2020/08/09 のログ
エコー > 「コアなファンやゲーマーなら大体買ってくれる固定層もいるし、概ね口コミだねぇ。
 キミの言う通りSNSなんかが一番強いの!
 でもここってホラ、あれじゃない? 私ちゃんとケンゼンに売ってるから法的には問題ないんだけど、立地がねぇ。
 配送はやれないし他の土地代は高いし。キミみたいに迷い込んだ子経由で売れるのが一番なの。
 だから友達に宣伝して見てね、絶対後悔させないから!」
 
 SNSに拘らずとも、学園で友人との話のタネになるならそれで良し。

「でも人間って懐古的な人が多いっていうし、水使うんなら井戸水とか逆に使いたがりそうなんだけどなぁ。
 田舎の田園風景っていうの? そういうのに憧れたりとかしそうじゃない」
 
 少々話は脱線しているが、まああるところにはあるのかもしれない。農業区とか。

「あ、こっちのカウンターに来て! こっちにバーコードリーダーがあるから読み取って、お金を置いといてくれれば機械たちが回収するから!」

ちら、とカウンターに小さなドローンが浮遊している。アームを伸ばして軽く手を振るような動作をしていることから、彼が回収してくれるらしい。

「あとポイントカードも付けてあげるねぇ。合計十作品買ってくれたら好きなグッズをプレゼントするから」

黒井結城 > 「う~~ん、そうですよね。
やっぱりクチコミは強いですよね。
あ、そっか。 落第街だからあまり人来ないんだ。」

頷き、相槌を打ちながら店員さんのお話を聞いています。
ただ、ここで残念なお知らせが。

「いいんですけど、僕まだこっちでの友達居ないんですよね。」

・・・・・。
言った後で微妙な空気が流れた気がします。

「憧れそうですけど、それ以上に便利さを求めそうな気がします。
見た目だけ古井戸とかなら需要ありそうですが。

なるほど、ちゃんと現金でも購入できるんですね。
電子決済じゃないと駄目なのかと思いました。」

ドローンが警備員の役割もしているのでしょうか。
そんなことを考えたりしながら、財布を取り出してお金を支払います。
配達ができないそうなので、あまり大量には購入できそうにないですね。

「グッズってどんなのがあるんですか?」

エコー > 「そうそう、だから人伝の口コミが結果的に一番効率的~ってなってるの」

そう思ったから提案したんだけど。

「……二学期になって友達が出来たら宣伝してね!」

友達くらいすぐ出来るさ! 誤魔化すように笑いながら奮い立つように勇んでいた。

「クレカも使えるし電子マネーも一通り使えるけど、お金じゃあないといけないって人も中にはいるからねぇ。
 私的には電子の方が取り扱いしやすいけど、お客さん都合で考えたらね」
 
たぶんきっとその方がごたつかなくて済む。
そしてグッズは何があるか、という問いにはタブレット越しにまたサンプルの画面が表示される。
Webで掲載しているものの一例らしい。

「書き下ろしの色紙やポスター、タペストリーにタオルとか色々。私が取り扱ってるお店の商品のキャラクターをプリントしたアレソレな非売品だよぉ。好きなキャラクターとかがいたら是非集めて交換してね!」

黒井結城 > 「そうなんでしょうか。
既に出来上がっている人間関係に入るのって難しいんですよね。

それはそうと、なんでわざわざこんな場所に出店を?
治安もそれほど良くないって聞きますけど。」

僕に友達がいない件は置いておくとして。
ここを選んだ理由が気になります。
妙な組織が暗躍してるとかはなさそうですが。

「うちの養父母がそうですね。
現金じゃないと安心できないそうで、
うちの店は未だに現金だけですよ。」

口からため息が漏れてしまいます。
田舎のお店ならわかるのですが。

「へ~、凄いですね。
こんなに色々グッズを出してるんですね。
しかも非売品。
持ってたら自慢できるって奴ですか?」

ドローンに持ち帰り用の袋を貰っている間、
サンプル画面を覗きこみました。
お店の立地も相まって相当レアな気がします。
グッズ目当てのお客さんとか居ないのでしょうか?

エコー > 「うちの学園じゃあ年齢と学年が一致することもないし、個性豊かだからそういうのを気にする必要もないんじゃあないかなぁ。
 出来上がってるグループなんて気にせずぽいって入り込めばいいんだよ、ぽいって」
 
 にべにもなく、それが普通というように。

「んっん~。さっきも言ったように土地代が嵩むのと~。あんまり大々的にゲーム売ってますっていうのも忍びないっていうか~。
 こういう……年齢に指定が入るようなゲームを作って売ってるってヒンシュク買ったら面倒臭いし。
 ここみたいな場所で動いてる方が都合も良いんだぁ」
 
 ――そも学園の先生がこういうのを売っていると不味いというのが一番の問題なのだけど。
 素性を明かさず、こうして生徒に売っている立場上、大事にはしたくないのである。

「そうそう自慢できるヤツよ! 『あいつゲーマーなんだな』『ゲーム得意なのか?』っていう会話からゲーム友達が出来る事間違いなし!」

 聊か誇張的な表現はあるが。知名度、立地、何度もゲームを買わねばならないという条件が重なればある程度レアモノにはなるやもしれん。
 そうこうしている内にドローンが持ち帰り用の袋にゲームを詰め込み終えた。彼の前に釣りとポイントカードと共に渡される。

「まいどありがとぉ~」

黒井結城 > 「そんなに都合よく入れるのかなあ…。

なるほど…こういうお店は表通りとかには出しにくいわけですね。
色々勉強になります。」

店員さんの素性はこの時点の僕にはまるで分かりませんでした。
まだまだ登校日数し始めて日が浅いので、知っている先生も非常に少ないのです。

「え、そうなんですか?
どちらかと言うと収集家ってイメージが付きそうですけど。」

袋とポイントカードなどを受け取ります。

「また来ますね。」

僕は袋を両手で受け取ると、軽く頭を下げてから店を後にしました。
次回来た時どんな内装になっているのか楽しみです。

ご案内:「ゲームショップ『オトナミソフト』」から黒井結城さんが去りました。
エコー > 「いけるいける! 押せば何とかなるんだから!
 応援してるからね、友達が出来るって!」
 
 無邪気に笑い、のたまう言葉は非常に軽く。

「だから次もゲーム買ってきてね! 人が全然いないんだから、売れないと潰れちゃうかもしれないし!
 ……まあうん、ホントそういう人がいるから否定は出来ないけど、ライトユーザーならまだその認識でいてくれるハズだから、うん」
 
 ――この店を懇意にしている生徒がいたらどうしたものか。かちあったらヤバいかなぁという所感はさておき。
 
「またのお越しをおまちしてまぁす!」

 愉快に手を振り彼を見送るのだった。
 後日、きちんとこのゲームをモチーフにした通りの廃村のデザインで統一された店構えになったとかなんとか。

ご案内:「ゲームショップ『オトナミソフト』」からエコーさんが去りました。
ご案内:「温泉旅館 宴会場から離れた喫煙所」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
薄暗いフロントを抜けて、ガラス戸で仕切られた喫煙所へ。
懐から取り出したのは、宴会場ではついぞ隠し通した煙草とライター。

「……最近、喫煙の本数が増えたかも知れんな。
もう少し、きちんと糖分を取らねばなるまいが」

カキン、と心地良い金属音と共に火を付ける。
甘ったるい煙草の紫煙が、喫煙所に漂っていく。

神代理央 >  
欲を言うなら、煙草に合わせて酒が欲しい所ではあったが贅沢は言うまい。
一応、隠れて喫煙している様にしているのだし。

「……しかし、随分と賑やかな宴会になったものだ。それだけ、皆日頃から色々苦労しているという事なのだろうが」

唇から紫煙を吐き出し、先程自販機で購入した缶コーヒーのプルタブを捻る。
何時もに比べれば大して甘くはない普通のカフェラテ。しかし、幾分酒の入った脳にはこれくらいが丁度良い。

神代理央 >  
恋人である少女が他の風紀委員と交流を深められたのも良い事だ。
彼女には、もっと多くの人と触れ合い、健やかに成長して欲しい。
酒が入れば幾分幼くなってしまうのは――ご愛敬というものだろう。

