2022/01/31 のログ
ご案内:「【イベント】常世大ホール 新年会会場2」に角鹿建悟さんが現れました。
角鹿建悟 > ――まず、会場に一歩足を踏み入れて気付いたのは華やかさ…そして違和感だ。
最初、その華やかさに面食らいつつも直ぐに違和感が気になり…数秒、周囲を見渡してから把握した。
みんな、フォーマルな服装なのである。大してこの男は何時もの『直し屋』としての作業着だ。

「……成程、そういう事か…。」

と、一人疑問が解けたとばかりに真顔で頷いているが、露骨に浮いているのは間違いない。
もう新年会も終わりに差し掛かる頃合だからか、人の姿はそこまで多くは無いのが幸いか。
それでも、矢張り無骨な黒い上下の作業着にエンジニアブーツ姿の男はそれなりに目立つ。
…いや、かなり目立つ。フォーマルな服装とか以前に来る場所を間違えているレベルだ。

「……委員会の同僚に後押しされて来てみたが……悪手だったんじゃないか…?」

同僚に、この男があまりにも仕事以外が疎かなので新年会に顔を出してみろ、と強く勧められて渋々足を運んだ次第。
が、この男はそもそも制服、作業着、そして寝巻きも兼ねたジャージの三種類しか服を持っていない。
今時の学生にしては衣類が極端に少ないのだ――当然、スーツなどは持っていない。

ご案内:「【イベント】常世大ホール 新年会会場2」に山本英治さんが現れました。
山本英治 >  
「よぉ建悟」
「良いパーティだったな、まぁみんな制服でちょっと浮いた格好だったが」

結婚式の参加者のような黒のスーツの襟を気にする。

「……お前よりはまぁ普通だったよ…」
「作業着で今回の新年会を乗り切ったのか?」

上下を見る。
いや今来たとこ? ナウなの?

「っていうか終わり際に来るのか」

困惑を隠しきれない。
我が悪友は仕事をしている時は真面目で良い男だが
日常だとワンテンポ…いやツーテンポ……やっぱスリーテンポほどずれている。

角鹿建悟 > 「…英治か?久しぶり…と、いうよりついさっき来たばかりだが?仕事を終えてそのまま来たからな…。」

慣れ親しんでいるが、何処か久々にも思える声にそちらへと何時もの無表情を向けて。
…アフロは相変わらずだが、服装はシンプルながらもきっちり決まっている。
基本的に、こういう方面はこの男よりもアフロの悪友の方が遥かに常識的なのである。
…と、いうよりこの男が今まであれこれと無関心過ぎたのがこうしてツケとなって襲って来ているのだが。

「…そもそも、来るつもりは全く無かったんだがな…。
委員会の同僚に『お前、ああいう場に一度くらい顔を出せよ、仕事人間極まり過ぎだろ…。』と、言われたものでな。
ただ、仕事が途中だったから、終わらせてそのままこうして来たんだが。
…あと、そもそも俺は制服とこの作業着、あとはジャージ以外に服は持ってないぞ?」

と、悪友が思わず溜息を零しかねない発言も最後の方で飛び出す始末だ。
冗談などではなく、本気でその3種類しか服というモノを持っていないのである。

山本英治 >  
「…………………」

凄絶な表情で悪友の言葉を全て耳に納めた。
去年のクリスマスに誘拐犯をぶちのめした時だって
こんな強張った表情はしていないだろう。

「建悟………今度服を買いに行こう…」
「金持ってんだろ仕事人間……」

『オー・ヴェー(なんと痛ましい)』とオーバーなアクションで呟いて。

「俺は惚れた女ができたからもうナンパには付き合えないが」
「それでもお前……顔が良いんだからさ…」
「ここでビシッと格好良く決めてたらモテたぞ………?」

そこに立ってろ、と告げて建悟の隣からジャスト三歩、歩く。
人差し指を立てる。

「俺の人差し指の長さが8センチで……」
「お前までの距離が俺の三歩分、240センチ」

「となると……建悟は身長180センチジャストってところか」

いや直接聞けよって話だが。
こういう小ネタが使えると話の種には困らない。

「服を見立ててやるから今度付き合え」

有無を言わせぬ言葉。

角鹿建悟 > 「…………何だお前、そのとんでもねぇ奴を見たという顔は。」

凄絶に過ぎる表情でこちらを見てくる悪友に、流石にやや怪訝そうな表情を浮かべる。
彼がどうしてそんな表情を浮かべているのか、直ぐに思い至らない時点でこの男は…ちょっと…まずいかもしれない。

