2022/01/15 のログ
ご案内:「落第街 閉鎖区画」に暁 名無さんが現れました。
暁 名無 > 「……思った以上の惨状だな。」

暴動が起きたとされている落第街の一画、瓦礫と死臭と呻き声の溢れる只中に俺は来ている。
既に日は落ち、夜の帳が降りた中であちらこちらに犠牲者を弔い、被害の拡大を抑えるための炎が見える。

「……さて、どうしたもんかねえ。」

崩れ落ちたビルの壁と思しき瓦礫に腰掛け、俺は一つ溜息を吐いた。
そもそも打てる手など限られているし、今回は飽く迄様子見
強いて言えば風聞以上の情報を集める為に来ただけだから、何をするというわけでもないのだけれど。

暁 名無 > 「生存者の存在は未確認、犠牲者の数は未知数、事態の打開手段は未定……
 まあ、ここまで拡がってたら、封じ込めが限界だよな。」

遠くから聞こえていた交戦の音が少しだけ近づいた。
東西南北、あらゆる方角から引っ切り無しに聞こえてくる騒音が呼び水となっているのか、周囲に生きている犠牲者の姿は無い。
“余計な事”をしなくて済むのは好都合だが、その代わり辺りには焼け焦げた死体と、絶賛炎上中の死体が散乱している。
正直、あまり気分の良い眺めでは無い。年明け早々死体の山は既に見たけれど!

「動植物問わず寄生し、宿主の闘争心を糧に成長、開花結実ののち種子を散布……ね。
 成長速度が尋常じゃないのが一番厄介な点だな、でなきゃここまで被害が深刻化してなかったろうし。」

件の種子は路上にも転がっているのを確認した。
回収したところでこの区画から出る際に風紀委員に没収される旨の誓約書も書かされてるからノータッチだけど。

「拡大の発端は小型哺乳類か昆虫類だろうな……
 まだ実物は拝んじゃないけれど、この分じゃ念入りに駆除されてるだろうか。」

さてそれらの生き物は犠牲者の内に入ってるのかな、と考えてしまう。
入ってるわけないだろう。下手すりゃ被害拡大の下手人扱いだ。目の敵にすらされてるかもしれない。

「あー……反吐が出そう。」

暁 名無 > 「……ん。」

不意に風が吹き、右肩に重量が掛かった。
横目で見やれば一羽のコノハズクが肩に停まっている。
区画内に入った後、喚び出して周囲の哨戒に当たらせていた子だ。名前はミネさん(♀)

『おかえり。どうだった?やっぱりどこも似た感じ?』

嘴を軽く撫でながら訊ねる。フクロウ語は中々に発音が難しい。
いや発音が容易い動物言語があるか、って話だけども。それを加味しても難しい。
声を潜めている俺に合わせてか、小さくさえずるように鳴いたミネさん。その後左右にぐりんぐりんと首を捻る。

うーん、周囲に宿主は居ないけれど、戦闘状況によっては此方に流れてくる可能性も無い訳じゃない、か。
あまり一所に留まるのは得策じゃ無いかもだ。

「とはいえ迂闊に動き回って見咎められても面倒だしな……」

一応、有用な戦闘能力はほぼ無い、と自己申告して来ている。
迂闊に戦闘中のエリアに踏み込んで、虚偽申告がバレたら事だろう。さてさて、どうしたものか。