2020/09/22 のログ
■ユラ > 「えっ、ウザ……じゃなくてこわ……」
単純に熱い人が嫌いだった。
「わかった、通報はまぁ……後回しにしておく。
砂場でのトレーニングが下半身にいいのもまぁ……わかる。
ただその暑苦しそうな感じがわからない……」
とにかく口が悪い。そして別に通報をやめたわけでもなさそう。
まだ結構怪しい人判定のようで、こいつ大丈夫かなって感じで探っている。
■杉本久遠 >
「えっなんだかいきなり随分と嫌われてないかオレ!
大丈夫だ、怖がる必要はないぞ!」
身長が高いからか体格からかだろうか。
そう思って、少し屈んで視点を下にする。
なお、当然のように空気椅子状態だ!
「おお、ビーチランニングの良さがわかるか!
普通に走るのと違って、足から腕まで全身をしっかりと使えるからな。
特に体幹を鍛えるのには持ってこいのトレーニングなんだ」
腕を組んで、大きく頷く。
暑苦しいと言われてもまったく気にしていないようだ。
■ユラ > 「ん、まぁ……昔、父とか兄にいいって言われて、少し。
砂場では確かに、足に結構効く。
でも」
半目で見るのは変わらない。
視線が同じ高さに来たとはいえ、まだ警戒しているっぽい。
「でも君の筋肉の付き方は走ったり跳ねたり、まして上半身を使うためのものじゃない。
だからすごい怪しい」
端末片手に構えたままである。
とはいえイマイチ使いこなせていないのか、画面は全然動いていない。
通報の心配は無さそう。
■杉本久遠 >
「なんでだっ!?
なにも怪しくないぞ!」
空気椅子をしたまま、ショックを受けたようにガーンと効果音が出そうな表情で顎が落ちる。
「おおっ素晴らしい目をしているな!
そうだ、オレはランナーじゃない。
オレは【スカイスイマー】だからな!」
ニカっと白い歯を見せながら笑った。
■ユラ > 「うるせー……腹に力入りすぎ……」
対照的に、背筋を伸ばしたままげんなりした顔である。
「スカイ……あぁ、あの飛ぶやつ。
……誰だっけ、以前この学校の卒業生……名前忘れたけど。
その人がすごい記録出した競技だよね。
でもこの学校で最近主だった活動の記録、見たことないけど……」
笑顔が見えるたびに、イヤそうな顔になってる。
■杉本久遠 >
「おおーっ!
エアースイムを知っているのか!
この学校出身と言えば、八雲咲雪選手の事だな!」
知っているとわかると、表情に感激があらわになる。
「八雲選手、いやここはあえて敬意を示して八雲先輩と呼ぼう!
彼女は素晴らしい【スピーダー】だ!
記録もそうだが、早さを求めたあの泳ぎは美しさすらある!」
そして、ファンなのか特有の熱の入った語り口。
拳が握られ、力が入っていた。
「まあそんな八雲先輩もオレの憧れの一人だ!
でもなあ、そうなんだよなあ。
現実は哀しいが、エアースイムはまだまだマイナーなスポーツなんだ」
と、少し残念そうにがっくりと項垂れた。
■ユラ > 「……俺がこっちきて読み込んだ魔術の研究成果。
そのいくつかに載ってる名前が、短期間だけどその選手のコーチやってたって人と一致してたから覚えてた。
……悪いんだけど、その選手がどんだけすごいかは全然知らない」
熱に差がありすぎるものの、わずかながらの知識はあるらしい。
ある程度は話を合わせてみせた。
「マイナーっていうか……あれは競技やるハードル高すぎでしょ。
着ける機材高すぎ。金持ちか、金持ちの学校とか会社出身前提じゃん。
かといって、装備無しで飛べる人は参加出来ないし。
飛びたいって人は多いでしょ。門が狭いだけで。
……オレがここで言ったって仕方ないと思うけど」
■杉本久遠 >
「おお――うむ、確かになあ」
本当のところを言われれば、むむむ、と唸る。
「それでも、アルバイトや委員会の仕事で手の届かない金額じゃないんだがなあ。
剣道やロードバイク、馬やスキーだとか、金のかかるスポーツはいくらでもあるだろう?
それでも知名度があるスポーツには相応の人口があるわけだからなあ」
むしろ、競技人口が少ないために練習するのが難しいという点が問題なのだろうと久遠は思う。
他の競技はコストがかかっても、『場所』が用意されているのだ。
しかし、今、ここ常世島にはその『場所』がないと言ってもいい。
「一応、オレも部を立ち上げてはいるんだが。
そもそも知らないという生徒の方が多くてなあ。
スポーツとしてはやっぱり、掛かる費用よりも知名度と環境が大きいと思うぞ」
■ユラ > 「その剣道やらロードバイクだって、基本的にワンオフ装備じゃなくても別にいいわけじゃん。
でもこの競技って、何か所に着けるかとか、どういうカスタマイズするかとか、体格次第でどうとか、すげえ細かいじゃん。
……あと、そういう競技とかと違って必要な空間大きいし。
つっても、それ以上に『飛んでみたい』って人は多いはずなのに、なんで人集まんねえんだろう」
空を飛ぶのは自由で気持ちがいい。
それに魅力を感じる人が多いはずなのだが。
「……ふーん。大変なんだね、マイナー部活。
つーかすごい選手出たのに、なんでこの学校部活続いてないの」
聞けば聞くほど謎が深まって来た。
同時にちょっと興味も出てきたらしい。
■杉本久遠 >
「拘りだしたらワンオフ? になるのは多くのスポーツが一緒じゃないか?
