2024/06/10 のログ
ご案内:「第一教室棟 屋上」にジャスパーさんが現れました。
ジャスパー > 昼、屋上、昼食中

「まじこえーよなー。歓楽街とかならまだしもさぁ
学生通りだぜ。しかも今のところ目星も突いてないらしいってさぁ」

端末から常世島の噂を集めたスレッドを眺める少年
噂は噂であり、もしかすると悪質なデマかもしれないが、本当だったら怖いものだ
…ふと思った。知り合った風紀委員たちも右往左往しているのだろうか

「…よし。今度会ったら渾身のギャグで笑わすしかねーな」

女の子は深刻な顔より笑っている方がいいというのが少年の持論である
いや、自分が怒られたりするだけならそれはそれでご褒美だけどな!

「どういうのがいいかなあ…。やっぱり秘蔵のあれか。今のうちに録音しておくぜ」

ふんふーん、と鼻唄を歌いながらいくつか録音しておく

ジャスパー > ここまで全て独り言である
男とは常に孤独な者なのさ…

「ん。今日のパンもんまい」

もぐもぐ

(あーーー…………、あと、また会ってちょっとおねがいごともしないとな)

ふと思いついたことがあった
直接的な力は持たない少年だからこそ、ちょっとは自衛も考えなくてはならない

んー、と伸びをしてから牛乳を一口

ジャスパー > キーンコーンカーンコーン……

(お、予鈴かぁ)

今日も今日とて授業だ
色々考えつつ、のんびり過ごそう――

ご案内:「第一教室棟 屋上」からジャスパーさんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 教室」にリョーガ・パレコルタさんが現れました。
リョーガ・パレコルタ > --------夕方・放課後。

二年生の使う教室の片隅の席で、右手でペン回しをする男が一人。
実のところ彼には【右腕】しかないのだから右手で回すのは必然的なのだが。

「ふんむぅ…今日はどーするでございやすかねぇ…」

なんて、放課後のこれからを今日はどう過ごすか、なんて考えつつペンを暇そうに回して、いた。
実際何をするか、なんて決まっちゃいないのだから。

誰かが来てもそうおかしくはない状況である。

ご案内:「第一教室棟 教室」にディトナスレインさんが現れました。
ご案内:「第一教室棟 教室」からディトナスレインさんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 教室」にディトナスレインさんが現れました。
ディトナスレイン > 「そろそろ“充電”しなければ....」

放課後、夏の日も落ちかけた橙の空を蝉の声が彩る中、少女は一通りの授業を終え、帰路に着こうとしていた。

右腕の腕時計型デバイスの右上に表示されたバッテリーゲージは黄色に染まり、彼女はそれを物憂げに眺めつつ、教室の前を通り過ぎる。

ふと、教室の片隅で一本しかない腕で器用にペンを回す少年に目が止まった。【右腕】しかない、そんな境遇で、両腕が揃っているのと同じくらい器用にペンを操る彼に、興味が惹かれた。

少女はその少年を不思議そうな目で見つめる。

リョーガ・パレコルタ > 「…ん」

ふと廊下を見る。
視界の片隅に映った白髪ショートカットの少女。
自身の記憶が確かなら確か『彼女』は…
そう思ってふとこう呼びかける。

「よぅ、ディトナ。
もう帰ぇる(けぇる)んでい?」
大声気味に、声をかけた。

そう、同時期に転入してしてきたはずの人物だから。
リョーガはそう認識している。

ディトナスレイン > 「お久しぶりです、リョーガ様」

教室の入り口で少年に一礼する。
昨年の夏、同じタイミングで転入してきた彼の、出会った頃と同じほど明朗快活な声に親近感を覚えながら、少女は教室に入る。

「はい、学校に残ってやることもありませんし.....、リョーガ様はここで何を?」

少年の近くに寄り目を見つめながら、無表情なままでそう尋ねた。
距離感は以上に近く、少女は上半身を折り座っている少年と目を合わせているため鼻と鼻が突き合ってしまうほどである。

リョーガ・パレコルタ > 「ん。俺かい?
俺ぁ…暇んつぶしようにペン回してただけでい。
こっからなぁにすっかねぇって、さ。」

ペン回しを終えて。
ペンを机に置きながら、リョーガはそう貴女に答える。
実際困っていたし、同学年性と話すもまた一興か、と。

と、ずいっと言わんばかりの距離感にも冷静に。


「…ディトナ、ちぃと近ぇんでい?
もうちった距離空けてくてたぁありがてぇんだがい。」

ディトナスレイン > 「???......あ。申し訳ございません。」

ワンテンポ遅れて、少女は一歩身を引く。
周知はされていないが彼女は一言で言えばアンドロイド。
加えて生まれて3年しか経っていないため他者との自然な触れ合い方を知らない。
故にその距離感を測りかねてしまうのだ。

