2020/08/03 のログ
ご案内:「路地裏の一角」にフィーナさんが現れました。
ご案内:「路地裏の一角」にアールズアーズアースさんが現れました。
フィーナ > 「んー……」
くるくると。魔力結晶麻薬を指で弄ぶ。

スライムを介して広めているが、拡散の速度が遅い。

「なんかいい方法ないかなぁ」

アールズアーズアース > 「……」

げんなりした顔でフラッとあらわれる。
普通なら、特にげんなりしたとはわからないだろうけども。

意気消沈したぶん、人間らしく出来ていないのだ。

フィーナ > 「…お?」
いつぞやの人間大好き怪異さん。名前は…なんだっけ。確か…アールちゃん?

「久しぶりー。どしたん、ちょっと歪んでるよ」

手を振って呼び掛けてみる。

アールズアーズアース > 「あ……う、はい……師匠……」

どうもハッキリしない。
以前のわかりやすさが嘘のようだ。
どう見ても迷っている。

簡単にいえば、余計なことを考えてしまって「うわのそら」になってしまう感じだ。

フィーナ > 「…ほんと大丈夫?悩み事?」
こんな消沈するような子だっただろうか。

少なくとも理想の為ならどんなことでもするような子だった記憶なんだが。

アールズアーズアース > 「……はい。その……ぜんぜん上手くニンゲンが出来なくて……」

すっかりしょげてしまっているようにも見える。
上手い上手くない以前に、以前と比べてぜんぜん集中できていない感じ。

ずっと別のことを気にしているようにも思える。

見た感じでは単に、おとなしいだけなのだが。

フィーナ > 「んー…なんか言われたりしたの?」
以前の狂気がなりを潜めている。もし外見を疑われたのならさらに精進しようとするはず。

とするなら、それ以外で露見した…?
「聞かせてよ。力になるよ」

アールズアーズアース > 「その……バケモノだって。
 バケモノはニンゲンになれないって言われて。
 ニンゲンが怒るぐらい大事なことが出来てないらしくて……。
 実際に……友達は私のことなんかまるで見てくれないし、どうしたらいいか……」

要は【怯えている】のだ。
それも極端に。

【やっとココまで来た】が【この程度しかできてない】になっている。
そのせいで、ひどく萎縮している。

フィーナ > 「バケモノ、ねぇ」
考える。ここは多種多様な種族が暮らす場所である。露骨にあの姿になったりしない限りはそういわれることはそうそうないとは思うが……

「誰か殺したりでもした?」
まず考えられるのはこれだ。人間にとって同族殺しは忌避されるべきことだ。それを犯せば人間であれ『バケモノ扱い』は頷ける。

アールズアーズアース > 「……ええと」

心当たりがありすぎる。
なにせ資料に必要だ。

「チンピラや犯罪者、違法部活の人とか、資料としてそれなりに……」

誰も血管の作り方も筋肉の作り方も教えてくれい。
医術書の類も、実際の手術となるとあまりにも情報不足だ。
最終的には実物と手先、症例と件数が物を言う。

「ただ、それとは関係なく……その、仲良くなろうとしたときに……真っ二つにされまして。
 しかも、避けないことをすごく怒ってました……なにがなんだか……」

速度的にはそんな技でもなかった。
美しいが、威力がそこまであるとは思えない。

フィーナ > 「避けようのないこと、っていうのは?」
肝心の部分だ。この子が打ちのめされたのはその部分だ。

その部分をどうにかしなければ解決は見えない。

アールズアーズアース > 「……よくわからないんですが、その。
 黒いモヤのような……オーラっていうんですか?
 そういうのを纏っただけの蹴りに、触れた部分が半ば消し飛ばされたみたいで。

 なのに、おねえさまは自分の攻撃が成功したことよりも、わたしが避けなかったことにすごく憤ってて……。
 ……もうなにがなんだかわからなくて。

 きっと、ニンゲンに大事なモノが足りてないんじゃないかって……。

 そのあと、ともだちにも裏切られたりして……どうしていいか……」

異形でないとわかりにくい部分だが、どうしようもなく自信を消失しているように思える。
ニンゲンの資格を持っていない、とそう感じているようだった。

フィーナ > 「なるほど、ね。ちなみに…その攻撃を避けなかったのはどうして?」
理解した。この子に足りていないのは『心の模倣』だ。
どうしてそうするのか、そう言うのか。それがまだ理解できてないのだろう。

