2020/07/16 のログ
ご案内:「門の向こう、ファンタジーな方の故郷」に紅月 純さんが現れました。
紅月 純 > 異能『天ノ川』。

晴れた夜に、自分の生まれた世界と異世界を行き来できる異能。
初めは夢の中で冒険しているような感覚で。本当に夢だと思っていた。

だが、異世界は実在する。中二病みたいなことを自覚してからは、自分の意思で行けるようになり。

色々あった。
勇者と魔王が戦ってるだとか、魔王を倒すと勇者が次の魔王になるとかそんなシステムがあり、それに巻き込まれたが、もう過ぎ去った話。

常世島に落ちて戻れなくなっていた俺は無事帰還し、

帰還し、

空中に放り出されていた。

紅月 純 > 「俺のバカヤロオオオオォォォ!!!
座標ミスってるじゃねぇか!!!」

いや、この世界に入れたことが奇跡。一か八かのようなものではある。
失敗していたら、虚無の中か更に違う世界だし。

「あー、魔力、本来のも月のもスッカラカンだ」

魔法使わずに着地できるわけがない。
というか、そろそろ目的地に直撃する。
ピッカピカの城に。

男の声 > 「久々に来たと思えば、満身創痍だね」

長い金髪を後ろで一つに結び、豪華な服を着る男。
その腕には巨大な結晶のついた杖。とお手玉している被り物。

暫く顔を見なかった少年に、浮遊魔法をかける。

「やあ、金が欲しくなったかい」

紅月 純 > 「のわぁ……う゛っ!?」

寸でのところで慣性が収まった。……鼻の頭から血が出てる。
そのままゆっくりと地面に倒れ伏す。

「まじで助かった……。久しぶりだな、『知啓』の先輩よ。
金はいらん」

心臓バクバクで起き上がれない。

『知啓』の先輩 > 「それは残念だ。……では、知識かい?武器かい?
このキング・ジョニー・ギアが何でも提供してあげよう。
まるで、どこか別の世界で難敵がいたみたいだしね」

バチリとウィンク。
ここまでボロボロで会うことはまずないから、世界の危機を考えるよね。

紅月 純 > 「……なら、時空魔術や禁術の制御と俺の剣を」

前者はあればいい程度。後者が目的である。
使うことはないと思っていたので、置かせて貰っていたのだ。
それがミスでもあったが。

「新しい世界は平和だったよ。その分、一部は壮絶だ。
改めて、さんきゅ」

落ち着いてきたので立ち上がる。
こんなアホみたいな発言をしても先輩で、さっき助けてくれた人だ。頭を下げた。

『知啓』の先輩 > 「世界を救わんとした勇者のよしみだ。
それも昔の話で、今はキングだけどね!ワハハハハ!!」

高らかに笑う。
魔法通信で彼の注文とおまけを手配する。

「どうせ君のことだ。後先考えずに動いているのだろう?
『変化』『月光』のような結末にならないことを祈るよ」

一人は策謀で追放され、一人は魔王になって討伐された。
後輩には、そうなって欲しくない。

紅月 純 > 「あ、それなんだが。
『変化』の、いたわ。めっちゃエンジョイしてる」

そういやあいつ追放されてたんだよな。
おかげで助かっちゃいるが。

『知啓』の先輩 > 「え?、本当に?勇者の柵から解かれて元気にやってそうだとは思ったけど」

異世界にいたのか。エンジョイしてるのはなんとなく察した。
……ふむ。
魔法通信で追加注文。

「うん、もう少し待っててくれ。剣も禁書の制御についても用意できるが、ついでに色々持っていってもらおう」

魔物の素材とか研究日誌とか薬とか。

紅月 純 > 「さんきゅ……おい待て禁術の制御いいのかよ」

禁術だぞ。

あ、なんかお付きの人が運び込んでる。
量も多いぞ。どうやって持てと。

『知啓』の先輩 > 「『知啓』の勇者、元だけどそれくらい改良しない手はないよねぇ?
使い方を間違えなければ人々を笑顔にするものだよ?」

持ってきて貰った鞄に魔法をかけ、アイテムボックスにする。
そうすればほら、荷物は全部入り、鞄と剣のみ。

「これも禁術の応用だけど、こんなに便利だしね」

紅月 純 > 「そうかよ。いや助かるが」

めっちゃ助かるが。
クソ博士も喜びそうだ。

荷物の方に近づく。
即席にしては大容量のアイテムボックスと、
赤黒い片手剣。
紅月刀・皆既日食。魔を蝕み、浸食する毒の塊。

それらを手にとる。

『知啓』の先輩 > 「うん、先輩らしいことができて何より。
『変化』のも、君を助けているんじゃないかな?」

うんうんと頷く。
何かをやろうとする後輩勇者に、手土産を持たせる。
回復魔法。

「『豪炎』も、『千面』も、『逢魔』も君に会いたがってるようだしね。
頑張っていること、伝えておくよ。このキング・ジョニー・ギアがね」

紅月 純 > 「ビンゴ。助かってるよ。
全く、頭の上がらない連中だ」

こうやって道具をくれたり回復したり、ゲームだったら便利キャラ一直線なヤツらだ。

「……ほんと、頭が上がらないからやめてくれよ?
それじゃ、俺は行く」

手甲を前に構え、魔力を集め始める。

『知啓』の先輩 > 「おう、いってらっしゃい。
あ、それと」

杖を振るう。
そうすれば彼の周りに赤黒い煙が現れ。

「君一人じゃかなり移動に時間がかかりそうだし手伝うよー」

悪戯が成功した子供のように笑う。

紅月 純 > 「は?……はぁ!!?おま」

待て待て待て。
それは皆既月食の魔力。
それは勇者としての技能だと思っていたのだが。

「お前、おま、自力で辿り着いたのか!!?
馬鹿じゃねぇの……!?バッ」

あっさりと生成された、異空間への穴に吸い込まれ、俺はこの世界からまたあの島に。

『知啓』の先輩 > 「ワハハハハ!!!これだから生きるが楽しいんだ!!
このキング・ジョニー・ギア、『知啓』とはこういうことよ!!」

落ちていく後輩を見送り、穴を閉じる。
これで暫く、僕も普通の魔法は使えない。

「君が生まれた世界のように、魔法がなくても生きていけるものなのだよ。これはデメリットじゃなくて新たな可能性だね。
この状態でできることもあるだろうし、次はどうやって驚かそうかなー」

『王様、そろそろ大人しくなりません?』

「ならなーい」

高笑いしながら、外交官の部屋を目指して歩く。

ご案内:「門の向こう、ファンタジーな方の故郷」から紅月 純さんが去りました。