2020/06/18 のログ
ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「いいじゃないか、私は獣だ。そう呼ばれてこその獣人だ。
 獣に正義など不要、それでも、ルールや掟はある。
 あなたのやっていることは、獣以下だ」

正義なんて不確かだ。それこそ時代や立場で変わる。
それでも、たとえ建前であっても、理想とかけ離れていても、理屈で通らなくても、
悪に染まっていない子供たちを意味もなく処分していい理由なんてあってはいけない。

「その、間違った前提から、都合の良い理屈で、
 殺戮を正当化する態度が、気に食わないと、行っているんだッ!
 理屈や、理論じゃないんだッ!
 貴方の言っていることは、クソガキが、屁理屈で、ただ喚いているのと、同じだ!」

彼との間に割って入る異形たちを、拳で薙ぎ払っていく。
質量を持つ壁など、私の前ではひたすらに無力だ。
かつて弾を止め、砲を止め、戦車を薙ぎ払いながら進んだその姿が、今まさにここにあった。

「今のお前は、化け物ですらない。
 ただのガキだ。やれ統計だ、やれ登録されていないだ、やれ正義の変遷だ、やれ組織の都合だ。
 御託を並べて大人を困らせるガキと同じだ。
 いわなきゃ分からないか?いわれても分からないか?
 お前がどんな教育を受けてきたか知らないが、誰もお前にそういう教育をしてこなかったのか?
 自分のことをどんな存在だと思っているかは知らないが、
 自分の不遇さに、特異さに、歪さに甘えて、好き勝手をやる奴なんか”クソガキも同然だ”」

まだ彼との距離はある。その間を埋めるかのように異形が並び、覆い、それを一体ずつ殴り、
吹き飛ばし、進んでいく。そこに格闘技や、体術なんてものはない。
獰猛な獣が、ひたすらに牙をむいているだけだった>

神代理央 > 「私は私なりにルールを守って行動しているのだがね。寧ろ、多数派の社会秩序を維持する行為というのは賞賛されるべき行為であると思うが」

倫理観や道徳心の削ぎ落ちた言葉。
"多数派"の幸福度の為の行動は正当化されると告げる己の眸は、最早愉悦の色すら宿さない。
機械的で、合理的な。書類に打ち込まれた数字を眺めている様な声色。

「だが、私の言葉に対して貴様が選んだのは暴力だ。
私が甘んじて貴様の拳を受け入れたとして、もう殴られるのは嫌だから止めます――とでも言えば満足かね。
屁理屈だろうがクソガキだろうが、それに対して暴力に依って応えた時点で。先に手を出した時点で。貴様の論理は破綻しているのではないかね?」

立ち塞がる異形は、次々と薙ぎ払われていく。
となれば、戦い方を変えるべきだろうかと思案しながらも、その場から動く事は無い。
悠然と、漫然と。迫る彼女を見下ろすかの様な視線を向けているだろう。

しかし。その表情は彼女の放った言葉に僅かに歪む。
感情の籠らぬ瞳が、漸く浮かべた色は。滲み出る色は、仄かな怒り。

「…ガキだのなんだのという言葉は受け入れるとも。そもそも、大人と呼ばれる年齢でもなければ、其処迄老成し、経験を積んでいる訳でも無い。
だが、私は己を不遇と思った事は無い。不満があれば、それを変える為の努力を怠った事は無い。親の金も、地位も立場も利用した事は認めよう。だが、甘えてなどいるものか。私は、利用できるものは全て利用し、私自身の力で、こうして此の場に立っている…!」

己の両脇に顕現する異形。背中から針鼠の様に砲身を生やした異形は、主に迫る彼女の足を止めるべく弾幕を貼るかの様に弾丸と砲弾の雨を降らせる。
その射線上に味方の異形がいようといまいと。唯目的を果たすべく、膨大な量の鉄火が彼女へと降り注ぐ。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「破綻している?破綻しているのはお前の頭に蔓延るその腐った性根だッ!
 自分を正当化するために、人間を数字として見て、
 自分のことを合理的で正しいと言ってくれる腐った大人の言葉に甘えて、
 人命を軽視して、ぬるま湯に浸かっているガキだッ!
 そりゃ、甘やかしていれば都合よく働いてくれる子供を叱ってくれる大人なんざ、
 お前のいる”ぬるま湯”にいないだろう!

