2020/08/08 のログ
ご案内:「ゲームショップ『オトナミソフト』」にエコーさんが現れました。
エコー > 落第街の大通りの裏手にあるビルの地下テナント。
知る人には有数の美少女ゲームメーカーであり売り場となっているその店の雰囲気は、店主であるエコーの匙加減で内装が変わる。
マスターアップ後、無事に完成したホラーゲーム『常世廻り』の発売を記念して店の中は和ホラー的テイストに囲まれていた。
カボチャの置き物や無駄にサイバーチックなマテリアルもない肝試しのセットとして使えそうな無駄クオリティーのショップは、普段以上に照明が落とされ、商品に注目が集まるように蛍光灯の光でライトアップされている。

「いらっしゃいませ~」

スカートの裾を血塗れにしたワンピースを着ている美少女が画面の中から来訪する客に挨拶をする。今日はホラゲー日和である。

ご案内:「ゲームショップ『オトナミソフト』」に黒井結城さんが現れました。
黒井結城 > 「うわ、凄いなココ!?」

扉を開けた瞬間、僕は仰天しました。
落第街のビル内にシャドウゴーストの刺客が潜伏しているらしい情報を掴み、現場調査に伺ったのですが。
空けた先はお店で、夏なのにカボチャが置いてたり、かと思えばその隣はサイバー的な設備も置いてたりとなんだか不思議空間です。

ホラーをテーマにしているのでしょうか。
モニターの中から見える店員さんの衣装も赤く染まっています。

僕は会釈をしてから陳列棚に向かいます。
それにしても、何のお店なのでしょうか。

エコー > 「あ、いらっしゃいませ~。ご新規さんが最近多くて嬉しいね~」

血塗れの服をひらひらゆらしながら出迎える。店員らしき人間はおらず、店員ですとポップアップした張り紙の横にあるタブレットから挨拶をする。

「すっごいでしょ~。私が考案して飾って貰ったの! 私の新作が出来たから~って触れ回ったらみんなで飾ってくれて、完璧な内装に仕上がったの! すごいでしょ、すごいでしょ!」

世界観、ぐっちゃぐちゃだけど。

黒井結城 > 「そうなんですね~。」

僕は相槌を打ちながら店内を見渡します。
普通のゲームショップと言った感じのお店です。
一度見ただけではわかりませんが、モニターの女性はシャドウゴーストの気配を感じさせません。
どうやらここは本当に普通のお店のようです。
なら、折角なのでゲームソフトを見ていきましょう。

面白そうなゲームは買ってみるのもいいですね。

「凄いんですけど、テーマとか統一しないんですか?
夏なのにカボチャだし、隣はサイバーしてるし。
これって初見のお客さんはどんなゲームかわかりにくそうですけど。」

エコー > この異様な雰囲気のそれはともかく、陳列されている様はゲームショップではあるのだ。
問題は偏ったジャンルのゲームしか置いてないことなのだけど。

「え、明るい方が良いかな~って、万人受け? する感じにした方が良いのかなって思って。
 売り出すのは和ホラーなんだけど、色々な人にこれは怖いやつっていうのが伝われば良いかな~って思ったんだけど」

黒井結城 > 「僕は面白いと思いますけど、どうでしょう。
少なくとも和ホラーって感じは伝わらないんじゃないですか?

和ホラーって、薄汚れた団地だったり、
木製の廃校舎だったり、和風の一件やだったりが出てきませんか?」

僕はホラー映画を見た上での感想を口にしました。
ゲームはほとんどしたことがないのであまり分かりません。

「で、これがその和ホラーゲームなんですか。」

僕は分かりやすい所に陳列された『常世廻り』と言う名前のソフトを手に尋ねます。

エコー > 「まじかぁ……」

そうかぁ。目を瞑って感嘆の言葉を吐露した。
……属性って多すぎたら困るもんね、そりゃそうだよね。

「このホラーはお皿を積んだり鬼火と触れ合ったりする一昔前の妖怪系?的なものをモチーフにしてるんだけど~。
 舞台はさびれた村のクローズド系! 主人公が妖怪たちが跳梁跋扈する村に迷い込んで、村から脱出しようとするが……っていう」

 『常世廻り』のパッケージを手に取ると、夜の村の背景に赤い月が照らしている構図と共に、おどろおどろしいフォントでタイトルが書かれている。
 ――ちなみに裏面を見ればなぜか美少女の絵が並べられており、一部のホラーっぽいCGが並べられている。ホラーやショッキングな描写がありますという記載と共に、R-15指定を受けたノベルゲームのようだ。