『人として当たり前』がわかっていないから、こうなったんだろう。

アールズアーズアース > 「受けに行って足の関節を取りに行ったからなんですが……ええと。
 異能か何かを込めたにしろ、さすがに普通のような蹴りで……

 胴体真っ二つに
       さ
       れるとは思わなかったので……」

完全に予想外だったらしく、怯えが見える。
もっとも、人間らしい怯えるような震えみたいなものではなく、喋りがぎこちなくなったからだ。

フィーナ > 「あー…」
つまり理不尽な蹴り入れられて、それで露見して…という流れか。

「真っ二つにされて、それで動いちゃったわけだ。それ多分八つ当たりじゃないかなぁ。『一撃で仕留められなかったのはお前がバケモノだったせいだ』っていう。アールちゃんに非はないと思うけどなぁ。死んだふりしてればまだ文句は言われなかったかも?」

アールズアーズアース > 「そして……避けもしないのか、ってそこでひどく憤ってて。

 もうなにがなん
       だか……。

 それに、あんなクソでゴミで醜悪で気味悪いだけでなく気持ち悪くてグロくてひどくおぞましい姿なんて見られたら。
 普通じゃいら
          れま
                      せ ん
                      よぅ……」

前回同様、自分の姿にはひどいコンプレックスを持っているようだった。
目が操作を忘れているのか何処も見ていない。

フィーナ > 「んー…重要なのはそこじゃないと思うな。『一撃必殺』の蹴りを、『避けられることもなく』、『耐えられた』ことに怒ってるんだよ。『避ける必要もない』と思われたことに怒ってる。それで、人じゃないってわかったから『お前人間じゃねぇ、バケモノだ』って罵ったんじゃないかな。『自分を納得させる』為に」

これが正解かどうかはわからない。けど話を聞く限り相手はプライドを持っていて、『避けなかった』ことに対して憤ってる。

「自分の『得意な事』が、『対応するまでもない』だなんて言われたら、人間は怒るんだよ」

アールズアーズアース > 「あ、そういうんじゃないんです……その。
 なんかこう、ニンゲンとしてなにか大事なものが足りないことに怒ってたような気がして……。

 それに、【バケモノがニンゲンになれない】って、ひどく
                         あた りまえ の こと
                          を言われて……。

 それに……おねえさまは、【いいひと】だか ら。

 ちゃんと、正面から見てはくれたんです……」

おねえさまのことは認めている。
そうでなければこんなに悩んだりしない。

きっと、だいじなものが、たりない。

フィーナ > 「…どうして、そのおねえさまは、【いいひと】なんだろう?」
紐解いていく。そうでなければ理解はできない。

的確なアドバイスもしてあげられない。

アールズアーズアース > 「格闘系の人なんですけど……すごく素敵な人で。
 スラムでも、折れたり曲がってない人で……おねえさまなりに真剣に付き合ってくださいました。
 ニンゲンでもバケモノでも……おねえさまは、ちゃんと相手してくれます。

