2020/09/27 のログ
伊都波 凛霞 >  
「……ぷは、っ…──」

しばしの時間が流れ…離れる唇。身体は…離れていない。顔の、距離も

「…い、息。止めちゃって…」
「か、顔…真っ赤、だよね……?」

ただ唇同士を重ね合わせるだけの、可愛らしいキス
でもそれが二人の…スタート地点から数えてきっと初めての行為だったから
心臓は凄く高鳴っているし、顔もすごく熱いし、視線も思わず泳いでしまう
──その上、間髪入れずに答えを、聞かされて…
十分、行動で示してくれたのに、言葉でも、しっかり……

どうしよう
嬉しくて、少し…泣きそうになった

「……うん…、うんっ」
「私も、今度こそ絶対夷弦の隣にいるから…どこかに独りでなんて行かせないもん…」

頷いて、肯定して、自分もそうだという、意思を伝えて……──再び、唇を重ねる

さっきのキスは、二人の関係が変わったことを示していた…と、思う
だから、今のこのキスはきっと…恋人同士であるということの、示唆……

再び唇が離れた時に、まーどう考えても顔も頬も耳も真っ赤なんだろうから今更何も恥ずかしいことなんてあるもんか、と

「……え、っと…」
「…私達、……恋人、ってコトで…いい、デスカ…?」

触れ合ったまま……そんな、やや固い口調で、確認してしまうまである

出雲寺 夷弦 > 「――……っ、はッ……」

一度目のキス。間の返事。二度目のキス。
そこは夷弦の肺活量が成せる故に、彼については呼吸をするどころかほぼ一息。
二度目の口づけが離れて、真っ赤で、荒い息をしながら、
視線が重なり、密着する身体の温度を共有しながら、……相手の言葉に頷いた。

二人が、お互いを、ずっと隣にいる。一人にしない。そう結んだなら。もう、きっと、大丈夫。


「ぇ、あー、えっと」


正気に返ってみれば、かなり大胆なことをしたし、というかさっきのはなんかもう、最早プロポーズじみたような事を言った。
それを言うならきっと以前の廊下での――(寸断される思考。)――ともあれ。

「恋人同士じゃなきゃ、こんなこと言わねぇし、しないだろ……」

――視線を逸らし、真っ赤な顔で呟く。
夷弦にしては、頑張った。

「……こういう、場所でさ、二人で、こんなかっこで、並んでベッドに、寝て、キスまで、してたら、さ」

「……その」


「…………」


これはもう、そういう風になるんじゃ?

伊都波 凛霞 >  
「…そ、だね。こういう場所…だから」

二人で並んで、ベッドに寝そべって
唇も重ねて、想いを交換して…恋人同士なんだと、理解し合って…

「……夷弦がいいなら、私もいいよ」
「────でも」

そういう間柄になったなら‥
こういうコトも、するような距離になってしまったなら
黙っているのは…辛い、痛い、苦しい──

「…だからこそ、夷弦に、いわなきゃ」

伏し目がちにそう言葉を続けて……ああ、別の意味で緊張してきてしまった
…嫌いにならないかな。傷つかないかな。…離れていったり、しないかな
不安はたくさんだ

思わずその不安は表情に出てしまって…視線を伏せたまま、次の言葉が、出ないままでいた

出雲寺 夷弦 > 「……凛霞?」

見たこともない顔だった。
――不安に、押しつぶされそうな顔をした凛霞の顔を、
自分は初めて見たのだから。

言わなきゃと言いながら言葉を詰まらせる理由に、彼は存外、目聡かった。

だから、彼なりの促し方は、少しだけ不思議だった。

「……凛霞」

そっと背に回していた手で、貴女の手を握ってくる。
そして、その手を引いていく先は、"彼の心臓のある場所"だ。

――伝わってくる、たしかな拍動と共に、熱量も。

「動いてるだろ、俺の心臓。もう、これがお前に聴こえない場所になんて行かないんだ。俺だって、行きたくないし、離れたくないんだ」

紅い眼が、見つめてくる。
真っ直ぐで、輝いている。宝石という、綺麗じゃない、
生命の輝き、生きているという、確かな光。

彼は生きてここにいる。そうなれた、理由。
もう、どんなことがあったって、彼は遠くへ行くことはないのだろう。
そう、安心させるためだった。

伊都波 凛霞 >  
手をとられ、導かれて…彼の厚い胸板へと触れる
確かな鼓動をそこに感じて…彼の言葉を、存在を信じていいのだと
そんな小さな勇気を、後押ししてくれた───