「……金?まぁ、基本生活費と仕事道具の補充以外では使わないから貯金はあるが…。」

と、緩く首を傾げて。服を買いに行く?…フォーマルな服装はまぁ一着くらいは必要かもしれないが。
そう、こう考えている時点でこの男には『私服を買う』発想が抜け落ちている。
オーバーリアクションをしている悪友に対して、こちらは静かなものである。

「…いや、そもそもナンパに興味は無いんだが。アレは確かお前が乗り気だっただろう。
…あと、顔が良い男なんてあちこちに居るだろう。お前も髪型は個性的だが男前じゃあないのか?
…あと、格好良く決めるとか…何だそれは、意味があるのか?」

と、何処か人形じみた淡々とした切り返し。これでも以前よりはマシになっているのだから何とも言えない。

ともあれ、彼に言われた通りにそのまま突っ立って彼の計測?を眺めていたのだが。

(…いや、わざわざそんな測り方をする必要性が?)

と、思ってしまうのはおかしい事ではない…筈だ。
ともあれ、計測は終わったようで。実際に男の身長は180ジャストである。

「……まぁ、構わないが…何か怖いぞお前…。」

有無を言わせぬ様子に、無表情で何時も通の態度ながら若干引き気味だ。
この辺りは、以前と比べて彼にしては感情表現が出ているといえば出ているが。

――日常生活というか、学生らしい生活を完全に放棄している現状は相変わらずだ。

山本英治 >  
「お前だよ、銀河ギリギリだよ………ぶっちぎりのとんでもねぇ奴だよ…」

髪をガシガシと触って。

「建悟アンタご飯はちゃんと食べてるの!」
「向こうに片付け前の食事があるから早く済ませちゃいなさい!」

裏声で母親みたいなセリフを言って。

「いやまぁ前に一緒にナンパした時は確かに俺がお前を無理やり引っ張っていったけどさ…」
「お前は日常を神がかり的改善して多少愛嬌を出せば『顔が良くて真面目に仕事をする男』だろ」
「今のままじゃ『顔が良いけど私生活が壊滅してる仕事人間』なんだよ」

日本人もこれくらい好き放題言えればハゲずに済むレベルの暴言を速射する。
俺と建悟の間に遠慮なんてない。

「あー」

腕時計を見る。安物だ。
拳法家はすぐ腕周りのアクセサリーを壊す。

「前より多少、柔らかく笑うようになったな……赤点は免れられるぞ、良かったな」

ご案内:「【イベント】常世大ホール 新年会会場2」に清水千里さんが現れました。
角鹿建悟 > 「……英治、お前たまによく分からない事を言うな…。」

この男、冗談は介するがボキャブラリーは貧困なのである。
なので真顔で淡々と突っ込みを入れるというシュールさだ。

「…最近はまぁ自炊も多少は。”他にやる事が無い”からな。
…あと、俺に母親なんていう生き物は居ないから勘弁してくれ。」

と、僅かに表情を硬くする。どうも母親、というか家族の話はこの男には嫌悪感があるらしい。

「……愛想の無さは流石に最近は自覚してきたが、改善は難しいと思うぞ。
無理に笑うとかにこやかに、なんてまず無理だし…俺の表情筋が先に終わってしまう。
…ただ、まぁお前の言いたい事も多少は分かる…つもりなんだけどな…。」

