2020/06/25 のログ
ご案内:「地下闘技場」に池垣 あくるさんが現れました。
池垣 あくる > しばし乱入のない闘技場。
しかし、そこに一人の少女が身軽に入って行く。

「――お相手、願える?」

そういって、乱入者は手に持った槍を構えた。
槍は片鎌槍……長さはそれほどではないが、返しのついた鎌がついている造り。
その槍を持って、じりじりと、間合いを詰めようとしている。

フィーナ > 「…………もう、始まってるよ」
杖を携え、僅かに浮く。

戦場に立った瞬間戦いは始まるのだ。開始のゴングなんて意味はない。

杖に、術式を込めていく。

池垣 あくる > 「そう……」

じりじり、と間合いを詰めながらそう返し。
そして、お互いの間合いが6mほどになった瞬間。

「なら、死んで」

槍使いの少女が、超加速した。
力の溜めも何もなく、唐突に急加速。
一気に間合いを詰めながら、槍で心臓を貫こうとする……!

フィーナ > 「いきなり物騒」
込めた術式を発動し、重力魔術と火魔術を組み合わせた『小さな太陽』を放つ。小さな火球に見えるそれは、重力によって加圧され、当たれば『溶ける』代物だ。
誘導魔術に、重力で引き寄せる力もついている。

少なくとも、槍の軌道は変わるはずだ。

池垣 あくる > 「くすっ……」

小さく笑う。
そして、右手をぐりん、と廻し……穂先を、大きくしならせる。
――神槍『天耀』は片鎌槍。敢えて歪なバランスで作られた槍は、それ故に多種多様な動きを可能とする。
ぐりん、と右手を回すことに連動して槍自体も回転。
穂先のアンバランスさ故に回転のさせ方次第でそちらにより大きくしなる造りになっているのを活かし、目の前の小さな太陽を躱すように下方向に大きく軌道を変化させ……。

「ぐるり」

その瞬間に体を沈めながら、小さな太陽の重力に乗るように下から上に、フィーナの胴を突きに行く。

フィーナ > 「っ」
大きく軌道が変わった。読まれた?初見でここまで読まれるとは思ってなかった。
慌てて懐からスクロールを取り出し、魔力を通して発動する。

槍に肉が刺さる僅かな感覚が伝わると共に、姿を消した。

アーヴァから学んだ転移術で、大きく上に転移して回避し…否。僅かに腹に刺さったのか、赤く滲んでいる。

池垣 あくる > 「へえ……」

少し驚いたような表情を浮かべ、自分もぱっと飛び退る。
実際、この神槍『天耀』の変化に追いついてくるとは思っていなかったのだ。
『天耀』は多種多様な変化を持つ槍故に、初見殺しの属性を持つ。
槍の常識を上回ることで相手の意識の外から殺すのも得手の一つなのだ。
しかし、今、その奇襲が躱された。

「やるみたいですね。でも……変に足掻くと、苦しいですよ?」

さりとて動揺はない。
クスクス、と笑みを浮かべながら、じわじわと間合いを詰めていく。

フィーナ > 「…………」
勘違いをしている。どのような攻撃であれ、こちらの手を突破して被弾することは考えられる。その時の保険が役に立っただけだ。間に合ってもいないし、軌道を読んだわけでもない。
油断なく、次の術式を込め始める。

しかし、だ。辺に察しが良かったりするのに、抜けている。上空に浮く相手はこちらを見て詰めているが…

『小さな太陽』、避けなくて良いのだろうか?直撃したら死ぬような代物なのだが。

池垣 あくる > にこ。
微笑んだ。小さく、微笑んだ瞬間。
『小さな太陽』が迫ってくるのを、またしても超高速の加速で回避。ぎゅん、という音が聞こえそうな異様な速度で、太陽を振り切る。

