2021/09/21 のログ
ご案内:「幻想生物学研究室」に暁 名無さんが現れました。
ご案内:「幻想生物学研究室」にセレネさんが現れました。
暁 名無 > 今宵は中秋の名月。いわゆる十五夜というやつだ。
暦の上では秋も半ば、これから冬へと向かうタイミングであるらしい。
奇しくも今宵は満月らしく、まさしく名月に相応しいタイミングといったところか。

個人的には満月より三日月の方が好きだとか、そんなことはまず置いといてだ。

「………うん、満月であることをすっかり失念してたんだよな。」

折角だから月見でもするか、と思い立ったは良い物の満月であることは忘れていた俺である。
結果、月見の準備をしつつ研究室のカーテンをがっつり閉め切っているという矛盾した環境が生まれていた。

「……明後日くらいだと思ってたんだけどな、満月。」

フィールドワークがてら摘んできたススキを片手に、途方に暮れているおまけつきである。

セレネ > 秋は空気も澄んで月が綺麗に見える季節。
月の女神としては、絶好の月光浴日和。

研究室に来たのは先日作成した金木犀のモイストポプリの小瓶を一つ渡す為でもある。
研究室の主である彼が満月を嫌がっているというのは
今まで何度か満月を見に誘ったけれど悉くを却下されたのでもう諦めた。

「今晩は、先生。」

薄暗い廊下を歩いた突き当たり。
ガチャリと開けた扉の先、眩しい室内に蒼を細めつつ挨拶を一つ。

暁 名無 > この分だと外にも出られそうにない。今日は研究室に泊まりかあ、と小さく嘆息なぞしてみたりもする。
まあ普段から割と頻繁に泊まり込んだりしているから、今更と言えば今更だけどな。

「お?……ああ、セレネか。
 どうした、屋上にでも行く途中か?」

研究室の扉が開き、見慣れた姿が見える。
両手にススキを持って振り返るが、まあ今更変な目で見られることも無いだろう。

セレネ > 明かりに色素の薄い蒼が眩み、慣れるのに少し時間を要した。
漸く慣れた視界に映るのは見慣れた研究室内と何故かススキを両手に持っている教師。
数度蒼を瞬かせたものの、それを問う事はしなかった。
凡そこの季節だからとどこかから摘んできたのだろうと考えたから。

「いえ、お月見は屋上以外の所でするつもりですので…。
今回は手土産を持ってきただけですよ。」

相手が好みの香りかは分からないが、カーディガンのポケットから取り出したのは手の平に収まる程の小さな瓶。
中には真白な塩とオレンジ色の金木犀が交互に層になって詰められたモイストポプリ。

「一応試作も兼ねて作ってみたので、もし良ければ置いて下さればと。」

相手の傍に歩いて行けば、その小瓶を渡そうとして。

暁 名無 > 「いや、月光浴の方かと……手土産?」

はて何だろう、と首を傾げて此方へと歩いてくるセレネを見やる。
別に誕生日でもないので贈り物をされる謂れもない。
心当たりがさっぱりだが、まあ貰えるものは貰っておこう。

「……ふ、む?
 ありがたく置いとくけども、これは一体?」

渡された小瓶を見て更に首を傾げる。
匂いからして金木犀の花のようだが、これはそのまま芳香材として使用するものなのだろうか。

試作品、置いといてという単語から想像するに、そうなのだろうけれど。

セレネ > 「えぇ、月光浴ももっと高い所でやりたいなぁと。」

最近お気に入りの場所が出来たので、帰りに其方に寄るつもり。
首を傾げる相手にやんわりと苦笑しつつ。

「金木犀のモイストポプリです。
普通のポプリと違い、上手く作れると50年くらい香りがもつのだそうで。
流石にそこまで長持ちはしなくても良いのですが、まぁちょっとした息抜きにでもなればと。
部屋に置く芳香剤以外にもバスソルトとしても使えますから、
破棄するよりそういった方で使って頂けると幸いです。」

