2020/09/18 のログ
神代理央 >  
ディープブルーに関する報告書も纏めておく。
といっても、現在風紀委員会が保有する報告書と剥離する内容ではない。
己としても、そう詳しい情報を得ていた訳では無い。
あの拠点に辿り着いた事も、偶然の産物の様なものであったのだから。

「…寧ろ、よくもまあ此処迄調べたものだと言うべきか」

風紀委員会が保有する報告書。
一部閲覧制限のかかった資料があったものの、世話になっている上司が御丁寧に"閲覧許可"を付与した状態で此方に送付してきた為、一通りの資料には目を通すことが出来ていた。

神代理央 >  
『シスター・マルレーネ』
『山本 英治』

己と同じく入院に至った二人。
怪我、病状の詳細については事情聴取が追い付いていない部分もあり、簡易な記述に留まっている。
己のところも似たり寄ったりだ。『戦闘の結果重傷を負う』くらいのものでしかない。
羽月先生も負傷したとの事だったが、入院に至るまでの怪我でなかった事は僥倖か。

「……二人の見舞いにも行きたいものだが…」

未だベッドから起き上がるだけで精一杯。
明日から始まる予定のリハビリで、なまった身体を動かす予定ではいるのだが。

「……任務に支障が出なければ良いのだが」

小さく溜息を吐き出した。

神代理央 >  
「とにかく、先ずは早く退院して仕事に戻らなければな」

資料を閲覧していた端末を片付けて。
ベッドに深く身を預けた。

そろそろ煙草が吸いたいな、等と取り留めも無い事を考えながら。
少年の意識は、次第に微睡んでいくのだろう――

ご案内:「常世学園付属常世総合病院 VIP個室」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「常世学園付属常世総合病院 VIP個室」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「常世学園付属常世総合病院 VIP個室」に日下 葵さんが現れました。
神代理央 >  
3LDK+応接間で構成されたVIP個室。
厳密にはベッドの備え付けられたメインルーム。
訪問者用のレストルームが二つ。
シアタールームが一つ。
応接間が一つ。
其処まで何に使うのか、気にしてはいけないし気にした事も無い。


「……よし。取り敢えず、身体は動くな。……動くだけだが…」

今日から始まったリハビリ。
リハビリというよりも、単になまった身体を動かし始めたというニュアンスに近い。
適度に歩行器で身体を動かした後、車椅子で此処迄運ばれて来るので意味があるのかどうか微妙な所だが。

「さて。そろそろ溜まったメールの処理も始めないと……。
そろそろ、学園祭実行委員会の準備会議も始まるかも知れぬし――」

ベッドの上で端末を開き、さくさくとメールを流し読みしながら必要なものには返信していく。
何だかんだ、仕事をしているのが一番の暇潰し、かもしれない。

日下 葵 > 「なんていうか、フレイヤのマンションに行くときもそうですけど、
 懐に余裕のある人って、
 こんなに閉塞感のある場所に住んでて楽しいんでしょうか」

いかにも”金”といった感じの空間が、フロアに降りた瞬間から感じられた。
自分も他の生徒よりも稼いでいるとはいえ、
ここまで金にモノを言わせるような空間には居たくないし、
価値観が根本的に違うのだろうな、と思う。
部屋の扉の前に立てば、コンコンコン、と3回ノック

「風紀委員の日下です。
 仕事中にへまをして腸ぶちまけた後輩がいると耳にしたので、
 先輩面して優しさを押し付けるためにやってきました」

挨拶が3割、煽り文句と嫌味が9割、あふれる2割を錬金術して
部屋に入る許可をドア越しに乞うてみる>

神代理央 >  
「帰れ。今すぐ帰れ」

初手から煽りに来る先輩。
『武器を所持した風紀委員が見舞いの許可を求めている』と病院側から連絡があった時は何事かと思ったが、訪問者の名前を聞いて首を傾げながら通してしまったのが運の尽き。

「………全く。鍵はかかっていませんよ。勝手に入ればいいでしょう」

深々と溜息を吐き出して、入室を許可する。
因みに、ベッドからドアまでは大分距離があるものの、此方が零した愚痴の様な入室許可は、きちんとインターホンに出力されて彼女の元へ届くだろうか。

自動でドアが開く、ということはない。
『訪れた者が自らドアを開いて赴くのは当然』という此の病室に入院する者達の傲慢さを露わにする様な造り。
己としては、別に自動ドアでも構わなかったのだが。

