2019/02/22 のログ
ご案内:「銭湯」にアガサさんが現れました。
ご案内:「銭湯」に清姫 藍紗さんが現れました。
アガサ > 島内に渦巻いていたテスト期間という暗雲は晴れ、彼方此方ではテスト明けの生徒を狙ったセールやイベント等が催されている。
良くも悪くも盛り上がる時期なだけに、風紀委員の人達にとっては頭痛の種にもなりそうだなあ。なんて衣服を放りながら与太な思考を抱き締める。

「しっかし銭湯でもイベント……いやイベントって訳でもないんだろうけど、変わり種をやるとはね?」

此処は商店街に在る銭湯。大きな煙突が目立った古色蒼然とした外観そのままに内装も実に古い。本土に居た頃は教科書の資料でしか見た事が無いくらいだ。
番台に座るのも仙人か妖怪か、なんて言ったら失礼過ぎるけれど如何にもな雰囲気を纏うお婆さんで、良くも悪くも世間から隔絶されている感すらあった。
だから入り辛かったのだけど、曰くチョコレート風呂なるものが期間限定で現れた、なんてSNSで実しやかに囁かれれば、こうして訪れる事にもなる。
だって、気になったんだもの。

「……うん、流石にチョコレートそのまま、ではないね。うん。判っていたし、解っていたよ?あ、でも香りは素晴らしいなあ。」

脱衣所から浴室へと続く戸を開けると甘やかな香りが鼻を刺激する。早速と近づいてみると、浴槽には透明感のある、赤茶色のお湯が揺らめているのが見えた。

清姫 藍紗 > 黒髪の女が脱衣所で静かに衣服を籠に入れる。
自宅にも風呂はあるし、あまり外に出たがらない性質ではあるが。それでもしっとり保湿成分と聞けば、乾燥しがちなこの季節、丁度いいかと腰を上げ、静かな銭湯で一人湯に浸かろうと考える。

日が落ち切っていなければそうそう人もいまい、なんてチョコレートよろしく甘い考えのもとで、下着を籠に入れて。
長い黒髪を軽く巻き上げてゴムで止めれば、先に入っていく少女を見送ってしばらくしてから、からりと戸を開き。

「……う。」

くらりとして、首を横に振る。
そこまで強いわけでもないが、浴室に慣れぬ匂いが立ち込め、一瞬意識がくらりとする。
よたよた、と少しだけおぼつかない足取りで歩き、先に入った少女の横からチョコレート風呂を覗き込んで。

アガサ > 試しにと手で湯を掬うも特別な感触は無い。粘ったりだとかぬるぬるしたりだとか、そういう事の無いごく普通のお湯だ。

「ふぅん……どうやってチョコレート成分を入れているんだろう。香料とかを入れているだけなのかな?」

流石に口に含むまではせず、首を右に傾け左に傾け思案投首をするのだけれど、そんな最中に隣に誰かがやってくるなら、
傾く首の上の頭が其方を向くのも当然というもの。

「……あれ、何処かで会ったことあるような?こんにちは?なんだか顔色が悪いけれど大丈夫、ですか?」

面前には背の高い女性。絹のような黒髪に白皙の肌。刃物で切り込んだような瞳はまるで腕の良い人形師が象嵌したかのよう。
私は審美に敏い訳ではないけれど、これだけ目立つ人なら流石にそうそう忘れはしない。
忘れはしないけど、さてどこで会ったか──なんて所までは記憶の何処にも座っていない。きっと、テスト勉強に追い出されてしまったんだろう。

清姫 藍紗 > 「……ええ、大丈夫。
 ほら、お風呂場で甘い匂いって割と独特だったから。ちょっと体がびっくりしちゃったのかしらね。
 桃とかオレンジの匂いなら、まだわかるんだけれどもね。」

かわいらしい少女に見上げられて心配されれば、少しだけ苦笑しながら微笑みかける。
年下に心配されてしまった。顔色悪いかしら、なんて、己の頬をぺたりと撫でて。
まあ、年中体調不良なのだから仕方ないのだけれども。
くりんとした瞳の少女に、ぺろ、と舌を出して笑っておこう。