「…街に戻れば、早々休んでもいられぬしな」

謹慎中に溜まった仕事。
落第街への警邏の再開。
行うべき仕事は山ほどある。浮ついた気分のままでいられる機会は、そう多くはない。

「…結果的に、あの『殺し屋』には感謝すべきだったのだろうな。あれを捕まえて来た時の連中の顔と言ったら」

己を査問会にかけて保身を図った連中の顔色と言ったら。
今思い出しただけでも嗤いがこみあげてくる。
神宮寺だけは、当然だよみたいな顔をしていたのがちょっと腹立たしいのだが。

ご案内:「温泉旅館 宴会場から離れた喫煙所」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
「あれ…」

温泉から宴会場に戻る道すがら、その立ち姿を見つけて

「一休み?神代くん」

喫煙所で一服している少年
その側へと歩み寄る

浴衣姿、宴会場にいた雰囲気が違う面々とは異なり、あまりこの少女のもつ空気感は変わらないようだ

神代理央 >  
投げかけられた声に、ちょっと驚いた様な視線を向ける。
此処は宴会場から離れている。他の客が来る事はあれど、まさか風紀委員が訪れるとは思ってもいなかった。

「…ええ、まあ。そんなところです。一服したら、部屋に戻って休もうかと」

と、ぺこりと一礼しながら言葉を返す。
浮ついたイベント、空間の中でも『伊都波 凛霞』を崩さない彼女に、ちょっと苦笑いを浮かべつつ。

伊都波 凛霞 >  
「そうだねーもう結構遅いし。
 宴会場にはまだ人いるのかなー」

まだいたら顔だしておこうっと、なんて言いつつ近くに

「にしても神代くんに恋人がいたなんてびっくりしちゃったよ。
 思えば懇親会にも一緒に来てたっけね。
 ……色々、あったみたいだけど、少し雰囲気、変わったね?」

にこ、と笑みを浮かべて、その少女のような少年の、苦笑を浮かべている顔を見つめる

神代理央 >  
「んー、どうでしょう。私と入れ替わりで刑事課の…キッドが宴会場に戻りましたから。
今頃はラムレイ先輩にお説教でもされているんじゃないですか?」

クスリ、と微笑んでその場を想像しながら。
彼女が近づけば、半分程残った煙草を灰皿へと放り込み、缶コーヒーで喉を潤すのだろう。

「何で私みたいな面倒な男を好きになったのか、私自身未だに良く分かっていませんがね。でもまあ、良い子ですよ。
仲良くしてやって下されば、とても有難いのですけど」

面倒見が良い彼女の知古を得れば、恋人の交友関係も広まるだろう――なんて打算もある。
それ故に、浮かべた笑みはちょっと気弱なものだったのだが。

「……どうなんでしょうね。変わった事は認めますが、それが良い方向に変わったのかどうか。
弱くなった、と詰られた事もありますし、それを否定もしません」

涼やかな浴衣姿の彼女に視線を向けると、自然見上げる様に彼女と目を合わせて再度苦笑い。
確かに、あの日彼女を詰った己とは大きく変わったのだろう。
しかし、それが良い変化であるのかどうか――それは未だ、己には分からない。

伊都波 凛霞 >  
まだ残していたタバコをもみ消す様子に苦笑。気にしなくていいのに、と

「うーん、そこはほら。神代くんがあの子を好きになったんだー、みたいなところのほうが驚きだったというか?」

彼女が彼を好きになったことよりも、それに彼が応えたこと、それが何よりも驚いたのだ
失礼だけどそんなタイプには見えなかったからさー、と笑って

「でもいい子だし。…ちょっと暴走気味なところはあるけど、大事にしてあげないとね」

余計なお世話かなーと、なんとなく白煙を追いかけて上を見て

「変わった、っていうことは立ち止まらなかったことでもあるから。
 よっぽどおかしなことにならなきゃ、大体は良いことだと思うよー?」

弱くなった…それは彼が非情に徹することができなくなった…ということなのかもしれない

「…ま、我々風紀委員は単騎戦力ではないのでありますからして」

弱い部分、脆い部分ができたなら補い合えばいいだけなのだ

神代理央 >  
「…まあ、初対面からして中々放っておけない様な奴でしたが…。
色んな事に真直ぐ過ぎるというか、純粋過ぎるというか。
……まあ、色恋沙汰に関してはとんと素人なので。上手く説明出来ませんけどね」

と、苦笑い。
実際、あそこまで純粋な好意を向けられていなければ。彼女の想いに応える事もなかったのだろうし。

「ええ、そのつもりですよ。彼女には、良い友人と良い生活環境と……とにかく、幸せになって欲しいんです。ただ、幸せに」

彼女の過去や『領域』での出来事は流石に己から話す事は出来ない。だから単純に、恋人には幸せになって欲しいだけなのだ、と。
柔らかな笑みを浮かべて頷くだろう。

「しかして、方向転換した道の先が奈落に繋がっている事もある。
私自身は現状の自分自身を悪い変化ではないと思っていますが……こればかりは、時間をかけて答えを見つけてみようと思っていますよ」

「……短期戦力ではない、ですか。そうですね。皆で助け合って、成すべき事を成し遂げられれば、良いのですが」

彼女の思う通り、己の弱さは非常に徹しきれなく為った事。
己の火力を振るう機会を、制限され始めたということ。
その『弱さ』を皆で補い合うと告げる彼女の言葉を、小さく笑って頷いて――

「……しかし。こういう場だから聞きますが、先輩こそ良い人というか、パートナーはいらっしゃらないのですか?
先輩なら、引く手あまただと思いますが」

確かに、彼女の過去の事は噂にて伝え聞いている。
それでも、真直ぐに愚直に『他人の為』に行動する今の彼女を好く者は、男女問わずきっと大勢いると思っての、言葉。

伊都波 凛霞 >  
「誰かに幸せになってほしい、って思えるならきっとそれで十分。
 そんな顔もちゃんとできたんだなー…って感心しちゃう」

柔らかな笑み
以前の彼からはなかなか引き出せない表情だったのではないか

「奈落に繋がっているとしても大丈夫。
 間違った方向に転んでたら、神代くんに伸ばされる手はきっと、一杯あるよ」

だから今はただその変化を喜んでいいんじゃないかなー、なんて
楽観的と言えば楽観的な言葉を向ける
けれど同時にそれは、道を踏み外したとしても助けがあることを信じて疑わない、その裏返しだ

「元々神代くんは単独行動多かった気もするしね。ある意味じゃ良い機会?
 …あ、えー、私? うーん、私はそうだねぇ、今はいないよ」

こればっかりは、例え引く手数多だったとしても、どんな手も選ばず取り合えるわけではない
それと同時に、少女には傷もあった

「それに私って、結構重めの女だからねー。
 一年生の頃に彼氏もいたんだけど、釣り合わなくて辛いーみたいなこと言われてフラれちゃったり」

自分から告白してきたのにだよー?っと頬を膨らませて見せる
直後には笑って、そういうネタとして話せる程度の思い出にはなっているようだったが

神代理央 >  
「…先輩の中の私は一体どんな冷血漢だったんでしょうか。いやまあ、そう思われても仕方ない事は多々ありましたが」

彼女を泣かせてしまったのは記憶に新しい。
確かに、あれだけ酷い事を言ってからの今の己は――まあ中々に、大きな変化なのだろう。
などと思いながら、わざとらしいジト目で彼女を見上げた後、相好を崩す。

「……そうですね。前の私であれば否定したかもしれませんが…今は、きっと誰かに助けて貰えるだろうと、期待して信じる自分がいます」

楽観的な彼女の言葉を、以前なら手酷く切り捨てただろう。
しかし今は、出会ってきた人々の優しさや真剣な想いを信じられるくらいには成長した…筈だ。
だから彼女の言葉にも、穏やかな笑みで頷くのだろう。

「…んー、そこはまあ、私の異能や戦闘スタイルの問題もありますから。単独行動しやすい風紀委員、としてこき使われている自覚はありますし、其処に不満はありません。
それに、一々ツーマンセル以上の人数をかけられる程、人手があるわけでもなし」

仕事の話が混じればちょっと真面目な表情で。
来週からの警邏のシフトどうなってるかな、などと想いを馳せていたが――

「今は、ですか。まあ確かに、有象無象の男では先輩の御眼鏡には――」

と言いかけて、次いで投げかけられた彼女の言葉に少し考える素振り。

「釣り合わなくて辛い、ですか。それは何というか……男が馬鹿だったんでしょう。
釣り合わなくて辛いなら、釣り合う努力をするべきだった。先輩にその非を押し付けるのは、お門違いというものです」

