2022/03/23 のログ
ご案内:「アパートの一室」に出雲寺 夷弦さんが現れました。
ご案内:「アパートの一室」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■出雲寺 夷弦 > ――――合鍵で開けられる鍵の音、そーっと開けられる扉。
「……ただいまー……?」
……時刻は23時過ぎ、一般的な学生の門限で言うならアウト寄りのグレーなところ。
そんな時間まで何してたかって、ランニングに出ていました、などというにしても、ちょっと遅すぎてしまった。
この寒い夜の中にしたって、随分と、いや結構汗をかいた感じの彼は、静かに部屋の同居人へ帰宅を伝える。
「……流石に寝てたり……しないか?」
――何となく起きてそうな気がする。片手に持ったコンビニ袋のお土産は、きっと無駄にはならないなと予感した。
雪見大福が二人分。それと、ちょっと気になって買ってしまった高たんぱく低糖質カップヌードルも二人分。
怒られたりは、しないはず。
■伊都波 凛霞 >
その帰宅の言葉に対する返事は、なかった
薄い灯りが漏れているあたり、先に就寝しているわけではないのだろう
その理由は、部屋へ踏み込めばすぐに理解る
持続的に流れる水の音
あ、これはシャワー浴びてますね
本人も風紀の仕事でそこそこ遅くなったのかもしれない
バスルームのちらっと見れば綺麗に畳まれた制服や、脱いだソックスや下着なんかが洗濯機の近くにまとめられている
───……しばしの時間が流れて
「あれ、おかえりー」
バスルームから、彼が帰っている気配を感じ取った凛霞の声がする
程なくして部屋着に着替えた凛霞が姿を現せば
「汗かいたでしょ。シャワー浴びたら?」
にこっと笑顔を浮かべつつ、いつも二人が寛ぐソファへと腰を降ろしながら、視線はコンビニの手提げ袋へ
何か買ってきたのかな?
■出雲寺 夷弦 > 「……」
返事はない。でも灯りはついている。ということは居るけど、返事ができない、聞こえない状況。
靴を脱いで数歩中へ。……聞こえてくるのは水の音、音源、風呂場。
そしてちらっと遠目に見えたのは、折り畳まれた彼女の――。
「ん"ぅ"お"ッッ」
おかえりーと声に対してはドエラい声となった。
程なく出てくる部屋着姿の凛霞の姿には、顔を真っ赤にしたランニングウェア姿のイヅルであった。
「た、ただいま……あ、あー……うん、結構かいたわ……んじゃあシャワー浴びてく、る……」
――さっきまで凛霞がそこにいた――。
「……お、あ、そ、そうだ、そう!これ、お土産ッ、雪見大福と……あと、なんか気になったやつ、た、食べてていいから……っ」
終始ドモり倒す。なんでこう彼は大胆なときと奥手なときが情緒不安定に繰り返すものか。
片手のコンビニ袋をリビングのテーブルに置いておくと、そそくさバスルームへと入っていった。
「――。」
よし、呼吸止めて入ろう。何分耐えられっかな俺。
無理。死ぬ。ええいままよ。
■伊都波 凛霞 >
どしたの?変な声だして…
とは、言わなかった
理由がなんとなく想像がついたし
一緒に暮らしているから流石に慣れた
なかなか免疫ついていかないね、とは思うけど
さて、まだ寒いとはいえさすがに走ってきたら汗びっしょり、当たり前である
温まって来るといいよーといいつつ、手提げ袋を受け取って
「あ、じゃあ夷弦シャワー浴びたら一緒に食べようよー、待ってるから」
ちら、と時計を見る
夜中に差し掛かる時間帯、だけど
まあたまには夜更かしに間食もいいよね
お風呂上がりの凛霞からはふわふわほこほこと石鹸の良い香りがしているわけですが
バスルームの中はそれとは比べ物にならないくらいに凛霞の匂いに満ちていました
彼が呼吸を止めて突入するとかそんなことは全く考えていないので、こちらは平和なものである
ソファにゆったり座って髪を纏めつつ、テレビを点けてあまりにものんびり
CMの合間にスマホを見て、そういえばさっきの写真、急にどうしたんだろうねなんて思いながら、流れてくるシャワーの音を聞いていた
■出雲寺 夷弦 > ……凄く良い匂いだった。
呼吸を止めてシャワーなんて出来るはずもなかった。半ばまで耐えて、耐えてたが、無理。
……凛霞の匂いに包まれながらシャワーを浴びて、薄手な半袖部屋着で出てきた彼の。
「 」
呆けた顔。若干赤く、気まずそうにしつつ、恥じらうようでもあり、
幾らか伸びてきて顔に掛かるようになった赤毛混じりの茶髪のせいで、妙に男性にして女性的な側面を滲ませる。