溜息を小さく零す。少なくとも、前と比べたら多少は人間みは出てきている。
悩む事もちょっと増えたし、日常生活からズレている自分も自覚は少しずつ芽生えていて。

「……赤点を免れるだけ、俺としては及第点だな。」

一息。多少表情を崩した…が、やっぱりあまり変化はない。
多分、悪友や一部の人間しかその微細な変化は分からないかもしれない。

清水千里 > 人は散り行き、祭りの熱はまだ寒い春の風に流されていく。

ハレの日ばかりでは心は休まらない。
日本人の食卓にはまず米やパンや麺が来るように、
この国の人びとは単純さの極致にこそ美を見るようである。
どれだけ冒険を繰り広げても、やはり人の心には常に日常を愛する心があるのだ。
だからこそ、清水もハレの日をやり切ったようにケの日に戻る人々の姿を見るのは面白いと感じる。

先ほどから和気藹々とした雰囲気で話す二人の青年のそばには、
そんなふうに考えて人びとを見物している大層美人なお嬢さんが一人いた。

ふと、もしかしたら二人のうちのどちらか――あるいはどちらもと、目があったかもしれない。
寒さゆえか、それとも気恥ずかしさゆえにか頬を染め、
口元を手で押さえて、目の合った人物に微笑みかけただろう。

山本英治 >  
「ああ、ワリ……触れられたくないことだったか」

頬を掻いて素直に謝る。
建悟との関係を変にこじらせたくないのもあるし、
自分も親に勘当されているので何となく察せられる。

「自炊してんの……モテポイントじゃん…」
「まぁ、焦るな。人生は長い、それこそ…」

美人に微笑みかけられて、モッサモサの頭に手を置いて会釈した。

「それこそ………なんだっけ、美人のお姉さんの笑顔で全部吹っ飛んだ」
「どうも、どこかで会いましたかね? それともこっちのお知り合い?」

お姉さんっつっても年下だろうが。
何となく透徹な雰囲気を出す横顔。
漆器を思わせる黒のまとめられた髪。

……お姉さんと言いたくもなるのだ。

清水千里 > 「いえ、お二人とも初めてお会いしました」

清水の声は、どこか懐かしい。
透き通った硝子のように、光を怜悧に遠し心の奥底まで貫く音でも、
重厚な陶器のように、威厳を持って自らそこにひれ伏したくなるような、見えない心に響く低い音でもなく。
その柔らかな声色は、どこか甘く、けども決して甘すぎることはない。
彼女の声に包まれることが愛おしく感じる、――ただの声ごときで妙な話かもしれないが、そういう声だろう。

「先ほどから、仲の良いお二人だなと思って。
ごめんなさいね、盗み聞きのようなはしたない真似をしてしまって」

角鹿建悟 > 「――気にするな…まぁ、俺にとって家族なんて居ても居ないようなものだ。」

家族?ああ、まだ存命だろう。のうのうと生きているだろうが…知った事か。
あんなクソな場所で一緒に腐り落ちるのが嫌だから単身でこの島に来たのだから。
珍しく嫌悪が滲んだ表情をしていたが、ゆっくりと息を吐き出して。

「…ちょっと前まではタブレットとか栄養食品だったけどな…と、いうか面倒な時は今もそうするし。」

と、肩を竦めて。食の楽しさは多少分かってきたが、未だに無頓着に寄りがちではある。
と、悪友の言葉に視線をそちらへと向ければ、僅かに瞬きをしてから無表情で会釈を返し。

「…お前、そういう事を平然と言えるのが偶に凄いと思うな俺は…。」

あと、俺の知り合いじゃないな、とそこは淡々とバッサリ。無愛想無表情なのは申し訳ないが男の常だ。
とはいえ、本人は悪気は一切無くて、普段がこういうノリなだけなのだが。