日下 葵 > 「帰ってもいいんですけど、それだと面白くないので」

ドア越しに帰ってきた返事は意外にも帰れの一言だった。
てっきり何かうまいこと煽り返されるのかと思っていたが、
そんなことはなかった。

”病院に拳銃と爆薬はマズいか”と気を利かせて来院したものの、
『ナイフはだめです』と言われて止められてしまい、
出入り口で看護師と警備員に囲まれて押し問答。
そんな感じの紆余曲折を経て、ドアを開けた。

「鉄火の支配者なんて大層な名前を背負ったマセガキが
 くたばったのかと思ってワクワクしていたんですが、
 しぶとく生き延びて病室で仕事してるなんて、
 ちょっとでも心配した私が損した気分です」

いつもの減らず口に加えてあおりの言葉が止まらない。

あ、これお見舞いの品です。
そう言ってビニール袋から取り出したのは
”鉢植えに植えられ、しっかりと根の張った午時葵”である。
何から何まで煽ることしか考えていない用意の良さである>

神代理央 >  
「先輩に面白さとか一切求めていませんので。
珍しい客が来たかと思ったら、開始一番煽り倒されるなんて思ってなかった……とは、言いませんが」

入室した彼女に返す言葉は、呆れを滲ませた様な。
というか、呆れ全開な声色の言葉。
苦笑いすらない、ジトっとした様な視線を彼女に向けようか。

「…先輩と違って、きちんと怪我もしますしきちんと入院しなければならない身体ですので。
しかし、少しでも心配してくれたとは意外でしたね。
心配する理由も碌なものじゃなさそうですけど」

深々と吐き出す呆れた様な溜息。

「…………お見舞いにソレを選ぶセンスはどうかと思いますが。
しかもよりにもよって午時葵……」

お見舞いに鉢植えって。
しかも午時葵って。
何でそれを選んだ、と言いたげな視線がびしばしと向けられるだろうか。

日下 葵 > 「いいですねえ、その顔。
 ヘラヘラしてる時よりもずっと可愛げがあって」

ジトっとした視線を向ける彼に返すのは、満面の笑みである。
他人が嫌そうな顔をしたり、呆れたような顔をするのは見ていて楽しい。

「嫌だなぁ、私も怪我をしますし、
 場合によっては入院も必要な身ですよ。
 心配くらいしますよそりゃあ。
 誰かが死ぬのは私の信条に反しますからねえ」

他人の命はショーウィンドウに飾られるブランド品に思える。
こんな話をしたのは誰だっただろう。
でもこれは本心だ。だから死んでほしくないのも本心だ。

「いい花でしょう?私と同じ名前のアオイですよ。
 ぶっちゃけ神代君はあと1年くらいここにこもっててほしいくらいなので」

だから根を張るようにと鉢植えを持ってきました。
そんなことを悪びれる様子もなく語る。
もちろん看護師たちには非常に怪訝な視線を向けられたが>

神代理央 >  
「先輩に可愛らしさを見せて、私に何か利する事があれば良いのですけどね。
先輩が楽しむだけなら、私は何も面白くはありませんが」

まあ、こういう返事すら彼女にとっては楽しみの一つなのかもしれないが。
コホン、と咳払いして改めて彼女に向き合うだろうか。

「…へえ?その辺りはきちんと風紀委員らしい……。
いや、先輩の場合は、あくまで個人的な感傷での言葉かもしれませんが」

『誰かが死ぬのは信条に反する』
その言葉に少し意外そうな表情を浮かべかけて――そうでもないか、と肩を竦める。

「一年も籠っていたら身体が錆び付いてしまいますよ。
此方は一日でも早く、現場に戻りたくてやきもきしているというのに」

仕事に。現場に戻りたいというのは本音。
面倒をかけている恋人や後輩たちもいる事だし、早く職務復帰してその苦労を取り除いてやりたい。
落第街や違反組織の様子も気になるが――流石に、己一人抜けたくらいで、揺らぐ様な組織でも無し。

日下 葵 > 「ええぇ?いいじゃあないですか。損得なしでいきましょうよ。
 心配はしてますけど、楽しませに来たわけではないですからね。
 私はいつでも楽しい方がいいので私が楽しくなるように準備しましたけど」

つまり怪我をして入信している後輩を玩具にして揶揄っているだけである。
鉢植えを適当な病室の棚に勝手に飾って満足げにすると、
咳払いをする彼に改めて向き合おう。

「そうですねえ、これはあくまで私の個人的な心情だったり、
 感傷だったりするのは間違いないですねえ。
 だからあなたのお見舞いも個人的なお気持ちだったりするんですけど」