「………お店に来たことがあるかしら。
 清姫でいいわ。 学園の生徒だし。」

軽く自己紹介をしながら膝を折り曲げ、こちらも湯に手をつけて……匂いをすんすん、と嗅ぐしぐさ。

「……これ、残ったらこれはこれで困る匂いよね。」

ねー、と横を見て。

アガサ > 「お店……あー!本屋さんの!……と、すいません大声出しちゃって。……うん、今は私達の他にお客さんはいませんね!」

浴室は全体としては一つの部屋であり、男女の区別は真ん中の壁でされている。
壁と言っても上部は開いているのだから双方の声や音などは筒抜けな造り。幸い、今は私の大声を咎める人はいないみたいで一安心。

「確かにチョコレートの匂いって残ると……虫とか寄ってきそうですね。
ああでも、そういう香水とかもあるっていいますし?いっそアリな気もするのですが。
そして学園の生徒さんでもあったんですね。どうみてもセンパイな雰囲気で……」

見た目からしてすっごく大人な清姫さんに私の言葉も改まろうってものだけど、
意外に稚気を感じさせる表情をされると、改まった首がまた傾いてしまう。

「……あのー差し支えなければ年齢とか聞いても?私は14なんですけど
もしかして歳、近かったり?同級生だったり」

念には念を、やや訝し気な表情となって、隣の彼女の事をじろじろと不躾に見てしまう。

清姫 藍紗 > 「そうそう、本屋さん。 覚えていてくれたのね、うれしいわ」

 相手の言葉に二回頷きながら、そっと手を伸ばして、よしよし、と頭を撫でかけて、ごめんなさいね、と手を引っ込める。
 見た目だけで判断しちゃいけないとわかってはいるが、どうしても見た目でまず子ども扱いしてしまって。

「……それはそうだけれど。
 本屋さんでチョコレートの匂いのする店員って、ちょっと場違いでない?」

なんて、肩をすくめながら立ち上がり。
髪から洗いましょう、なんて促すのだけれど。

「…年齢は秘密。でも、学年でいえば二年生かしらね。
 だから、あんまりかしこまらなくてもいいわ。ここでの期間はさほど変わらないでしょう。
 同い年だと思ってもいいのよ。………忘れて頂戴。」

自分で言っていて渋い顔になってしまった。
じろじろと見つめられれば、少しだけ腕で胸を隠すが。その腕で胸が潰れてこぼれそうになる。
白い素肌は程よく……いや、平均を超えてメリハリのついた、下卑た言い方をすれば男の目を集める身体。

「………背中でも洗うわ?」

アガサ > 「いやいや別に謝るような事でも。あ、子ども扱いされたいって訳じゃないですけど」

謝る清姫さんを制止こそすれ認める訳でも無い複雑な乙女心。
そりゃあ彼女と比べたらどうしたって子供なのは事実だけれど、なんて思いながら我が身を見て少しだけ溜息。
身を庇う仕草をする清姫さんには到底、及ばない。

「そうですねー本屋さんの匂いと言ったらやっぱりインクが似合うものですけど
……流石にインクの香水だとかインクのお風呂はないでしょうし。」

それから、促されて後ろを歩くと綺麗な黒髪が殊更に目立って、墨の香りも似合いそうだなあなんて思いもする。
新しい物よりは古い物。成程古書店は合っているなと、勝手に納得をした所でセンパイ扱いは不要だとも言われる。
さて、と洗い場にぺたりと座り、面前の鏡越しに後ろを見ながら少しだけ、考えた。

「えーと、それじゃあ遠慮なく。忘れずに同じ年だと思う事にするよ?清姫君14歳。
うん、色々半分分けて欲しいくらいだなあ!あれかい?バレーだとかスカウトされたりしない?」

流石にお風呂場までは私の髪はリボンで留められておらず、今はくるくると御団子状に丸められて頭に座っている形。
そんな風に身長に髪の毛団子を足したところで、清姫君には届かないのだから凄いなあと感心しきりだ。

清姫 藍紗 > 「インクのお風呂ってそれ罰ゲームよね?
 クイズに間違えたら落ちるアレよね?」

ぺたん、と座ったところで相手の言葉から硬さが抜ければ、少しだけ目を見開いて……。 あら可愛い、なんてほほえましく思えてしまう。

この身長のせいか、すっかり年上扱いが基本になってしまっているのだから、同い年扱いもまた新鮮。
不満もなく、相手の言葉にころころ、と少し笑って。

「そうね、言われることはあるけれどお断りしているわ。
 私、身体が見た目ほど強くはないのよ。

 少し暑かったり寒かったりで、すぐに倒れちゃうくらいにね。
 あ、お風呂は大丈夫なのだけれど。」

軽く説明を加えながら、分けてほしい、を身長と解釈して、うんうん。

「なに、成長はこれからでしょう?
 ……何て呼べばいいのかしらね、同級生のお友達を。」

なんて、肩からすい、と覗き込めば、ぽん、と両の肩を叩いて。
さ、背中でも流しましょうかね、とシャンプーを手に取って。

アガサ > 「そうそうクイズに間違えたら落ちるアレ。油性だったら余計に落ちないーって油性インクのお風呂って斬新な拷問じゃないか。
嫌だなあ、お前の髪の毛を筆にしてやろうか!みたいに言われそうだよ。」

