2020/06/30 のログ
■史乃上 咬八 > 「……はっきりと伝えるべきでしょう」
犬は既に半分寝こけモードだったのだが、割と低く真剣な声でそう切り出して。
――真っ直ぐに凛霞の目を見る。隻眼は……"哀れみ"を含み。
「……イヅルは、俺が見てきた男の中でも、並ぶ者のない"奥手"です」
彼をもって断言させる。それがどれだけの事かは。
貴女なら分かる。そうそうに友人へのこういった評価なんてことはしないのだ。
それがそう言っている。
犬は、何かあるのかと期待したかのように顔を起こしていたが、実に白けた様子で再び寝入った。
「……ええ、それくらいの事をしてやる必要が、余りにも、余りにも情けねェ事じゃありやスけど……」
はあぁ。と溜息も出た。もうそれを言い切ったのだ。
押さえていたもんが出ている。煩わせられているのはどうやら頭以上の心らしかった。
■伊都波 凛霞 >
「あ、あはは………はい…」
薄々、そうだよねー、とは、思っていたのだ
奥手なのもそもそもなのだが…こう…ニブいというか…
世の中広くあれど、一度死んでから幼馴染の気持ちに気づく、なんて芸当を見せたのはきっと彼だけだ
「困った人だよねえ。戻ってきたと思ったら、
そういうところがなんにも変わってないだもん」
苦笑しつつ、珈琲を口へと運べばカップの底が見えた
もう随分時間も経ったな、と
暇そうにしているボズヤちゃんに視線を向けて
「お散歩の邪魔しちゃったね」
と声をかけ、頭をぽんぽん、と撫でる
「そろそろ帰ろうかな。色々ありがとうね。カミヤくん」
テキストを揃え、筆記用具とともにスクールバッグに収めるとそれを肩にかけ、立ち上がる
■史乃上 咬八 > 「少しは、"鬼"に見習うべき部分もあると、言わざるを得ないかと。
皮肉なことじゃ、ありやスけど」
「退魔の槍遣いの看板は仕舞わせやスよ」と、実に切れ味の良さそうな犬歯の見える笑ってない笑顔を浮かべる。
犬は一方。そんな怖い顔の飼い主さえ見慣れたものらしい、撫でられてようやく起き上がり、凛霞を見上げて『わんっ』と吠えた。
気にしないで。と実に解り易く。
ついでに撫でる手をぺろっと舐めてくる。
「……いえ、こちらこそ。テスト勉強、程々に」
そう告げて、こちらも立ち上がり、リードを持ち直す。
「また今度、うちの家で。ついでに、あいつに今やってるテスト勉強の内容を教えてやってください。
……俺だとそのうち、二回目の記憶喪失にさせちまいそうスから」
ぎりっ。
リードを握る手が音を立てた。教える為の一番の道具の調子は絶好調のようだが、不穏だ。
犬と共に、最初のように一礼を挟んだ後、青年はビーグルと共に、涼しい風を浴びながら散歩の続きへと戻っていった。
■伊都波 凛霞 >
「ふふ、相変わらずだなあ」
子犬との別れをやや名残惜しげに、もう一度撫でて
大きな犬との別れは、その背中に小さく手を振って
「やれやれ、手のかかる人ですこと。
それじゅあ、前に進むために私も色々覚悟決めますかあ…」
ぐーっと背伸びをして…はふ、と漏れ出る欠伸
とりあえず、それまでにはヘンな夢を見ちゃこの状況が直るといいなあ、なんtね思いつつ
凛霞もまたカフェテラスから帰路につくのでした──
ご案内:「カフェ・テラス席」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「カフェ・テラス席」から史乃上 咬八さんが去りました。