頬を膨らませる彼女をちょっと珍しそうな表情で見上げながら。
ネタにマジレス、と言わんばかりに真面目な口調で答えるだろうか。

伊都波 凛霞 >  
「ふふ、そのあたりもぜーんぶひっくるめて、私からは良い方向に転がったように見えるよ」

人手のこともレイチェル先輩に相談済みーと、にこにこ
相変わらず動くべきところではしっかり動いている先輩らしかった

「──まぁ、私もちょっと色々あって。悪い人じゃなさそうだしなー、程度でお付き合い承諾しちゃったのも良くなかったんだけど…
 努力を強いられる、ってやっぱり結構ストレスなんじゃないかな。男の人って当然高い低いはともかく、プライドあるだろうし」

かつての相手に一定の理解は示している
そんな言葉
男女の交際、それにどれだけの重みを見出すのか…
そういった、価値観の相違だってあるだろう
そういう意味では…自分は重い女だったかもしれない
こうやって真面目な意見を返す彼も、きっと重い男だと思う

「──さて、コイバナなんて喫煙所でするものでもないねー。
 ごめんね一服の邪魔しちゃって。──身体、冷えない内にお部屋戻るね」

お話付き合ってくれてありがと、と最後にいつもどおりの、人懐っこい笑みを向けて

「~♪」

鼻歌まじり、やや静けさが勝ち始めた旅館へと戻っていくのだった

ご案内:「温泉旅館 宴会場から離れた喫煙所」から伊都波 凛霞さんが去りました。
神代理央 >  
「…そういうものなのでしょうか。努力とは、其処まで難しいものでは無いと思うんですけどね」

彼女の言葉を否定はしないが、納得もしていないという様な複雑な表情。
こと、色恋沙汰に関しては、彼女に経験値が劣るということなのだろう。
それを埋めるのもまた努力。あとは努力の方向性か、と結論付ける。
しかし、彼女が重い女であるという点には、やはり首を傾げたくもなるのだが。

「――ああ、いえ。此方こそ。何だか引き留めてしまったみたいで申し訳なかったです」

ぺこり、と頭を下げて。

「――久し振りに先輩とお話出来て楽しかったですよ。それじゃあ、また。おやすみなさい、先輩」

鼻歌交じりに立ち去る彼女を笑顔で見送った後。
あと一本だけ、と煙草に火を付けて。
それが灰になった後、此方も喫煙所を立ち去るのだろう。

ご案内:「温泉旅館 宴会場から離れた喫煙所」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「温泉旅館 宴会場から離れた喫煙所」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「温泉旅館 宴会場から離れた喫煙所」に園刃 華霧さんが現れました。
神代理央 > 宴会場の熱気冷めやらぬ夜半。
催したついでにもう一服、と訪れた喫煙所。
宴会場や男女の大部屋から離れているという事もあり、人気は無い。

「……どうにも最近本数が増えてるよなぁ。別にストレスが溜まってる訳でも無いんだが…」

喫煙が習慣化し始めたかな、と嘆息しながらも、ぷかぷかと甘ったるい紫煙を吐き出し続ける。
光源の乏しい喫煙所に、蛍の様に揺らめく煙草の灯。

園刃 華霧 >  
「……ン―……」

水を大量摂取して(2L)、ひとまずなにやら落ち着いた。
部屋に帰るかな……と、ぽてぽて歩いていると……

ターゲット確認。

「……よォー、りおちー……
 ヤニのやりスぎは良くナいぞー?」

のってりのってり歩いていく。

神代理央 >  
「……誰かと思えば、お前か。悪酔いしかけた女に言われても、説得力など如何程にも感じられぬが」

実に女子らしくない擬音と共に此方に近付く彼女に小さく苦笑い。
咥えた煙草から棚引く紫煙が、ふわふわと天井に滞留する。

「まあ、多少は落ち着いた様だな。部屋まで戻れる様なら、大丈夫だろうし」

流石に、歩けなくなるほど酔いが回っている、という程でもなさそうだ。
少し安心した様に吐息を吐き出しつつ、小さく微笑んでみせるだろうか。

園刃 華霧 >  
「ま、ちょーし、悪かっタしねー。」

へらへらと笑って返す。
もうだいたいいつもの調子に戻っているようだ。

……ふと、辺りを見回す。

「……うン? りおちーだケ、か……ちょードいいヤ。
 聞きたイこと、色々あンだけド?」

さらににじり寄って言葉をかける。

神代理央 >  
「…聞きたい事?」

はて、と首を傾げながら紫煙をぷかぷか。

「私で答えられる事なら何でも。答えられぬことには黙秘させて貰うがね」

宴会場で殆ど酒を飲んでいない少年は、酔いの醒めた彼女に比べても素面も良い所。
それ故に、至って真面目な口調と声色で。にじり寄る彼女を首を傾げて見つめつつ、言葉を返すだろうか。

園刃 華霧 >  
「まズ、さらっち……あ、イや。それも超絶重要だケど。
 一応、先に…… この間の、"仕事"の話。
 ハンパなのキモチ悪いンだヨ。」

聞きたくない、と、気持ち悪い、が同居するなんだこれって顔。
乙女がしていい顔か?

「だカら、まずソレ。
 教えテよ」

先に聞いておかないと気になって仕方がないし。
もっとだいじな話がじっくり聞けない。

神代理央 >  
「……ああ、その事か。折角の憩いの場だ。街に戻ってから話そうとでも思っていたのだが」

恋人の名前が最初に出た事は全力で聞かなかった事にしつつ。
あの日、拘置所で話しそびれた『仕事』の話となれば、真面目な表情を崩す事は無い。
何と切り出したものか、と少し悩む様な素振りを見せた後――

「……簡潔に言おう。落第街やスラムの二級学生や不法入島者を、なるべく風紀委員で保護したい。
その為に彼等と積極的に関わり、保護を促す風紀委員として、お前を頼りたいと思っている」

淡々と、訥々と。
彼女への『頼み事』を。仕事の話ではあるが、突き詰めれば個人的な御願い、の様な話を彼女に持ち掛けるだろうか。

園刃 華霧 >  
「まー、アタシだってコんなとこデ本当は聞きたクないヨ。
 けド、間置くのモ気持ち悪イんだっテ!」

真面目な顔に、相変わらずの渋面で受ける。
嫌なものはいやらしい。

「……ン。
 一応、聞いてオこッカ。理由は?
 ……目的、は……まあ、ほぼ聞いた通り、かモだケド」

訥々と紡ぎ出された『頼み事』。
それを聞けば、表情が瞬時に切り替わる。
いや、むしろ表情が消えた。

神代理央 >  
「嫌な事でもきちんと聞きに来るのは、仕事熱心で良い事だ…と、褒めてやるべきなのかな」

と、揶揄う様な声色で投げかけつつ。
訥々と『頼み事』を語り終えれば――

「理由……理由か。
『風紀委員として当然の任務をお願いしている』というお題目では、御不満かな?」

僅かに逡巡した様な素振りを見せた後。
力無い笑顔で、表情の消えた彼女を見つめ返す。
嘘を言っている訳ではない。しかし、本当の事を言っている訳でも無い。
そんな様が、ありありと浮かんでいるのだろうか。

園刃 華霧 >  
「……」

揶揄う言葉は右から左。
不良風紀に大事なものは、対応力だ!
本当か?