「……めんどくさいですねこれ。これを無理に斬ったら、天耀ですら解けちゃいそう」

そして、少し鬱陶しそうに太陽を見る。
それがそのまま追尾し続けるようなものか、それとも地面などに当たれば消えるものか。
それを判断しようとしているようだ。

フィーナ > 「上手く逃げてね」
かつん、と杖を鳴らして、『鍵』を解除する。
追尾している太陽の重力魔法が、解除される。

圧縮されていた炎が、爆発したかのように、広がる。

フィーナは、術式を開放して水の障壁を作っていた。

池垣 あくる > 「うわ」

困ったような、驚いたような、そんな表情。
最悪だ。近接武器使いに対してこの手の拡散系攻撃は天敵である。
――それが、霜月一天流でなければ、だが。

「そりゃっ」

神槍『天耀』は、通常の槍に比していささか短めの造り。
それゆえ、槍の利点である長い間合いは損なわれているが……その代わり、細かい扱いのしやすさに勝る。
その天耀を、自分の前でぐるぐると高速で回す。槍で円状の盾を作るように。
しかし。

「あっづ!!やだ、あっつぅ……!」

高速回転させることで衝撃波などを防ぐ技『旋鏡』を用いて熱量を防御するも、防ぎ切れていない。
じりじりと肌が焼ける感覚がある。

「(まだ、かなあ……)」

しかし今はそれ以外出来ない。放熱が終わるのを待つ。

フィーナ > 「ふーん」
あの防ぎ方は斬新だなぁ。下手したら武器が駄目になるかもしれないのに。
自分のところまで炎が来なくなったところで水を纏めて、相手に向かって放る。

そして簡単な火の魔術を、魔力をふんだんに使って同程度の大きさの火の玉にして、水の塊にぶつける。

爆発するように、熱せられた水蒸気が飛んでくる。

池垣 あくる > 「わわ、やっばい……!」

右手で槍を回転させながら、左手でガサゴソとポケットを漁る。
そして。

「水行よ!!」

1枚の符を取り出し、水蒸気の方に投げつける。
投げつけた符は、簡易発動型の符。術式が事前に込められており、念じれば効果が発動するというもの。
今回の効果は、単純に水の壁を生み出すもの。
それで水蒸気を軽減させようと試みる。

――にしては、若干水量が少なめなのだが。

フィーナ > 「なるほど」
確かに、水蒸気は冷やせば水になる。水の壁の向こうには被害は出せないだろう。
「次の手を」
見下ろすように、高所に浮いたまま、次の魔術を込め始める。

池垣 あくる > 「距離が空くとダメですねぇ」

何とか太陽の放熱を凌いだ後、またしても地上で天耀を構える。

「(ええと、おおよそあの距離なら……)」

空中にいる限り、相手の優位は動かない。
そもそも短い天耀は、ああいう遠くへ逃げる相手には適さない。
が。

――池垣あくるの異能『縮地天女』は、それを覆す。

「やっ」

またしても一切の予備動作なく、5mほどの距離を超高速で上空へ移動する。
そして、そのままフィーナの持っている杖を槍で突き飛ばそうと、思い切り突き出した。

フィーナ > 「待ってました」
取り出したるは、またもスクロール。
魔力を凝固して、障壁を作り上げる。
生半可な攻撃では突破し得ないだろう。

そしてその槍の形状が、この障壁の突破を難しくする。

池垣 あくる > 「あっ」

これは誘われたな、と気づきつつも、思い切り突きを放つ。
が。

「(あ、ダメかも?)」

極めてしなりやすい天耀は、そのしなりやすさ故に突きを完璧な角度で放たないと、威力自体は逃げがちだ。
力押しではなく、変幻自在の動きで『確実に当てて殺す』武器なのである。
地上なら踏ん張って強烈な突きを見舞うことも可能だが、空中だとそれも出来ず。

「ああ、これ相性ダメな感じですね?」

言いながら、地上に落ちていく。

フィーナ > 「飛んでる相手に飛びかかるのが間違い」
上を取ったほうが優位。それはいつの時代も変わりなく、陸に於いても、空に於いても、同じことが言える。
単純な話で言えば、『位置エネルギー』の差だ。
下から上に攻撃すれば重力で減衰し、上から下に攻撃すれば重力が上乗せされる。
だから、『打ち下ろしは強い』のだ。