風紀委員としてきた方がセキュリティ抜けるのが楽そうだったので。
つまり立場を利用してここに来たわけである。
仕事の先輩、事件の協力者、そういう立場だったから、
ナイフも鉢植えも見逃してもらえたといっても過言ではないかもしれない。

「個人的にはそのまま錆びついて、
 現場には戻ってこないでほしいという気持ちもあるんですけどねえ」

場合によってはとても辛辣な言葉。
でも決して彼が嫌いなわけではない。>

神代理央 >  
「損得無し、というか完全に先輩が得してるだけじゃないですか。
大体、もう少し怪我をした後輩を労わろうという気持ちは無いんですか。
まだ流動食なんですけど、私」

彼女が来てから何度溜息を吐き出した事か。
不快感からくるものではないのだが――そう思いながら、もう一回溜息。

「……そうなんですか。それは本当に何というか――少し意外ですね。
先輩がそういう気持ちでお見舞いに来てくれるだなんて、全く想像していませんでしたよ」

実際、病院関係者も彼女が風紀委員でなければ此方に連絡すらしなかっただろう。
武器を所持して鉢植えを抱えて『お見舞い』だと告げる少女を、誰が通すだろうか。
『風紀委員』という肩書と社会的信用度があるからこそ、彼女が訪れた事が己に伝わったのだから。

「……随分と酷い言い様だな。
此れでも、微力ながら最前線での任務においては力を尽くしているつもりなのだが」

小さく浮かべた苦笑いと共に、ぽすんとベッドに身を沈める。
彼女の言葉に悪意が無い事は理解出来る。
だからこそ、強く言い返す事もしないし、その言葉に肯定の意を示す事も無い。
ただぼんやりと、漠然と。独り言の様な言葉を紡ぐのだろうか。

日下 葵 > 「使えるモノは何でも使う、といえば神代君にも理解してもらえますかね?
 怪我をしていようが何だろうが、
 揶揄っていて楽しい人は揶揄いたくなる性なので。

 あら、やっぱりまだ消化器は本調子じゃあないんですね。
 因みに私はお昼ご飯にパンケーキを食べてきました」

流動食のみ、と聞けばそれすらも揶揄うネタにする。
もう言いたい放題である。

「虐めるのは大好きですけど、死なれるのは嫌ですねえ。
 死んだ人は嫌そうな顔をしてくれませんから」

些か歪んだ感情ではあるが、
この歪んだ感情のおかげで風紀委員を続けてこれたといってもいい。
だからこうしてVIPルームのお見舞いに来ることができた。

「だから戻ってきてほしくないんですよ。
 戻ってきたらまた落第街で幅を利かせるんでしょう?
 それだと後釜が育たないは組織は神代君に少なからず依存するわ
 神代君が倒れたときに落第街やスラムごろつきが賑わうわ
 ――死に難い女の子が泣くわで大変なんです」

皮肉ななことに、彼が頑張れば頑張るほどこれらは加速する。
だからこれを機にいっそ病院にこもっててほしい。
そんな嫌味を込めて、鉢植えを盛ってきた>

神代理央 >  
「理解はするが、共感は出来かねるな。
そも、揶揄う為に使えるモノは何でも使うというのは人として如何なものかと思うのだが。
あと、わざわざ昼食の報告有難う。聞きたくはなかったが。
それに、ホットケーキだけというのは少なすぎる様に思える。ちゃんと食事は取るべきだと思うが」

段々、敬語ですらなくなってきた。
というかもう敬語要素は無い。
好き放題揶揄ってくる先輩である彼女に対して、敬う気持ちは大分薄れてきた様子。
別に嫌っている訳ではないのだが。

「では、貴様の前で死ぬときは精々笑って差し上げよう。
決して、貴様が喜ぶ様な顔などしてやるものか」

もう"貴様"呼ばわりである。
だが、先程よりも寧ろ口調と声色は穏やかですらある。
言うなれば"肩肘を張らなくなった"というような。
元から張っていたのかと問われれば、簿妙なところではあるが。

「――其処はもう少し、揶揄っても良いところだったのだがな。
そう言われては、大体の事に言い返せぬ。
まあ、後進の育成は問題なかろうし、風紀委員会が私に多少なりとも依存している、というのは些か考え過ぎだろう。

………だが、そうだな。泣かせたくない女を泣かせるのは、確かに本意では、ない」

その"嫌味"は、存外己に突き刺さった。
彼女に向けていた視線はぼんやりと天井に向けられて――先程とは違う感情の籠った溜息を、深く吐き出すのだろう。