「あァ、大イに不満だネ?
 あソコを駆けズり回って、"説得"シてまわルってノは"楽"じゃナいンだヨ。
 そンな"面倒"、"他人"に押し付けンなら"納得"いく理由、欲しいナ?」

力のない笑顔を見つめ……表情がだんだんと戻ってくる。
さて、それはどんな顔だったか…

神代理央 >  
「……そうだな。建前で貼り付けた様な理由では、面倒な頼み事をするには能わぬか」

小さく溜息。

「…と言っても、建前とはいえその理由も本当だ。風紀委員として、落第街の住民を保護するのは当然。
……今迄の私であれば、一蹴したであろうがな」

「彼等にも生きるべき生と、物語がある。それが、不条理によって強引にエピローグを迎えさせられるのは本意ではない。
私は、犯罪者には今でも慈悲を持ち合わせていない。けれど、唯々『今』を懸命に生きるだけの人々を、見捨てる事が、もう、出来ない」

そこで言葉を区切り、半分程燃え尽きた煙草を咥える。

「……だが、幾ら私が心変わりしたところで、それが彼等に伝わるとは思えない。私は落第街の連中にとっては何時までも『鉄火の支配者』で、それを上層部からも望まれている。今更、それを覆す事は出来ない」

「実際、私が寛容になったと知れば、増長する違反組織も現れるかもしれない。私は、恐怖の象徴で有り続けなければならない」

「……だから、お前に頼みたい。
元二級学生であり、日ノ岡あかねとトゥルーバイツの面々と共に過ごし、あの日、俺にデータカードを託したお前になら。
この『頼み事』をお願い出来るかな、って。思ったんだ」

ぷかり、と甘ったるい紫煙を天井に吐き出して。
煙草を灰皿へと押し付けて、火種を潰す。
僅かに俯いた視線は、彼女に向けられる事は無い。

園刃 華霧 >  
「あァ……そウいう……
 言いタいことハ、分かっタ。
 ふぅン……」

表情が、かつての獣の顔になる。

「つまり、『神代理央』は変わっタ。
 けれど、『鉄火の支配者』は変ワれなイ。
 だから、『園刃華霧』にヤらせル。
 そウいう、こト?」

一つひとつを確認していく。
獣の、笑みが深く、深くなっていく。

「……」

腕が、伸びる。
襟をつかもうとした。

神代理央 >  
「……そういう、ことだ」

一つ一つ丁寧に。
まるで答え合わせの様に言葉を並べる彼女に。
ただ一言。小さく言葉を返して、穏やかに頷いた。

そして、獰猛な笑みが深く、濃くなっていく彼女を静かに見つめれば。
伸ばされる手にも、抵抗する事は無い。
あっさりと、彼女は少年の襟首をつかむ事が出来るだろう。

園刃 華霧 >  
「おイ、こっち向け、理央ォッ!」

襟を掴んで、顔全体を揺さぶる。
無理矢理に視線を自分に移させようとする。

「あノなァ、テメエが何をどう考えテそこまで辿りツいたカ!
 そこにどンな悩みがあっテ、苦労がアった、トか!
 アタシの知ったコっちゃナい!
 けドなァ……」

獣が吠える。
獰猛な顔とともに。

園刃 華霧 >  
「テメエが!『選んで』!」
 

園刃 華霧 >  
「テメエが!『頼む』んだろが!」
 

園刃 華霧 >  
「そんな湿気たツラで!顔も見ないで!
 やるんじゃないっての!!」
 

神代理央 >  
「……ッ…!」

襟を掴まれ、彼女と視線がぶつかり合う。
吠える獣を。百獣の王の様に気高く吠える少女を、苦悩を浮かべた表情で見据えて――

神代理央 > 「……私が、私がお前に、どんな思いでこれを頼むと思っている…!」
神代理央 > 「出来るなら、私自身でしたいさ!こんなこと、人に頼みたくはないさ!」
神代理央 > 「だが、私はもう戻れない。今迄何人殺したかなど、覚えてすらいない!私の砲火で押し潰された者の命を、最早数ですら表せない!」
神代理央 > 「だから私は、犯罪者を狩り続ける!違反組織を潰し続ける!連中の『恐怖』の対象で有り続ける!」
神代理央 > 「――……だから、私には出来ない事だ。私には、叶わぬ事だ。それをお前に頼む事が、お前にしか、お前ならと頼む事が。
その事実に、正面を向く事すら出来ない事くらい、分かってくれよ、園刃」

園刃 華霧 >  
「……わかってるよ、そんくらい。
 いや。わかんないことくらい、わかってるよ」

ぼそり、とつぶやく。
手には、いつの間にか一つの腕章が現れていた。

――林檎に噛み付いた蛇が絡みついているエンブレム

「アタシが、何人の
 『できなかったこと』と、『かなえられなかったこと』と、
 『生きている悲しみ』と、『やりたかったこと』と……
 山ほどの後悔を……どんだけ見てきたと、思ってんだ。」

人から見れば馬鹿らしかったかもしれない
人によれば信じられなかったかもしれない
人によったら理解はできたかもしれない

それぞれの想い

「じゃあ理央。オマエも、『真理』に挑むか?
 違うだろ!? そうじゃないだろ?!
 殺し屋だっけか。そいつだって追っ払ったんだろ?
 生きていくつもりだろうが! 」

聞きかじりの話。
詳細など知らない。
けれど、迫った死を追い払った。
なら、死を望んでいるわけではない。

「……なら、せめて向き合えってんだ。
 オマエの意地で。
 湿気た顔でも、いいからさ。
 まだ、終わってないだろうが……オマエはさ……」

――本当のおしまいは、君が死んだときだけだ

心に、かつてかけられた言葉が響く。

神代理央 >  
彼女の手に握られた『真理に挑んだ者達』の証。
その腕章に視線を向けた後、ゆっくりと持ち上がる視線は彼女に再び向けられるだろうか。

「……そうだ。お前は、沢山の人々を見て。沢山の想いを知って。
その果てに、心理に挑む事を『選ばなかった』
友人という、自分を埋めるものを見つける事が出来た。
だから俺は、お前に頼もうと思った」

「…俺は、最近まで。いや、今でも。お前が見て来た人々を『終わらせる側』だった。見る事すらしなかった。知ろうともしなかった。
俺が殺めた者達にどんな物語があって、どんな後悔があって――そして、俺がどんな後悔を生んだのか。未だに知る由も無い」

落第街で己を撃った少女。
伊都波が救おうとしていた子供達。
妹を己が殺した少女。

全ては『書類上存在し得ない』が故に、己の中で物語にもならなかった命。
彼女と違い、己は向き合わなかった。知ろうともしなかった。
馬鹿にすることも、信じられないと嗤う事もない『無関心』だった。

「…ああ。俺は決して真理には挑まない。俺は、俺の力で願いを叶える。理想を手に入れる。
それは揺るがない。決して、揺るがない」

彼女の言葉に、力の籠らぬ瞳に徐々に意志の焔が灯る。

「……そうだな。俺はまだ『終わっていない』
だから、向き合う事も止めない。今更だ、と罵られても、是迄の俺の罪を否定しない。
――…全く、お前に説教される様じゃ、俺も随分と鈍ってしまったということかな」

と、僅かな苦笑いと共に彼女に返す言葉には。
きちんと『神代理央』の強い意志が再び籠っているのだろう。

園刃 華霧 >  
腕章を口にして、飲み込んだ。
 
「……見てコなかっタってことにつイちゃ、アタシだって人のことハ言えないサ。
 誰ダって、見たいもンしか見ナいもんだカらな。」

だから、見たくないものに蓋をして。
本当のことから目を背け。
拗れ拗れて、転げ落ちていった。

「生きてリゃ、喧嘩なんテしょっちゅウだよ。
 誰も彼もが仲良シこよし、なんてウまい話はない。」

困ったもんだ、と肩をすくめる。

「そウ、そレそれ。
 その顔で最初っから言っテりゃあ、アタシもこンなメンドーしなクテ良かったンだ。
 ってイうか、りおちー。都合悪いト人の顔見なかったリすンの、悪い癖だゾ?」

けらけらと、いつもの調子で笑った。
もう先程までの獣は何処にも居なかった。

「……そもソも。
 アタシ、昔っかラそれヤってっかラ。わざわザ頼むコト、でもナかったンだけドな?」

けけけ、と今度は悪戯っぽく笑う。

「ま、頼まれて悪い気はシないし、いいヨ。引き受けた。」

神代理央 >  
「…その方が楽、だからな。見たいものを見て、見たくないものを見ない。そういう弱さを、私は決して笑えないよ」

気付かぬ儘でいられること。
見たくない事実に蓋をすること。
きっと、自分や彼女以外にも、それに陥る者は多い。
だから決して、その弱さを否定はしない。

「皆それぞれ違うから。異なる思いを持つから、時に争って、喧嘩して、大抵は碌な事にならない。
でも、違いが無い世界はごめんだからな。皆同じ顔をして、同じ事で笑って、同じ事で泣く。そんな事になるくらいなら、血反吐を吐いて殴り合ってた方がマシだね」

そう。誰もが仲良し。誰もが分かり合える。
そんな世界は、今のところ幻想に過ぎない。己にとってそれは、単に画一化された世界でしかない。
そうなるくらいなら、こうして深夜の喫煙所で、同僚の女子と怒鳴り合う違いがあるくらいが、丁度良い。

