2020/09/06 のログ
マルレーネ > 「……ええ、会いましたよ。 お話も聞きました。
 お茶はいつだっていいですよ。 今度、やっぱり電話を買うべきですかねー。」

苦笑を一つ。連絡手段というものがこんなに便利だとは……いや、思っていたけど。
それでも自分に使いこなせるとは思っていなかったが。

「………そう、なんです、ね?」

時間差で2方向に飛んでいくのを眺めながら。
首を振るから言葉が途切れる。

「………ほぉー、……そんなことがあるんですか。
 それは、………聞いたことが無いですね。」

科学はあまり得意ではない。ほうほう、と頷きながら………。

「避けるのは、やめときましょうか。
 えへへ、あんまり避けること、得意じゃないんですよね。

 じゃあ、お互いに両手に持って、一気にどーん!って。」

2本ずつ両手に、4本を一気に装備するシスター。
怖いものはあんまりない。

神名火明 >  
「お茶は、なんだ」

ちょっとさみしそうに笑っちゃう。素直に受け取ってもらえる話じゃないとは思ってた。

「輝ちゃんとかさ、理央くんとかもだけど、連絡つくと便利だと思うよ。でもさ~、縛られたくないからって持ちたくないって人もいるけどね。何かあった時とか、あったらすごく安心すると思う。寝る前にマリーの声が聞きたいっ!って時もあるし!」

腕をぶんぶん振って、大事だって力説しちゃう。もし電話持っても、たくさんかけすぎないようにしないとね。お互いの時間もある。お仕事も。仕事…。

「じゃあ今度時間ある時に実験室借りよっか。色んな色になるんだよ~、教えてあげる!
 小さい頃に授業でやるんだよ~、たのしいからさ~えっ、本気?本気?楽しそう。実は私、火遊びって大好きで~。もちろん比喩のほうの~えへへ。じゃあじゃあ~」

急いでひょいひょい。総計八本の花火に着火。こっちは四本片手に持って、火をつけ終わったら両手に装備。少しお互い距離を持って、両腕を振り上げた。

「…いっくよ!どっかーん!」

こっちもぞくぞくしちゃってた。総計八本のロケット。交差させるみたいに夜空にすぽーんって抜けていって、ぱらぱらと火の粉を散らして…なくなっちゃう。どこにも。

マルレーネ > 「………?」

ふい、と振り向いて不思議そうにしながら。
それでも、そのまま続く言葉ににへ、っと笑って。

「………寝る前に聞きたいですー? でも、それなら探してみましょうか。
 持ったことがないんで、縛られる感覚については、ちょーっと分かりにくいんですけど。
 そういうものなんです?」

首を傾げて尋ねてみる。

「いいんです? あー、それならついでに勉強も教えて貰ったりとか………。
 私、このままだと次のテストでは赤点というか………。」

学が無い系のシスター。えへへ、と相手に甘えてしまいながら。
特に理科は苦手だった。

「よーし、いきますよー! どっかーんっ!」

子供のようにはしゃぎながら、ひゅううっ、っと火花が空へと大きく筋を描いて。
…………。

「……綺麗ですねー。 ずーっと残らないから、瞼に焼き付くみたいで。」

隣にもう一度近寄れば、隣でにへ、と笑いかける。
手をきゅっと握って。

神名火明 >  
ほんとうに子犬ちゃんみたいだなって、笑顔を見てると思っちゃう。

「マリーの声すきなんだよね。柔らかくてあったかいの。あなたの心が伝わってくるの。言われない?
 なんでメッセージ読んでくれないの~とかさ、私もそういうのたまにあって、疲れてる時は後回しにしちゃってごめんねってなっちゃったり。あはは。お電話で懺悔~とかなんかも、面白いかな~。
 お勉強? いいよいいよ!いっぱい教えてあげる!私これでも座学はやるほうだよ~!」

