2022/11/13 のログ
ご案内:「リハーサルスタジオ『ラスト・アティチュード』」に北上 芹香さんが現れました。
北上 芹香 >  
2ラインVネックカーキ色ちょいボロという
超軼絶塵にダサい芋ジャージの集団が
リハーサルスタジオでライブ前の最後の練習をしている。

別にこのままライブに出るわけではない。
明日までライブ衣装を着るわけにはいかないだけだ。

ギター兼ボーカル、あとついでに作詞作曲の北上芹香。
ドラムかつ天才肌ながら変人であることが最大の特徴、キーちゃんこと園田貴見。
じゃんけんで負けてベースになったことを未だに根に持っているベース、ヨーコちゃんこと神岸陽子。
実家が太いのでメンバーの中で唯一バイトヘルじゃないキーボード担当闇属性お嬢様、さっちんこと斎藤志保。

#迷走中は四人組ガールズバンドである。

北上 芹香 >  
演奏を終えてミネラルウォーターを飲み、一呼吸つく。
普段ならペットボトルに水道水を入れて持参するのだが。
体調管理のためライブ一週間前からミネラルウォーターが解禁される。

「……ヨーコちゃん下向いて演奏しすぎ」
「さっちんはテンポズレ直そ」
「キーちゃんは自分の世界に浸りすぎ」

「んで……私は独善的か…どうしたもんかな」

ペットボトルの蓋を指先で弄ぶ。

キーちゃん(園田貴見) >  
「聞きました奥様」
「浸りすぎですって」

ひそひそと、しかしフルオープン音量でヨーコちゃんに話しかける。

ヨーコちゃん(神岸陽子) >  
「まぁ怖い、慣れないバンドメンバーに厳しおすこと」

ひそひそ。

北上 芹香 >  
「んー……」

なんかテンションが練習する感じじゃないみたいだ。
ちょっと休憩が必要だろうか。

「15分休憩してノらないみたいなら明日に向けて体力温存って感じ?」

さっちん(斎藤志保) >  
「皆さん汗をかいてますしちょっと空調の温度を下げましょうか」

椅子から立ち上がろうとした時だった。

ヨーコちゃん(神岸陽子) >  
「それで…この“キョウカら変わってやりましょう”ってモデルの真詠響歌のこと?」
「じゃあこっちの“ケンゴな意思で決めました”は二年の角鹿建悟先輩かなー」

新曲の歌詞について、詮索とも取れる言及をした。

北上 芹香 >  
「何、どこで何聞いたのヨーコちゃん」

それに反応して、つい刺々しい言葉を放ってしまう。

ヨーコちゃん(神岸陽子) >  
咄嗟にベースから手を離して両手を見せる。
これ以上、舌戦をする気はないという意思表示。
そして軽度の謝罪を込めたジェスチャー。

キーちゃん(園田貴見) >  
「もーやめよーよ二人ともー」

うんざりというポーズを取って二人を宥める。
ついでに嗜めるように、北上芹香に一言。

「でもバンドの私物化みたいでいい気分にならないよセリセリ」

北上 芹香 >  
確かにキーちゃんの言う通りだ。
何も説明しないってのはフェアじゃない。
だからといって根掘り葉掘り話すのもなんか違う気がする。

「真詠響歌ちゃんには歌を褒められた」
「最近よくない噂の標的になっているから、私達の歌を届けたい」

「角鹿建悟先輩はワーカホリックで」
「今度来てくれるし、自由の歌を届けたいと思ったから歌詞に書いたよ」

「#迷走中の私物化と思われたらごめん、でも歌いたい歌があるんだ」

頭を下げた。みんなの気持ちを一つにする。
それがなんて難しい。

さっちん(斎藤志保) >  
まあ、と口に手を当てて。

「どっちが本命ですか~?」

嗚呼、闇属性お嬢様。

北上 芹香 >  
「お、喧嘩かさっちん」
「フラミンゴ打法で買っちゃうよ」

謎の動きでさっちんを牽制した。

ヨーコちゃん(神岸陽子) >  
「冗談はいいけど」
「前にバズった話とか最近、気合入れて歌ってるのと関係あるの?」

「私は今のセリセリの歌が好きだからいいけどね」

今のほうが、と後で強調して。
いい方向に変わったと。

キーちゃん(園田貴見) >  
「誰かのために歌いたいかー……」
「セリセリ変わったね」

「前まで売れてちやほやされたいくらいしか言ってなかったのに」
「Fコード押さえるのもテキトーなくせに夢でっかいなーって思ってたよ」

北上 芹香 >  
「キーちゃんも喧嘩かー?」
「わかった、今すぐ河原に行ってみんなで殴り合おう」
「青春だよ、青春遂行」

ミッション遂行みたいに言って腕を回した。

さっちん(斎藤志保) >  
「非覚醒者(マンデイン)が四人揃って河原でぺちぺち殴り合ってたら」
「風紀委員もびっくりすると思いますよ……」

これは本気で。

北上 芹香 >  
「何言ってんの、誰か一人でも指を怪我したら明日のライブできないから」
「キックオンリーよキックオンリー」

ギターを下ろして華麗な(当社比)回し蹴りを披露した。

ヨーコちゃん(神岸陽子) >  
「パンツ見えてますよ」

いやジャージだから見えるわけないけど。

「セリセリの気持ちがわかったからまぁいいや」
「続けよ、練習」

北上 芹香 >  
「見えるわけないだろー」

腰を手で押さえた。

「とにかく、やろう」
「バイトも、練習も、チケットノルマも」

「全部……明日のために」

キーちゃん(園田貴見) >  
「うん、珍しくチケット全部はけたしね!!」
「セリセリ大明神がバズったおかげだよ!!」

ドラムの前に座る。

北上 芹香 >  
「いつか本当に神格化されてー」

ピート・スルークみたいに。

「やろう、それじゃTry to LiveのAメロからだ」

そう。全ては。
明日のライブのために。

ご案内:「リハーサルスタジオ『ラスト・アティチュード』」から北上 芹香さんが去りました。