2021/11/07 のログ
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」に『調香師』さんが現れました。
■『調香師』 > 彼女は香を垂らす。ビーカーに一滴ずつ
こうした研究は数日振りか。最近なんだか、忙しかったし
思う事はたくさんある。目に見えない隔壁、その向こう側で街が壊れた
少しだけ、様子を見に行ったけれども。誰にも見られないうちに、引き返してしまった
それでもお店は続ける。自分が切望した場所は、隔壁のこちら側
私は『調香師』。それ以外の名前はない
香りは扉をくぐり抜けて、漂っている
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」にO RLYさんが現れました。
■O RLY >
「よっ」
扉のなるこが軽やかな音を立てる。
開いた扉のその先、入り口でフードを下ろし、
僅かに濡れた髪先を払いながらひらひらと片手を遊ばせる。
雨は嫌いじゃない。フードで顔を隠していても誰も不審に思わないし。
けど急に降られるのはこの時期ちょっときつい。
うん、この店があって助かった。
「ちょっと邪魔するー。
あ、今日は別に報告とかなんもなし。
っつか言わなくても大体伝わってんでしょ?」
なんか出回ってるみたいだし。とケラケラ笑いながら店内を進む。
以前あった時とはずいぶんと状況が変わったものだけれど、
その時とこの店はほとんど変わっていない。
……ま、そうか。時間自体はそう経ってないしね。
「相変わらず剣呑な店だねぇ。
アタシ香水のビン集めるのは好きなんだけどさ、ここはちょっと敷居高いわぁ。
お……でもこれは良い感じ。可愛いじゃん。
あ、椅子借りるよ。いいよね?」
パーカーから雨粒を滴らせながら
店内を物色し、目に留まった瓶を手に取る。
そのまま手ごろな椅子に瓶を持ったまま指先を向け、首を傾げながら尋ねた。
■『調香師』 > 「だったら今日はお客様?」
調香の手は一度止める
貴女の顔を見上げては首を傾げた
いつも通りの笑みを浮かべて
「お安くは出来ないけどね
あとあまり振り過ぎちゃダメだよ
泡が混ざっちゃうから」
■O RLY >
「んー……。このバカ騒ぎもそろそろ終わるし、
まぁ一応”挨拶”位はしとこっかなー。みたいな?」
内部に対しても自分の情報は殆ど流してない。
最初から信用してないし、”仲間”も騙しとおすのがアタシのお仕事だった。
その最たる相手が同僚ともいえる梟。
……ほとんどの”梟”なんて正直相手にもしていない。
アタシからすればそれ以外と大した差はないレベルだったし。
そもそも客観視できる立場に居るものはそんなに居ない。
けど、一部例外が目の前にいるわけで。
「ま、あんたからすれば”どうでも良い”話だろうけどね。
そんな興味引くようなことしてないし。あっは」
目の前の相手は恐らく、より正しい意味で”興味が無い”だろうなと思う。
蜥蜴と協力体制になったのは、多分”偶然出会ったから”位の意味しかないだろうから。
「えぇー、マジ?
あはー、手向けにサービスしてくれてもいいじゃん?
っと、そういうのは早くいってよね。」
危うく台無しにするところだった。
そっと近くの机の上に手に持っていたビンを置く。
■『調香師』 > 「興味を惹く様な事ではあるよ
その同時に『何かしよう』って思える事でもないけどね
うん、落第街の事はすごいね。私は言葉の繊細を測る
あの景色を、あの混沌を言い表すにはそれ以上口に出来ない」
机に置かれた香水の瓶を、今度はこちらが手に取って
サンプル品であるが。それは一体どんな香りだったかなとラベルを眺め
「それで『挨拶』と言うのは、そうなんだ
あなたの言葉遣いじゃ、まるでお遊びみたいに聞こえちゃった
『ここ』に居ないときちんとお仕事も出来ない私と違って」
先程とは反対に首が傾く
目線はラベルに向いたまま、その香りの記録を引き出しながら
■O RLY >
「ま、それでいいんじゃない?