「……む、そう、なのか。気付かなかったな。人に言われる迄気付かない癖って、あるものなんだな…」

都合が悪くなると人の顔が見れない。
何と子供めいた癖だろうか。
それを指摘されれば、自分自身に呆れた様な苦笑いと共に、今度は此方が肩を竦めるのだろう。

「…いや、それはこう……ちゃんと言葉にして、俺からお前に頼みたかったというか…うん…」

「……そっか。ありがとう。すまないな、面倒事を押し付けて」

悪戯ぽく笑う彼女には、ちょっと気落ちした様にわざとらしく声のトーンを落とすが。
それでも、引き受けたと答えてくれた彼女には。嬉しそうに笑みを浮かべて、礼を告げるのだろう。

園刃 華霧 >  
「ま、いいサ。
 ンじゃ、これデ仕事の話、オシマイ、と。」

けらけらと笑う。
そして……
急に真面目な顔になる。

「……で。
 さらっちのコトだけド。前に惚気を聞かセてくレるって言ってタけどサ。
 むしロ、出会いとカ教えロ。
 オマエには勿体なさスぎ。ぶっ殺すゾ、本当。」

かなりの真顔で迫った。
 

神代理央 >  
「ああ。俺の『頼み事』はおしま――」

と、笑顔で締め括りかけて。
今迄以上に真剣な表情を浮かべる彼女に、思わず身構えて――

「……えー…いや、そんな真剣に殺すとかこの話題で言われたくなかったぞ…。
出会い、か。最初は確か、新米委員を含めた違反組織の包囲戦、だったな。上層部から俺のストッパー代わりに沙羅が派遣されてきたのが、最初だったよ」

真顔で迫る少女にちょっと後退りしながら。
過去に思いを馳せる様に視線を巡らせた後、懐かしむ様に言葉を紡ぐだろうか。

園刃 華霧 >  
「さモなきゃ、ちょン切る、ダ。事と次第デ……なンてな」

笑顔。とても爽やかな笑顔。
本当に?
笑顔って実は攻撃的っていうよ?

「ストッパーがわり……まあ、出会いとシては……微妙ダけど、まあ、うン。
 ……え、ストッパー? さらっちが? え?」

小動物癒やし効果、とかそういう方法だろうか?
はてなマークしか浮かばなかった。

神代理央 >  
「……宴会場でも気になってたんだが、そのちょん切るってなんだちょん切るって。お前が言うと色々洒落にならないんだが」

男として色々と身構えたくもなる。
ちょん切られるのは小指とかなら良いなあ。ケジメ案件。
いや、良くは無いのだが。

「…自分で言うのも何だが、ちょっと前の俺は二級学生諸共砲撃で吹き飛ばす様なやり方だっただろう?」

「其処に、護衛役という名目で沙羅が送られて来た。
沙羅も最初は平気で前線に一人で突っ走ろうとする無感情な奴だったからな。面倒を押し付けて、二級学生諸共みたいなやりかたを抑えようとしたんだろう」

尖ってたあの頃、という程昔でも無いが。
あの頃の恋人は随分無感情だったよなあ、などと思い返しつつ、少しおかしそうに笑うのだった。

園刃 華霧 >  
「……知りたイ?」

ちょきーんってはさみで切るジェスチャー。
良からぬことを考えているのだけは間違いない。
とても、いい笑顔だった。

「ァー……根性悪……って辺りガ、連中の考えソ―なことネ。
 ……え、無感情? 」

またなんか飛び出してきた。
いい加減、この猫みたいな娘が宇宙空間を背景にした猫みたいな顔になりそうである。

神代理央 >  
「……風紀委員の風紀が問われそうだから知りたくない。というか、女の子がそういうことするんじゃない」

メッ、と言わんばかりに、呆れた様な視線と言葉を彼女に向けるだろうか。

「ああ、無感情。最初なんか自分を欠陥兵器だって言ったり、一人で違反組織に突入しようとしたり……うん。出会いは中々思い出深いものがあるな」

宇宙空間の猫、もとい園刃華霧。つまり宇宙華霧。
と、胡乱な事を考えながら、ポカーンと茫然を足しっぱなしにした様な彼女にクスクスと嗤いかける。
信じられないだろう?と言わんばかりに。

園刃 華霧 >  
「エ? そう?」

メってされれば、えーって顔で答える。

「欠陥兵器……ネぇ…… 兵器、カ……
 だいぶ、変わっタんだナ……」

自分が知っている限りの沙羅を思い出す。
兵器、というのであれば、あれは……
観音様も恐れる阿修羅級の癒やし兵器、みたいなのだろう。

しかし、話を聞く感じどう考えても、そういうのじゃない。
であれば、単純。

変わったのだ。

かつて、自分が恐れた、そういうもの。

神代理央 > 「え?じゃない。え?じゃ。大体だな。浴衣をきちんと着ていなかったりそういうはしたない事言ったり。もう少し身だしなみや言葉遣いに気を遣ってだな……」

小言モード。所謂お説教。
えー、という顔をしたが最後。同僚にお説教し始める少年の姿。

「……ああ。それはきっと、沙羅が今迄経て来た経験や出会いによるものだ。中々にキツイ体験もしてきてるし、それに立ち向かう為の出会いもあったのだろう。
アイツが成長して、幸せでいてくれれば、俺はもう何も言う事は無いよ」

成長、変化。
己は未だ慣れぬものではあるが、恋人にとってはきっと、良い影響を与えているモノ。言葉。

しんみりとした様子で言葉を紡ぐ彼女に、言葉を返した後――

「…お前も、多少なりとも変わったんじゃないのか?少なくとも、友達という得難いものを得たという自覚を、持てるくらいにはさ」

園刃 華霧 >  
「えー。いいじゃン別にー、面倒くさイ……」

説教をされれば、頬を膨らませてぶーたれた。
まさに子供のようである。

「……デ。変化はいいヨ。無感情よカ、今のさらっちの方が絶対良イ。
 けど、すっげー気になンのはサ。
 それデ、なんデくっついタん? 無感情のコろでショ、多分。」

ズバッと斬り込んだ。
だってそこが一番肝心じゃん。
なんでそれでそうなるの。

「……ま、ネ……」

自分の変化は。
そう問われれば、手短にそれだけ答える。
少なくとも、そこに素直に答えられるくらいには変わっている。

神代理央 >  
「面倒でも風紀委員なら最低限の事はすること。大体だな、慰安旅行とはいえもう少し男子委員の目がある事を踏まえた行動を――…いや、それはいいや。うん」

よく考えたら、宴会場でモブ委員達の目に毒だったのは何も彼女だけではない。というか、そう考えると己の恋人も結構怪しい。
よって、コホンと咳払いして説教は不自然な終わりを迎えるのだろう。

「……それは、あれだ。その、俺が腹を撃たれた時があっただろう?幌川先輩と孤児院を拠点にした違反組織に突入した時。
あの時見舞いに来てくれて、その、沙羅の方から告白されて……うん、まあ。……今になって思えば、その時から結構感情が表に出始めてたし、何か良い出会いがあったんだと思うよ」

ごにょごにょ、と。ちょっと恥ずかしそうに告白の経緯を簡単に告げた後。
恋人にあったのであろう出会いを思って、クスリ、と嬉しそうに笑った。

変化を受け入れた様に答える彼女を目の当たりにすれば、その笑みはより深くなって。
にこにこ、と言わんばかりに笑っているだろうか。

園刃 華霧 >  
「はァ……うン……まあ、いいなら、いいヤ」

なんか尻窄みになった。
面倒くさい説教が終わるなら何でもいいから特に突っ込まないことにする。
男の目って。
別に全裸アフロみたいなことしてないし、いいじゃん、と思わないでもないけれど。
絶対言ったらダメなやつなのは分かってるのでお口チャック。

「アー、風穴事件! ンで、告白サれた……ふーん。
 ……ふーン?」

しげしげと、目の前の相手を眺める。
なんで「コレ」だったのかは、さらっちに聞いたほうがよさそうだなあ。
砂糖吐いてきそうだけど。

「……まあ、そりゃごちそーサま。
 ちナみに。ちゃんト、お返し、シたん?」

何気なく聞いてみる。

神代理央 >  
お口にチャック出来るかぎりんは良い子。
……かぎりんって何だろうか。何か、何処かからか変な電波を受信した気がする。
兎も角、互いの違いが一致して、お説教タイムは終了と相まみえた。