巨大な筆で文字や絵を表すアレ。と私の人差し指が宙をくるりと描くように動いた所で、鏡越しではなく、後ろを振り向いて清姫君の事を視た。

「おや、そうなんだ?倒れちゃうほどってなると大変だなあ。学校の授業、大丈夫?」

ある程度は生徒の好みで教科は取れるけれど、基礎的な物は大体履修する事にもなるのが大体の実状。
体育とか大丈夫なんだろうか?と気にもなるのが当然で、心配だから訊ねた所で質問同士がぶつかって、私は小さく声を上げた。

「あ、いっけない。そうだそうだ、私の名前を言わないと!私の事はアガサでいいよ。アガサ・ナイト。
水に流して忘れないように覚えてくれると嬉しいかな?」

丁度良く背中を流してくれるらしいので、名前は流されないように注釈を添えて正面を視る。
銭湯に設置されたシャンプーボトルはこれまたレトロな調度とも言えて、一体どこで仕入れているのか不思議なもの。

「……こういう古そうなモノって何処で用意したり整えたりしているんだろうなあ。
清姫君の所みたいな古書店も、やっぱり普通の本と違う手入れとかはしているんだろう?
あ、それともそういう異能だとか魔術だとか?ほら、技能を生かしてあれこれする人、多いしさ」

不思議に思えば言葉は湯水のように流れ出て、背を向けた状態だろうとも身振り手振りで忙しい。

清姫 藍紗 > 「それもう真っ黒になるだけじゃない。いい筆になるのはお断りよ。
 それに、ほら、そういう路線じゃないもの。
 バラエティ系は担当じゃないわ?」

なんて、自分で口にして胸に手を当ててちょっとえへん、と。
クール系で通っているんです。

「んー、大丈夫ではないかな。
 でもこう、病気にはなりやすいけど絶対に重症にならないくらい、っていえばわかりいいかしら。
 だから、そんなに心配はいらないんだけどね。

 欠席に早退が多いから、不良だと思われていることもあるんだけれど……。
 アガサはテスト、大丈夫だったの?」

とほほ、と言いながらシャンプーを泡立て、アガサの髪を優しく洗い出し。
せわしなく動きながらこっちに声をかけてくれる少女は、やはりかわいらしい。優しく優しく、髪を洗う。

「そうでもないわ? 普通に拭いたり、整理したりくらい。
 ………それがねー。 そういう能力ならよかったんでしょうけど。

 …それなりに身体の能力が上がる代わりに、暑い寒いとか………環境の変化に極端に弱くなるっていう。
チョコレートの匂いでふらついたのも、それだと思うのよね……。」

またもや、とほほ、と肩を落とす。

アガサ > 「うーわ自分で言うかい?清姫君、そんな事を云うといつか酷い目に……って大丈夫じゃないのは良くないなあ。
いっそ重症になればまだ不良だとも思われないだろうに……あ、いや清姫君がそうなればいいって事じゃなくてね」

帯に短し襷に長しな体調模様に私の顔がみるみる渋く変わってしまう。
100人がみたら多分きっと、110人くらいが渋い顔って言いそうな感じだ。

「テストのほうは私は大丈夫だったよ!これでも運動系はそこそこ得意だし、筆記もちゃーんと中間くらい。魔術の方も難しい系統のは取ってないもんね。
うっかりとやたらめったら難解な授業だったりテストだったりする先生の奴を取っちゃうと地獄を見るから、
君がもし来年、そっち系を履修しようーって思うなら気を付けた方がいいよ!」

テスト用紙に何も記されておらず、魔術的アプローチで問題文をまず顕す必要がある。
そんなド難しいテストを用意した先生の恐ろしさは一部では有名なものだから、私は親切心から言葉を泡のように浮つかせて説明をする。
言った後で、本当は清姫君が2年生でセンパイな事に気付きもするから、ちょっと不自然な咳払いをしたりもするのだけど。