マザリモノは香水には毒だしね。
それで濁りたくないってのはまーわからんでもない。」
バサッとパーカーを払って椅子の背を抱えるように椅子に座る。
椅子の下に雨の染みが広がっていくのを見て僅かに眉を顰めるも
気にしたってしょうがないしと気にしないことにする。
「8割遊びなのは否定しなーい。
全力で遊んでるだけだし。」
腕を枕にして店の中を見渡す。
様々な形のビンとその中に収められた香りはそのほとんどが透き通った色で
淡色の店主と合わせて陽炎のように見えるのかなとふと思う。
■『調香師』 > 「混ざり物...そうだね」
香水にはいつも必要なモノだけを選んで加える
そこに異物を混ぜれば香りも変わる
『出来る事』以外を組み込まれた機械
自身も例外ではない。故に、返答の前に目を閉じる
机に置いた香。立ち上がった彼女は棚へと向かう
「例えば。あなたはクリアな香りが好き?
このお店で目線を向けるのは、まず透明なそれらだったし
瓶を集めるって。なんだか、カラスみたいな感じ?」
■O RLY >
「んー……なんかさぁ、綺麗じゃん。
薄くて透き通ってて、でもちゃんとそこにあるって。
……薄い色のものって暗い所だととくに見えないし」
自分が淡色な小物が好きなことは否定しない。
実際買い込むものは大体そんなだし。
服はまた別だけど。
「好きな香り、ねぇ。
アタシはつける香水決めてるからさ。
普通のだとあんまり合わないし」
鼻に限らず、感覚がすっごい鋭いから普通の香水だとしんどすぎる。
香水というよりは消臭剤の方が近いかもしれない。
その中にほんのわずかに、香る秋の匂い。
「そーだなぁ。
普通に香水試したりとかそーいうのは
普通にできるようになりたかったな」
ぽつりとつぶやく。
■『調香師』 > 「薄い色...あぁ、だからかな
初めに嗅ぎ取れなかったのは
香水を決めている。その言葉
うん、私にとってすごく決め手」
瞳を向ける。言葉を続けながら、覚えている通りの棚から瓶を抜いていく
表からは遠ざけた原液たち。お客様には触らせない褐色瓶の集まり
「お客様には聞けない事だけど
あなたはお客様としては来ないからね
もう少し踏み込んだお話もしちゃおっか
どうして、組織を去るの
どうして、組織に来たの
私には分からない事だし。必要なお話かもだから」
■O RLY >
「そりゃこの店に来るのは3回未満って決めてたし。
気持ち悪いじゃん。”この”香り。
お客にはなんないでしょ。リピーターになりようがないし」
個人的には嫌いじゃない。
けど、どうしても合わない人種だろうなとも思った。
背もたれにもたれながら俄かにきびきびと動き始めた店主へと目を向ける。
こいつとは多分、喧嘩にすらならない。
「それきいてどーなるの。
別にどうでも良いじゃん。」
つま先で椅子の足を軽く蹴る。
正直あたしだってそんなことどーでもいいと思う。
単純にどうしようもなく、アタシは”社会”って奴に向いてない。ただそれだけ。
例えば今の大勢がひっくり返って
今の社会もひっくり返っても、アタシは”アウトロー”側に居ると思う。
「アタシがあたしを嫌いになりたくなかったから。
……これでい?」
それを隠して、押し殺して社会に溶け込むことも出来たと思う。
けど、アタシはそういう自分が嫌いじゃなかった。
皆が嫌う、アタシを嫌いたくなかった。
けどそんなこと、口にしたって面白くないし。
「別にいなくなる奴なんか興味なくない?
あんたからすれば、アタシはアンタの顧客回りを荒らした奴なんだからさ」
■『調香師』 > 「リピーター。3回未満。居なくなる
打算はあるけど、今は関係ないことだよね
私はただ、この1回を満足してもらえる
その為にお仕事をしているから。くひひ」
へたくそな笑う声。ここで齎す物は常に『人の為』を想って作られた
短い言葉だ。得られる物は本当に少なくて、理解と言うには程通い
「その答えは透き通ってる?」
故に、それだけを返答にしよう
そこから全部くみ取れというならそれでも良し
それが真意と程遠いと思い直して語るなら良し
瓶を数本、小さな掌につつんで戻ってきた彼女はまたスポイトを手にビーカーと向き合い始める
■O RLY >
「そりゃ何よりですことで。
……お願い事なんかさ、したくないじゃん。
ま、あんたに取っちゃそれもどーでもいっか。」
返答はほんとにそのまま文字通りなんだろうな。と思う。
伏したまま呟くように返す。
よく勘違いされるけど、アタシは差別しない方だと思う。
お願いとか、与える、与えられるみたいな関係は好きじゃない。
誰が相手でも、アタシはアタシにしかなれないし、ならない。
「透き通ってるか?透き通ってるよ。
これ以上なくアタシ色に。」
だから、投げかけられた言葉に顔を上げ勝気に笑う。
間違ってるとか色々言われるかもしれないけど
これがアタシの答えに最も近いもの。
■『調香師』 > 「ワガママは多そうな雰囲気なのにね」
勝手に言っているだけである
察する貴女の心境は口に出された分だけ
それらから把握するに、彼女は私の事を
...随分と、薄情者だと思っているらしい
「私、結構感じる物はあるんだよ?