仏頂面でそんな奇行に走る彼女にも少年が冷静に対応できたのは、おそらく同時期に転入してきたよしみで、他の生徒以上に言葉を交わしたことがあるからだろう。

「もう一度、それ見せていただけませんか」
少女の興味は、片腕しかない少年が器用にこなしていたペン回しに移ったようだった。

リョーガ・パレコルタ > 「はは、気にすんでねぇよい。
少しずつ慣れてけばいいんでい、まだ時間はあるもんだからよい。」

と、リョーガはその様子に笑いかける。
その笑みは小さいながらも然りとそれを感じさせるように。
実際転入したての頃はよく話した身だ、慣れたというのもある。

「ん、いいぜい。」

ペン回しを所望された、と感じた彼はもう一度右手でペンを持って、回し始める。
その指使いや器用さは、転入したころと何ら変わりなく。

人によって、右手でのその器用さには驚かれることも、多かった。

ディトナスレイン > 「お気遣い、痛み入ります」

少年の言葉を聞いた少女は、その仏頂面が崩れるか崩れないか、そのギリギリのラインで薄らと微笑みを返す。

転入当初に色々と関わりがあったために、彼とは幾分親交が深い。
薄い微笑みだとしても笑顔を見せたのは彼含め校内でも片手で数えられるほどしかいなかった。

「では早速.....。
おぉ....、相変わらず器用ですね...!」

当然、素直な反応は笑顔以外にも現れる。
少女は、腕が一本しかない少年が5本の指を駆使し、器用にペンを空中で操るその様を食い入るように見つめている。

その瞳には、宝物を目にしたような子供のような輝きが写っている。

リョーガ・パレコルタ > 「いいんだよい。
俺ん親父の教えなもんで。」

ここに来るまでをそう語らなかった男がふ、と笑う。
飄々としながらもさりげなく気遣うその姿は彼女やクラスメイト、同学年含めて、少しは知りえるものもいるだろう。
何かこれまでもそういった出来事があったかもしれない。

「はは、これ覚えんのにどんくらいかかったかねぇ。
向こうの学校ん時には練習しとったい。」

ペンを回したままそう嬉しそうに。
貴女の純粋な感想とその姿は彼にとっても僥倖だったろう。
片腕しかないからこそ、そういった一芸も少し学んでいたのかもしれない。

ディトナスレイン > 「お父様もですが、厳格に教えを守るリョーガ様も素敵ですよ」
ふ、と笑う少年から物憂げな様子を感じ取った少女は、少年の瞳を見つめ、そう言い放つ。

転入仕立ての頃は、右も左も、自分がなぜ「常世」に来たのかも判然とせず困っていた。
そんな折に助けてくれた少年に、少女は少なからず恩義を感じていたのだろう。

「日常生活もままならない中でも研鑽を詰んだのですね...!」
彼が片腕を失った理由を転入当初に本人を目の前にして聞いたことがある。
今考えればデリカシーのかけらもない愚問だったが、彼は「不慮の事故」として軽く流していた。

故に少女は彼がどのように苦しみ、どのように今の器用さを手に入れたのかは知らない。

しかし、少年の朗らかな性格が、そんな逆境を跳ね除けたことを否が応でも少女に思い知らせていた。

「私にも貸していただけませんでしょうか⁇」
器用にペンが空中を踊る様子に触発されたのか、少女は少年にそう尋ねる。
鼻からフンス!と音がしそうなほどに、彼女の顔は意気込みが見てとれた。

リョーガ・パレコルタ > 「…よせよい。
照れるじゃねぇねいかい。」

不意に顔をそらす。
転入したての頃、困っていた彼女に手を差し伸べたのは自分だから。
礼なんていい、とはいったものの彼女からの恩義は然りと受け取っているから。

「まぁねい。今じゃ異能はあれどもう右腕だけの生活は慣れたもんでい。」

実際彼の右腕については、彼女以外にも聞かれている。
その度に彼曰く【不慮の事故】としていた。
あまり聞かれても答えづらいものなのだろう。

「え、いいけどよい…でぇじょうぶかよい?(大丈夫かよい?)」

ほー、と意気込みを見て。
少年はそのままペン回しを止めて貴女にそれを差し出す。
実際何をするか、見てみたかったのやもしれぬが。

ディトナスレイン > 「では失礼しまして....」
おずおずと少年からペンを受け取った少女は、早速といった様子で指と指の間にペンを挟み、構える。

「これを...、こうして....」
少年の心配とは裏腹に、ぎこちなさはあるものの、少年と同じくらいの器用さでペンを操る。

....これで澄まし顔なら様になるが、本人の目は右往左往。
明らかに焦っている。

彼女の焦りに呼応するかのように指先で踊るペンが加速する。
常人をはるかに超えた膂力でのペン回し故に、そのスピードはバカにならない。
借り物のペンを落とすわけにいかない、でもスピードを落とせばペンが落下してしまう...。

