2021/11/05 のログ
ご案内:「◆送電塔」にO RLYさんが現れました。
■O RLY >
「あー……さっむ」
今日は風が強い。
穏やかな天気であったものの日が落ちたころから別の風が吹きはじめた。
それはパタパタと髪を揺らし、まるで季節を間違えたかのように
雪じみたものをこの場所まで舞い上げている。
『針鼠は放たれた。オーバー』
既に廃棄された電線塔に腰掛け、片足を抱えたまま
腰辺りにぶら下げていた通信機を手に取り告げる。
この季節は肌寒くていけない。
もう秋も深まり日が落ちるのが早くなったなと空を仰ぎながら
見上げた空は今日はなんだか濁って見える。
『各員はバラ塗を放棄し、速やかに庭から撤収せよ。
庭からの非常路は既に通達した通り。
招待客以外はすべて丁重にお見送りするように』
予想通り、涎をまき散らしながら駄犬が食いついた。
流石に実行維持部隊をなのるだけはあり、そこそこ壮観な事になっている。
予め攻勢に出てくることは伝えてあるが、それを信じなかった者も大勢いる。
勿論彼らが死のうが首を落とされようが知った事ではないが……
『庭より外は『ビル』の指示を待て。
今後当通信コードにおける通信は全てババである。
あらかじめ設定された行動指針に従い正しく対処せよ。』
眼下には焔と煙、そして瓦礫が広がる
その中には梟の巣の一つもあった。
あの中のアイスが多少無駄になった事を考えるとどうしても眉が寄ってしまうが……
■O RLY >
「クリケットはもう暫く続くし
球を避けなかったフラミンゴもいる。
観客も増えたみたいだしそろそろ顔を出してきた奴らもいる。
……さてさて、裁判はどうなるやら」
バタバタと空を切る回転翼も、弧を描く焔線も
それによって立ち上る黒煙も之だけ離れれば他人事。
好き放題に暴れてもらおう。どいつもこいつも。
掌の上で踊り狂っているうちは取り立てて何かをするでもなし。
ある意味、ここまで想定通りに動いたことに拍子抜けすらする。
「さて、ポーンは無事に盤面に散ったし……
”ご来場の皆様、劇の開始までしばらくお待ちください”なぁんて」
開演時間に遅れながらも演者がどれだけ集まるか見ものだが……
まぁ結末は決まった劇だ。どうせなら集まった客にも舞台に上がってもらおう。
■O RLY >
「あは、まったく困っちゃうなぁ。
差し手が何人もいるからチェスみたいに美しい盤面にはなんないじゃん。
折角此処まで”スコアボード”綺麗にしてんだから
有利交換でも狙ってくれりゃ―いいのに。」
目を瞑ったまま視た景色がぐるぐると回る。
広く、広く、そして深くまで”百の眼”で見る景色はいかにも脆く、彩の無いつまらない世界。
あ、将を欠いた部隊が交戦してる。ま、別に大した被害は受けないでしょう。彼らは補給が豊かだし。
「一度落ちた駒は盤面へは戻れない。
けど、プロモーションまでは在りうる話。
ま、最初から駒は足りてない。初期配置もバラバラ。
そんな狂った”オンボード”だけれど。」
これはゲームではない。ただの錯乱。
秩序も安寧もない短期狂気のようなもの。
けれどそれがどうしたというのだろう。
そう、自明。混沌に満ちた盤面ほど面白い。
精々精神を削り、薄皮一枚に隠された狂気を振りかざせ。
「……現世のヒト共や、楽しませておくれや?