それでも電話がいつか通じなくなってしまうのかななんて悲観的なものの考え方をしちゃうのは最近、職業病がひどくなってきたのかな。いつまで居てくれるんだろ。色々話してたのを思い出して。

「うん。すっごくきれい。 残らないから、か~…んっ?」

ぼんやり。火薬の匂いが残ってるなか、いなくなっちゃった花火を眺めてると、あったかい手に握られた。どこか力強さを感じるのかな、メスを握りなれた手で握り返して…あ、うまく笑えてないかも。

「派手なのこれでおしまい。あ、追っかけ回す奴があるけど。 これしよ、しよ」

誤魔化しながら引っ張り出したのは細い花火。下に向けてぱちぱちと弾ける線香花火。ライターを構えながら彼女に一本差し出した。

「綺麗だよ。で、消えないように気をつけるの。火がついたらしゃがんでごらん?」

マルレーネ > 「言われませんよ、そんなこと。
 だって、何にも持ってませんからね? でも、そういうことなら電話を持って……。
 懺悔はちょっとアレですね、直接じゃないと、やっぱり伝わらないこともありますし。

 ですから、お友達だけに教える感じで?」

ウィンクをぱちり、としながら。
相手の表情を、じーっと眺めて、眺めて。

「これ、ですか?
 ……あ、何か聞いたことはあります。 季節の雰囲気がー、とか。」

言いながらも、火をつければしゃがみ込んで。
ぱちり、ぱちりとはじける火花に、白い肌が照らされる。

「………………綺麗ですね。」

静かに、隣にいる相手にしか聞こえないような声で囁いて。
二人してしゃがみ込んで、小さな火花を囲む。

神名火明 >  
「じゃあわたしがたくさん言う。
 こうやって話してるだけでもあなたの声がすきだから、お電話もってくれると嬉しいな。つかいかたは教えてあげる。学生証あるなら帰ると思うし。使用量も島外よりだーいぶ安くて。…その流れでさ~、意地悪言わないよね?」

私お友達だよね?ってちょっと不安そうに、わかってて聞き返しちゃう。いってほしいことってあるから、しょうがない。
見られていると見返すけど、ちょっと困ったような色を見せちゃった。

「線香花火っていうの。ぱちぱちして。こうやって暗いとぼんやり明るいでしょ」

風に消されてしまいように気をつけなきゃ。ちゃーんと守ってあげないといけない。儚くて綺麗な線香花火。

「うん…えへへ、マリーもきれいだよ?」

我ながら切れ味がないなあ~っ、なんて思っちゃいながら、静かな花火を眺めて不意に。

「……………………なんか色々、疲れちゃってさ」

マルレーネ > 「………言わないですよ、ちゃんと教えます。 むしろ、教えてくれます?
 声が好き、なんて言われたのは初めてだから、ちょっとこう、照れくさいですけど。
 それじゃあ………。」