その証明は簡単じゃないけど
うーんっと。つい最近知って。でも別れるらしくて
そういう相手にどんな事をしよっかなーってうっすら考えちゃうよね
透き通った色に染まる。それ、随分と難しい事言ってるんじゃない?みひ」
首が傾く。スポイトが垂らした香りは濃く漂い
溶媒に溶けては薄く広がる。その作業の繰り返しはほんの数回
■O RLY >
「うっさいわ。
アタシが我儘なんじゃなくって
アタシが感じる事とかやりたいことを邪魔する奴が多いだけだっつの」
よく我儘といわれることは否定しない。
だって合わせる意味がないことがこの世界には多すぎるし。
とはいえそれが厄介を引き起こしていることも理解はしている。
実際そういった意味では他の”梟”は最も被害を受けているであろう訳で。
「そーいうけどさ」
端的に返される言葉とは対照的に精密に制御されたように動く体と腕。
笑う事はずいぶん下手だけどそれ以外は洗練され優雅とさえいえる。……そういう風なモノだからかもだけど。
それに魅せられる客は多いだろうな。落ち着いていて、綺麗で、ちょっと隙があって
まるでどんな香りでも中に収めてしまえる香水瓶のよう。
だけど……
「あんたはアンタが感じること以外どーでもいいじゃん。
あんたの世界にはアンタしかいないでしょ。
それ自体は責めないしアタシ的には嫌いじゃないけどさ。」
作業をじっと見つめつつも口元には歪な笑みを宿して。
■『調香師』 > 「自分を嫌いにならない為には、たくさんの努力が必要って事かな」
その為の我儘で唯我独尊
とはいえ彼女曰く、それは『選んだ場所』なのだと言うらしい
「...うひ。否定しないね
けど自分が特別に感じる事もあるかも
誰かを世界に引き寄せる事もあるかも
ここに来た誰かが言っていた
変わらない物は無いらしいよ」
まぁ、それはそれとしてと
それこそあなたの言う通り、先程の言葉にも興味を薄く見せかけた仕草で彼女はラベルを取り出します
「名前、何かお気に入りの言葉とか。なんでも良いよ」
彼女は突然、ペンを片手に正面から見据えてきました
■O RLY >
「……そんなかっこいいもんじゃないし
偉そうに言われんのが我慢なんないだけ」
なんかいきなり言われたんだけど。
視線を逸らして背もたれにのっけた腕に突っ伏す。
ほんと、調子狂う。
「変わらないものって意外と多いと思うけどね。
変わろうとすら思わなかったら変わんないんじゃない?」
確かに変わらないものはない。それは間違ってない。
けれど、変わるのに何年もの時を必要とするものもある。
そう、例えば硝子みたいに。
「ってうわ!?」
なんか急にこっちに圧向けてきた。ビビるわ。
しかも好きな言葉とかわけわかんないし……
そんなん急に出てくる訳ないっしょ。
うんうん唸って思いついたのは
「”白夜”」
思いついたのはそんな言葉だけ。
■『調香師』 > 「だったら私も変わってみようかな」
『大人になってみたい』、そんな風に嘯く子供の様に
実感がない夢物語を語る様に。まぁ、そうだろう
彼女自身は確かに硝子、きっと貴女の思う通りだ
「『白夜』、ね
うん。とってもいい名前を貰ったね
氷結晶の中に閉じ込められたレモンの香り
手に落ちてきて、人肌の熱で溶けだして漂う
そんな香りを想像した事はあるかな?」
名前を与え、ラベルを瓶に貼りつければ
それはあなたの目の前で梱包されていく
あれよあれよと準備が済んだ紙袋は、貴女に差し出された
「選別、欲しかったんでしょ?」