少女は自ら二律背反に縛られ...やがて。

『バキッ‼︎‼︎』

硬いものが砕ける音。
辺りに漂う焦げ臭い匂い。

加速したまま少女の手から滑ったペンは、勢いを殺さず机に激突。
天板にペンが突き刺さった机は、少年のすぐそばで煙を上げていた。

「.......申し訳ございません」

リョーガ・パレコルタ > 「はは、焦ることはねぇ…んで…い」

そう言っていたリョーガだったが次第にその様子が内心不安で、心配になってきた。
彼の脳裏にある予感が冴える。
(あれ、これ大丈夫な奴かねぇ)と。

そしてその予感は当たった。

硬いものを貫き砕ける音。
そこらじゅうに漂う何かが焼けたような臭い。
そして自身の机から立ち上る煙。

「…いや、俺は大丈夫なんだがよい。
…これ先公にどー説明したもんかい。」

今、一周回って冷静な彼の脳裏には悪意はない彼女をできる限り守りつつどう先生に説明するかが過っていた。

ディトナスレイン > 「とりあえず...」
少女は突き刺さったペンを壊さぬよう丁寧に机から引き抜く。
超スピードで机に突き刺さったからか、ペンに破損は見られない(少なくとも外見的には)

「もし何か不具合があったら、私が新しいものを購入しますので...!」
壊れた箇所がないか丁寧に観察した後、少女はペンを手渡す。
その顔には焦りと申し訳なさがいっぺんに現れていた。

「......ひとまず、先生には私の方から報告しておきます」
穴の空いた机を見やりながら、少女はつぶやいた。

リョーガ・パレコルタ > 「いんや、それは大丈夫なんだがよい…。
…ディトナだけが怒られるのは俺も気にするんでい。
…今から一緒に報告は行くかよい。」

悪気がない彼女にペンを渡したのは自身だ。
ならば共にお小言なりなんなりを受けてもバチは当たらないだろう、と。
リョーガはペンを受け取り、ポケットに仕舞いながら。

「んじゃ、ちょっくら職員室へと洒落込もうかい。
…時間、まだあるんでい?」

と、不意に貴女に尋ねる。
そういえば帰宅しようとしていた時だったから、と。

ディトナスレイン > 「.......ありがとうございます。
ではお言葉に甘えて、よろしくお願いします」
少々逡巡して、少年の誘いを受ける。

......正直一人で職員室まで向かうのは気が引けた。
充電も乏しい中で職員室で説教を受けようものなら充電が切れたときに、耳の早い新聞部に『教師に執拗に問い詰められた結果、女生徒気絶!』なんて見出しに飾られた朝刊が出回ることになる。

「はい。あと30分程度なら大丈夫です」
腕時計型のデバイスを見て、そう答える。

充電は少ないが、少年と一緒に先生を口八丁に丸め込めれば何とかなるかも、と少女は“人間らしい”打算を抱えた結果、少年に甘えることにした。

リョーガ・パレコルタ > 「はは、んじゃ行くかい。
…これ明日話題にならないか祈るしかねぇよい。」

あと30分と聞けば、傍に置いてあったリュックに手をかけ、肩にかけながら立ち上がると。
そのまま足早に教室の入り口に向かいながら。
貴女と共に職員室に向かうのだろう。

その後は何が起きたかは彼らと職員のみぞ知る話なのだろうから。
こうして、何気ない一日がまた、過ぎ去っていくのだ。

ディトナスレイン > 「今日は本当に大変でしたよ...」
少年と共に職員室に向かい、なんやかんやと叱られた後、少年と別れた少女は、右腕の腕時計型デバイスに話しかけている。

どうやら通話機能があるようで、相手の声は聞こえないものの、少女は表情は固く、それでいて起伏に富んだ声音だ。

「はい、本当にリョーガ様には、頭が上がりませんね」
通話相手は親か保護者に類するものなのか、少女は気を許したように今日あった出来事をこと細やかに説明した。

「_______それで彼、私のこと“ディトナ”って呼ぶんですよ。昔の“博士”みたいですよね......『イトナ』って呼ばれているようで懐かしい思いがしました」

「______はい、分かりました。あと数分でラボに戻ります。
では、失礼します、“博士”」
腕時計の画面をタップし通話を終了させた少女の顔は晴れやかだ。
人の優しさに触れたからか、それとも懐かしい懐古の情を思いだしたからか、いずれにせよ。

「また、会えると良いですね」
振り向き、誰ともなしに問いかけた。

ご案内:「第一教室棟 教室」からリョーガ・パレコルタさんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 教室」からディトナスレインさんが去りました。