2024/10/01 のログ
柊庵 >  
失笑。
望んでも敵わぬが故の渇望。
ある意味の失意、生きる上の希望のなさが垣間見えた。

「……それだけアナタが強かった、って事でしょ?
 それとも……、……もしかして、死にたがり?」

何となくだ。
そう感じたから問いかけた。
じぃ、と金色は仄暗い炎を覗き込むように、
ほんの少し、彼へと顔を近づけてみた。

「まるで、恋人でも探してるみたいな言い方。
 でも、人生ってそういうものだと思うよ?
 一番の生き甲斐を死ぬまで愚直に追いかけて満たそうとするのか……」

妥協して、代わりで満たすのか
 ……まぁ、でもそれが一番に変わることもあるから、
 決して悪いことではないとは思う。」

結局人生なんてものは、
どれだけ満たされるものを見つけれるかだ。
人、物、趣味etc...そういったもので彩れた最後、
人生の終着点にその鮮やかさが出迎えてくれる。
ふ、と力なく笑えば軽く肩を竦める。

「まぁ、コレも受け売り……って言うより、歌詞かな。
 マリア・キーデロイって昔のアーティスト。知らない?」

かつて、名を轟かせた大昔の音楽家だ。
趣味を聞けば思わずおいおい、と苦笑い。

「そういうのじゃないって。喧嘩関係以外ってこと。
 ……アタシの場合はそう、音楽とか。そう言うの探したりしないの?」

ちゃっかり横領はするんだ。
意外と食い気あるな。今度ご飯でも奢ってあげようかな。

夜見河 劫 >  
「――――――」

口を開きかけて、少し言葉を考える。
あまり喋り過ぎて、生活の面倒見てる方々から文句が出たら困る。
こういう時は……

「……大したことじゃない。
異能のせいで、バカみたいに死ににくい。それだけ。」

こう言えば良い筈。
表向き、自身の異能は「過剰と言える再生力で致命傷でもすぐ塞がる」という事になってる。
相変わらず、その目は燃え残って燻る薪のような具合だ。

「……なら多分、今の俺は妥協して済ませてる、と思う。
一度殴り合いになったら、大抵その相手と「次」がないから。

どこどこの何とか、とか、大仰な肩書ひけらかす奴ほどそう。
…正直つまんね。」

恐らく、違反部活か違反組織、半グレ連中の誰かという所。
時々「おかわり」が送り届けられてくる事もあるのはいい事だけど、そいつらも潰すとそのうち出て来なくなる。
一人にかまけて何人も潰されたなんて、組織にとってはあってはいけない事なのだろう。

「知らない。音楽は何処がいいのか、よく分かんね。
音楽の授業で眠らない奴がよく分からん。」

何という言い草。

「――――それ以外だと、眠ってる間が一番マシ。
寝てれば、煩わしい事で憂鬱にならないで済む。
眠剤のお世話になる程じゃないけど。」

至って健康な睡眠状態である。
というかお世話になるのがヤバいと思う。
 

柊庵 >  
そういうとき、大抵"大した事"だったりする。
思ったよりも嘘吐くのは下手なのかも。
だって目の奥がずっと燻ってる。
燃え尽きてもないのに、ずぅっと何かを待ってる。
新しい薪を待っているのか、それとも──────。

「……じゃあ、そういう事に"今は"しとく。
 お互い初対面だし、話したいこともあるだろうしね」

庵はくどい女ではない。
お互いスネに傷持ちなら、
敢えて触れないのも情けだ。

「……本当にキミは喧嘩ばかり考えてるんだなぁ。
 そういうのも、アタシ以外にはやめておきないよ?
 それに、それ妥協で済ませなかったら、流石にマズいから"やめなよ"」

思ったよりも喧嘩馬鹿というか、
想像よりも飢えているかも知れない。
これには流石に苦笑いだ。
その"妥協"だけは破ったら一線を超えてしまう。
明確にそれだけは釘を差しておこう。
獣のような男だけれど、本当の獣になるのは頂けない。

「あー、マジで興味無い人の言葉だ。
 国語とか歴史の授業でも右から左へ抜けるタイプでしょ?」

そういうものだ。
ハッキリいう分だけ寧ろ好感が持てる。

「本当に動物みたい。くっちゃねくっちゃね……
 ……あ、動いてるから太らないのか」

クソ、ちょっと羨ましいな。

「……そう言えばキミ、名前は?
 アタシは庵。柊庵(ひいらぎいおり)

夜見河 劫 >  
「――――。」

怪しまれたかな、と思う。
まあそれはそれでいい。
多分、「偉い人」がそこらは何とかしてくれている筈。

男は本当に、そこら辺りは無頓着だった。

「……暫く前に帰るのが遅れて風紀にしょっ引かれた時も、似たような事言われた。
どっちも死んでないし、目くじら立てる事でもないのに。」

そういう問題ではない気がする。切実に。
最も、この男にしてみればそれこそ「死んでないからいい」の一言に尽きるのだろう。
相手が潰れて戦闘不能になるか、自分が潰れてしまうか、そのどちらか。
相手は兎も角、自分に対して手心や頓着がない。

「最低限出席はしてるし、寝ないように我慢もしてる。
――体動かす授業は見学だけど。」

そこらは恐らく教師の判断なのだろう。
賢明ではある、のかもしれない。
あるいは、この男が下手な事が起こらないように配慮しているのか。

……それはないかもしれないが。

名前を訊かれれば、軽く視線を向けて、ぼそりと一言。

「――夜見河(よみかわ)(こう)。」

それだけ。ひどく愛想のない名乗り方だ。

「……そろそろ昼休み終わるし、戻る。
ごちそうさん。」

メロンパンと蒸しパンの礼は最低限言いながら、ふらりと立ち上がると、のたりのたりと歩き始める。
歩き方からして本当に気力の無い男だ。
 

柊庵 >  
「……そういうのが極端なんだって。
 死んでないでいいなら、世の中犯罪だらけだよ」

そもそも喧嘩という行為自体褒められたものではない。
殺して無ければ、死んでなければいいというのは、
余りにも身勝手で、人でなしの解釈だ。
と言っても、此の飢えっぷり。
そういうのを理解するには根本的に変えなくてはダメそうだ。

「そう、偉いじゃん。その調子で出ときなよ。
 なんだかんだ、勉強しとけば良いことあるよ」

多分ね。
生憎学生身分なので、適当な事しか言えない。

「ん、劫ね。宜しく。
 …あ、待って。アタシも行く」

愛想のなさも御愛嬌。
獣っぽいけど、まだ少しは理性があるらしい。
ほんの少し困った顔をしながら慌てて立ち上がり、
ベースケース担いで急いでその背中を追いかけた。

……残りは晩御飯にするか、彼に押し付けよう。
彼の晩御飯の菓子パンが増えたかどうかは……さて。

ご案内:「第一教室棟 屋上」から夜見河 劫さんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 屋上」から柊庵さんが去りました。