2022/03/24 のログ
■伊都波 凛霞 >
「ほら、そう返すのがお約束、なんて見たことあるし」
遠回しには遠回しを
ロマンチズムにはロマンチズムを
返してみたくなるじゃないですか
「お互い、近くなったね」
頬に触れられたその手に、自身の手を重ねる
彼の、男の手に比べれば華奢で細い指と、手
どちらかが近くに来たわけじゃなく、共に近づいていった
過去を振り返れば、こうなることを全く予想していなかったわけでもないけど
本来そうならなかった未来が今訪れているのかもしれないことを考えると…
大事にしなきゃいけない、という想いがより募る
そして──
「隣に在るだけで、いいの?」
僅かに眼を細めながら、そんなことまで口にしたりして
ロマンチックで、素敵な会話なんだけど
そろそろ3分が経つし、なんならいい匂いでお腹も減ってきたし
肝心なところでなんか抜けてる空間、彼らしいなと少し思ってしまう
■出雲寺 夷弦 > 「どこで見たんだかな。……いいや、俺も知ってるけどさ、昔見たメロドラマみたいなのでも、こんな感じで」
自分から最も縁遠いことをしている今現在を皮肉る。
あのメロドラマ、シーンはともかく、お話は結構滑稽だった気がする。
そんな物語を自分になぞらえてみて、笑って余裕を作る。
……触れ合う指に、顔の下がちょっと震えてるもんなんだから、虚勢を張りたくなる。
「……今までが、遠すぎたくらいだったんだ。
近いほうがいいし、それに」
「――隣だけじゃ、足らな……」
ぐううっ
「……」
――三分じゃ足りなかった。
……そして、ランニング後の彼だ。無論空腹である。
出来上がったカップ麺の匂いに、腹の虫がロマンティックを破壊する。
そっと手は離れ、並んだカップ麺の片方を取る。
「……新しい味なんだってさ、これ。あと、高たんぱくで、低糖質だから、夜喰っても罪悪感少な目、らしい」
って、真っ赤な顔を少し逸らしながら、「いただきます」と先に啜りだす。
■伊都波 凛霞 >
気まずそうに触れた手を離す彼
どうにも締まらない、そういうところは昔から変わっていないし
…まあ変わってほしくないかなとも思う部分
「お腹空いたもんね。食べよっか」
小さく肩を竦めて、笑う
彼の言う通り、今まで遠すぎたくらいだった
それどころか月よりも遠い遠い、手の届かないところに行ってしまったと思っていたくらいだ
もどかしいところもあったりするけど
こうやって一緒に同じ空間で過ごすだけでも十分に…
「なんかプロテインみたいな謳い文句してるね…。
夷弦ってそこまで気にしなくても、十分カラダ締まってない?」
もぐもぐ、食べる合間、お箸を置いて隣の彼のお腹にぺたぺた触ってみる
■出雲寺 夷弦 > 「……」
とても、とても遠くにあってしまった距離。
それが、今こうやって、隣二人、並んで夜にカップ麺を食べている。
……恥ずかしさの赤さは引いたが、幸せの紅潮はそのままで。
静かな夜だというのに、どうしてこうも、心は騒がしい。
「……ん、そうだな。まぁ、カップ麺がそもそもそんなに身体にいいもんじゃなくたって、そういうのしか食べれない大変な人達には救い文句だろ。
……いや、俺は気にしてないけど、気になっただけで――」
ぺたぺた触られた途端、そこで言葉が途切れて、びくっと。
――鍛え抜かれた腹筋。服の上からさえなぞるのが容易なほどの肉体。
今彼の身体というのは純粋な人間ではない。
が、ベースは人の形。それが尚のこと、"人だった頃からの鍛錬の塊"として。
くっきり割れている、しかし細く、そして引き締まり。
「……」
――片手が悪戯を返す。こっちも、相手の腹部にそっと、手を。
「急に触られるとくすぐったいからな、こういう、感じに……」
■伊都波 凛霞 >
「うわっ、かたーい。
最近鍛えてるし前よりもっと締まってない?」
ぺたぺたぺたぺた
布地の上からでもわかる腹筋の割れっぷり
ちょっとお腹の出た中年男子諸君からすると羨ましい肉体じゃなかろうか…
なんてことを思っていたら
「ひゃっ!?」
突然のカウンター
予想してなかったのでついちょっと声が漏れる
固く鍛え抜かれた彼のお腹とは違って
程よい肉感の柔らかな凛霞のお腹
こう、ソファに座ってるとどうしても少し余ったお肉がこうむにっとなるから仕方ないんである
一応それなりに鍛えているつもりでも、男子の身体とは、やっぱり違う
「いきなり反撃はズルいな…?」