「…わたし、はじめてじゃない」

最初に口にしたのは、そんな言葉だった

「あの廃寺で夷弦の残滓を見つけるまで…わたし、夷弦のこと頑張って忘れようとしてた…」
「だから、告白とかされて、彼氏も作ったし……そういうコトも、してる──」
「…それに、それだけじゃなくて……」

ぎゅ、と胸に当てていた手を、小さく握る
それはもう一握りの、勇気を振り搾るため
あったことを告白する勇気じゃない、彼を多少なりとも──傷つける勇気だ

「優等生なんかじゃないの、わたし」
「落第街で少しヘマをしちゃって…」
「その時に、写真、撮られて……それで───」

少しずつ、声が小さくなっていくのが自分でもわかる
全部言いたくない
でも、伝えないと……

少しだけ、震えながら
…彼の顔色を伺った。──…まるで叱られるのを怖がる子供のような
普段の凛霞からは、絶対に見て取れない、そんな表情を見せていた

出雲寺 夷弦 > 「――――――。」




『はじめてじゃない。』


腕の中、その握られる手は、きっと、震えている。
自分の手も重ねているけれど、たった、たった一言で。

――少しどころじゃない、動揺があった。
だけど、それを表にしてしまえば、覚悟を揺らがせてしまう。
凛霞という女の子が、口にする言葉を受け止める。



『……俺は、この子の隣に、
居てあげられなかった時間が長すぎたんだ。』


「……大丈夫だよ」

――その、責任と、代償。
その全部を受け止める為に、彼は努めて優しく、囁いた。
大丈夫、最後まで聞かせて欲しい。

「凛霞、……最後まで聞かせてくれ。
俺は、それをしっかりと受け止めないといけない」


――恋人として。大事な女の子の全部を受け止める。
それは傷つくだけじゃ済まないことも、覚悟の上だった。
自分は鋼じゃない、仙人でもない、言われて傷つくこと、苦しむこと、辛いこと。
きっと、言う側はもっとつらいことを、一緒に受け止めてあげなきゃいけないんだと。

伊都波 凛霞 >  
「………」

目は、伏せたままだった
合わせる顔がない…なんて、こんな時に使う言葉なんだろう
でも彼は、受け止めるのだと…はっきり口にした
一方的に待って、待って…ずっと待っていたなんて
本当は忘れようとしたくせに、忘れられなかっただけなくせに
情けない
こんな時にちゃんと向き合わなくて、どうするのか──

顔をあげて、視線を交わす
いたたまれない顔…なのはどちらも同じだろうか
過ぎ去った時間の話とはいえ、変えられない現実って惨酷だなあ…なんて思う

「写真、SNSにバラ撒かれちゃって。
 もちろん皆が見たわけじゃないんだけど、その…学園のね
 素行の悪い子達がそれをわたしに見せて、さ ……………」

「…一ヶ月くらい、体育倉庫でその子達の相手、させられてた───」

「…だから、夷弦の思い出にあるような…綺麗なカラダじゃないんだ。わたし」

頑張って、笑顔をつくろう
ぎゅっと、握っていないほうの手でバスローブをたぐって、身体を隠すようにして、そう言葉を終えた

「…綺麗な、夷弦に見せられないくらい、ホントは…汚れてるの」

「……───ごめんね」

最後に、小さな言葉で…
清い身体のまま彼を待てなかった自分を悔いるように、そう零した

出雲寺 夷弦 > ――隣に居れなかったことを、悔やんだ。

傍に居てあげられなかったことを、悔やんだ。

悔やんだ。悔やむ。悔やむ。苦しむ。苦しむ。苦しむ。


『――それが、どうした。』

『一番つらかったのは誰だ?自分じゃない。』


『この子自身じゃないか。』


「……凛霞」



本当は、身体の内側で騒ぎ立てる何かが、理性の殻を突き破ろうとしていた。
それは怒り、憤怒、後悔、悲嘆。色々な感情の奔流そのものだ。
だから、それが大きな波になる度に、奥歯を噛み締める。

