2021/10/20 のログ
ご案内:「◆違反組織群地下廃道」にO RLYさんが現れました。
■O RLY >
日の当たらない地下という場所は日陰者にとって絶好の逃走路でもあり、そして時に心地よい住処ですらある。
とはいえ、通行にはともかく居住に足る場所となるとあまり多いわけでもない。
まるで屋敷の様に改築して豪華な明かりに囲まれている場所で住まうもの好きもいるがそんな場所はごくごく一握り。
明かり一つないそんな場所に乾いた音ともにニ、三度光が奔った。
手元の大型拳銃で”お話”を終えたそれは一瞬で消えていく光と共にわずかに反響して遠ざかっていく音に
感けることなく鼻歌を歌いながら弾を装填しなおしていた。
一連の動作の後、足元に積もった汚泥を踏みにじるとホルスターに銃をしまい、代わりに小さなスイッチを手に取り押す。
数秒後地響きのような低い音が反響して聞こえてくる。どうやら”開拓”は上手くいったようだ。
「さてと、”哀れ、君の冒険は此処で終わってしまった”と。
キヒ、しょーもねぇ。これだから節穴ってのは」
こういった反社会的団体の敵は何も風紀や警察だけではない。
むしろ日常的に他団体の脅威にさらされている分それらの脅威の方がより大きいといっても良いだろう。
そしてそれは地下の通路の情報の奪い合いという形でも現れる。
いかに最新の、そして安全な道を把握しているかが生死を分けるがゆえに
既存の道を崩し、新しい道を繋ぎ、侵入者を拒むために塞ぐ。
まるで蟻の領土の奪い合いのようだ。蟻の数匹が消えたところで気にしないというのも
実にそれらしいなと自分のセンスを誉めつつ通信機のダイヤルをプッシュ。
「”蟻共、聞こえてる?
OKOK,聞こえてんならビーコン設置したから荷物回収よろしくぅ
あ、死体処理だっててめぇらの仕事だろ。こっちは開拓ルート情報集めてんだ。
秘匿回線?ガタガタ言うなよ。お役所か?
スカベンジャーは大人しく仕事しなぁ。んじゃおーばー”」
一方的に通信機の電源を切ると軽く背伸びをして首を鳴らす。
全くつまらない追いかけっこだった。こんな場所で目に頼るから迷子になる。
勝手に走って勝手に迷子になって勝手に半狂乱になってるんだから世話はない。
「ま、その分ルート特定にはなったけどさぁ。
これだからシロートはさぁ」
幾ら暗闇と閉所が苦にならないとはいえ、この馬鹿みたいに入り組んだルートの特定には流石に骨が折れる。
何処を使ってどこの奴らがどんなことをしているのか。またその逆は何処なのか。
そんな情報はいつだって生モノだし、特定には色々と準備と調査が必要だ。
そういった厄介ごとを回避するには?簡単だ。
「ま、道案内ご苦労さん」
今はもう物言わぬ物体に向かって皮肉気に呟くとその場所を後に歩き始める。
奥の繋がっているルートは爆破して封鎖してきた。もし使用しようとすれば行き止まりで立ち往生することになるだろう。
逆にこっちは彼らが使っていたルートを丸々流用できる。マッピングさえ怠らなければ。
我ながらいい仕事だ。
■O RLY >
「今日はB4くらいまで行くかねぇ」
光一つない地下坑道を迷うことなく歩き続ける。どうやらここはそれなりに大きな組織が利用していたもののようだ。
給電用のコードが通っているし二輪車位なら普通に走行できる程度には造りがしっかりしている。
とりあえずガイドマーカーは設置した。マッピング用にぶん投げたウォッチャーと暗視ゴーグルでもつけてれば
蟻の連中でも3Dマップ位は作れるはずだ。あとは一部の熱心な奴らがさっさと終わらせてくれる。
こちらが手を煩わせるほどの案件じゃない。
「しかし狗ばっかだなぁ。つまんねぇ」
暗闇を歩きながら思わず零れるのは不満。
分かってはいたことだが、こういった団体ですら”教育”が甘い。
ただの社会不適応者がはじき出された先で社会ごっこをしているだけだ。
誰かの狗で、群れの一員でなければ安心できない。
そのくせ無駄にイキるだけの馬鹿が多すぎて早々に”集団行動”からは抜けてしまった。
「どーしてこう、大き目の母集団に所属するとなるとイキる奴がこんなに多いのかねぇ?」
島の治安維持装置……風紀ではない。もっと別の何かだが、それに麻痺させられているのか
何人か頭蓋骨に追加のケツ穴をあけてやらないと状況を理解できない。
此処だってそうだ。これだけ整備されている道は誰だって使いたい。故に大まかな位置は推察できるともいえる。
ただ暗いだけなら暗視系の道具なり、そういった能力者を使えばいい。
どうも平和ボケしているというか、オママゴト感が抜けないというか。
やはり人類の50%近くが似た精神構造をしているという事は事実なのだろう。
社会不適合者や逸脱者といえど例外ではない。
「いや違うな。
大体は本能に従ってるだけか。どっちにしてもつっまんねぇ」
愚痴りたくもなるというものだ。理解しているのと不愉快ではない事とは違う。
衛生害虫Gと一緒だ。わかっていようとキモいものはキモいのだ。
「そう考えたらベクトルが違うだけってのは分かっちゃいるけどさぁ…?
羅刹の旦那でも爆撃したら多少は面白くなるのかねぇ」
■O RLY >
「あれらをやろうと思ったらどんな奴が良いかねぇ……。
大抵は何とかなるっちゃなるが矢面に出てくる奴らは
簡単な爆破だったら避けるのもいない訳じゃないしなぁ。」
近接自体は不得意ではなく、むしろかなり得意な方だが嗜好だけで言えばどちらかというとボマー寄りだ。
砲撃は軌跡が見える。銃弾は規模が狭い。
その点爆破は良い。点火でピンポイントに十分な火力を出せる。
まぁグレランとか迫撃砲も好きっちゃ好きだが。
ロケラン?ありゃ残念賞だ。
「例の剣客に仕留められたらつまんねぇなぁ。
ま、うちのボスだって手の内明かしてるわけじゃねーだろうし簡単にはいかねぇか。多分。
例の”レディ”は今のところ使い物になりそうにないし。
聞いた話筋金入りの”潔癖症”だもんなぁあれ。」
一応梟に所属している以上、他の部署よりは情報が集約されてはいるが
逆に言えば梟ですらあまり成果が出せていないともいえる。
いくら教育中とはいえ眼鼻が利かないというのは非常に面倒くさい。
まぁある意味仕方がない。ハッキングなんかの”お上品”な情報収集はどうしても下準備に時間がかかる。
「はぁ、楽しく遊ぶのにも楽できねぇってどーなのよ。
あーでもヤクはともかくウリにはうるさいらしいんだよなぁあのおっさん…。」
ぼやきながら地下道の壁を軽くノックする。
拳の先でパラパラと崩れていくコンクリートには目もくれず、コンコンとノックしながら歩き続け
「うし。この辺」
とある一か所で立ち止まるとサイドバックから爆薬を取りだし取り付けていく。
手早く済ませると少しだけ離れ、壁に凭れ掛かりじっと目を瞑った。
つま先が足元に積もっていた泥をかき分けわずかに拍を刻むが辺りに音はなく、暗闇には只静寂が満ちていた。