「………言いたいことは分かるよ。というか、正直俺もちょっと思ってるよ…」

自分で言うのも何だが、恋人は何故自分の様な面倒くさい男に惹かれたのだろうか。
しげしげと眺められれば、深々と溜息を吐き出して――

「………御返し?告白の返事のことなら、まあ、うん、ちゃんと、した、けど」

恋人がいる事を隠し立てはしていない。していないのだが。
此処迄根掘り葉掘り聞かれると段々恥ずかしくなってきた。穴があったら潜りたい。異形の山に隠れたい。
次第に頬を赤らめつつ、コクリ、と頷くだろうか。

園刃 華霧 >  
うん、自覚があるのはいいことだ。
馬鹿は馬鹿だから馬鹿をしてもいいけれど、自覚は大事だ。
やーい、ばーか

「……」

続く答え。
頭を押さえる。
駄目だこいつ、早くなんとかしないと。
おまえ、そんなだから鉄火巻なんだぞ、と声を大にしていいたい。

園刃 華霧 >  
「おまえ、そんなだから鉄火巻なんだぞ!」
 

園刃 華霧 >  
言った。言ってしまった。
あーあ。

「いヤ、まさか。マジで、それダけ?
 え、ほんト? 他にないノ?」

思わず聞いてしまう。

神代理央 >  
「うぉっ!?な、なんだいきなり大声出して!?
てか何だ鉄火巻きって、鉄火巻きって!?」

めっちゃびっくりした。
どれくらい驚いたかって、かつて戦った違反部活の中に構成員38名皆同じ顔してた時くらいびっくりした。
因みにそいつらはとある魔道具の呪いによってそうなっていたらしい。初手の砲撃で魔道具が吹き飛ばされて、皆元の顔に戻ったら土下座で降伏してきた。戦闘時間6秒くらい。

「え、いや、え。他って、その、なんだ?」

おろおろ、と言わんばかりに。
一体何が間違えていたのかと不思議そうに首を傾げるのだろう。

園刃 華霧 >  
「鉄火巻は鉄火巻だ、この鉄火巻ィッ」

もうむちゃくちゃである。
さっきの獣の咆哮とはまた別種の吠え方。
 
「……告白さレました。返事しまシた。
 そレで? それカら?」

そして、続けて問い詰めていく。

神代理央 >  
「て、鉄火巻き言うな!俺は鉄火の支配者だっ!そんな愉快な寿司ネタみたいな名前ではないっ!」

因みに、常世鮨の完全個室で出される鉄火巻きには完全天然物の鮪が使われており、しゃりと共に蕩ける鮪が大変美味である。
鉄火巻きを作るのに異能と魔術を6回くらい使うらしいが、何処にそんな工程を挟むのだろうか。

「それから?それから…一緒に懇親会に行って…同棲始めて……その後は、結構バタバタしてるな。色々と事件もあったし」

トゥルーバイツ。光の柱。殺し屋に狙われた事。
彼女と付き合い始めてから、何だかんだと怒涛の日々を過ごしていた。
そう考えると、余り恋人らしい事は出来ていないな、と気落ちしつつ。その気持ちを誤魔化す様に二本目の煙草に火を付ける。

――流石に、懇親会の後に結ばれた事は、口を噤んだ。

園刃 華霧 >  
「……」

頭を押さえる。
駄目だこいつ、早くなんとかしないと。(二度目)

「あのなー、りおちー?」

とてもとても珍しい、あまくあまーい猫なで声。
おそらく、誰も今まで聞いたことがない種類の声色。

「死ね♡ 一回死んでさらっちに詫びろ♡」

飛び出したのはドギツイ言葉だった。
もちろん、甘い声のままで。
とてもにこやかな顔だった。

神代理央 >  
ゾクリ、と背筋が震える。
例えるならそう、サバンナで獲物に狙いを定めた百獣の王に視線を向けられた様な。
例えるならそう、起きて時計見たら出社時間10分前の様な。

「……そ、そのば?落ち着け、先ずは落ち着くんだ。落ち着いて、その邪悪の根源みたいな声を止めるんだ。
何時ものお前らしくないぞ。ほらこう…もっと、こう、園刃らしい発音で、ほら、なあ」

思わず煙草落としかけた。火事になる前に灰皿に叩き込んだが。
一体自分は何故怒られているのかと首を傾げながらも、じりじりと彼女から離れようと後退るだろうか。

園刃 華霧 >  
「……本当なラ、此処で"オマエを消す方法"とか調べテ実行、が
 さらっちのため、ナ気がする……」

ぼそり、と今度は地の底から響くような声。
とてもとても低く、地獄の底から響いてくるような……

「けド。そりゃ、いくらナんでもさらっちが可哀想すギる。
 しゃーナい。全部言ったラ、いくラなんデもヒント出しスぎだかラ、
 一個だけ」

はぁ……と、ため息を一つ。
まあ、この仕事バカが急に恋愛に移ったらこうもなろう、ってことなんだろうけれど。

園刃 華霧 >  
「デートくらい、しろ! 」
 

神代理央 >  
「ビッグデータをそんな事に活用しないでくれ。検索システムは私怨で使うものじゃないんだぞ……」

風紀委員会のAIもびっくりだ。何その検索履歴怖い。
地の底から響く様な声に、恐る恐るツッコミを入れつつ。

「一個だけ…?一体何――」

園刃 華霧 >  
「おっっまえ、貰ってバッカじゃねーの、ソレ?
 クズか? ヒモか? ちゃんと、しタか?」

くどくどと説教。
さっきと立場が逆になった。

神代理央 > 「うひゃい!?」
神代理央 >  
突然の大声に素っ頓狂な声を上げた後、次いで投げつけられる説教におろおろ。そしてしょんぼり。

「…た、確かに精神的な負担を彼女に強いている自覚はある。
だから、それこそ今日みたいな場で、友達を沢山作って欲しいなと思う次第だし、その為なら全力でサポートしたいんだが…」

サポートの方法が大体金であることは言わなかった。
言ったら齧られそうな気がする。

園刃 華霧 >  
「……」

頭を押さえる。
駄目だこいつ、早くなんとかしないと。(三度目)

「サポート、じゃナいんダよ!
 オマエ自身の!何かは!シてんのって!いってんダ!」

この、ボク人参、違う。朴念仁め。
今度は人参って呼んでやろうか。

「デートとか。負担強いテるって思うナら、その分のお返シ。
 お礼でも、なンでも。シてんの?」

望みうるなら……いや。そこまで言うのはよろしくない。
自分で気づけって思いもある。

神代理央 >  
「俺自身の…何か?」

きょとん。正しく、きょとん。
何の事だかさっぱり、と言わんばかりの表情を彼女に晒す。

「……デートは、御返しにはならないだろう?寧ろ、俺と一緒じゃなくても楽しめる…というか。水無月沙羅、という個人の幸せを望んでいるんだが。
その、デートは何というか、きっと俺も楽しんでしまう。それは、対価として不釣り合いなんじゃないか?」

至って真面目な表情。
御返し、というからには此方から差し出す何かが必要であって、それは一方的なものでなくてはならないと。
此方が受け取っているのだから、差し出すのは此方だけでなくてはいけないんじゃないかと、本気で思っている。
思ってしまって、いる。

園刃 華霧 >  
「よし。オマエ、死ね。
 マジで死ね。」

目が据わった。

「オマエ、さらっちの気持ちを全否定すンの?
 オマエに告白した相手が、オマエの幸せを望んでないって思うの?
 オマエが楽しんでなくて、さらっちが嬉しいとでも思ってんの?
 オマエが幸せで、さらっちも幸せ。
 そうじゃなきゃ、意味ないダろ。」

眉がつり上がっていく。

「それと、対価って! オマエ、買い物じゃねーだろ!
 買い物感覚で!恋愛!すんな!!!」

吠えた。

神代理央 >  
「…何を言う。否定などするものか。
同じ事ではないか。俺は、沙羅の幸せを望んでいる。
沙羅が幸せであれば、俺も嬉しい。
俺は既に、沙羅から多くのものを受け取っている。
であれば、俺もそれに見合った代価を差し出さなければならない」

