2020/08/25 のログ
須野原 実乃里 >  
「もちろんだよ! じゃあ、来年の夏に最初にやることは……新作の水着一緒に買いにいこっか!
 美奈子ちゃんスタイルいいからきっとなんでも似合うよ」

今年は流石にもうシーズンが終わり始めているし、何より来年の水着は来年にならないと買えない。
今はぐっと我慢だ。

「そ、来年……来年、楽しみだな。
 ……来年ね」

そう繰り返して呟いてから、空になったタピオカのプラカップをゴミ箱に捨てる。
案外、あっさり飲めてしまった。

「ああー、もうこんな時間か。
 バイトいかなきゃだ!」

バイト先は駅前の雑貨屋。
そこに走っていく。

「それじゃ、美奈子ちゃんまたね! 今日はすっごく楽しかったよ!
 また遊んでね!」

ご案内:「二年前・学生街」から須野原 実乃里さんが去りました。
小南 美奈子 > 「はい、そうしましょう。楽しみにしていますからね、わたし」

 サイズとか、体格とか、一年あれば色々変わろう。とうに時期が過ぎた今と後とでは、大いに差もあろうて。
 水着を試着したり、ついでにショッピングモールで買い物をしたり、クレープやタピオカを楽しんだり。
 いろいろできるんだろうな、と。

「……あ、はい。わたしも楽しかったです、とても。
 わたしの方こそ……また遊んでくださいね」

 慌しく、駅の方角へと向かう先輩。やはり彼女は元気だ。
 彼女が放り捨てたタピオカミルクティーのカップと、走り去る彼女をそれぞれ一瞥。自分のカップに目配せをやった後、自分の分のゴミは自分で持ち帰ることにした。
 後に残るのは、セミの鳴き声と、人々の行き交う雑踏のみだ。

ご案内:「二年前・学生街」から小南 美奈子さんが去りました。
ご案内:「耳守の居室」に耳守 聴乃さんが現れました。
ご案内:「耳守の居室」に阿須賀 冬織さんが現れました。
耳守 聴乃 > 「もうそろそろか」

端末のアラームが、オフィスアワーの時間になったことを知らせる為に鳴った。
普段ならわざわざ質問をしにくる生徒や学生はほとんどいないため、
なんら変わりなく本を読み続けるところだが、
今日に限っては事前に来室の連絡があった。

机のや棚の上に山積みにされた本を軽くどかして、
ヤカンに水を入れて火にかける。
とても綺麗とはいいがたいが、
汚いわけでもない、とにかく文献が散らかっている部屋に、
水がガスで熱される音と、時計の短針の音だけが響く>

阿須賀 冬織 > 連絡をした時間通りに研究室の前に付いた。
この前見に行きたいと言ってた耳守先生の研究室だ。
試験明けと思っていたのだが、都合のいい時間帯が中々見つからず
ずるずると気が付けば夏の終わりにまで伸びてしまった。

「失礼しまーす、連絡入れてた阿須賀です。」

コンコンと軽くノックをしてから扉を開けて伝える。
中の様子は思っていたようなものとは異なり少し散らかった文献とコトコトと音を立てるヤカンが生活感を醸し出しているように思えた。

耳守 聴乃 > 「ああ、入ってきてくれ」

耳守は耳が良い。
足音が居室の前で止まれば、声の主に対して入るよう促す。

「あまりきれいな部屋ではないが、歓迎する。
 かけてくれ。
 君はコーヒーと紅茶、どちらがいい?」

自分のデスクのほかにもう一つ、来客用の机があった。
阿須賀君をそこに座るよう促すと、
ヤカンに入れたお湯が沸騰してカタカタと蓋を揺らすと火を止める。
マグカップにインスタントのコーヒーを淹れれば、
氷をポトポトと落として温度を下げる。
それと同時に、もう一つの来客用のマグカップを取り出して>