悪友と違って社交性もちょーっとグレードダウンしているのは前とそんなに変わらない。
と、女性の言葉に一瞬だけ首を傾げた後に、まぁ…と緩く頷いて。

「…俺にとっては唯一の『悪友』と呼べる男なので。」

と、そこは迷い無く言い切る程度には、この男を信用しているつもりだ。

山本英治 >  
「そうですか、風紀委員の実働をやっています」
「山本英治です、どうぞよろしくお願いします」

建悟を指してニヒヒと笑う。

「こっちは悪友で生活委員の角鹿建悟」
「二人揃ってアフロ&直し屋でーす」

すごい声の女の人だな。
聴くと脳内がアルファ波が出ているリラックス状態になる
1/fゆらぎの声という話は知っているが。
彼女もそれなのかも知れない。

「ま、この話はこれくらいで」

人前ですることでもないだろう、と家族の話を切り上げて。

「タブレットとか栄養食品でよく気力が持つな……」
「俺はモテたくてトルコ料理必死に頑張ってるうちに食の楽しみを学んだぞ」

シンプルに動機が不純だった。

清水千里 > 角鹿の真剣な言葉に、清水は微笑む。

「角鹿さん、どんな方でも、この方にならきっと心が通じ合える――
あなたに山本さんのような方がいらっしゃるということは、幸せなことですわ。
なぜかって、あなたは、きっと言葉を交わさなくても、
いつも自分が彼と心の底ではつながっているのだと確信していられるから、
どんな苦しみがあなたを襲ったとしても、
一人になって、自分を傷付けてなんかしまわないでしょうから。
出会ったばかりの私が言うことじゃないかもしれませんけれど、
山本さんを大事にしてあげてくださいね。
それはきっと、あなた自身を護ることにもなるんです」

といったのは、彼女が一目見て、
角鹿はそういった情緒的機微を素直に表すことが苦手であるのだろうと思いいたったからであろう。

「風紀委員の方だったですね。
私は図書委員会で禁書庫と遺物保管庫の連絡員をしています、清水千里と申します。
以後、お見知りおきを」

とあいさつし、軽くお辞儀する。

角鹿建悟 > 「…どうも、生活委員会の角鹿建悟…です。あと、芸人コンビみたいなノリはやめろ英治。」

と、悪友とは対照的にノリは平静なまま突っ込みも交えつつ自己紹介を自分でもきちんとしつつ。
――当然、彼も彼で彼女の声に感じるものはあるのだけれど。

(…………。)

一瞬だけ、何とも言えない…無表情とは違うものを浮かべたが、それも直ぐに埋没する。
また変わらぬ無表情に戻れば、英治の「この話はここまで」という言葉に無言で相槌を一つ。

「…”挫折”する前は仕事だけに集中していたからな。衣食住はかなり雑だったぞ。…今もあまり変わらないが。」

と、平然と答えるがどうも自覚は多少なりあるらしい。
それで改善は多少しつつあるのだが、性格的なものもありまだまだ道のりは長そうで。

あと、悪友の不純な動機にも「……お前らしいな。」と、返す辺りは以前より多少変化は出ている。

「――俺自身を守る、というのは正直よく分からないが…コイツが大事な悪友なのは間違いない、。」

彼女の言葉に、僅かに瞬きをしつつ聞き入っていたが…どうもピンと来ていないようで。
それはそうだ。この男はまだまだ人形で人間に戻るには欠けたものが多過ぎる。
それでも、理解出来た部分、納得できた部分はあるのか神妙に頷いてみせて。

――それでも、『自分を守る』事にピンと来ていないのは、それはそれで懸念すべき事かもしれない。

山本英治 >  
ムム、初手から踏み込んできた。
このお姉さん、意外と人情家………?

「何、俺はいなくなったりはしませんよ…」
「俺にとっても悪友ってのは大事なもんでね」

「図書委員でしたか、よろしく清水さん」

そして、彼女が言わんとすることも少しわかる。
建悟はいい方向に変わりつつある。
それがどういう理由かはわからない。

ただ、方向転換に風が必要なら。
俺が気まぐれに吹かせるのもいい。

 
「え、俺らって芸人コンビじゃなかったのか…?」

建悟の言葉に真顔でショックを受けたフリをする。

「会ったばかりの清水さんにも心配されてるぞー建悟」
「さぁ、オシャレをしよう」
「さぁ、料理の練習をしよう」
「さぁ、部屋をいい感じにコーディネートしよう」

「さぁ、彼女を作ろうー」

ハハハと破顔してからかう。
周りは着々とパーティの片付けが進んでいた。

清水千里 > 「角鹿さんは、仕事熱心な方なのですね」

山本の意図を汲み取って、清水は角鹿の方を見やって、好意的に対応する。
しかし媚びているわけではない、実際これは、彼女の本心でもあるのだ。

「さっき自炊をはじめられたって。
最近は、どんな料理をはじめられたんですか?」

このイス人、科学技術や魔術的知識を見せびらかしたりはしないが、
人の感情の機微となると途端に首を突っ込みたがる節がある。
正直そこまで料理の腕は期待していないが、
仲良くなるフックとしては、胃袋というのはもってこいの性質のものだろう。