踊り眠るだけでは暇が過ぎる。」
ゆっくりと立ち上がり、古代の巨人の骨のような鉄塔の上でつま先立ちで踊る。
演劇の前の余興は大事。それが前奏か、または道化のショーかは、見てからオタノシミ。
「さてこれより始まるはありふれた戦争譚。
この物語の紡ぎは悲劇か喜劇か。
いずれにせよ有り触れた、つまらない人形劇にございます」
電線の残骸に群れる烏におどけて一礼をする。
既に仕込みの大半は終わっている。
後は舞台が勝手に回ってくれるだけ。
簡単ですとも。神様はサイコロを振りませんから。
そう嗤いながら、腕を振り、それに煽られたかのように無数の烏が一斉に飛び立つ。
同時に鉄塔の一部が軋むような音を立てる。
「最期に”タルト”をもって笑うのは……」
舞い散る漆黒の羽の中、触れるもの全てを灰に変えながら
それは実に清々しいまでに狂った笑みを浮かべていた。
ご案内:「◆送電塔」からO RLYさんが去りました。
ご案内:「◆送電塔」にO RLYさんが現れました。
■O RLY > (ログ取りを忘れたので採取……)
ご案内:「◆送電塔」からO RLYさんが去りました。
ご案内:「送電塔」にノーフェイスさんが現れました。
■ノーフェイス >
気配の失せた場所に女は降り立った。
いと高き塔の上で風に煽られながら吐いた溜め息は、煙草の紫煙よりも白く見えた。
誰も届かず誰の眼にも触れないような高所だった。
こうやって盤面を見下ろせばまるで自分が何か別のものに感じてしまいそうだ。
「どうして…」
女はぽつりと透明な声でつぶやく。
たったひとりの送電塔。
ここは何て寂しい場所だろう。
■ノーフェイス >
「キミは、いつもひとりでいるんだい?」
しゃがみこみ、蠢く盤上に眼を凝らせばそれはなんと眩しいことか。
生きていた。静まり返っていたような気がした街が生きている。
おお、なんと素晴らしい。そこには生があった。
「こんな楽しそうなコトが起こっているこの街で。
ボクならそんなの、寂しくてつらくて耐えられない」
駒と駒でぶつからなければ熱が生まれることはない。
女はニンゲンではないからこそその摩擦熱を何よりも尊んだ。
「恐がってないで、盤面に飛び込みなよ。
指し手気取りの駒未満のまんまじゃ、
全部美味しいところ食べつくされて、
何もいいところもないまま、『全部終わっちゃう』よ?」
女はそうして身を踊らせた。
街をなめる赤い舌、焼き焦げる炎の中へ。
ご案内:「送電塔」からノーフェイスさんが去りました。
ご案内:「違反組織拠点」に『虚無』さんが現れました。
■『虚無』 >
違反組織の拠点スラムにほど近いそれは破壊の限りが尽くされていた。
周囲を鑑みぬ攻撃。歩兵戦車やドローンなどの最先端の兵器。そしてそんな兵器が来ることをわかっていながらスラムの住民を肉盾にするべくここに誘い込んだ違反組織による能力者の激突。
しかしそれらによる被害だけではない。
周囲にちらばる死体。数十にも上るそれは……違反組織の者と風紀委員の者が混ざり合っているからだ。そして最先端の兵器はことごとくがスクラップになっていた。
共倒れ? 現場だけみればそうだろう。だがそれに対して圧倒的な違和感がひとつ。
「……」
その中心。汚れひとつなく立つ男の姿。共倒れならば絶対にありえない姿がそこにいた。
彼こそがここの惨劇の張本人。とはいっても、施設の破壊は彼の手によるものではない。ここで戦闘が起こり、スラムに多くの被害が出そうになった。
だから彼らが避難するまでの間。ここを止める必要があった。それだけだ。
彼がここにいる理由もそれ。もし違反組織のメンバーか風紀委員か。どちらにせよ連絡が無ければ全滅したと判断し増援が来るだろう。どちらの増援がくるにしても避難しているスラムの人たちが危ない。故に増援部隊までをここで殲滅するつもりで待ち構えているのだ。
ご案内:「違反組織拠点」にO RLYさんが現れました。
■O RLY >
「っと、あれ?
