2022/01/08 のログ
ご案内:「◆常世港 大型倉庫(過激描写注意)」に暁 名無さんが現れました。
暁 名無 > 正月も明け、そろそろ平常授業も始まろうという連休の初日。
授業が始まっても飽く迄補助教員として教壇に立つ予定の無い俺は、
せめて授業で使う資料を整理しておこうと一人準備室で作業をしていた。
作業に没頭している内に日も沈み、窓から覗く空には三日月が輝いていたのを見て、ああそろそろ帰ろうか、などと考えていた時だ。

『――暁先生、密猟団の倉庫を把握しましたので同行願います。』

風紀委員からの連絡が入り、のんびり夕飯を何にするかと考えていた俺のテンションは一気に最低値を叩き出した。

―――うん、今夜はもう飯食う気にはならんだろうなあ。

そんな事を思いながら、普段は使わない電車に揺られる事小一時間。
着いた先は、ひと気の無い海沿いのコンテナ倉庫群の一画。
三日月がやけに紅く、武骨な建造物を照らしていた。

暁 名無 > 「はいはーい、お勤めご苦労様。ここが件の倉庫?」

既に此方の到着を待っていた風紀委員の生徒たちに軽く挨拶をして、状況を確認する。
潮風が肌を刺す様に冷たく、初売りでマフラー買わなかったのを少しだけ後悔しつつ報告を聞く。

昔から、薬物に始まり武具、装飾品や家具といった動植物を利用する手段は人類の文化の傍にあったものだ。
そしてそれは大変容を経て、本来この世界に存在していなかった技術が取り入れられた現在では更に多岐に亘るようになった。
魔術や呪術の一般化にともない、それらを行使する、あるいは補強するに必要な素材としての価値も生まれた。

まあそれら自体は―――思う所無いでもないが、人類の歴史と切っても切れないような、文化ではあるので否定はしない。

「うん、うん。なるほどね。」

風紀委員の報告を聞きながら、武骨な倉庫を見据える。
曰く、年末に捕らえた密猟者の一人が自白したらしく、
本土から海路で運んだり、島内で確保した『商品』を『加工』あるいは一時的な『保管』のための場所として利用していたものであるらしい。

―――物みてえに言ってくれるよな

きっと自白内容をそのまままとめて報告してくれているんだろう生徒の言葉に内心毒づきながらも、俺は煙草を一本取り出した。
銜え、火を着け、煙で肺を満たし、それを吐き出す。そうでもしないと、胸の中の毒がそのまま口から漏れ出そうだった。