 自分の不満を解決するための努力をしてきた?
 それで解決してきた?
 ダダをこねて、屁理屈を喚いて、周りの大人を困らせて、
 ついには叱ってもらえず見放されたのと勘違いしているんじゃないのかッ
 
 『あの子供は叱ってもダメだから、適当に甘やかして機嫌を取っておけばいい』
 と思われているのと違うのか!」

異形から放たれる弾幕がその密度を増した。
そして、その弾幕のうちの一発が、髪の毛を掠めた。
するとそれを皮切りに一発、また一発と、加速度の壁を抜けて弾が抜けていく。
ついには弾丸が肩を、膝を貫き、血を流し始めた。
黒いパーカーにさらに赤を重ねていく。
しかし、それでも足を止めることをせず、動かなくなった足を自らの異能で動かし、
ついに手を伸ばして届くほどの距離にまで来るだろう>

神代理央 > 「……駄々をこねる?屁理屈を喚く?冗談ではない。私は、とても従順な子供だったよ。私は望まれる儘、そうあるべきと言われる儘、全てを受け入れながら、己の不満を取り除く為に努力したさ。
私は、多数派に従順だったさ。親に、周囲に、環境に。望まれる儘にな」

叫ぶ彼女とは対照的に、僅かに覗かせた怒りは諦観へと姿を変える。返す言葉は静かで、穏やかで、それでいて自嘲する様なもの。
砲撃の音で掻き消されるかの様な言葉が、彼女に向けて投げかけられる。

「……まあ、色々と言いはしたがな。こうして、血に塗れ、疵を重ね、それでも尚歩みを止めずに此処迄至った事は素直に尊敬に値するよ。
だから、貴様には権利がある。その暴力を私に振るう権利を、鉄火と硝煙を潜り抜けて貴様は手に入れた。
私は、私の言葉も信条も、今のところ覆すつもりは無い。だが、貴様の一撃を貰ってやるのは吝かではないとも。
……それに、正しいとは決して思わぬが、私を"叱った"のは此処数年貴様くらいのものだからな」

従順過ぎたが故に。親の愛情を懸命に得ようとしたが故に。
醜く歪んだ己の思想と信条は、生半可には変えられない。変えてしまうには、長い時間"大人"達と過ごし過ぎた。
だからこそ。血を流し、傷付いた彼女を前にして、小さく両手を上げて笑うのだろう。異形達の砲声は鳴りを潜め、轟音と爆音は再び静寂へと飲み込まれる。
硝煙立ち込める広場に響くのは、己と彼女の息遣いだけなのだろう。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「従順な子供だった?
 嘘つけ、自分の努力を否定されて、さっき声を荒げたじゃないか。
 あれは偽りか?
 なんで声を荒げた?大人たちを否定したからか?
 それとも自分の努力を否定されたことそのものへの怒りか?

 お前が腐っているのか、組織が腐っているのか、はたまた両方かは知らないが、
 やろうと思えばこんな異形を出して、粉微塵にすることもできる子供を、
 本気で叱る奴がお前の周りいるとは思えない」

「権利?尊敬?そんなものはいらない。私が今一番欲しいのは、
 お前が頭からその腐りきった考え方を棄てて、少しでも人間らしく振舞うことだ。
 もしそれができないなら、私はお前が泣いて詫びるまで殴るつもりだ。
 体罰だろうが何だろうが、獣にそんなものは関係ない。
 必要があれば崖から落とすことだってやってやる。


―――歯を、食いしばれッ!!」


彼が特に抵抗をしないのなら、轟音が静まったこの場所に、お互いの息遣い以外の音が一つ。
私の拳が彼の頬を殴る、鈍い音が響くだろう>

神代理央 > 【後日継続にて】
ご案内:「違反部活群 拠点近くの広場」からラウラ・ニューリッキ・ユーティライネンさんが去りました。
ご案内:「違反部活群 拠点近くの広場」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「モヒカンの巣窟(シマ)」に紅月 純さんが現れました。
紅月 純 > 下品な笑い声が溢れる落第街。