阿須賀 冬織 > 「んーと……じゃあ俺もコーヒーで。」

案内された椅子に座りながら、特にどちらと言うこだわりもないので、
耳守先生がコーヒーを淹れたのを見て自分もと言う。

「それで……確か先生は電磁気分野が専攻なんでしたっけ?
具体的にどんな研究をしてるんで?」

さっそく今日の目的について軽く聞いてみる。
研究について聞きながら自分の異能について何か思いつくことがないかなと話を聞きに来たのだ。

耳守 聴乃 > 「コーヒーだな。少し濃いが、氷が解ければちょうどいいだろう」

そう言って彼の前に出したのは氷が浮かぶ真っ黒なインスタントコーヒー。
来客用のミルクとガムシロップも添えて。

「専攻は音響工学だ。
 一応電気工学で博士を取ったから電気にまつわる基礎なら一通り。
 今は異能を工業的に利用する研究をしている」

そう言っていくつか参考書を本棚から抜き取って机に置いていく。
大学の講義で使っている参考書のほかに、高校生向けの本もいくつか。

「君の異能力はエネルギーを電気として扱う能力だったな」

そう言って自らも椅子に座れば、机をはさんで彼と対面する>

阿須賀 冬織 > 「音響工学…多才なんっすね。詳しく知らねーけど違う分野だろ?
へぇ…異能を工業的に……。」

ミルクとガムシロップを入れながら、軽く置かれた本の題を見る。
夏休みの間に読んだものもいくつかあるが、全体的にレベルが高めだからか見たことがないものが多い。
あまり聞きなじみのない分野に聞き返しながら、どのように異能を利用するのかに興味があるようだ。

「そうっすね。電気作って操るってのが俺の異能で……こうやって電磁石みたいなこともやろうと思えばっと。」

コーヒーを混ぜるための金属製のスプーンに片手をかざすと言葉と共に手の平に向かってスプーンが動く。

耳守 聴乃 > 「工業といっても分野がいろいろあるからな。
 同じ電気の分野でも半導体とかそっちは私も点で素人だ」

そう言ってコーヒーを一口飲めば、
彼がスプーンを動かして見せた。

「ほう、ステンレスも動かせるのか。
 なかなかの出力じゃないか」

そう言って動くスプーンを興味深そうに見ていると、
思い出したかのように彼を見た。

「ああ、すまないな。
 えっと、今日は何の用で来たんだったかな。
 異能の相談だった気がしたが」>

阿須賀 冬織 > 「一応、これでも出力上げる努力はしてるんで……まだステンレスとかは重たいの無理っすけどね。」

そういってそのまま持ち上げたスプーンを握りコーヒーを混ぜて飲む。うん、ほろ苦い。
できれば最終的には自分を浮かせたいのだが、調べたらとてつもない出力がいるようで…まだまだ先の話だ。

「そんな感じっす。なんていうか、出力上げたり制御したりってのは今までもそれなりにしてきたんっすけど……
何ができるかってのがあんまりこうピンと来ねーから、研究の内容とか聞いて何か思いつかねーかなって。」

出力増強や制御、特に制御は今まで力を入れていたこともありそこまで気にしていないのだが
でまあそうやって基礎を上げたはいいものの、じゃあそれで何をするのかと言われると特に出てこなかったのだ。
充電なんかは今まででもできてたわけだし……。

耳守 聴乃 > 「なるほどな。
 じゃあ逆に質問をしよう。君はその異能で何をしたい?

 当たり前だが電気というのは非常に”質のいい”エネルギーだ。
 極端な話、何でもできる。
 お湯を沸かすのも、光を作るのも、物を動かすのも、
 ――新しい物質を生み出すのも。

 君がその力を使って何をしたいかによって、
 私が助言することも変わってくるだろう」

そう言って、またコーヒーを一口飲んだ。
恐らく彼はやりたいことのイメージがぼんやりとしているのだろう。

「電気を使っていて一番応用が利くのはおそらく電磁誘導やローレンツ力だろうな。
 君は能力を使う時に道具は使わないのか?」

そう言って耳守が棚の上から取り出したのは導線で作られた1mほどのバネ。
そのバネを机において、引き出しから乾電池と磁石を取り出すと、
電池の両端に磁石をくっつけてバネの中に放り込む。
すると乾電池がひとりでにバネの中を動き出した>