黒井結城 > 「う~~ん、今の状況だと
英国風の喫茶店で何故か中華料理を売りにしてる感じでしょうか。
おいしいんだろうけど、見た目じゃ中華料理だと分からないよって所ですね。
今の例えで分かって頂けますか?」

自分で言うのもアレですが、僕はどちらかと言うまでもなく口下手です。
今の例えも分かりやすかったでしょうか。
モニターの女性に首を傾げて尋ねます。

「それなら寂れた村感を演出した方が分かりやすいと思うのですが。
ボロボロの木板を壁にして並べるとか、消えかけの電灯を設置すると雰囲気出ませんか?」

パッケージを手に取ると、確かに恐ろしそうな内容が並んでいます。
とても怖そうで興味深いのですが、銀色の15の表示が気になります。

「あの、この15ってどういう意味ですか?」

エコー > 「超分かった。狙い筋は一本化したほうが分かりやすいよねってことだよね。
 ゲームジャンルはそのゲームジャンルらしく! テイストは絞った方が良いんだ!」

 うんうん。したり顔でエコーは頷いて納得した仕草を見せた。

「じゃあ明日からもっとちゃんとしたホラー路線にしないとだね。
 ぼろぼろの木材に、消えかけた電灯かぁ。あと古井戸も出て来るから石でも囲みたいし。
 それ全部採用! 雰囲気作り出来るようにやってみる!」

 また色々頼まないといけない。忙しくなる。

「平たく言うと15歳以下はプレイしちゃだめっていう指標。ショッキングな描写とか絵がばあーって出て来るから、お子様はプレイしちゃだめよっていうレーティングね」

黒井結城 > 「お客さんってお店の人が思っているよりもちゃんと見てないって聞きますからね。
分かりやすくした方が導入は良いと思います。」

聞かれているので僕も応えていますが、はたしてゲームを碌にプレイしていない僕の意見でいいのでしょうか。

「古井戸ですか…。 この島では見たことないんですけど、
島の外ではあるんですよね。 今度出来上がったらまた見に来ますね。」

古井戸もボロボロの木壁もあまり見たことがありません。
スラムの方にまで行けばあるのでしょうか?

「え、じゃあ僕無理ってことですか?
まだ14歳なんですけど…。」

14歳はやっぱりお子様なのでしょうか。
なんだか急に拒絶された気がして、肩が落ちます。

エコー > 「参考になる~超ありがとう! これでもう少し伸びが良くなるといいな~」

元々好き放題やっている個人経営のこのお店。落第街にある手前、元より数は少ないのだけど。
ゲーマーでなくとも多少なりとも意見があれば参考になるというもの。

「無いんだこの島。農業系の授業でもやってたら再現品もどこかにありそうな気がするんだけどな~。
 そんな私も知らないんだけど。でもでも是非是非見に来てね! お化け屋敷も真っ青なテイストにして待ってるから!」
 
アトラクションかな。

「んんん~~っ、あ、14歳!? 童顔って思ってたけどこんな年齢の子がこんなところに来るなんて!
 あぁ~待って待って! 一応はお客さん! 意欲的な子の涙を見るのはエンタメの端くれとして見過ごせない!
 そっち、右側に陳列されてるパッケージはA(全年齢版)だから、誰でも遊べるから!」
 
 タブレットのエコーは陳列された棚をモチーフにしたモデリングを再現し、三面に並べられた商品の内片側を指さして見せた。
 グロテスクな描写も表現も極限まで抑えたものがそちらにはある。
 なおその反対側はよりレーティングの上がった、大人にしかプレイできないタイプが積まれている。
『常世廻り』は三種類のレーティングで分けられたゲームのようだ。

黒井結城 > 「でも、展示の良さってそんなに売り上げには影響しないかも。
今って口コミなんですよね?」

ネットで人気が出て売れたって話をよく聞きます。
特にSNSだかの広がりは凄いです。
僕は誰とも繋がれていないので、今はほとんど見るだけなのですが。

「この島って技術力凄いから井戸はそもそも使いそうにないですよね。
その時を楽しみにしてますね。」

そういえば、僕は遊園地も行った事がありません。
なので女性の言葉に胸が躍ります。
にんまりと笑みを浮かべていたでしょう。

「あ、じゃあこっちを買いますね。」

教えられた場所のパッケージを手に取りました。
確かに、表現を規制しているようです。
どうせならドギツイ版をやってみたい気もしますが、その時が来るまで我慢です。

「所で、他に店員さんが居ないようですけど。
支払はどうしたらいいですか?」