エアースイムにだってレンタルや入門向けのセットなんかもあるんだぞ。
とはいえ、空間が必要なのは間違いないからなぁ」
そう言った費用周りの先入観や、気軽に体験できる場所がない事、人口が少ないという環境問題。
それらによって触れる機会が少ないから、距離が遠いスポーツになってしまうんだろう。
「それがなぁ、八雲先輩は部活動としてでなく、個人でやっていたからなぁ。
学園にはオレが立ち上げるまで、エアースイム部は存在してなかったんだ」
彼女が部活動を立ち上げていたのなら――と、思いはする。
彼女の泳ぎを見れば、魅了されるヒトは少なからずいただろう。
しかし、そうしたら今の『八雲咲雪』と言うプロスイマーはいなかったかもしれない。
「うむ、やっぱり機会がないのが問題なんだろうな。
そう言う意味では、来週の大会はいい機会になってくれると思うんだが」
さて、それもどれだけのヒトが見に来てくれるのだろうか。
大きく宣伝しているわけでもないから、広告も目に入っているか怪しいところだ。
■ユラ > 「あんのかよ、レンタルセット。
世間と君はそういうのちゃんと前に出してる?」
がりがり頭をかきながら呟く。
「……その先輩もそうだし、コーチした研究者の人も、なんで部活立ち上げてないんだろうな……
広めるとかそういうことに興味なかったのかよ。
ていうか学校が立ち上げますーとかそういう流れにもなってねえの不思議すぎんだろ」
考えるほどにわからなくなってきた。
本当にエアースイムって競技は存在するのだろうか……
「まあ人集め頑張って……俺も大会は見るから……
この世界の空を飛ぶっていうのがどんなものかは興味あるし……」
■杉本久遠 >
「スポーツショップに行けばあるんだが――いかんせん、取り扱いが小さいのがなあ。
専門店もあるんだが、そっちはそもそも専門店がある事が知られてないだろうしなあ。
常世島の外だともう少し宣伝もされてるみたいなんだが」
おそらく常世島内での認知度が低すぎるのだ。
「必要がなければ部活を立ち上げる事もないだろうからなあ。
学園としても、要求がなければ動かないものだぞ。
うちに部費を出してくれているだけでも、ありがたいくらいなもんだ」
部員二名、最近三名になったが。
学園の規模に対して人数が少なすぎるのだ。
「ああ、もちろんだ!
大会では体験会もあるらしいからな、そこで実際に触れてもらえれば何よりだ。
っと、オレは杉本久遠、エアースイム部の部長だ、よろしくな!」
■ユラ > 「この島ん中での知名度のほうが問題かよ……
大変だよ、マジで」
なのになんでこの島で大会?とか思ってしまうが。
まあ大会上位者の出身校の近くでっていうのはアリなのかなとか思ってる。
「いや、オレ自分で飛べるからな……あーゆーの着けるのはちょっと……
えーと、杉本。よろしく。たまに応援してる。
オレはユラ。ユラ・リィヤ」
握手……はしたくなさそうだけど、軽く頭だけは下げておいた。
■杉本久遠 >
「だははー、何事も知られなければ無いのと同じというわけだな!」
一声笑ってから、またがっくり肩を落とす。
「おう、ユラだな。
いいなあ、自分で飛べるというのはそれはそれで羨ましいぞ。
うむ、応援には応えないとな!」
自己紹介しあえば、元気よく笑って答える。
しかし、この会話の間もずっと空気椅子だったものだから、さすがに膝が震えだしていた!
■ユラ > 「……ヒマだったら練習付き合うくらいはするよ」
だんだん譲歩してきた。
目の前の相手がかわいそうになってきたのかもしれない。
「じゃ、オレも散歩終わりにするから。
また機会があればよろしく」
ざふざふ、再び砂を踏みながら歩いていく。
なんだかんだで有意義な時間になった……と思う。
■杉本久遠 >
「おおー!
いいやつだな!
気が向いたら是非とも頼みたいところだ!」
かわいそうに思われてるとは少しも思わず。
純粋に優しい少年だと思っている。
「おお、また会おうな!
気を付けて帰るんだぞー!」
そう言いながら、少年の姿を見送り。
「――だはーっ!」
ずっと空気椅子を続けていて限界が来たので。
砂浜の上で仰向けにひっくり返るのだった。
ご案内:「浜辺」からユラさんが去りました。
ご案内:「浜辺」から杉本久遠さんが去りました。