もう終わってるなんて早かったね」
そんな声が夜空から降った。
その直後近くの廃ビルの上から人影が一つ月下に白髪を晒しながら飛び降りた。
「ひーぃふぅみ、よ、いつむー……」
その影は破壊の跡に腰掛け、足をぶらつかせながら死体を指さし数えるも
途中から指先を天に向け適当に星を数え始める。
珍しくもない場所で珍しくもない光景。
無いはずの場所などという有り触れた場所で
表情一つ変えることなく数を数え続けて……
「会うのは初めまして、だねぇ。
で、随分遅かったじゃないか。処刑人。
前はやり合ってたみたいだけど今回は見逃すことにしたの?」
唐突に眼下の人影に皮肉気な口調で投げかけた。
■『虚無』 >
声をかけられるとそちらを眺める。それから目線をズラす。
「見逃すというのが何なのかわからないが……生き残りでもこの中にいたか? 俺には関係のない話だが」
と周囲の死体に目線を向けるそこには何の感情もこもってはいない。
敵の死体などにいちいち感情移入していられないのだ。
「さて、そういうお前こそ違反組織側か、それともただの野次馬か……野次馬なら残念だったな。こいつらは全員”共倒れ”だ。面白味も無いだろう」
と自身を見られれば見え見えの嘘をあっさりと言い切る。
それは暗にそういう事にしておけという意味合いでもある。しかし野次馬ならという通り野次馬でないのならそういう事にするか敵になるかという2択を投げつける形にもなってしまっているわけだが。
■O RLY >
「ふーん。いや、まぁどっちでも良いんだけどさ、アタシは。
ぶっちゃけそういうのは興味ないし。」
知った相手がいない訳ではないが”オトモダチ”でもない。
必要だから知っていた相手が死んだところで興味を持てる筈もない。
むしろ興味があるのはその場に立っているモノ。
「あ、そゆことね?おーけーおーけ。」
その割にはあっさりと両手を宙に掲げひらひらと遊ばせる。
明確に答える必要が無い質問。なら一々火種を呼ぶまでもないし。
少なくとも今のタイミングでは。だけれども。
「それで?”偶然駆け付けた”あんたは当然そのまま家に帰って大人しくしとくの?
それとも善良なる市民として風紀委員に知らせに行く?ほっといても来るだろうけど。
あ、火事場泥棒で暴れるのも良いね。今まさに火事場だし。」
■『虚無』 >
「善良なんて口が裂けても言える立場ではない。それに……今のご時世、風紀委員にタレ込むよりスラムの長老にでもタレ込んだ方が有意義だ。もうこの街の風紀委員は信用にならない」
眼科に転がる風紀委員の死体を一瞥して、興味も無さげに視線を移す。
そして少しだけ笑ったような声を出す。
「で、帰るかと言われたらNOだ。生憎、ここにいないといけない用事もあってな。お前が野次馬なら関係ないが……違反組織と風紀委員に帰り道を教えてやる必要があるだろう。そうじゃないとまたドンパチが始まる」
こっちとしては迷惑この上ないよと首をユルユルと振るった。
さて、彼女の事を頭の中で整理する。立場として野次馬であるのなら、ここで話す内容がこうなる可能性は低いと思っている。どんな戦いだったかだとかその辺を聞かれるはずだ。
そもそも、彼女の立ち位置を見ればわかる。明確にこちらと距離を離している。警戒しているかのように。
「でだ、こっちも首が痛い。そろそろ降りてきたらどうだ。お互い声を張り上げるのも疲れるだろう」
だからまずは相手を同じ土俵に引っ張り下ろす。
相手を見上げるとそういう。
■O RLY >
「いんにゃ?アタシは全然疲れてないからへーきぃ。
ほら、いろんなゲームとかそうじゃん。梟ってのはさぁ、高い所からぺちゃくちゃ喋るんだよ。」
軽やかに笑いながらも近寄るそぶりも見せない。
戦闘記録や情報は多少集まっている相手だけれど、
それだけがすべてだと思うのはいくらか楽観主義が過ぎる。
辺りに目を配りゆっくりと場を観察し、分析し続けて
「しっかしまぁ、風紀が信用ならないのはこの場を見れば当然か。
虐げても良い。そう判断したからこのありさまな訳で。ま、いいじゃん、ほっとけば。
両方とも暴れまわりたくてわざわざ出てきてんだからさぁ、
好きに”相打ち”にした方が多少は世界が綺麗になろうってもんでしょ」
まるで冷たい風に吹かれたように突き放すような口調が混じる。
態々出張ってきている馬鹿共はともかく、この辺りに居る奴も死にたくないなら勝手に避難でもすればいい。