「おや、案外普通なんだね。そうなると此処の備品も案外普通に揃えたり手入れしたりしているのかな。
……あとさらっと凄い事を言われた気がするなあ。身体能力が上がるって凄いじゃないか。体調不良は…うん、説明された通りとして、
身体能力の向上ってどれくらい?あれかな、重たいものとか持ち上げたりできる?」

頭に座った髪の毛団子を紐解かれ、羊のように泡だらけにされながらにぐるんと、正対するように振り向くのは好奇心のなせること。
周囲に泡がぱあっと散っては落ちていく中で、私はきっと瞳を輝かせて清姫君を見上げた。

清姫 藍紗 > 「自分から近寄っていかなければ大丈夫でしょう、きっとね。
 まあ、どう思われてもあまり気にならないのだけれど。
 腕のいい医者でもいないかしら、ってことの方が気になるかしらね。」

はー、っと溜息をつきながら、髪を優しくなでるように洗い。
傷めないように気を遣いつつ。

「…なるほど。確かにそれは困るわよね。
 私はあまりテストは悩んでいないのよ、同じく、難しいのは取っていないし。
 本を読んだり調べたりは趣味のようなものだしね。
 ……難解過ぎるのはあっさりあきらめる、ともいうわね。」

相手のアドバイスをうん、うんと頷いて。
先輩ですが、みたいなことは言う気配はない。穏やかなものだ。

「……凄い、ねぇ。そういうものかしら。デメリットの方がデカすぎるんだけれど。
 ……そうね、重い物とかなら簡単よ。人一人くらいなら片手でいけるんじゃないかしら。」

回転して正対するようになれば、んー、っと少し考えながら自分の能力を口にする。
……目をキラキラと見つめられれば、恥ずかしくなってくるのだけれど。
そういう目線じゃないこともわかるから、頬を少しだけ染めて視線を逸らすだけ。

アガサ > 「うんうん、きっとね。ただ問題は近寄らざるを得ない事もあるってだけで。
これは先生達には内緒だけど、ほら歓楽街の奥の落第街なんて呼ばれる所があるだろう?
あそこに美味しいお菓子のお店がなぜかあったりとかするものだから。
生憎お医者さんまではわからないけど、清姫君ももしそういう所に名医がいたら行くだろう?
お互い、気を付けようね!」

確か虎をなんとかって諺があった気がする。と正対姿勢で俯いて思案の図。
結局浮かばないから諦めるのは、清姫君の言葉の通りだ。

「人生諦めが肝心って言うもんね。いや人生は諦めたらダメだけど──って片手で!?それはメリットもデカいんじゃない?」

清姫君の存外に砕けた物言いに吹き出しそうになるが文字通りに吹き飛ぶのは予想外の怪力を告げられたから。
目線を逸らしてしまうなら、目線の先に身体ごと移動もするし、そこまで言われたら見てみたいと瞳が口程に物を言う。

「ね、ちょっと私の事持ち上げられる?ええと今の体重は……秘密だけど、試しに試しに!」

なので口でもきちんといって、頭が泡まみれのまま立ち上がって手が清姫君を立ち上がらせようとそれはもう忙しなく促した。
一体銭湯で何をしているんだと、余人があれば呆れただろうけど幸い此処には二人しかいない。

清姫 藍紗 > 「あそこには、お風呂に入る前につけると、肌にいい香油を売ってる店があるから、足を向けることはあるわ。
 変わった花の香りのするもので、乾燥と寒さに強くなるのよ。
 アガサもそちらに用があって行くというのなら、一緒に行きましょうか。」

相手の言葉に少しだけ試案をして、最終的にそんな提案をする。
だって、目の前の少女は身を守る手段があるようにも見えなかったから。

自分も強いわけではないが、それでも何かあった時に自分と、少女の身を守ることくらいはできるだろう。きっと。

「……そうかしら。割と力を使って何かをすることって、あるようでそんなに無いのよね。
 持ち上げることくらいは簡単だけれど、ちょっと待ってね。
 泡だらけの状態でそんなことしたら、手を滑らせるのは間違いないもの。」