よいしょ、っと近づいて、耳もとで、大事ですよ、って声をかけて。
意地悪は言いました、なんて、ちょっと悪戯をするんだけど。


「………そうだったんですね。
 ………疲れちゃうのは、分かるというか。
 えへへ、分かるってのも烏滸がましいですけど。」

何があった、は、自分で口にするまでは聞かない。
でも、肩が触れるくらいにまで改めて近寄って、くっつく。

神名火明 >  
「当たり前じゃん~!いまもふわって救われてる感じだもん。すっごく教える!ウザくないくらいに電話もしちゃう――ひゃっ!?」

意地悪されちゃった。びくっ、て跳ねちゃいながら、自分の耳たぶ熱くなってるみたいで指でいじいじしちゃう。線香花火は、まだ消えてない。良かった。

「耳へのキスは~…だよ?」

ちょっと拗ねたみたいに唇尖らせちゃう。変な声出しちゃったのでほっぺ赤くしながら楽しそうに。

「ん…マリー、美味しそうにお茶飲んでくれるもんね」

疲れているってことなのかなと思った。あきくんのお茶が美味しいのもそういうことなのかなって最近はぼんやり思ってる。こっちからもちょっと近づいて、安心感を得ちゃう。

「お医者さんするのがすきなんじゃないんだよ。お仕事でやってるだけなんだよね。英治くんが大怪我したって、マリーのとこで面倒みてたんでしょ?風紀委員の内輪揉め…しなくていい怪我ばっかり…
 お薬飲んでくれなかったりいうこときいてくれないひとがむかしからきらいで…ほんとはわるいことたくさんしてきた…嫌いになる?
 卒業したら《先生》になってね?病院に残るか、国に帰ってお医者するかなんだけどね。しぬまで続けないといけない、ちょっとそう考えたらずぅーんって…。
 こんなこと続けてても《報われない》って。思っちゃった。理央くんがいってくれたんだけど」

どろどろどろ。傷口から滲むみたいな言葉が、ぽろぽろ出ちゃう。

「いまちょっと報われてるかも。あのね、マリーのところに逃げ込みたかったのかもしんない。ゆるしてくれるかなって思って」

マルレーネ > 「触れてないですよ?」

ぱちり、ってウィンクしながら笑って見せる。
意地悪なことを言いながら、頬を赤くする相手に舌をちろ、っと見せて。

「………内輪揉め、だけではないと思いますよ。
 だって、誰も彼も、権力を得ようとして、お金を得ようとして戦ってはいないんです。
 言うなれば、………力が強いだけの子供に判断をさせている、この島の組織そのものがおかしいんです。」

 相手の言葉を、優しく修正する。
 だって、我儘放題、やりたい放題、だとも思わないから。

「………悪いこと、ですか。 まあ、そういう意味なら私も似たようなものですしね。
 ずっと、生きるか死ぬかー、って世界で過ごしてきたので。」

たくさん、たくさん殺したこともありますしね。
口にはしない。

「………。」

「………本当は、ダメですよ、って言おうと思ったんです。
 お金も無ければ物資も無い。 冷房も無ければ、毎日辛くて苦しくて。
 かと思えば、暴漢に襲われて角材でしこたま頭叩かれますし。」

とほほ、って笑いながら、状況を口にして。

「でも、いいですよ。」

神名火明 >  
むすくれちゃうけど確かにそう。ふすって鼻鳴らして、どっちが犬なんだかわかりゃしない。

「子供だからって、言うこと聞かなくていいわけじゃないでしょっ!」

優しい言葉に、ちょっと声を荒らげちゃうのは、それこそ子供が大人に甘えちゃった癇癪のようなもの。はたちになったのに自分はまだ子供。おかしいのはわかってる。おかしい島なのはわかってる。だからと言ってじゃあ島がおかしいからしょうがないねで割り切れなかった。命を懸けてるのは医者もなの。蔑ろにしていい背景なんてどこにもない。

「ごめ、ん。ああ…。うん。患者さんにこういうこと言えなくてさ…。あれだよ…。鬱憤晴らして…。悪いこと…、生きてくためとかじゃないよ…。おかしいのは私もなんだ…。この島に来る前からわるーいことしてた…」

そしてばれなかった。あるいはばれてるのに大丈夫って放置されてるかだ。死ぬ数より生かせる数のが多いか、他の事情があるかはわかんないけど。ぐるぐる目が回るみたいな心地。ぼーっと花火見ながら、ふっと顔をみた。笑った。泣きながら。

「えへへへ」

教会は扉がいつも開いてるとか聞いたことがある。マリーが来る前の教会が開いていたのは人がいなかったからで、その教会でも許されるほうの悪いことはしてた。火を使わない火遊びを。

「ありがとう…。 うん…、でも、そっちのほうが多分心が楽だと思う…。ありがとね。お薬も作れるし、色々できるし。理央くんとかさ、色々手伝ってくれると思うんだ。ちょっとずつ、できることやってこーよ。ねっ」