阿須賀 冬織 > 「何をしたい……? ……何をしたいんだろ。」

……よく考えれば今まで異能を鍛えてきたのどちらかというと人を傷つけたくないという消極的な理由で。
そんな大それた願望があるわけでもなく、改めて何をしたいのかというと具体的な言葉が出てこない。

「……日常を守りたい…とか? いやなんていうかそれも曖昧だなあ……。
普通に日常の中で役立てたい…のかな……?
あとはまあその、電気に興味あるから色々と面白いことはやってみたいけど。」

悩んで出た答えも曖昧なものだ。

「道具はあんまり使おうと思ったことはないかなあ。どっちかといえば道具を使うために使ってたというか。」

乾電池がバネの中を動く様子を興味深そうに眺める。

耳守 聴乃 > 「さっきも言ったが、電気は質のいいエネルギーだ。
 逆に言えばエネルギーでしかない。
 ガソリンや薪と同じだよ。それ単体で役立てようとするのは難しい」

そう言って、バネの反対側から出てきた乾電池と磁石を手に取ると、
乾電池をただの鉄の棒に替えてバネの中に放り込む。
今度はうんともすんとも動かない。

「ガソリンはエンジンに噴射されて爆発することで、
 薪はボイラーにくべられてお湯を沸かすことで目的を達成する。
 電気も同じだ。まずは何か目的を見つけて、
 その目的にあった道具を使ってみるといい。
 阿須賀くん、バネの両端に触れて電気をながしてみろ」

今はうんともすんとも動かない鉄心と磁石だが、
彼が両端にバネの両端に触れて電流を流せば、再び動き出すことだろう。

「日常に役立てたいなら、何をしたら便利かを考えてみるといい。
 端末の充電、光源の確保、他にも応用はあるが、
 使い慣れれば戦闘できるまでになるだろう。
 さっきも言ったが、電磁誘導やローレンツ力は一番手っ取り早くて応用が利く。
 なんせ電気を通すものなら何でも動かせるからな」>

阿須賀 冬織 > 「確かに、今まで電気で何をするかしか考えてなかったかも……。
おおっ。…あー、これそうやって動いてたんか。」

言われてみれば今までほとんどエネルギーを直接どう使おうかという方向で考えていた気がする。
両端をもってバネに電気を流せば中に入れられたものが動き出した。
実際に電気の流れを自分で使ってみてどういう原理なのかをなんとなく理解する。

「何をしたら便利……か。とりあえず道具を探すことから始めるかなあ。
戦闘…。使わないのに越したことはねーんだけど…できるようになるのは大切、だよなぁ……。」

何をしたら便利……。結構なものが電気で動いてるわけで、それを代替できれば確かに便利かもしれない。
戦闘は……正直あんまりやりたくないというかやらないといけないような事態になりたくない。
でも、時々この島で事件が起きただとかも聞くわけで、できるようにはなっておいた方がいいのかもしれない。

耳守 聴乃 > 「やれるけどやらないのと、最初からできないのとでは、
 得られる結果が同じでもついてくる意味は変わってくるからな。
 戦闘なんてやらないに越したことはないが。

 ――例えば、このバネを使ってパチンコ玉を音速で打ち出すことができたとしよう。
 瞬間的にそれだけのエネルギーを出せるなら、
 飛んでくる真鍮の銃弾をそらすこともできる」

そう考えると、なんだかワクワクしないか?
なんて言ってみせる耳守は、
以前世界史の教科書を読んでいた時の様にどこか楽しそうだ。

「まぁ、銃弾なんて躱さなくたって、
 リュックの中に鉄板を仕込んでおけばそれだけで重い荷物を持ちあげられる。
 使っているのは全部同じ物理法則だ。

 異能なんて聞くと大層に聞こえるが、異能が作用する先は現実の物質だ。
 その先は物理法則に従うほかない」

だから、目的をはっきりさせることだ。
と言葉を続ける>