自然、此方の口調も強くなる。
恋人を否定している、などと言われれば感情が昂るのも止む無しと言ったところか。

「…ふざけた事を!誰が、そんな浅はかな気持ちでアイツと向き合うものか!
俺はアイツから多くのものを受け取った。それに見合う幸せを返そうとすることの、何が悪い!」

拳を強く握りしめ、吠え返す。

園刃 華霧 >  
「……」

はぁ、とため息。
ダメだ、歪んでる。

歪んでるものは、叩き直さないと。

「オマエさ……さらっちが、それで『本当に』幸せか。
 わかってる? さらっち、何も言ってない?」

静かに、確認する。

「なア……宴会場で、サ。アタシはからかったけド。
 オマエとさらっちが二人でイチャコラしてタの。
 オマエ、幸せじゃナかった?
 それとも、アレ、なんとも思っテなかった?」

神代理央 >  
「それ、は……」

恋人は『分かち合うことが幸せ』だと、告げてくれていた。
それでも、受けたモノを返さなくては『対等』ではないと、恋人の幸せをずっと願っていた。
それが間違っているかの様に、眼前の彼女は告げるのだ。

「……幸せだったさ。最近は、仕事や事件が続いて中々二人の時間も取れなかった。だから、少しだけでも、沙羅と一緒に過ごせたのは幸せだったとも。
――…本当は、お前達とアイツが仲良くしていた時だって、俺はアイツと一緒にいたかったさ!こっちにいろ、って、言いたかったさ!
でも、それじゃアイツの世界が狭い儘だ。もっと友達を作って、世界を広げて、アイツが幸せに生きる広い世界を見て欲しいんだ!」

「それの何が悪い!何が悪いのか言えよ!なあ!
アイツを独り占めしたいって思いを我慢して、友達を作って欲しいって思って、幸せを願って!それの何が悪いんだよ!」

恋を知らず、愛は辞書の単語として知り得た知識。
だから分からない。独占欲など、最も唾棄すべき感情を封じる事の何が悪いのだと。

金で買えるものも。実家の権威に跪くものも。対価が必要なものは全て手に入ったし、それに独占欲を抱く必要等無かった。
だから、己が抱くこの感情は悪なのだと思い込んで、言い聞かせて。恋人を縛ろうとする己の手を止めるのだ。
――それは結局、臆病な子供の言い訳でしか無いのだが。

園刃 華霧 >  
「ばーか、何もかも悪いよ」
 

園刃 華霧 >  
必死の言葉を一笑に付した。

「オマエさ。
 さらっちを『幸せ』にしようとして、結局『不幸せ』にしてんだよ。
 悪いに決まってんだろ。
 精神的負担? 大方、オマエのその勘違った気遣いのせいじゃないの?」

せせら笑った。
まるで、ゴミを見るような眼。

「ああ、一個だけ訂正。
 『幸せを願って』ってのだけは悪くない。」

冷めた目はそのまま。

「なら、両方とれよ。
 さらっちの世界を広げる。
 オマエの独占タイムを作る。
 どっちにしたって、オマエのワガママだろうが。
 其の程度のワガママを通せなくて何が『鉄火の支配者』だ。
 鉄火巻で十分だ、そんなもん」

神代理央 >  
「……かん、ちがい」

勘違った気遣い。
それは今迄の己の行動を切り捨てる言葉。

「……では、どうしろと言うのだ。俺は、アイツの為に何をしてやればいいんだ」

せせら笑い、見下げ果てる彼女の言葉にも反論はない。
ただぼんやりと、彼女の瞳を見返すばかり――だったのだが。

「……それは、本当にただの我儘じゃないか。
単なる俺の我儘に、アイツを付き合わせているだけ、じゃないか。
それが本当に、アイツの、沙羅の幸福に繋がるのか…?」

両方取る。それは、何とも贅沢な我儘。
しかしそれは、本当に唯の我儘だ。自分の独占欲に、恋人を付き合わせているだけだ。
それで良いのか。それが、彼女の幸せなのかと、迷える子犬の様な瞳で、彼女に尋ねるだろうか。

園刃 華霧 >  
「言ってるだろうが、鉄火巻。
 さらっちの『幸せ』のため、とかいって何もしてこなかったのもオマエのワガママなんだよ。
 なら今更一個増やしても変わらんだろう」

はぁ、とため息。

「それと。じゃあ、オマエのワガママはソレとして。
 さらっちのワガママはなんだろうな?
 オマエと居ることじゃないの?

 ま、他にも色々とあるとは思うけど。
 
 『トモダチの作り方』なんて調べてたし、
 それも『願い』じゃあると思うけど……ワガママかは、わからんな。」

ぼんやりと見返す相手を見つめる。
大丈夫かな、こいつ。

「……ま、一番は話し合うこと、だけど。
 どうやら、オマエにさらっちの言葉は届いてないらしいしな?
 聞いていても、飲み込んでなきゃ無意味だ。
 あーあ。可哀想に、さらっち」

大仰に嘆いてみせた。

神代理央 >  
「…何もしてこなかったのも、我儘…か」

確かに、結局は恋人の幸せを願っておきながら、幸福そのものに臆病になっていたのかもしれない。
彼女を幸せに出来る自信がないから、逃げていたのかもしれない。

「沙羅の、我儘……。
アイツが、ずっと俺に言ってたのは、一人で抱え込むなってのと。一緒にいようっていう、こ、と」

――ああ、何という事だろうか。
恋人はずっと、我儘を言っていたではないか。
ただ一緒にいよう、と。ずっと言っていたではないか。
それを掻き消していたのは――間違いなく、自分の『我儘』だ。

「……そうだな。話し合い…きちんと、話す時間が必要だな。
アイツの我儘も聞いて、俺の我儘も言って。
それで喧嘩して。ぶつかり合って。
『二人で』幸せになれる方法を考えないといけないな」

大仰に嘆く彼女に応える声は、変わらず声も小さく力もない。
しかし――迷いや怯え、という感情は、其処には含まれてはいない。
不安は決して払拭出来てはいない。しかし、きちんと話をして、彼女の言葉を聞いて、己の言葉を伝えて。
そこから逃げる事はしない、という感情が。込められているだろうか。

園刃 華霧 >  
「……おっまえサあ……」

大げさにため息をついた。

はああああああああああああああああああああああああああああああああ

まるで深呼吸のよう。

「まさに、『一人で抱え込』んでるじゃン。
 馬鹿? 馬鹿なの? いや、馬鹿なんだな。
 ばーか」

散々な言いっぷりであった。
完全に、呆れ果てた口調。

「そーダよ。いいかラ、まずデートしろ。
 一日いちゃつけ。
 ンで、謝れ。
 謝って、色々聞け。
 ……あと、余計なことは言うナ? アタシの名前出したリとか」

そういやコイツ、浮気疑惑とか出まくってたよな。
さらっち混乱してたし。
此処で妙な爆弾になっても困る。

とりあえず、釘は刺した。

神代理央 >  
「うぐ」

図星だ。正しく『一人で抱え込んでいただけ』ではないか。
それに気付いていなかった辺り、馬鹿ばかと罵られても反論できない。
肩を落とし、何も言い返す事も出来ず。
自分の行いが恋人を苦しめていたのだと思考の悪循環に嵌まりかけた時――

「……デート。デート、か。
…そうだな。海とか、学生街とか。夏祭りとか。
い、いちゃつく……のは、ちょっと頑張らないといけないかも、だけど。うん。謝って、色々話するよ。
……それは別に構わないけど。アドバイスしてくれた友達の名前を出したらいけないのか?」

こくこく、と頷いて。
これから恋人に取るべき行動を脳内でシミュレートしながら。
最後に刺された釘に、不思議そうに首を傾げた。

園刃 華霧 >  
「そういうところだぞ、鉄火巻」

やれやれ

「オマエ、さらっちに浮気誤解されマくってタだろ?
 あれ、絶対、オマエの其の辺の意識のナさっていうカ。
 オトボケのせいだロ。
 っていうか、冷静に考えテみろ。」

これ、解説するのか、アタシ……
だんだん悲しくなってきた。
というか、なんでこんなことしてんだろ……

「さらっちと喧嘩したとスる。いや、しないが?とか言うなよ?
 でだ。誰か……まあいいや。
 例えば『エイジにアドバイスされたから、謝りたいと思う!』
 なんて言ってきてみろ。どう思うよ?」

いや、本当はもっと根深いんだけどコイツのこのボケ頭で理解できるか分からないから
例えてみたけれど……いや、これはこれで誤解が生まれるか?