優しさで断られたら引き下がるしかなかったから、本当に本当に安心した。より掛かりそうになっちゃった。鼻をすすって、ふぅーっ、て息を吐いて。

「お勉強はたくさん教えるよ。他のことも。キス以外の作法も。だからねマリー、ありがとうついでに、私に教えてほしいことがあるんだ~。いいかな?私も、覚えは悪いかもしれないんだけど…」

マルレーネ > 「………それでも。
 未熟なままこれだけの力を持てば、歪んじゃいますよ。」

声を荒げても、うん、と頷いて。言葉を続ける。
何でもかんでも肯定するわけでもない。 否定するわけでもない。
自分がこうと思ったら、それはそれ。 ちゃんと伝えなければならない。


「………こっちに来たら、もう悪いことできませんよ。」

少しだけ笑って、ぐり、っと頭を撫でながら抱き寄せた。
何をしていたとか、そんなことを聞かない。

「来るなら、私の言うことを必ず聞いてもらいます。
 それでもいいなら、いいですよ。
 ………教えてほしい、ことですか?」

首をちょっとだけ傾げる。 教えられるようなこと、あんまりない気がする。

神名火明 >  
うぅー、とか、んぅー、とか。言い返したいけど言い返す言葉が見つからない時の唸り声を出しちゃう。
言い返したらどうにかなるわけじゃない。わかってる。仕方ないことに対してどう割り切るかなんだ…。割り切れないならそっちに行くしかないって。

「あー、そっか、そっかあ」

抱きしめられた。花火…どうなったんだろう。視界と意識から消えちゃう。悪いことができなくなる。誰かに叱って欲しかったのかも。

「うわきはするかな…」

あきくんのことは好き。みんなのことも好き。冗談っぽく笑うけど、でもそうじゃないんだろう。彼女の言ってることは。

「うん、きくきく。マリーなら変なことは言わないし。悪の女幹部の部下役とかもやるよ。お掃除とかも好きだし。でも、私だけ得したり、マリーにばっかり損が行くことにはやだっていうかも。それはだめ?」

言うことを必ず聞くということには、マリーのことだからこそすぐに頷けなかった。言うことを聞くと言ったよねで、彼女が傷つく時に動くなと言われちゃうと困っちゃうから。

「あなたの『信仰』を私に」

じっと見つめ返して聞く。

「わかりやすくとか詳しくとかじゃなくてマリーの『信仰』が知りたい。私も無宗教ってわけじゃないんだけどね、マリーの言葉でマリーの『信仰』を知りたいの。ゆっくり少しずつでいいからさ」

マルレーネ > 「浮気って言うんですかね……。」

苦笑をしながら、それでも、うん、うんと頷きながら頭を撫でる。
今ここにいるのは、ただ傷ついた女性だけ。
出来る限り、全部を許そうとする女。

「ダメ。 言うことを全部聞くの。」

でも、譲らなかった。

「だって、その場では片方だけ得をしても、いつか逆の時もあると思うし。
 その場その場で、お互い半々ね、ってわけにはいきません。

 だから、信じてくれるのならば、ちゃんと聞いてくださいね。」

相手の言葉に、少しだけ迷う。

「………殆ど。
 伝えられることはないんですけど。 それでもよいなら。

 もう、掠れて消えてしまいそう……どころか、殆ど、しっかり教えてもらったことも無いんですけど。
 それでも、よいなら。」

頬をぽり、と少しだけ困ったようにしながらも、相手のその気持ちを無下にもできない。
始めて、困った顔をしたかもしれない。

神名火明 >  
「…はぁーい」

頬を膨らませて応える。最上級生だけど彼女のほうが年上なのでしょうがない。会った時は自分のほうが姉みたいな感じだったけど逆だ。許されて心地よいから、その強い言葉には従っちゃう