そんな彼が出てきて直ぐに、ソファに座って髪をまとめつつ、スマホを見ている凛霞へ歩み寄っていくと。
「……送った写真、見たか?」
ぽそ、と尋ねる。返事はすぐに返るだろうから、合間の数歩に袋からカップ麺と雪見大福を取り出していた。
電気ケトルはー……あったよな。お湯はそれでわかそう。
雪見大福、風呂上りだからこそ先に食べたいだろう。先に食べれるように持ってくる。
「……ランニングしてたとこ、街灯が少なくって、月と星空が、すげぇよく見えたんだ」
■伊都波 凛霞 >
「? どしたの?」
顔を赤くして気まずそうな彼の表情を見ての第一声
彼が顔を赤くするのは珍しくないけど、なんで赤くなってるのかが今回はわからない
シャワーでのぼせる、なんてことは流石にないだろうし、幼馴染ながら不思議な生命体である
「あ、写真?うん、見たよー。
常世の島は月も星もよく見えるらしいよね」
綺麗に映ってたよー、とにっこり
もちろん添えられた一文に秘められた彼の遠回しなアプローチには気づいていない
勉強や知識に関する頭の回転は速い
他人に関する話への頭の回転も速い
しかしどうも自分に対することに関してのみ、やたら鈍い
それが凛霞という女である
のんきに手渡された雪見大福を美味しー♪なんてもちもちしていた
■出雲寺 夷弦 > 「……い、や、何でもない。……石鹸、良い匂いだな」
ぼそぼそ。赤い顔で尚、視線をちょっと逸らしながら。
……鈍感だよな、こういうときだけ。いづるは困った。
「……うん、ほんと、よく見えるんだよ、星も月も。
――んで、さ」
――先に美味しそうに雪見大福を食べる凛霞の隣に腰掛ける。
風呂上り、まだいくらか拭えてないシャワーの水気でぬれた毛先の髪を片手で少しいじりながら。
「……"月が綺麗ですね"っていう、夏目漱石の言い回し、知ってる?」
自分の分の雪見大福を開封しながら、ぼそっと。
「……すげえ綺麗だったんだ、月。見つけたら、真っ先、お前に見せたくなるような」
■伊都波 凛霞 >
「…や、その誤魔化し方は誤魔化せてないし流石に恥ずかしくない…?」
なんで赤くなってたかわかっちゃったじゃん、とこちらまで少し紅くなる。意識されしなきゃ平気なのにこいつめ
まったくもう、と思いつつ一口サイズにまで減った大福をお口にぽい
甘くて蕩けて、おもちの触感が堪らないこの冷菓の美味しさはずっと変わらない
「夏目」
彼が言った言葉と、あの一文と写真の意味
随分文学的な言い回しですね?直接的な言い方は恥ずかしかった、のか
それとも綺麗な月を見て、たまたまそれを思い出してのことだったのかもしれないけど
もちろん文学にそれなりに精通もしてるつもりの凛霞がそれを知らないわけはない
ただ、彼が、夷弦がそんな風に想いを告げてくるとは思っていなかっただけだということ
──でもまぁ、形はどうあれ、そういう想いを向けられるのは、素直に嬉しい
「───んー…」
"月が綺麗ですね"
I LOVE YOU を 貴方が好きです と訳さずにこう訳したというお話
シャイな男性が、遠回しにその想いを告げる言葉
なら──
「──今なら手を伸ばせば届くかも?」
くすりと薄く笑って、そう答えた
■出雲寺 夷弦 > 「……い、いや、その、わり……」
バレた。誤魔化すの下手だなぁ俺。
もろに理解られてしまっては仕方ない。それ以上恥ずかしさを引きずることもあれだし、自分ももっちりする。
久々に食べたけどこれ美味しいなホント。もちもち食べるイヅル。
餅の部分が特にお好みらしい。
……ケトルのお湯が沸くのを見たので、一度手をとめ、今度はカップ麺を作りにいく。
「……」
夏目漱石くらいはまぁ解るよな。なんて思ってはいる。
背中を向け、どんな反応でも返ったものかと。
二つのカップ麺の蓋を開け、具材の謎肉が何時もと色が違うんだなぁなんて思いながらお湯を注ぎ、二つ分の割りばしを腕において、テーブルにまで持ってくる。
「――っ」
ことっ、とんっ。
置く手がちょっと危うくなったが、返事の内容は直ぐに理解した。
……横目に見遣って、さっきより更に赤くなった顔で。
「……手、とっくに届いてるだろ、お互い」
――隣にまた座る。三分間待つのだから、
片手を伸ばし、貴女の……頬にそっと触れるくらいは、時間がある。
「……ほら、もう、"月"に届いた」
薄く笑う顔に返す、細めた眼の顔。
「すげー綺麗な月だ。夜空の上より、隣にあるほうが、俺は好きだ」
真剣に、真摯に、真っ直ぐに。