此処でしか生きていけない者達が居る、なんて意味不明な事を言うのもいるが、
一時避難すらできないならそれはもう地縛霊の一種だし運が悪かったね、ご愁傷様で終わり。
「とはいえ、アタシも暇なんだよねぇ。
あっちもこっちも台本通りで話は進んでる。
あとは時間が来るのを待つだけだしそれまでイイコにしてあげるって話になってるからさぁ
マテは嫌いなんだけど……あー……待ちくたびれて全部どうでも良くなりそう。
あんたはどーなのさ?暇を持て余して出てきたっていうならいいけどさぁ
ならアタシの夜遊びは別に良いよね?」
■『虚無』 >
「そうか、まぁ構わんがな」
別に降りてこないなら降りてこないでも構わない。高かろうと低かろうと、やりようはある。
しかしその後の発言を聞くと首を横に振るう。
「それは違うさ。たしかに相打ちになってくれればそれでいい……だが、その相打ちに巻き込まれて1番大きな被害を受けるのは全く関係のない奴らだろう。それはあまり好ましいとは思えないな。だからさっさとこんなくだらん騒動終わってもらないと困るんだ」
そこだけははっきりと言い切る。好きに相打ちにさせるだけではダメなのだと。
だが、その後の発言を聞けば目を細める。
「生憎と暇をしているわけではない。こちらはこちらでやる事があるからな……だが、夜遊びに巻き込まれるなら順当に払う必要がある」
相手の発言からしてただの野次馬という線は消えた。台本だとか待つだけとか。それは組織に属していないと出ない言葉だ。
であれば狙いはこちらの戦力把握か。だがだとしてもここで下がるという選択肢はできない。避難が完了するまで違反組織や風紀委員を釘付けにする必要があるのだから。
「だが、夜遊びの相手をするのに俺はオススメしない……火傷では済まない怪我になる」
拳を握りしめる。その目は完全にスイッチを入れる。相手がその気ならば……開戦を待つ気も無い。即座にとびかかり一息に仕留める。それだけである。
■O RLY >
「んー、……パス。
アタシ意外と一途だからさぁ?
浮気は嫌いじゃないけど今は予定はないんだ。
ごめんね?」
剣呑な雰囲気を漂わせ始めたい手を傍目に
膝を抱えて首を傾けながらくすくすと笑う。
やはり中々に好戦的だ。その姿勢は嫌いではない。が
「……巻き込まれて、ね。
それってさぁ、交差点の真ん中で寝そべって車にひかれたって喚くのとどう違うの?」
膝に腕を載せ、そこに顔をうずめながらも視線を向け問いかける。
悪法も法である。それが目前の存在の言い分だったんだっけ。
まぁそんなのに興味はないんだけど……
それで邪魔になるかどうかの見極めは一応、必要かなと思う。
一番邪魔を”出来うる”可能性がたかいのは”こいつ等”だし。
「そう言わずにさぁ?
ほら、アタシをここに留めておく方が
”そっちにとっても好都合”でしょ?」
■『虚無』 >
「その交差点にあとから来て寝そべっていたなら自業自得だ。だが、巻き込まれる連中は違うだろう……そいつらははじめからそこにしか暮らせない。いわば水にしか生きられない魚と同じだ。その水を後から来た人間が勝手に水抜きして、地上で生きられないのが悪い。とでもいうつもりか?」
彼女の言い分には正面から切って返す。
たしかに交差点に寝そべって引かれたと喚くのはただの大アホだろう。しかし、こちらの言い分は違う。初めからそこにしか生きられない人間達、だからこそ水でしか生きられない魚と同じなのだ。
「その理論で言えば戦争を呼び込もうとするアホ共は人間に水抜きをさせる危険をはらんだ鰐とでもいうべきか……留め置くだけならこうして話しているという事もできるが。そちらもそういう口実を作りたいのか」
固く握りしめた拳を前にゆっくりと出す。
軽く息を吐き出す。
「なら望み通り少し遊んでやる……本気を出させたければ殺しに来い」
相手のやろうとしていることが読めるが故あえて本気でなど戦わない。手を抜く。
グッとほんの僅か手を押し出すと金属をたたいたような甲高い音。同時に空気が震えるとそれは弾丸のように不可視の衝撃となって彼女の座る瓦礫へと襲い掛かる。
■O RLY >
「いいや?同じだよ。
それって例えば上の階に子供が住んでる部屋に引っ越した人、みたいな話だよね。
元々そこに子供がいたから我慢しなきゃいけない。なんていうのはもっともらしく聞こえるけど
それはそれらしく正当性を主張してパイをより多く奪おうっていう論法じゃん。