「まあ、そもソも……
 今まで言われたことをちゃんとわかってなかった。
 結局、人に叱られてやっとわかりました、とか最悪だろ」

うん、やっぱりこっちのほうがスッキリする。

神代理央 >  
もう完全に彼女の中で自分は『鉄火巻き』なのだろうか。
何だかとても悲しくなってきたが…何も言い返せない…。

「…ああ。疑われる様な事はしてない………筈、なんだが。
意識の無さ…オトボケ…?」

むむむ、と考え込む。
一体自分の何が悪いと言うのか。

「……エイジ、ああ、山本の事か。
どう思う…そうだな。エイジは良い奴だし、きっと沙羅に良いアドバイスをくれたんだと、思うんだが……」

きっと違うんだろうな、と。
何かそんな気がする。
でも山本は本当に良い奴だし、彼からのアドバイスで仲直り出来たのなら素直に喜ぶしかないのだろう。

「……返す言葉もない。
分かっていた、というよりも。俺なりに沙羅の幸せを願っていたつもりだったんだが…。
結局はそれも、俺の我儘だった、というわけか」

小さく溜息を吐き出して。
かくり、と項垂れてしまうだろう。

園刃 華霧 >  
あー。コイツ独占欲あるくせして……
なんか変なところで煤けてるっていうか……
まあいいや。そのうち、意味もわかるだろう。

「せめてもの情けだ。自分で気づいたフリくらいしろ。
 ……そうじゃないと、さらっちが可哀想なのもある。
 今まで、自分のことを理解してくれてもいなかったのかって……
 結局、自分でそこまでたどり着けなかったのかって……」

本当、あれを曇らせるのイクナイ。

「だから、いいか。
 全力でやれよ、マジで!

 あと、最強の手段があるけどソレはマジで自分で考えろ。
 ヒントはお返し、だ。最初に貰ったものがポイントだ」

お節介は此処まで。
コイツ自身で考えないといけないこともある。
全部人任せとか、駄目だろ

神代理央 >  
「…あ、ああ。分かった。確かに、お前の言う通り…なんだろうな」

こくこく、と。
彼女の言葉に懸命に頷く。
きっと本当はもっと気付かなければならない事が有る筈だ。
それは、これから学んでいかなければならないのだろう。

「…わかった。がんばる。
……御返し…?よ、よくわからないけどがんばる!」

大分頭がオーバーヒートし始めた事もあるが、若干返事も幼くなってきた。
それでも懸命に彼女の言葉に耳を傾けて、頑張る、と告げて頷くのだろう。

園刃 華霧 >  
「ン……それでよし」

……でも、わかってないなー。
コレ絶対たどり着かんな……


「ァー……だから。
 最初に、さらっちから受けたもの、だよ。
 それを、ちゃんと『返す』の……」

はぁ、と

園刃 華霧 > 「『やりかえす』、ともいうけど」
園刃 華霧 >  
「ま、以上だ。
 がんばれ。あ、そーだ。」

おお、と思い出したように。

「……泣かせたら……」

園刃 華霧 > 「ガチでちょん切るかんな?」
神代理央 >  
「…最初に受けたもの……やり返……あぁ!」

ぽん、と閃いた様に手を叩いて。
がばり、と視線が起き上がる。

「…うん、何となく分かった。『御返し』に向いたシチュエーションの場所とか、探す。頑張る」

うんうん、と強く頷いた後。

「………宦官を目指すつもりはないからな。それに、沙羅を泣かせるのは俺も嫌だ」

と、未だ自信なさげではあるものの。
笑みを浮かべて頷いてみせるだろう。

園刃 華霧 >  
「……」

わかったかなー、だいじょうぶかなー
まあもう、これでだめならしらん。

本当に縁を切れ、さらっち

「んじゃ、アタシはいくな。
 がんばれー」

そういって、ぽてぽてと歩いていくのだった。

ご案内:「温泉旅館 宴会場から離れた喫煙所」から園刃 華霧さんが去りました。
神代理央 >  
…多分合ってる、はず。大丈夫。きっと、おそらく、もしかしたら。

「…ああ。色々とありがとな。それじゃあ、また明日」

と、ぽてぽて立ち去る彼女を手を振って見送れば。

「……難しいな。いろいろと」

深い溜息を吐き出して、三本目の煙草に火を付けた。
それが全て燃え堕ちた後、少年も喫煙所を後にするのだろう――

ご案内:「温泉旅館 宴会場から離れた喫煙所」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「温泉旅館二日目・女子大部屋」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
既に布団がずらり敷かれている大部屋
大きなテレビがあるのでとりあえず最初に入った凛霞はそのスイッチを入れる
やっているのは、ニュースだ

風紀委員としてはこういうの、ついチェックしちゃう
浴衣姿で身も軽く、まだ湿った髪に手櫛を入れながら布団の上へと座って、足を崩す

ご案内:「温泉旅館二日目・女子大部屋」に織機 雪兎さんが現れました。
織機 雪兎 >  
「わーお布団すげー!」

ほかほかと湯気を立てながら部屋に戻ってくる風雲児。
ちゃっかりリン先輩の隣の布団にぼふーと大人しめにダイブ。

「ウェッヘヘヘリン先輩の隣げっとー」

伊都波 凛霞 >  
温泉に入ってまだ肌が火照っている、浴衣から覗く肘や膝、素足の爪先なんかがほんのりピンク色
別に着崩してるわけでもないのに胸元が危険なのは、ややしょうがない。そういうサイズだもの

「ゆっきーおかえりー。温泉満喫したー?」

にこにこと問いかけ
少しずつ人も帰ってくる頃かな、なんて
布団はまぁ、場所は決まってないだろうし早いもの勝ちでいいのかもしれない

女部屋だし多少足を崩しててもいいよね、と
非常に楽な姿勢

織機 雪兎 >  
「はぁーえっちえっちすぎますリン先輩だめですえっちですだめです」

織機 雪兎 >  
枕に顔を埋め、小声でボソボソと。

「アッハイすっごい満喫しました」

そして顔を上げて返事。

伊都波 凛霞 >  
「ゆっきー、わたし耳いいからばっちり聞こえちゃってるんだけど」

苦笑
まぁ、なんかいつもこういうこと言ってる気がするけど

「やっぱり皆で賑やかに広いお風呂、って特別だよねえ」

のぼせてない?
と枕から顔をあげているゆっきーを覗き込む

必然、前傾姿勢なので何がとは言わないがゆさりと揺れる
浴衣の隙間からは左胸のほくろまでばっちり見えて、下着をつけていないこともわかる

そして柔らかさは重力には勝てないのでこれも仕方がない

織機 雪兎 >  
「ンアッ!!」

聞かれてた。
ぼふんと顔を再び枕にイン。

「ファッヒャ、ふぁ、ふぁい、らいじょうぶれふ……」

あまりにあまりな光景に呂律が回らない。
視線はその谷間に釘付け。
僕の表情見る間に塩漬け。
オーノーえっちなほくろばっちり零れ落ちそう僕も墜ちそうYeah!
変なラップが脳内で再生される。

「んおっふ」

ガン見してたら鼻血が垂れてきた。
慌てて拭こうとするけどコレ浴衣だ、どうしよう。

伊都波 凛霞 >  
「ちょっ…」

危ない布団とか枕とか汚せない
慌てて側の机にあったティッシュをキャッチしてゆっきーにトス

「もー、鼻血出るまで温泉に入ってるなんて全然大丈夫じゃないって…のぼせてるよゆっきー」

子供じゃないんだからー、と溜息である

ご案内:「温泉旅館二日目・女子大部屋」に不凋花 ひぐれさんが現れました。
織機 雪兎 >  
「わわ、あ、ありがとござます」

ティッシュを辛うじてキャッチして鼻血を拭く。
そして新しいティッシュを丸めて鼻に詰め詰め。
いや正直先輩にも原因の一端はあるのだが、まぁ確かにお風呂でヒートアップし過ぎたと言うところはある。

「めんぼくない……」

ご案内:「温泉旅館二日目・女子大部屋」から不凋花 ひぐれさんが去りました。
ご案内:「温泉旅館二日目・女子大部屋」に不凋花 ひぐれさんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
「すぐに止まればいいけど……」

心配そうな顔をしている凛霞
自分に原因の一端があるなんて微塵も思っていない顔である
同性のそういった感情やムーブにはどうには鈍いらしい