金木犀は秋の季節限定の香りだ。
ふと思い立って作成しただけだから好きなように使ってくれと告げる。

暁 名無 > 「なるほど?
 まああんまり危険な所には近づかないようにな。」

もっと高いところというと限られてくる。
そして大抵立ち入り禁止だ。念の為釘を刺しておくが、まあ素直に従うかは半信半疑といったところ。
だって俺にも覚えがあるからな。入るなって言われてるとこに入るの。

「モイストポプリ……ほぉ。
 金木犀もそろそろ散りきる頃合いだしな、こいつは丁度良い。
 そういうことならしばらく机の上にでも置いておこう。
 ありがとさん。」

バスソルトってのは何なんだと思わなくもなかったが、まあそれは後で調べれば良いだろう。

「そうだ、お礼と言っちゃ何だが月見団子でも食べていくか?
 月見でもしようかと準備したは良いが満月なのをすっかり失念しててな?」

閉め切った部屋で独りで月見団子を食うなんて虚しさの極みみたいなことはしたくない。
せめて二人なら何とか気も紛れるだろう、と思い立った次第だ。

セレネ > 「勿論。
…でもこんなに綺麗な月ですもの。少しでも近い所で月光浴したいです。」

月は己の魔力の源だから、少しでも。
とはいえ最低限自身の身は守るつもりだ。

「金木犀、風や雨ですぐに散ってしまいますからね。
折角の良い香りなのに散らせるのは勿体ないと思って。
いいえ、貴方が嫌いではない香りで良かったです。」

まさかバスソルトを知らないとは露も思わず話を続ける。

「月見団子…。そういった日本のお月見、あまり経験したことがないので少しだけなら。」

お団子を食べ過ぎると後々体重が増えそうなので控えめにするとして、お誘いには素直に受けることにした。
今もそうだがあれだけ満月を嫌がっているのに失念するとは、と思うも口に出す事はせず。

暁 名無 > 「やっぱり綺麗なんだな、月……」

だろうな、とカーテンの締まり切った窓を振り返る。
何せ今宵は十五夜、中秋の名月だ。

「まあ人によっちゃトイレの芳香剤の匂い、とか色々思うところあるらしいが。
 俺はまあ嫌いではないな、トイレも連想しない。
 こういう季節特有の匂いは嫌いじゃないさ、アウトドア派だしな、一応。」

机に置いた小瓶を指先で軽く傾けたりしていたが、変に弄り過ぎると倒しそうなのでやめておく。

「そうかそうか、まあ大したものでも無いんだけどな?
 こうして団子まで出して月見をするなんてもう珍しいって程でも無いだろうし。」

十五夜と満月が重なるとは思ってなかったんだもん。
言及されていたらそう答えていた。危ないところだった。

セレネ > 「昨日の時点でも充分綺麗でしたよ。丸くて、金色で。
やはり月は良いものですね。」

己の持つ色とは正反対だが、それでも充分目を奪われるくらいに。
本当に綺麗だった。

「香りは記憶と密接に繋がったりしますからねぇ。
貴方程アウトドアしてる人はこの島にそう居ないかもしれませんしね…。」

夏場にせよ寒くなる季節にせよ、相応に辛いだろうフィールドワーク。
己なら絶対やりたくない。

「そうなのですか。」

まぁ、月を見ながらゆっくり過ごすのも良いと思う。
…現状、カーテンを閉め切られているので趣は感じられないが。

暁 名無 > 「ああ、仕事が忙しいと月を見る余裕なんて無いからな……
 だからこうして月見でもしようとしたわけで。」

折角だから、と行動した結果見事に裏目に出たわけだが。
やっぱり月齢カレンダーでも用意しといたほうが良いんじゃないだろうか。

「そんなことは無いさ、日頃こうして学校に閉じ込められてる分生徒の方が外に居ることの方が多いと思うぞ?
 俺は一度出たら帰って来ないってだけで。」

引き籠ってるときはホント引き籠るからなあ、繁忙期とか……

「そうなんだよ。ススキもそこらに生えてるものでも無くなったし。」

ほら、と月見団子を応接用の机に置き、ソファに促しつつ自分も向かう。