言いながら、ざあ、っとお湯をかけて泡を流しましょうか。
そのうえで、ご希望通りに………とはいえ、まずはお姫様抱っこのように片手でひょい、と持ち上げる。
柔らかい体で包み込むようにしながら、………しっかり捕まってなさいよ、なんて警告し、………よ、っと片腕で腰のあたりを支えて持ち上げてみましょうか。
少女の重量くらい、まるで本を一冊持ち上げるくらいの気安さで。

アガサ > 「わ、それは素敵だね。うん、今度一緒に行ってみよう。日が昇っている間は大体大丈夫だろうし」

ぱ、と手を併せて、新しい友達との素敵な約束を一つ捕まえる。
危険な場所だと散々喧伝されるのは生徒避けが大方だろうし、そう問題にはならない筈。きっと楽しい買い物になるに違いない。
帰りにどこか素敵なお店でお茶でもしたいな、と考えた所で思考が泡の道連れに流されていく。

「確かに滑って怪我をしたら元も子も──う"わっ!?」

流された後に、まるでハムスターでも掴むように抱き抱えられて私の変な声が浴室に良く響いた。
だって力持ちが抱えるような所作ではなくて、真正の異常を示すように持ち上げられたら無理もない。

「いや、ちょ……わかった、わかったよ!もう大丈夫!いやこれちょっと怖いなあ!」

不安定な姿勢であるはずなのに完全に安定をしている。清姫君の身体はどうみても大人の女性らしい、綺麗で柔らかいものなのに
彼女の力はそれとは正反対の無機的なものを思わせた。

清姫 藍紗 > 「ごめんなさいね、ほら、やっぱり使いどころが難しいでしょう?」

苦笑しながら、そっとおろしてまたお姫様抱っこをすれば、そうでしょう? と首をかしげる。

「それでも加減が効くからよかったわ。
 これで加減も効かないとなると、日常生活も送れないもの。

 ただまあ、そういうことだから。
 日が昇っている間もそうだし、何があっても安心はして頂戴。
 一緒に行きましょうね。」

抱っこをしたまま子ども扱いするかのように、よしよし、なんて少し揺すってやっておろしてあげましょう。
今度は逆に、真綿で包むような柔らかさ。細心の注意を払っていることくらいは伝わるかもしれない。

アガサ > 「あ、でも重たい本棚を動かしたりとかで便利じゃない?私の異能なんて壁とか天井とか歩けるくらいで……」

御姫様のように抱き抱えられた姿勢で、自分の異能を簡単に説明をした所で私の顔がみるまに赤くなっていく。
鏡に映る今の二人の姿。流石に裸でこういった格好なんてものは、同性同士だろうと憚られる気がしたからで、
限りない善意を感じ取れるからこそ、下手にもがく事も無く、それはそれは大人しく赤子のようにあやされてから降ろされるのだった。

「うー……清姫君は色々強いなあ。これは頼もしい友達が出来てしまったぞう……あ、後でメールアドレスとか交換しよう?
今は……とりあえずお返しだよね。今度は私が君の髪の毛とかを洗ってあげよう!……すっごく長いし綺麗だけど、何か特別な手入れとかしている?」

それからは赤い顔を見られたくないから清姫君の後ろに回り、墨を流したような黒髪を手に取って、その柔らかさだとかに感嘆の声を上げる。
手入れに特別な事が無ければ直ぐにでもお湯とかかけてしまおうっと。

清姫 藍紗 > 「壁とか天井を、ね。
 便利といえば便利ではあるけど……。
 ………デメリットに目をつぶれば、ね。」

よいしょ、とおろせばおろしたで、せわしなくまた動き始めて。
その申し出をくすくすと微笑みながら、それじゃあ、と今度は自分が前になって座ろうか。

「……そうね、特別なことはそんなにしていないから、気にしなくて構わないわ。
 髪もまた丈夫は丈夫だから……」

さあ、っとお湯をかけられれば、…ふー……っとゆっくりと息を漏らす。
暖かいお湯であっても、水であれば苦にならない。
むしろ、それだけでずいぶんと心地がいいのか、目を閉じて。
髪を自由に触らせるだろう。

アガサ > 「髪も丈夫って、雑に扱ってこれだけキレイなのは流石にずるいなあ……」

不満そうに頬を風船のように膨らませるけれど、清姫君の髪を扱う手はきっと丁寧なもの。
かくして平穏な一時は甘やかな香りに包まれて行って、後で連絡先とか交換したに違いない。

ご案内:「銭湯」からアガサさんが去りました。
ご案内:「銭湯」から清姫 藍紗さんが去りました。