中心部近くの廃ビルに、大量のモヒカンがたむろしている。
そこから少し離れた場所に、これまた大量のモヒカンでできた山。

頂上には、バットを担いだチンピラみたいな男が立っている。

紅月 純 > 「全部で何人いるんだか」

それなりに倒して腕が疲れてきたが、モヒカンがいなくなる気配がない。

(仕方ない。大元を絶つしかないか)

廃ビルの窓から入り込み、最奥部を目指す。


……何故こんな頓珍漢な場所に彼がいるのか。
それは数枚の手紙から始まった。

手紙 > やあ紅月くん!元気にしてるかな?

この世界には、モブッコチンピラー、縮めてモブチンが暮らしている。
ビルの上やいしのなか、真っ暗闇な場所にもモブチンがいるようだ。

人間に友好的なモブチンがいるようだが、基本は迷惑なモブチンばかり。
私も昔は勇者だったが、今ではただの魔女!
そこでだ!
君に、島中のモブチンを倒してもらいたい!
この島を歩き回って、君や私がいたそれぞれの世界との違いを楽しんで欲しい!

無論、報酬はつける。
それは君の学費免除と、君の寝床、廃レストランのアップデートだ。
もう前払い済みで、君が依頼から帰ってきた時にはもうリフォームは終わっているだろう。
寮の部屋を本宅として、ここは秘密基地だな!

紅月 純 > やあ紅月くん!元気にしてるかな?

この世界には、モブッコチンピラー、縮めてモブチンが暮らしている。
ビルの上やいしのなか、真っ暗闇な場所にもモブチンがいるようだ。

人間に友好的なモブチンがいるようだが、基本は迷惑なモブチンばかり。
私も昔は勇者だったが、今ではただの魔女!
そこでだ!
君に、島中のモブチンを倒してもらいたい!
この島を歩き回って、君や私がいたそれぞれの世界との違いを楽しんで欲しい!

無論、報酬はつける。
それは君の学費免除と、君の寝床、廃レストランのアップデートだ。
もう前払い済みで、君が依頼から帰ってきた時にはもうリフォームは終わっているだろう。
寮の部屋を本宅として、ここは秘密基地だな!

紅月 純 > さて依頼の件だが、最近、この近辺ではモヒカンが増えているらしいね?
君の寝床に近寄ったとも聞く。

まずはその原因を調査し、殲滅することでモヒカンの勢力を減らそう。

ヤツラの必殺技は「デッキブラシ」。
高速の頭突きだが、ダメージと共に不快感を与えてくるから注意だ!
レア個体の、ももひきを履いている「モモヒカン」は、若干脚が速いぞ。

さあ、君の勇者っぷりを見せてくれ!
それでは紅月くん、異能と青春の世界へレッツゴー!

みんなもモブチン、デッドだぞ!