だから、目の前にいる女の子の顔をちゃんと見て、その笑顔を見て、
大きく、心が揺れた。

愛おしさ?違う。

恋しさ?違う。

可哀想?違う。

悔しさ?違う。

――解ってる。これは、きっと。

『嫉妬』だ。とても、とても、醜いものだった。
けれど今は、その感情の御蔭で、この女の子を抱きしめていられた。



「凛霞」

――バスローブを掴む手を、上から重ねるようにして掴む。
ゆっくりと身体を寄せさせて、それから囁く。

「……俺には、それが、よく判らない。今、凛霞に対する気持ちは、好きだって気持ちと、それから、その、上手く言えないんだ。
――綺麗な、感情じゃないのは間違いなくて、だけど」


「俺、凛霞のことを、汚いとか、綺麗だとか、思えないし、俺が凛霞を好きな気持ちって、そういうので揺らぐものじゃないって、思うんだ」

出雲寺 夷弦 > 「――俺さ」


――視線を重ねた時に気づく。
夷弦の表情は、子供のような悔しさが滲んでいて、だけど、何処かで、
悲しいとか、辛いとか。

……それを彼は飲み込んでいる。飲み込めている。
"人間"が許容出来ない、"淀み"のようなものがあるのに、
それを御している。



「……多分、もっと、怒ったり、泣いたりした方が良いのかもしれない。
だけど、それをする以上に俺がしなきゃいけないことは――きっと、違うんだよな」



「凛霞のことを、大事にしてやること。好きでいてあげることで、それから」


「愛して、あげることだろ、きっと」

伊都波 凛霞 >  
手を捕まれ、身を再び、寄せられる
掴んで見れば、その手首の細さ…華奢さは驚くほど、だろう

彼の表情からは、色んな感情が見て取れた

「…夷弦」

名前を呼び返す
その首元に、そっと自らの頭を寄せ…まるで仔猫が甘えるように

「…だったら、嘘でも『綺麗』って、言って欲しいな───」

凛霞だって一人の女の子
甘い嘘には、少しだけ痺れてしまう
それが自分が好きで…好かれたい相手なら、尚のこと

それから、彼の最後の言葉には思わずくすりと、笑ってしまって
まさか彼の口からそんなセリフが聞けるなんて…鬼になってた間に何かあったんじゃ?と思うくらい

「──じゃ、愛してもらう」

首元にあずけていた頭を起こして、にんまりとした笑みを向ける
彼に隠し事をしている…なんていう蟠りは綺麗さっぱり消え去った、そんな笑顔だった

出雲寺 夷弦 > 「……」

嗚呼、やっぱり、細い。
触れるほど、細くて、弱くて、"普通"なんだと思わされる。
好きな女の子は、やっぱり、ただの、普通の女の子なんだ。

――首元に、頭を寄せてきた。優しく片手で頭に触れ、髪を、頭を、撫でる。
……彼の内、もう、躊躇はない。


「……嘘でも、なんて言うな」

――真っ直ぐに見つめる。彼がそうするときって、妙に勇気を含んだ行動をするときだ。

バスローブに手を掛けて、優しく払ってくる。
その身体に、嘘偽りのない言葉で、言わなきゃいけない。
言いたいことが、一杯ある。


「昔からずっと、今だって、凛霞は綺麗で、可愛くて、だけど、普通の女の子で。
俺は、だから、死ぬより前から、死ぬほどお前が好きだったんだ」

――脱がせた相手に言うには、ちょっと迫り過ぎる言葉だが。
今はそれくらい強く言った方が、きっと、いい。

「……愛する。なんというか、俺自身、多分後はもう、"言葉じゃ足りない"」

伊都波 凛霞 >  
「は、ひゃい…」

ものすごくまっすぐ見つめられて、ちょっとだけ萎縮…というか、アレ。キュンってなる

そのままバスローブに手をかけられて…

「───あ…」

まぁ紐一つで閉じられているような衣服だ
簡単に払われて、その生まれたままの裸体が照明の下に、顕になった
長身である凛霞を鑑みても豊かに実りすぎた白い双丘も
体格の割に矮躯だとわからせるような細い肩も、整ったラインを見せる臍も…
ベッドの上で、曝け出されてしまった