角鹿建悟 > 二人の会話を聞きながら、「…成程、これが学生らしい会話というやつなのか、と。」
真顔で小さく呟いているが、それはそれでちょっとズレがある反応ではあるかもしれない。
天然、というか本当に今まで無頓着だったもので、それをやっと人並みになろうと歩き始めた段階だ。

「…いや、お前一人でボケと突っ込みで自己完結出来るだろうどう見ても。
…そもそも、芸人のノリや空気は俺はサッパリ分からんぞ…。」

と、真顔で答えるがこれはこれで一応悪友同士のコミュニケーションだ。
塩対応っぽく見えるかもしれないが、この男に悪気は一切無いのである。
むしろ、遠慮なくズバズバ言ってるだけ、心を開いているという事にもなる…かもしれない。

「……お洒落とか料理とか彼女より、俺はもっと直す事に役立つ知識や魔術を覚えたいんだが。」

あとは良い工具も欲しいな、と。どうしても私生活より仕事に関する方が先立つ傾向が。
ここは中々染みついた長年のソレが抜けないようで、挫折前と実はあまり変わってない。

清水、と名乗る図書委員の女性へと無表情と銀色の双眸を向けつつ。

「…野菜炒めとか焼そばとか。あとは味噌汁とか…。」

どれも手軽というか簡単というか、まぁ栄養とか多分あまり考えていない。
今まで栄養タブレットや栄養食品ばかりだったのを考えれば自炊してるだけマシなレベル。

一応、料理以外の家事に関しては人並みにきちんとはしているのだが。
宴もたけなわ、といった周りの様子を一瞥してから視線を二人へと戻して。

「…そもそも、この新年会だが…こういう祝いの席、というのはやっぱり楽しいものなのか?」

いきなりそんな事を言い出した。何せこういう催し物にまともに出席した記憶が無い。

山本英治 >  
「そう、建悟は仕事熱心だ……真面目だし、気概も良い」
「だが仕事以外のことに頓着しない」
「そこが一番気になるうぅぅぅ」

清水さんの言葉に大仰にウガーっと頭を抱える。
動きはジョークでももちろん本心で言っている。

「あ、俺はトルコ料理が大得意でっす」

聞かれてもいないのに清水さんにアピっといた。

「冬場に帰ってきた時の玄関のドアノブより冷たいな建悟……」
「そこは『できるかなぁ!? 俺にもボケができるかなぁ!?』だ」

工具や知識。魔術。また仕事……

「へー、良いじゃないか。素朴な料理」

新年会が楽しいか聞かれて。
無骨な、それでも家を出る前に丁寧に髭を剃っておいた顎に手を当てて考え込む。

「……哲学か…」
「楽しいを『演繹的証明の必要のない自明的な事柄』で定義するなら少なくとも俺は楽しいと思う」

清水千里 > 「まあ、野菜炒めにお味噌汁ですか! 
それは作っていてとても……楽しいものですよ!」

料理を”芸術”としてとらえる自分の考えは、
彼とはおそらく違えているのだろうな、と考えつつ、
新年会が楽しいか聞かれて、

「楽しい……ですか。角鹿さんは、ここでしゃべることは疲れますか?」

もちろんそう返したのは会話を誘導する計算づくのことではあったが、
そこには悪意はない。
彼女は自ら善いと確信したことを行うため必要なことをしているにすぎないのだ。

「トルコ料理、ですか。私はかの地の料理では《羊飼いのサラダ》が好きなんですよ」

サラダ、おいしいよね。