2020/08/16 のログ
ご案内:「レナードの自室」にウルトールさんが現れました。
ウルトール > 「――――――」


ウルトールの兜部分に搭載された、頭脳と繋がるコンピュータ。
これをサーバとして、十体以上の"同僚たち"を随意に動かすことができるシステム。
それが、技術の粋を集めて作り上げた独立兵装管理用自立分散型システム…名称は「ケラウノス」だ。

この各端末の、マイクから、カメラアイから、センサーから、ソーナーから。
雑多に集めた情報を、全てこのサーバに一時集約し、頭脳役たるレナードにより選別、次の行動へと各々に指示を出していく。
…そういうシステムだが、常人に耐えうるものではとてもない。それを可能にする"様々な機能"があってこそ成り立つものだ。
故に、身体に対してすさまじい負担、脳への明らかな過負荷への対応が急務であったが、
彼はそれを自らの不老体質で無理矢理抑え込み、今まで生活を続けていた。

…だが、今日は風紀委員活動に使用してはいなかった。

ウルトール > 「「……風紀委員の二名が、随分と高いレストランを使っていると思えば。」」

かの虚数空間に住むの女ほどではないだろうが、
そういう情報を、事前につかむことくらい、できた。

そして、諜報活動に要する各種の仕組みも。
技術の粋が、あってこそ成り立つ。


それは、偶然だったのだ。
偶然、知り得てしまった情報だ。
レナードを誑かす女性が、同性の風紀委員に連れられて、不自然に高価なレストランを利用している、という事実は。

ウルトール > 進みすぎた技術の前に、家屋などの多少の障壁は関係ない。
意地のわるいことだとは思うが、ウルトールは少しでも彼を追いやる情報を得ようと躍起になっていた。

それは、偶然だったのだ。

「「―――――――。」」

その部屋で交わされた言葉の内容の、あまりの親密さに気づいてしまうことは。

ウルトール > 「「……?」」

そのときふと、気づいた。
妙だ。
"彼"に反応がない。

「「……どうした?」」

誰もいないのに、問いかける。



それは、偶然だったのだ。

居場所がないから、居場所になると
一生をかけて、受け皿になるとまで言われた女性に、

既に居場所たりうる相手が存在していたと、知ってしまったことは。

ウルトール > 「「………!!」」

彼が、慌て始める。
それを、ウルトールは予想していなかったようにも見えたかもしれない。
何かに抗う様に蠢いていたが…

「「何故だ?
 お前、この時のお前の身体の"主導権"は、私に――――」」

がくん…と、力が抜けたように、うなだれる。




「………ケラウノス、全機能停止。」

少年の声が、甲冑の中から聞こえる。
それと同時に、電源が落ちたコンピュータのように、ゆっくりとその巨躯がその場に弛緩した。

その状態で、兜を脱ぐ。

「……いたんじゃん………
 居場所…………

 いないって、いっていたのに。
 人生かけるって、いってたのに。

 ……ウソかぁ………」


その黒い眼は、深い深い虚無でおおわれていた。

ご案内:「レナードの自室」からウルトールさんが去りました。
ご案内:「[ソロール] 大時計塔」に阿須賀 冬織さんが現れました。
阿須賀 冬織 > 立ち入り禁止の文字を越えて時計塔の中へと入る。
階段を登り切れば島が一望出来た。
どうしても一人になりたくて、話を聞かれたくなくてやってきた夜のここは
望み通りに静寂が包んでいた。
腰を下ろす。夜なのにそこから少しぬくもりを感じた気がして……
もしかしたら、さっきまでアイツが居たのだろうか。
そうだったのなら、つくづく運が悪い……いやいいのだろうか?
会いたいけど会いたくない。きっと会ったら俺はアイツが望まないことをしてしまう。

阿須賀 冬織 > 朝起きて、顔を洗って歯を磨いて。服を着替えて朝食をとる。
今日も、これからも、何気ない日常が続いていくのだと思っていた。
あのメールを見るまでは。

"旅に出ます"

そんな短い文章がアイツから届いた。
その場で固まり、頭の仲が真っ白になった。
しばらくして返事を書き込み、その日はここに来るまではずっと家に籠っていた。

阿須賀 冬織 > 「……連絡、くれたんだな。」

ポツリと呟く。そんな短い言葉でも理解できた。きっと、もう会えないのだと。

「それがお前の選択なら、快く送り出してやるのが友達、だよな……。」

メールには頑張れよといったことを書いて送った。
返信がなくてもいい。届いたかどうかわからなくてもいい。
これはただの自己満足なのだから。

阿須賀 冬織 > だけど……
阿須賀 冬織 > 「なんで話してくれねーんだよ! なんでそうやって抱え込むんだよ!!」
阿須賀 冬織 > 「力になりたかった! 寄り添いたかった! 支えたかった!」
阿須賀 冬織 > 「お前が俺に日常を望んだように、お前は……お前は俺にとっての日常だったんだよ!!」
阿須賀 冬織 > 「まだ、お前のこと全然聞いてねえよ……まだ、俺のこと全然話してねえよ……。」
阿須賀 冬織 > 「なのに、なんで……
阿須賀 冬織 > どうしていなくなっちゃうんだよ!!」
阿須賀 冬織 > こんなことを言っても仕方がない、そんなことわかってる。
だけど、そうせずにはいられなかった。そうしないと耐えられそうになかった。
一度言葉にすれば、流れるように感情が出てくる。
それを思い思いに、涙と共に声として出す。

阿須賀 冬織 > 誘いたいことは色々とあった、向かい合って話を聞きたいとも思った。
出来る事なら会って引き止めたい。きっとアイツはまた何かを抱えている。

ああ、でも……



「お前はそうさせてくれねーんだよな……。」



きっと向こうはそれを望んでいない。
そんなこと、そんなことはこの前会ったときに嫌というほど理解した。

阿須賀 冬織 > この島に来て手に入れることができた日常。自分にとってのその象徴が彼と彼女だった。
先輩から言われた通り自分は重い。
ただそれは、差はあるものの想い人だけでなく好意的に見ている相手全員に対してだ。
だって……仕方がないじゃないか。憧れて、望んで、ようやく手に入った宝物なのだから。

阿須賀 冬織 > 「おめーがここに生きてたこと絶対に忘れねーから!
だから、はやく、彼女作って話聞かせろよ!
旅しすぎて俺のこと忘れたら絶対に許さねーからな!」

最後にそう言って立ち上がる。まあ、きっとそんな機会はもうないのだろう。
願わくは彼の旅路に幸あらんことを。

……俺が死んでもまだのんびり旅してたら化けて出てやるか。

ご案内:「[ソロール] 大時計塔」から阿須賀 冬織さんが去りました。