そこでしか生きられない?魚程度の生存能力しかないなら一緒でしょ。
所詮弱さを盾にした脅迫でしかない。」
誰しもが戦ってる。弱者といわれるものも、強者と驕るものも、等しく。
それを”あとから来た人間がどうこうする”なんて随分と大きく出たものだと思う。
その感情は押し殺しながらゆっくりと伸びをする。
さて、そろそろかな?うーん、けんかっ早い。
「うーん、半分正解だし不正解。
正解はね、アタシは鰐とか人間とか、どーでもいいだけ。」
特徴的な金属音。衝撃波の類か。なら作用点でも用意して差し上げましょう。
座ったまま甲高い音と共に発した”歪み”に瓦礫の欠片をぽいと放る。
そのままその方角に手を突き出したまま、口の端が吊り上がって
「全く、これだからオトコノコは」
酷く歪な笑みを浮かべた。
■『虚無』 >
「弱さを盾にした脅迫か、そうだな。たしかにその点に関しては否定できない。たしかに言ってしまえばその通りだ。だが、水でしか生きられない弱い存在だとしても……それを切り捨てて踏みつぶしていい権利などどこにもない。だからこうしてその弱い存在が暮らす”水”を守る。それを正しいと信じて進み続けるしかしらない”魚”はな」
魚程度の生存能力しかない弱い存在。そういっておいて自身を魚と呼びきる。
自身としてこの世界でしか生きられない弱い存在なのだから。ただほんのわずかに力があっただけ。それだけだ。
「どうでもいいのならこちらへ喧嘩を売るのは勘弁してほしい所なんだがな」
投げた瓦礫は一瞬で粉々に砕け散る。
楽しそうな相手とは対極に、こちらの目はどこまでも冷めきっていた。
「これだから女は面倒だ……構ってほしければ素直に言えば良いだろうに」
相手のオトコノコはという皮肉に返すように女はと返す。
さて、では次の手だ。
足元にある死体。それを無造作につかみ上げると。それを殴りつける。
それは先ほどの空間とおなじ、グニャリと曲がる。
「次はどう避ける」
今度は金属音と同時に風船がはじけるような音が響く。
殴りつけられた死体は破裂。肉片や装備がそのまま弾丸となって襲い掛かる。しかしそれらを守るように大量の血も同時に襲い掛かる。
■O RLY >
「ふぅん、まぁそう答えるしかないよね。あんた達は。
そんな場所でも守るべき法はある、か。
……どいつもこいつもさぁ」
ああ、これも風紀委員の同類だった。
ため息一つ。これはやっぱり邪魔になりそう。
「アタシはお喋りしてるだけじゃんね?
むしろ仲良くしてる方だと思うんだけど。
やっぱり人間って難しいわぁ。
……だからぁ、アタシ今愛人いるんだってば。
むしろ構わないでくれたら万々歳なんだけどなぁ
……少しだけだよ?アタシ今怪我したくないし」
多少硬度や質量が変わった程度、所詮拳銃の弾丸とかわりない。
むしろ汚れる方が嫌だし。ばっちぃ。
リュックからアラミド繊維の真っ黒な布を引っ張り出しながら瓦礫の端を掴み、
投擲しながら入れ替わるように瓦礫の後ろに身を隠す。
「で、視界から離れたところで凸しちゃう?
威力不足なのは判ってるよね。」
呼び水として放った手を超える貫通力を持つ物体を射出するにしても
ビルの残骸それそのものを貫くにはあまりにも威力が低すぎる。
その場合とるのは視線を切ってからの別の手に移行か、インファイト、
もしくは急速離脱だけれど、風紀が来ることを見越してもその線は薄い。
「ねぇ、見てる?折角だしお望み通り暫く”避けて”あげようかね」
胸元の黒い砂が詰まった瓶を握り薄く笑う。
■『虚無』 >
「法と呼べるほどではないがな……法からも見放された奴らの話だ」
法というほどでもないだろう。むしろ法だなんだとキツく縛り始めるような輩がいればそれこそこちらの攻撃対象になる可能性すらある。
さて、相手の動きを見る。視界から離れた所で突っ込むと言われたが。実戦ならそうするだろう。しかしはじめに話した通りこちらははじめから本気でやり合うつもりもなく。さらに言えば。
「……わかりにくい言い回しをするな。暇だから夜遊びをしたいと言い始めたのはそっちだろう。生憎、高尚な頭脳は持っていない……ただ話すだけが望みだったのか?」
相手に一切の戦闘の意欲が見えない。それならばこちらとしても手を明かす必要などないわけで。
はじめは相手の発言をそういう意味だと解釈していたが。別の意図があるのだろうか。
不意打ちを考えて手は下ろさないが。追撃はせず、瓦礫をまっすぐに見つめている。