おそらく魔術師にとって最も大切であろう、杖までもバックパックに詰め込んでいく。
■霧島 孝介 > 「わっ…え…どういうこと…?」
服を脱いだと思ったら更に服が出てくる。
え、重ね着してた?そういう訳ではなさそうだが
というか『彼女』とはどういうことかと、疑問が残るばかりで
「うぉぉ‥おっも…」
あれもこれもと、バックパックに詰める彼女
バックパックは瞬く間にパンパンになっていき、重量が増す。
流石に鍛えているとは言え、その重量は中々堪えるようで足が少し震える。
■フィーナ > 「ごめんね、でも…私が持っていくわけにはいかないから」
身一つになった彼女は、申し訳なく言う。
「それじゃあ、任せたよ」
そう言って、走り去っていく。
■霧島 孝介 > 「え、いや、え!?」
身一つになった彼女。
何が何だかわからずに困惑して。
「ちょ、ちょっと!?
……‥あれぇ…?」
嵐のように過ぎ去っていった彼女にひたすら困惑する。
バックパックをちらりと見て、『安全な所に運んでほしい』と
半ば強制的に依頼されたが…
「どうしろって言うんだ…?」
また一つ悩み事が出来てしまい、頭を抱えてため息をつく
■バックパック > もぞ、と。なにやらバックパックが動いたような気がした。
「ん、ぅ…?」
なにやら、寝起きのような呻き声が、バックパックから聞こえる。
■霧島 孝介 > 「うーん…ここから安全な場所か…
とりあえず、そこらへんに放置するわけにもいかんし…
一旦帰るか?」
自分も一旦落ち着いて休むべきか、などと考えていれば
背後から呻き声が聞こえて振り向く。
しかし、そこには誰も居ずに疑問符を浮かべて
「え…あ、こっから!?え、何!?え!?」
バックパックを置いて、距離を置く。
もう何が何やら訳が分からない。
混乱しつつも、バックパックの中身を覗き込むように近づいて
■フィーナ? > バックパックの中には、荷物を託した少女と瓜二つな少女が、裸で丸まっていた。
「……っ!」
視線に気がつくと、慌てて中に入っていた衣服を手に取り、肌を隠す。
「…え、あれ。ここ、どこ…?」
そして、少し冷静になって。自分の現状がわからないことに気付く。
■霧島 孝介 > 「ぃぇぇえええ!?!!?」
バックパックの中には裸の少女が居て、即座に自分の目(というかガスマスクのガラス部分)を隠す。
他人の女性の裸を実物で見るのなんて初めてで
一瞬しか見てないが、その肌色が目に焼き付いてしまって
「いや、…はは、困惑」
チラッと肌を隠したのを確認すれば
先ほどのエルフと瓜二つな顔立ちの少女がそこに居た。
いやもう、理解が追い付かない。誰か助けて。
「…ここは落第街、のどっかの路地裏ですね。
どういうトリックかわからないですけど…とりあえず、服着てください」
彼女に背を向けて、そのように説明する。
この構図、他に人が居れば通報モノだろう。
とりあえず、衣服を着てもらおうと声を掛けた
■フィーナ? > 「そ、そうする」
バックパックの中で、もぞもぞと服を着始める。
服を着替え終えると…本当に、さっき立ち去ったエルフと瓜二つな姿が目に入るだろう。
ただ。目だけは開いていない。
「え………と。落第街の、路地裏…ってことは。私、助かった…の?」
考える素振りを見せる。
「…とりあえず。自己紹介しておきます。
私の名前は、フィーナ。フィーナ・マギ・ルミナスです。貴方は?」
■霧島 孝介 > 「は、はい…」
もぞもぞという音と、衣服の衣擦れ音によからぬ想像をしてしまう。
こんな程度で意識してしまうなんて童貞か俺は!?いや、童貞だったわ…
着替え終わったタイミングでそちらの方を見ると、やはりどこからどう見ても
先ほどのエルフと同じ見た目。
しかし、目を開いていない姿を確認すれば、(全盲?)などと思案する
「よくわからないですけど、生きてるってことはそうなんじゃないですか?」
考える素振りをする彼女にそう答える。
彼女と同じように考える素振りをすれば、一つの結論に至り、彼女の方を向き直って
声を掛けようとするが…
「フィーナ…!そうか、貴女が…
えっと………ここじゃ名前はちょっと、他に人が居るかもしれないので
暫定で『ガスマスクマン』って呼んでください」