「じゃあ」

息を吸い込み、吐いて、どうしようと考えてから、でもあんまりにも簡単な言葉で気持ちを証言する。

「マリーを、『信じる』」

色々混ざってるけど、多分。今、彼女に聞こうとしているものも混ざっている言葉をむけた。そうやって疲れ果てた医者は彼女に一端肩を預ける。

「でも、マリーはシスターさんだ。マルレーネ。こうして私を導いて…ううん支えてくれてる。理央くんがあんな顔するの見たことなかったよ。英治くんがあんな楽しそうに遊んでたのだってあなたが開いたパーティーだから…。いつも楽しむふりをしてるみたいな感じがどこかして心配になる人だったんだ、英治くん。
 だからね。それでいいよ。それがいいの。それであなたが思い起こせたりすることもあるかもしれないし。
 言葉にしちゃうと消えちゃいそうだって言うなら…無理には聞けないけど…知りたいんだ。私も…。あなたの言葉で。あなたの素敵な声で知りたい」

信仰に正解も間違いもないのでは?って考えちゃう。マリーの中にある信仰が、消えかけだというなら、どうして疲れても立ってられるのかわからない。もし消えてしまったら…。抱きしめ返した。こうできるのは自分だけじゃなくて、きっとマリーが歩いてきた道が恩を返してくれるはず。

「掠れて消えちゃいそうならあれだよ、私に彫り込んでわかりやすくしておくってのはどーかな?」

マルレーネ > 「はい。では最初のお願いです。」

信じてもらえた。少しだけ頬を綻ばせて、ゆっくりと引き寄せて。

「私にいろいろ教えてください。 勉強も、医療も。
 私もいろいろ経験してきたと思ったんですけれど、こっちの世界では全然ダメで。
 いろいろ学ばなければいけないことが多すぎます。
 ですから、それを教えてください。」

「……もう一つの目的もちゃんと伝えておきますね。
 しばらくお休みをしてください。
 もっともっと、たくさん笑って。
 悪いことしたくなるくらいに、退屈してください。」

「まだ、私のために働かないでください。
 順番に、順番に頼っていきますから。」

頭を、撫でる。 ゆっくりゆっくり、二回、三回。
こんなに傷ついていることが分からないままだったこと。後悔はしないが、今できることを全力でしたい。


「………じゃあ、話します。
 私が覚えていること。 旅をして見たこと。 感じたこと。
 楽しかったこと。 祈ったこと。」

辛かったこと、苦しかったこと、悲しかったことは、静かに省く。
ズルい女。
だけれど、丸ごとすべて話してしまうことが、一番正しく伝わる気がする。

「………。」

くすくすと笑って、つん、と額を突っついた。
否定も肯定もしなかった。 本当に、ズルい女。

神名火明 >  
「あっ」

間近になると、ぱちぱちって何度か瞬きして、そしてくしゃって笑顔をみせちゃった。

「…お医者さんやっててよかった~…」

またぽろぽろ泣いちゃった。無駄じゃなかった。無為じゃなかった。教えられる、役に立てることがあることが良かった。もちろん全部一人でやろうとしかねないのでこっちはちゃんと抑制してあげないと。教えてもらうばかりじゃなくて、教えてあげられると、助け合ってるみたいで、嬉しい。

「いいよ。お勉強でわかんないことあったら教えるし。医術もお薬のことも教えてあげる。安く仕入れられるルートとか心当たりもあるし。でもね、これもちょっとずつだからね。マリー忙しいから、疲れない程度に間を見て。でも役に立つことから教えていくね」

そしてあなたのためにということが伝わっていた。これを突っぱねられてしまうことが一番怖かったので、はあー、って安心しちゃった。

「…うん。とりあえず、しばらく休む。あきくんとも最近会えてない…。だから、とりあえずゆっくりする。元気になったら、連絡するね。電話で。そしたら、会おう?」

ぐずりながらうんうんうなずいて、彼女の許しを浴びながら、とりあえず約束する。どうやら助けてあげられる…はず。うそでした、ってならない。『信じる』って言ったから。

「うん。 きっと素敵な話」

省かれた場所があるのはわかる。恐い夢に見るような痛ましい過去があることを知っている。それがなにかはわからないけど、きっと彼女が疲れ果てることがあればこうして抱きしめて聞いてあげたいし、それは別の誰かかもしれないけど…。そうならないように、支えてあげたい。

