2020/08/20 のログ
ご案内:「裏路地の一角」にフィーナさんが現れました。
ご案内:「裏路地の一角」にアールズアーズアースさんが現れました。
フィーナ > 「…そうだね。それじゃあ、一つ原点に戻ろうか。」
提案するように、指を立てて。

「アールちゃんは人間になりたいの?それとも、化け物のまま人間に憧れていたいの?」

アールズアーズアース > 「ニンゲンになりたい、に決まっているんですけども……」

そう言われると困ったようにうつむき加減になる。

もちろん、ニンゲンになりたいからニンゲンになりたいと願った。
そしてここまで来た。
だから、ニンゲンに憧れてニンゲンになりたいのは今の活力のほとんど全部だと言ってもいい。

「バケモノな自分がいやで。
 ニンゲンになりたくて、なろうとして。

 でも、憧れ無しには、そうはならないと思うので……」

そんな原体験を否定しても、どうにもならない。
鶏と玉子のどっちが先かと言われても、困る。

フィーナ > 「…じゃあ、アールちゃんのなりたい人間って、どんなの?詳しく教えてくれない?」
そう、具体的に。でなければなりたいものの『原型』すら定まらない。

目指すならそれを具体的にしなければ。

アールズアーズアース > 「詳しい、ということのほどはないかもしれません……ええと、今のこの姿なんですが。
 この子が初めて、私に、言葉も話せない私に話しかけてくれたんです。
 敵でも、怪物でもなく。
 ……わたしが【こわがってるようだ】って。

 その時、彼女は私の中で神になりました。
 自分はクソでゴミでクズだったんだって。
 ニンゲンにならなきゃいけないって、そう思いました」

なんでそう思ったか、そんなことなんて知らない。
ただ、そのときの強烈な光と自己嫌悪だけは覚えている。

「……それまで、思考も感情もぐちゃぐちゃで。あるんだかないんだかよくわからなくて。
 混沌としすぎて、もともと時系列なんてよく覚えてなかったんですよ。
 それが、形が決まったんです、初めて。

 あとはその……彼女にどうしようもなく憧れて。
 彼女を食べて同一に成ることを形だけでも赦されて。

 この姿になるまで、気がついたら突っ走ってました」

若干の苦笑と自嘲。
でも、だいじなおもいで。
たいせつな、あのひと。

フィーナ > 「…なるほど、ねぇ」
その『優しさ』に触れて、それに憧れを抱いたのだろう。

「どうして、その人間は、話しかけてくれたんだろうね?」

アールズアーズアース > 「本当のところはわかりませんし、当時の私は理解できるはずもなかったんですが……。
 思い当たるとすれば、呪いか病気だったからかもしれません」

思い出を懐かしむように。
表情を作る、といっても、コレに関してはそれほど意識的にやっているわけではなさそうだ。

「彼女はずっと、森のはずれにある家で、隔離されるように静養していました。
 どういうわけか、食べることで同化を望んだ私に、その願いを叶えてくれたので。

 ……それ以来、私はずっとこの姿を目指しています」

フィーナ > 「…そっか」

「そのにんげんに、なりたい?」