本土には壁に耳あり障子に目ありということわざがある。
それに襲われた際にお互いの名前を呼ぶときに「霧島!」なんて言われたら自分の存在が敵にばれてしまう。
それを危惧して、奇妙な名前を名乗る。
■フィーナ? > 「ガスマスクマン…?あぁ、声が籠もってきこえるのはそういう。えぇと…」
バックパックの中身を漁る。使い慣れた杖に、何かが書かれた冊子。服の中にはスクロール。
スライムに襲われた時の装備の殆どが、手元にあった。
「…?」
冊子だけは、知らない。文字に指を当て、筆跡を触感で読み取る。
読み終えると、がくりと肩を落とした。
■霧島 孝介 > 「そうです。…ここはまだ危険なので、本名は後程…」
周囲を見渡す。
まだ戦火はここまで届いては居ないが、いつ、ここが戦場になるかはわからない。
本名は後で、と物色する彼女に伝えて。
「ど、どうしたんですか?」
冊子を手で読み終え、肩を落とす彼女
また何かトラブルでもあったのかと、後頭部に手をやって問いかけて
■フィーナ? > 「……なんでも無い。こう、すごく…複雑な気分になっただけ…」
自分の体を滅茶苦茶にした張本人が自分を救い、更には頼み事まで。中身まではちゃんと見てはいないが…いろいろな感情が絡み合って混乱する。
「危険………そうだ、何が起きてるの?爆発音やら悲鳴が聞こえるけど…」
ふぉん、と。杖を手にした彼女が、宙に浮く。何があっても対処が出来るように。
■霧島 孝介 > 「複雑…はぁ…まぁ、追及はしないですけど」
今は彼女の言葉の真意を紐解いてる時間はない。
彼女と同じように自分も混乱しているが、それはひとまず置いておいて、咳ばらいをする。
「分かりやすく言えば戦争です。
風紀委員が落第街に一斉攻撃を仕掛けて混乱状態です。
詳しい原因は俺も分からないですが…」
ふぉんっと浮く様子に「おぉ」っと声を上げる。
正しく、魔法使いのような見た目に少し興奮を覚えるが
そんな感動している場合ではないと気を引き締めて
「時間がありません。
貴女のお姉さん…か妹?に安全な場所に誘導するよう頼まれてます。
一応、俺の住んでる寮しか案内できませんが…どうします?」
事の真相がわからないこの男。
先ほど走り去ったエルフと目の前の姿が瓜二つの目を閉じたエルフ。
その二人を勝手に双子と決めつけて、そのように言葉を紡ぐ。
■フィーナ? > 「戦争…成程。風紀委員が仕掛けたのなら…何かしらの『引き金』を誰かが引いてしまったんでしょう。音を察するに民間人も巻き込むような戦い方…焦土作戦?」
少ない情報から、結論を建てる少女。耳はかなり良いらしく、悲鳴の聞き分けもしている。
「………そうね。世話になるわ。でも護衛は要らないわ。
私、これでも強いから」
戦闘経験については、この世界に来る前、異世界で戦っていた分一日の長がある。
「ここから離れる、のは賛成。ただ…………あれは姉でも妹でもないから。それだけは理解して」
自分の記憶が正しければ。
自分の腹を痛めて生み出したモノだから。
■霧島 孝介 > 「勘が鋭いですね。大体そうです。
俺はその民間人を逃がすために戦ってました。
…あなたもの事も助ける様に言われてます」
まだ誰かが巻き込まれてると聞けば、真剣なまなざしになり
硝煙が立ち込める方向を見る。
今すぐにでも駆け付けたいが、その気持ちを押し殺して、今は目の前の女性を
保護することを第一に考える。
「はは、頼もしいですね。分かりました。
でも道案内くらいはさせてください」
彼女の言葉に笑顔で返す。
浮遊魔法を詠唱無しでさも当然かのようにやるくらいだ。
恐らく相当の実力者だろう、と魔法の素人でもわかる。
「…あれ?…まぁ、いいですけど。
着いてきてください」
引っかかる物言いに疑問符を浮かべるが今は気にしてられない。
彼女に手招きをして、自身が住んでいる寮へと歩き始めた―――
■フィーナ? > 「えぇ、頼むわ」
目を閉じたまま、ふわりとガスマスクマンの隣に付き、彼の後を追うだろう。
ご案内:「落第街 路地裏」からフィーナさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」から霧島 孝介さんが去りました。