「頑張って耐えてね」
すぐ近くの天井に、術式を放ち、爆破する。

大小諸々の瓦礫が、地上に落ちてくるだろう。

池垣 あくる > 「それを言われたらおしまいと言えばそうなんですが」

世の中広い、と痛感する。
地上にいる相手ならまあ魔法だの異能だのでも何とでもなってきたが、当たり前に上空をキープされるとこうもしんどいものなのか。
冷静に考えつつ、しかし超高速の連突きで、自分に当たりそうな破片をひたすらに打ち落としていく。

「あだっ、うぐっ」

しかし、それでも完全には打ち落としきれず、多少なりのダメージは負う。
それでも、この攻撃規模に比して考えれば奇跡的ではあるが。

「(さて、どうしましょ)」

一応届く技はあるが、あくまで奥の手。出来れば使いたくない。
というかそのあとに不安がありすぎる。
この場をどう『畳む』かを、防ぎながら考える。

フィーナ > 「…さて。」
ふぉん、と。杖をあくるに向ける。無論、術式を込めて。
しかしまだ発動はしない。十全以上に魔力を込めつつ、提案する。

「そろそろ降参していただけると嬉しいのですが。別に貴方をどうこうしたいわけでもないですし。それに―――」

相手がこちらに手が届くということは、こちらとしては相当致命的なのだ。手持ちのスクロールも、そう多くはない。故に。

「次の攻撃、加減できないから。殺すかも。」

全力でやらねばならない。

池垣 あくる > 「うーーーーーーん」

降参は正直嫌である。
なんせ、強さを求めて師を裏切って槍を持ちだして飛び出してきたような人間だ。
『勝利』への執着は狂気の域にある。
が。

「(これ、変に突っ張って死ぬのが一番ダメっぽいなあ)」

一方で『最終的な勝利に繋ぐための冷静さ』もまた、あくるの持ち味であった。
多分、勝てなくはない。隙を見て奥義の一つでも叩き込めば、貧弱そうなあの体をグチャグチャにするのは簡単だ……そう考える一方で、その過程にリスクがありすぎるのも冷静に認識していた。

「――――――今回は負けですねぇ」

そういって、槍を下げる。

フィーナ > 「ありがとうございます」
そう言って、徐々に高度を下げ、相手の元に行くだろう。
こっそりと、スクロールを発動させ、光学術式で光を屈曲させ、自分の位置と相手から見える自分の位置をズラしながら。

まだ相手は手に武器を持っている。不意を撃つことは容易だろうから。

池垣 あくる > さく、と地面に槍を突き立てて降参の意を示す。
――実際のところ、ここから攻撃する手はあるのではあるが、今はそれを使うつもりはない。

「いやあ、久々に負けましたねぇ。飛ばれるってキツイなあ」

フィーナ > 「実際のところ悪い手ではありませんでしたよ。どうも貴方の…高速移動、でしょうか?あれを上手く使えば、不利も覆せたのではないでしょうか?それこそ、『天井を足場にする』等すれば。」

半身をずらしつつ、握手を求める。

池垣 あくる > 「ああ、空中殺法なんてやったことなかったから思いつきませんでしたけど、そういうのもアリですねえ」

とはいえ、それはそれで『不安定な空中を駆ける』問題はあるのだが、対策がないよりはましだろう。

「どうもどうも。ああ、私、池垣あくるといいます」

握手に応じながらとりあえず名乗って置く。

フィーナ > 「フィーナと申します。今日は良い戦いでした」
握手をし、その手を上げる。
相手の手を掲げたまま、控室に行くだろう。

この状況で乱入されたらたまらないからね。

池垣 あくる > 「エスコート、お願いしますね」

言いながら、控室についていくだろう。
一応、周囲への警戒は怠らないまま。

ご案内:「地下闘技場」から池垣 あくるさんが去りました。
ご案内:「地下闘技場」からフィーナさんが去りました。