死ぬ前から好きだった──
おまけに、そんなことまで言われてしまっては、トドメに等しい
一糸纏わぬ姿を見られている…ということも合わさって、ドキドキが止まらない…

「…み、見られると結構はずかしい…よね…」

綺麗に見えてるかな
がっかり、されてないかな──
期待と不安が織り混ざる中、灯り消して、なんて月次なセリフは言えなかった

出雲寺 夷弦 > 「……」



全部を映して、全部を見て、曝け出された凛霞の裸体を見た夷弦は、
ゆっくりとその身体をまた抱き締めてくる。

……ぎゅぅ、と、抱きしめる。


「……恥ずかしいのは、こっちも一緒だよ。だけど、ここで、そうするとこじゃない、だろ?その、俺が、さ」

――耳まで真っ赤。ずっと、ずっと顔の熱は引いてない。



「……しっかりしないといけないとこくらい、俺だって、するさ」



顔を覗き込む。触れあう身体。
彼も、いい加減覚悟を決めたように自分のバスローブも緩め、脱ぎ捨てる。
――いつも見えていただろうけれど、本当に彼は、『漢』の身体をしている。
それを今、こうやってお互い、何も隠すこともせずにさらけ出している。


「……凛霞、その」

おず、と、ここでちょっとだけ照れ混じりに。

「――俺が、一番お前を好きだってことを、これから教えるから、だから」

視線を重ねた。優しく笑いかけた。

「もう、抱え込まないでいいよ。どんなことがあったって、俺はお前に、死ぬほど首ったけで、今も変わらなくて、情けない位、一緒にいれて、幸せな事を押さえられないんだからな」

出雲寺 夷弦 > ――――もう一度、口づけをした。
これで三度目。これから、全部を愛して、自分を刻むという意味。
雨は、何時か、何時の間にか、何処か、静かに止むことだろう。

肌寒い雨が止む。静かに熱を奪って、歩いてくる秋。
独りじゃ肌寒い。だから、誰かと一緒がいい。
もう一人じゃない。

独りで蹲って超す夜は無い。独りで抱いて眠る夜も無い。
此れから先、もう夜は、寒くない。
寒ささえも、暖かさを得る為の互いにとって、
とても便利な口実に出来る。


だから、もう、二人に、寒い秋も、冬もこない。
だから、もう、二人は、暖かい中、その手を握り合う。



『隣で、隣に』

『二人を死が別つとも』

『俺は、凛霞のことが、大好きだ。』

伊都波 凛霞 >  
ぎゅっ、と抱きしめられてしまった
ずっと見られてると恥ずかしい、みたいなのを気にしてくれたのかもしれないし
ただそうしたくて、してくれただけかもしれない
でも彼の強い身体にそうされるのは、なんだか安心できて…
互いの鼓動の、呼吸の…そして体温の交換があまりにも、心地よくて──

「──私も…」
「今、死ぬほど首ったけになっちゃいました…ハイ…」

そんな殺し文句ある?
少なくともお互い好き合って
感覚的には中学生レベルの恋愛感情だったのかもしれない
今日、たまたま雨に降られて、駆け込んだホテル
お互いそんなつもりはきっとなかったはずなのによもやの急接近…
一緒にいて、幸せなことを抑えられないなんて…そんなこと、言われて

蕩けない女がこの世におりましょうか

伊都波 凛霞 >  
「…服。乾くまでまだまだかかりそう」
「……何もせず待ってる、なんていうのも……もったいないもんね」

こうやって一緒にいれる時間だって、無限じゃない
命と命の繋がりはいつだって有限の時間の中なのだ
ちょっとだけ、自分のほうがこういうコトに関しては先達なんだぞ、というような
余裕?を見せたようなセリフは照れ隠しか、それとも

──ゆっくりと瞳を閉じて、彼からの三度目の口吻を待つ
そのまま、身体を重ね……時を忘れて

お互い気づいた時には、服なんかすっかり乾いてて
ちょっとだけ気まずそうにお互い笑ってしまったり、家に連絡してみたり…
最後はほんのちょっとだけドタバタ、そんな雨の日の出来事

後から思い出すもやや甘酸っぱい、初秋の記憶──

ご案内:「歓楽街の小さなホテル(過激描写注意)3」から出雲寺 夷弦さんが去りました。
ご案内:「歓楽街の小さなホテル(過激描写注意)3」から伊都波 凛霞さんが去りました。