紅月 純 > いきなりこんな手紙が届けば、頭が痛くなるだろう。
そして、明らかにこの手紙の主は紅月 純を知っている。

元の世界に住んでいたときのことも。

「前払いにしている時点で、明らかに狙ってやってるよな。
俺が断らないことも知ってて」

誰が送り主か見当はついている。所在は知らないが。


襲い掛かるモヒカンやモモヒカンを返り討ちにしながら階段を上ると、広間にたどり着く。

紅月 純 > 「む……」

柱の裏に隠れる。

彼の視線の先には、一回り体格の良いモヒカン……モヒカン?
一列になって伸びていつはずのそれは、左右に分かれて生えていた。
V字のモヒカンだ。

「取り巻きもいやがる……なるほど、OJTか」

紅月 純 > ブイモヒカンの異能、「OJT」。
配下のモヒカンを成長させ、自分と同等の力を与えるというものだ。

幸い、彼らは異能を受けたばかりで、モヒカンはYの字で止まっている。

ならば、と先にブイモヒカンを倒しに向かう。
足音に気づいた目標は、ワイモヒカンに指示を投げる。

「V字突撃の陣だ!!!」

掛け声に合わせて、ワイモヒカンは純の前に固まる。

紅月 純 > 「知るかアホンダラぁ!!」

真正面の一体を蹴り飛ばし、ブイモヒカンの元に辿り着く。
左右に散ったY字は大慌て。

「いや頭弱すぎるわ!!密集した戦力を散らすんかい!!」

頭を殴られたV字はその場に倒れ伏し、Y字は逃げ出した。

「よっわ……なにこれ。マジで何」

少なくとも、こいつは元凶ではなさそうだ。
まだ階段は上に続いているので、モヒカンを倒しながら上っていく。

紅月 純 > 上の階に進むほど、ブイモヒカンの数は増えている。
出合いがしらに必殺技「ビクトリーデッキブラシ」を放つ個体も増えて、戦闘が面倒くさくなってきた。

「キリがねーし、ビル一つになんでこれだけいるんだ……」

休憩しながら進むこと、数時間。
屋上には、モヒカンがいた。

紅月 純 > 「よくここに辿り着いたな!」

高らかに笑うそいつは、世紀末な恰好をしていた。
ジーンズを履いた上裸で、肩などの間接にはスパイク……モヒカンアーマー。

周囲にはモヒカンが四つに裂けた個体や、逆モヒカンもいる。
それを率いる奴の頭は、ただのモヒカンだった。

「えーと、お前が元凶か?」

訪ねてみれば、モヒモヒと笑い始める。

紅月 純 > 「ここに住んでる奴らは、力に飢えている!それを知った俺は愛を与えたのさ!
彼らは愛に応え、見事に成長した!とても素晴らしいことではないか!」

まるで演説するように手を広げるモヒカン。

「君はとても強いみたいだが、それじゃ島の強者とは言えない」

そうだろう?とウインクしてくる。

帰りたい。

紅月 純 > 「でも大丈夫!!」

テンションがクライマックスを迎え、こちらに抱き着こうとしてきた。

「うわあああああ!!!」


襲い掛かるモヒカンを思わず蹴飛ばす。
地面を転がっていったヤツは、何度か咽せながらも立ち上がる。

「ヴっ……ふふふ、大丈夫、君も僕の愛を受け取れば立派な力を得られる」

「うるせえ!!近寄るなほぼ全部ハゲ!!」

紅月 純 > 「なんて悲しい言葉だ……僕のモヒカンは愛でできているのに」

周囲のモヒカンが一人を取り囲む。

「僕の愛を受け止めないなら、皆の力を受け止めてもらおう!」


「Wデッキブラシ!」
「クロス刈り上げビーム!」
「スキンヘッドミラージュ!」
「脱ぎたてももひきストリーム!」

一斉に紅月に襲い掛かる。

「クソが!!話を聞かずに倒しておくんだった!『ADD-FORCE-Y』!!」

紅月 純 > 上空に飛びあがり、モヒカンを共の必殺技を避ける。

「何をどうしたらそんなヤツらが生まれるんだ」

聞きたくないが。

まずは取り巻きの殲滅。重力に則って落下しながらバットを振りかぶる。

「ダラッシャオラァー!!」

屋上の床に叩き込み、衝撃波を生み出す。
吹き飛ばされたモヒカンは地面を転がり、何体からビルから落ちていく。

「次!『ATK-UP-1』『ADD-FORCE-Z』、邪魔だ!」

足を前に出して呪文を唱えると、彼の体はその姿勢のまま前に突っ込んでいく。

紅月 純 > 呼び動作もなく飛び蹴りをかまされたモヒカンは周囲を巻き込んで転がっていく。

数で包囲していたと思ったら数瞬で巻き返され、愛モヒカンはたじろいだ。

「嗚呼、僕の愛棒たちを!!許さない!許さないぞ!」

自前のものと、全身に装備したモヒカンアーマーが光り、ビームを放つ。

「ロンリーモヒカンラヴァー!」

「うるせぇ邪魔だ倒れろや!!」

弾の一発、一発を避けて愛モヒカンに近づく。
視界の隅、地面に弾が当たると新しいモヒカンが生えていた。


(数が増えていたのはそういうことかよ……)

モヒカンは文字通り異能の産物であった。