「な~に~。忘れないよ。マリーが忘れちゃうようなことがあったら、私が思い出させてあげるからね?」

花火…。消えてなかった。聞いたからには忘れない。広すぎる空の話もうねるような闇の話も。たくさんの良い人の話も。彼女という信仰の話を身体に彫り込んでいく。忘れない。何があっても。

マルレーネ > 喜んでいるのが分かれば、こちらも、ほっとしてしまう。
優しく頭を撫でながら、疲れ切った相手を受け止めて、撫でて。

「あら、ダメですよ。
 元気になる前にだって会うんです。」

ぐずる相手の頬に軽く唇を当てて、ね、と笑いかける。


「素敵かなぁ。
 私、向こうの世界で大体ずっと愚痴ってたような気がするんですよねー。」

苦笑しながら、それでも、隣で肩を抱きしめる。

「私はよく言われたことはあるんですよ。
 歩くのが、だーーーいぶ、速いって。

 がんばってついてこないと大変ですよ?」

なんて、ウィンクをぱちりとして、てへ、と笑った。

神名火明 >  
「ああ。ああ、そっか…時間できたら週一じゃなくても遊べるのかあ。あはは、そーだそーだ。休まないとね。悪い子なのに真面目に頑張りすぎてたわ、私。うん、会う。お茶飲みながら、色々教えるね」

頷いた。少し子供に戻っちゃう。違う。はたちを過ぎたからって大人になれるわけじゃなかった。ずっと医療医療で過ごしてた自分が自動的に大人になれるなんて勘違いだった。徒に歳を重ねてたのかなあ…なんて思っちゃった。

「真っ直ぐ歩いてるマリーがいるから、素敵な話だよ。なんて。でもたまには休んでいいからね。私でも輝ちゃんの隣でもいいし。素敵な男の人が居るならその人にでも。たまーにね。たまにだけ」

ずーっと甘えていいよとか。そういうこと言っていい相手じゃない。でももらったものを返したい人は多いはず。そのためにも『信仰』を覚えたい。胸に刻みたい。シスターになろう…とまでは…いかないかもしれないけど…。

「私、脚ながいし、歩幅も大きいから大丈夫。 だからね、ついてくために…ちょっと休むね。ね、マリー。今夜もいっしょに寝てもらっていい?」

真面目なお医者さんでいるのにも適正がいる。技術だけあって中途半端だった。とりあえず、シスターの言う通り。ぐっすり眠らないといけない。目の下のクマはまだ取れないけど、ぱちぱち…。弾けた線香花火が、ふわりと自然に消えるようにして、うん、久々になにも考えずに眠れる気がした。波の音がきもちいい…。

マルレーネ > 「あはは、そうしましょう。
 お茶だって、こっちのお茶、種類が多すぎて困っちゃいますからね。」

そういう人を、たくさん見てきた。
一つのことに熱心に取り組んで、へとへとになってしまって、どうすればいいかわからない、そんな人。
だから、すごく大事にしたくなる。


「ふふ、大丈夫ですよ。
 いつまでだって歩いちゃいますから、気を付けてくださいね?
 疲れた、って思ったらちゃんと休みますけどー……。
 私の線香花火、持ってる手が疲れるくらいにずーっとついちゃいますよ?」

にひひ、と笑ってウィンク一つ。

「今夜もですかー?」

少しだけ、ちょっと困った顔をして見せながら。
線香花火が消えて、真っ暗になった浜辺で、そっと額に唇を重ねてシルエットが重なる。

マルレーネ > 「                          」

優しく耳元で囁いて、引き起こす。
そのまま、手を引いて修道院に連れて行きましょう。

時間はかかっても、きっと癒されて欲しくて。

ご案内:「夜の浜辺」から神名火明さんが去りました。
ご案内:「夜の浜辺」からマルレーネさんが去りました。