2024/08/06 のログ
ご案内:「第一教室棟 教室」にリビド・イドさんが現れました。
リビド・イド >  
 夏の午前。特別補講』の張り紙が張られた教室の一室。
 
 薄手のシャツに袖を通した、ラフな格好の茶髪の教師が教壇に立っている
 補講と言うこともあり、生徒の数は多くはない。

「特別補講を担当するリビドだ。
 今回は来期から編入する生徒、ならびに様々な事情で試験点数が単位に届かなかった生徒、
 そしてこの暑い中興味本位で足を運んだ物好きな生徒に向けて魔術概論を補講を行う。」

 プリントを配り終えば教壇に戻り、自己紹介と宣言を行う。

「大変容を経て、門から異邦者が訪れるようになったこの時代では魔術はオカルトではなくキミたちの隣人だ。」

「しかしながら『顕現した魔術』は科学の様に共通の物理法則で動いている訳ではない。」
「大雑把な所だと、東洋と西洋の魔術だな。共通する項はあれど、根本的に思想が違う。」

「かつては『自然を理解するための思想』でもあったのだろうが、現在は『現存する万物に干渉する技術』だ。」
「だが、敢えて今回は前者に重きに於いて説明を行う。」
「あくまでこれは特別補講であり、来期で『魔術』を学ぶための下準備だ。」

「ここまではいいかい?では、順に見ておくとしよう。」

リビド・イド >   
「はじめは火・水・土・風・光・闇、それと無に分類される、普遍的な魔術の思想だ。」

「これらは様々な魔術の体系として用いられる。地球では、中世西洋をルーツとするものが多い。」
「古代四元素論をより洗練させ、四元素の外にある観念的な二元としての光闇で紐解いた魔術体系だ。」

「様々な魔術の基盤となる分、その共通項が『汎用魔術』として体系化される場合も多い。」
「門から訪れる異邦者も、これらの認識を持っている事が多い傾向にある。あくまで傾向だが」

「相性の傾向は様々だ。概ねの傾向として、火と水、土と風は反発する属性であることが多い。」
「扱う魔術の設計にも依存する部分も多いから、明言はしないでおこう。」
 

リビド・イド >  
「次に説明するものは東洋の魔術……いわゆる陰陽五行思想だ。」
「名の通り、東洋の伝統的な哲学と自然観に基づいている『思想』から基づく魔術だ。」
「陰陽説と五行説のルーツは別だが、相互に補完するものとして統合されることが多い」

「陰陽は光・闇に対応する二元論。五行は木・火・土・金・水の五つの要素の循環によって成り立っているとの認識だな。」
「こちらは分かり易く『相性』がある。キミが強力な術者であるほど、相性を押し付ける事が可能だろう。」

「木は火を強め、火は土を強め、土は金を強め、金は水を強め、水は木を強める。」
「木は土を弱め、火は金を弱め、土は水を弱め、金は木を弱め、水は火を弱める。」

「木によって燃えた火が灰として土に還り、その土からは金属が採掘され、金属の結露により水が満たされる。」
「木が土の養分を奪い、火は金属を融かし、土は水を吸収し、金属は木を傷付ける。」

「文明のカタチでもある『金属』が観念に組み込まれているのが特徴だな。
 『土より硬いもの』であり『火で溶けるもの』と認識されていることも留意しておきたい。」
 

リビド・イド >  
「次に説明するものは『神秘や奇跡』をルーツとする魔術体系だ。信仰を基盤とすることが特徴だな。」

「全ての事象は神によって齎され、『信仰』の『願い』によって『奇跡』が叶う。『祈り』の力。感情の力。」

「相性はそれぞれの神秘に因るが『神』が基盤である以上、自分の『信仰や精神』が鍵となる事が多い。」

「一番の注意点として、神秘は宗教と密接であり、宗教は当人にとって大切なことが多い。」
「隣人の信仰を尊重することは、特にこの島では大事な事だ。」
「そうだな、この中で慰霊祭に出た者はいるかい?」
  

リビド・イド >  
「最後に説明するものは、錬金術、ならびに古代ギリシャの四元素思想だ。」
「最初に説明した普遍的な魔術に近しいが、錬金術は『熱・冷・乾・湿』の観念を扱う。」
「この観念の相互転換により世界は成り立っており、その観念を操作しようって魂胆だ。」

「相性は無いか物理法則に近しい。全てが相互転換されるものであり、属性としての相性は無い。」
「現代科学の原子論に非常に近しいものがある。必要なのは知識と発想力だな。」

「錬金術には大いなる業って思想もあるが……その辺りは専攻してからでも良いだろう。」
 

リビド・イド >  
「と……そろそろ時間だな。」
 
「あくまでここで語った事は概論であり、また絶対に正しいとも限らない。」
「大切なのは、『魔術にも色々ある』ってことだ。それだけ覚えて帰ってくれればよい。」

 魔術と言ってもその在り方は様々であり、起源がある。
 そのような意図で説明を締めくくった辺りで、チャイムがなる。

「特別補講は以上だ。この暑い中、ご苦労。」
「キミたちの良き学園生活を願っているよ。」
 

ご案内:「第一教室棟 教室」からリビド・イドさんが去りました。