 ……敵としてかもですけど。

 それでも、ちゃんと自分の論理で正面から向き合ってくれる方です。

 だからあれは……あれは……
 ウソやごまかしでもないし、過信や侮りといったものでもないです……!」

以前のようにとまではいかないものの、力説する。
褒めてるところを見ると、全面的に彼女のことをひどく信頼しているようでもある。

それだけに、何かあると思ってしまったように見える。

フィーナ > 「…成程。じゃあ、【バケモノがニンゲンになれない】以外にはなんて言われたんだろう?それも教えてくれない?」

彼女の言が真であるならば。恐らくこれは本当に『心』に纏わるモノだろう。
つまりは『バケモノと同じ行動』をしたから、それを咎める意味で言われたものなのだろう。

アールズアーズアース >  
「ニンゲンのフリをしても、ニンゲンにはなれないって。

 ……そう言われ
       まし
        た。

 でも、しかたなくですが。
 どこかで許してもいてくれるようでした。

 たぶん……なにか足りないんです……

 【避けない、避けようともしないのか】にはその。
 憤った以外にも、驚きと落胆と戸惑い、そして少しの悲しみと憐れみがあったように感じます」

おねえさまとやらに対する熱弁で少しは調子が戻ったらしい。
さっき落ち込んでいたときよりかはまともなようで、真っ二つにされた相手なのに完全に彼女を信頼しているようだ。

フィーナ > 「……そう、『フリをしている』。『ニンゲンになりたい』と思いつつ『自分をニンゲンじゃない』と思ってるから、そう、言われたんじゃないかな?」
そう願うからこそ、そこから遠ざかる矛盾。
「『人を真似て振舞っている』って見抜かれたんだろうね。本当に『人として振舞っている』のなら、『真似』をする必要はないから。」

アールズアーズアース > 「う……」

図星。
でも、今の自分には無理だ。

そもそも、まだ内蔵も目も上手く出来ないのに。
自然に動かすんじゃなく、意識しないと動かせないのに。

ニンゲンじゃなくてつらいのが出発点だ。
ニンゲンに憧れたのが出発点だ。
ニンゲンにかまってもらえたのが出発点だ。
ニンゲンに認めてもらえたのが出発点だ。

すべてが
……ニンゲンじゃないことから始まっている。

「……だめ、な
      んで

        す か?」

震えているのは、ニンゲンの真似ではない。
擬態が解けそうなくらい深刻なんだろう。

フィーナ > 「駄目かどうかは自分が決める事。そのお姉さんに言わせれば…私も『バケモノ』だしね。でも私はそれでいいと思ってるし、問題にも思ってない」
さらりと言ってのける。そう、自分にとっては『擬態』は『手段』でしかない。

「アールちゃんがどう『在りたい』かだよ。人の営みに交じりたいなら、人の営みを学んで、理解して、『それを当たり前』にしないといけない。『ニンゲンの常識』を、『自分の常識』にしなきゃいけない。口で言うのは簡単だけど、それを実際にするのはとても難しいことだよ。それこそ、『ニンゲンに憧れている』という意識を無くすことが必要になるんだから」
そう、生半可なことではない。手段の為に目的を失え、と言っているようなものなのだ。

アールズアーズアース >  
「……でも、資料がないと……コレ以上近づけないし……」

資料、というのは要するに新鮮なニンゲンだ。
実験台かもしれない。
ニンゲンでは当たり前のことも、アールにとってはすべて学習すべきことだ。
まだ、出来ないことなんかたくさんある。

「なりかたが……わか ら
            なイ
               です

                   師匠……」

真似をしなければニンゲンになれないし、真似している間はニンゲンになれない。
そう言われてしまうと、ニンゲンを好きでいること自体が危うい。
憧れるのも、自分を嫌うのも、崇めるのも、近づくことも出来ないのだとしたら、全てなくなってしまう。

執念だけが支えだっただけに、それは、わからない。

フィーナ > 「……そもそも。ニンゲンという概念自体が曖昧なんだよ。今や数多の種族がこの島に入り混じっている。それでも、ニンゲンという枠組みがあるのは…『自分たちがニンゲン、もしくはそれに準ずる種族』であるという『確信』を持っているからなんだよ。つまり…割と外見は関係ないように思うな、私は。どちらかというと心の問題。アールちゃんが目指すべきは『自分がニンゲンである』と確信しつつ、『こういうニンゲンになりたい』と願うことかな?

なりかたは私にもわからないよ。私がしているのが擬態だから。でも、私から言えるのは。ニンゲンになりたいなら、まず『自分がバケモノである』という枠を打ち破らないといけないよ」

アールズアーズアース > **一時中断**
ご案内:「路地裏の一角」からアールズアーズアースさんが去りました。
ご案内:「路地裏の一角」からフィーナさんが去りました。