彼のお腹に触れていた手をそのままに、擽ってやろう
■出雲寺 夷弦 > 「……っ、そりゃ、これでも現役で、武術やってる、し」
バッキバキと言えるが、しかしまぁゴリマッチョ、というのではない。
細マッチョの極致のような身体だ。
極限まで削ぎ落されたが故に、一切の無駄がない。
それを成すための躯体。
……が、擽ったいのには耐性がちょっとない。
ちょっと引き攣る顔。故に反撃の返しに触る手もより一層、むにむに、つんつん。
……柔らかい。自分と違って。
でもこんなに柔らかいが、それがどれだけの本質を宿しているのか知っている。
不思議なもので、柔かいが、儚いとも、弱いとも感じない。
そこにいる凛霞という女性の存在、胎動が。
「んはぉっ?!ちょ、おま、この……っ!」
くすぐったさに上擦りながら、こっちもより反撃。
服の上から両手で、少し身体がくの字になって横に。
「っぁ、はふッ?!……おりゃッ」
――直に触ってやれば参らせられるか?なんて思った矢先。
「 」
……彼が覆い被さるようにしてきて、動きを制してくる。
真っ赤になった顔、ちょっと荒い息。
擽り擽られが過熱しすぎると被害が出るので、片手があなたの手を握る様にしようともするから。なんか、片手恋人繋ぎの押し倒す形に。
■伊都波 凛霞 >
「わっ……」
とさっ
お互いに武術は納める身
こういった空間で、こういった時間で
こういった、距離感でなければそう簡単に押し倒すなんてことは出来ないだろう
だからこそ
あまりにも簡単に、組み伏せることが出来てしまった
『やりすぎちゃった』『ごめんね』なんて言葉も出ずに、つい息を呑んでしまう
それくらい、彼の顔が近くて
お互いの、視線もとても近くで交差する
「───えっと…」
…こうやって見るとやっぱり顔、整ってるなー、などと
イケメェン…な気持ちが湧いてきたりして、不本意ながらドキドキしてしまうのであった
ほんのりと、頬に薄い紅が差す
■出雲寺 夷弦 > 「……あの、さ」
――押し倒した格好で、なんでワンクッション置いてしまうかな。
我ながら、そのいざという場面に切り替わったときの対応力の無さが。
繋いだ手を、ゆる、と、絡める。
指を結んでいくように、ぎゅっと。こうすれば、意図する感情というのは。
「……っー……」
「お互い、シャワー浴びて、腹ごしらえしてる状況でさ」
――顔は近い、吐息も、お互い、解るくらい。
だから、さっきのロマンチックから、さらにもう一歩。
結んでない片手は、傍らについている。ソファーに押し倒しても、
相手には体重は掛からないようにした。
でも、密着はする。
「……腹擽ってこられて、触られてきて、後。
――風呂場、す、っげぇ凛霞の、匂いで、さ」
ぐっ、と顔を寄せ、耳元に口を。
「結構、我慢の限界だったんだ。わるい」
ちゅ、と、リップノイズ。耳の手前、こめかみ辺りに触れる程度で、
彼から。唇を落としてきた。
■伊都波 凛霞 >
「我慢なんて、しなくていいのに」
なんで我慢するんだろう、と苦笑する
自分は、もう十分に彼のことを全て受け入れる気持ちでいるのだから
でもそれはきっと意地みたいなものとか
どんな形であれ、格好をつけたいところとか
軽薄に思われたくない、とか…
様々な理由が男の子の中ではあるのかもしれなくて
それでも──
「──ぅ、ん」
身体を重ねられれ、彼のほうから唇を寄せて来る
珍しいな、と思うと同時に──嬉しさも感じて
「……灯り、消すね?」
ソファ、座っていた自分の左側にあったリモコンを自由なほうの手でそっと拾い上げて、ボタンを押す
ピッ、という無機質な音
0時を過ぎた二人の部屋
薄暗い灯りの中、蜜刻へとその時間を移していった──、
■出雲寺 夷弦 > 「……そ、か」
――色々読み取られていることだろう。
自分よりきっと、この子は自分を理解して、読み通してきた。
だから、言葉はあまり出なかった。
いや、単純に読み取られて、恥ずかしいのだ。
でも、それで今その恥ずかしさに埋まることはしない。
本当に――我慢できないし、しなくていいと言われたら、もう限界。
何度、何度か、唇を重ねることすらして。
部屋の灯りが消えたとき。
「……凛霞、……凛霞」
「――――大好きだ」
午前零時。窓の外の夜空には、月と星々が、只静かに――。
ご案内:「アパートの一室」から出雲寺 夷弦さんが去りました。
ご案内:「アパートの一室」から伊都波 凛霞さんが去りました。